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オオバノヨツバムグラは、日本では北海道、本州中部以北、四国に分布しています。夏の高山に登る途中、亜高山帯の針葉樹林の下でよくみられる多年草です。花期は、7月〜8月ですので、ちょうど夏山シーズン中に咲いています。ただ、草丈が5cm〜20cmと小さく、しかも数ミリの白っぽい花がポツポツとついているので、高山帯へ急ぐ登山では、目にとまりにくいかもしれませんね。
小さくて控えめな植物ですが、形としてはかなり特徴的なんです。輪生(茎の同じ高さから数枚ついて車輪のように見える)する4枚の葉に、線香花火のような小さい花と実。ちょうど写真には実が写っていますが、実には、短い毛が密生していて、その先はやわらかいフックのような形をしています。つまり「ひっつきむし」のしくみを持っているわけですね。実はこのまま落下するか、フックによって動物の体にくっついて運ばれるのでしょう。
道端や人里近くの草地など、もっと身近な場所では、同じ仲間の「ヤエムグラ」が見られます。これもやっぱり、実にフック状の毛が密生しているので、散歩中の愛犬の体にくっついてしまうこともあるかもしれませんね。
「エゾノヨツバムグラ(Galium kamtschaticum var. kamtschaticum)」とはよく似ていて、今のところ区別点は、葉の形と全体の大きさぐらいです。エゾノヨツバムグラの方が葉の幅が広くて先が丸く、全体としてはやや小さめです。両者を含めて、詳しい分布や形態の調査がされるといいなあと勝手に思うのでした。
【和名】オオバノヨツバムグラ [大葉の四葉葎]
【学名】Galium kamtschaticum var. acutifolium
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県南会津郡檜枝岐村