2004年10月12日

ツルボ

ツルボ Scilla scilloides


ツルボは、日本全土に分布するユリ科の多年草です。土手や田畑のあぜなど日当たりのよい草地に多く見られますが、海岸の崖の草地やちょっと薄暗い落葉樹林下にも生育しています。ツルボは珍しい植物ではないのですが、その名前の由来にも定説がないという謎の植物です。しかし、この植物のもつ最も不思議な特徴は、やはりその生活様式にあります。

春、3月の終わりごろ、多くの小さな春植物たちと同じように葉を出します。でも、ここで、すぐに花が咲くわけではないのです。春に出た葉は1ヵ月ほどですぐに枯れてしまいます。そして夏は地上部なしで過ごすのです。春の日照はしっかり受けて栄養分を蓄え、夏の暑さは地下でしっかり回避しているということなのでしょう。花が咲くのは、秋のお彼岸ごろです。20〜30cmぐらいの花茎を伸ばして、淡い紅紫色の花をたくさんつけます。

ツルボの謎はこれだけではありません。花時期にはなんと、葉のあるものとないものの2つのタイプがあるのです。春の葉はどんな場所に生えるツルボでも長さ10cm程度の細長い葉を必ず出すのですが、秋の葉は出る個体と出ない個体があるのです。秋の花時期に葉を出さない個体はより暗い林の下や草丈の高い草におおわれる草地に多く見られます。明るい草地の個体はだいたい数枚の葉(根生葉:こんせいよう)を出しています。ツルボは環境の違いにもしっかり適応して生活しているのですね。

写真の個体は、暗いヒノキ林の外で、日当たりがよく草丈の低い草地にあったもので、根生葉は2枚でした。写っているのは、花が終わった後の種子ができつつある状態のものですね。ツルボは種子で繁殖するほか、地下にはいわゆる球根(鱗茎:りんけい)があって、これがふえて繁殖(栄養繁殖:えいようはんしょく)する場合もあります。ツルボは日本国内のほか、朝鮮半島や中国にも分布しているそうですが、栄養繁殖するものは、国内のものに限られるのだそうです。、、、う〜ん、謎は深まるばかり。

【和名】ツルボ [蔓穂]
【学名】Scilla scilloides
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/10/11
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 19:03| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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