2004年12月13日

オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリ Veronica persica


オオイヌノフグリは、もともとはアジア西部や中近東の原産で、ヨーロッパを中心に世界中に広く帰化している越年草です。原産地については、図鑑によって記述が微妙にずれていることもあり、ヨーロッパやアフリカ、あるいはユーラシアやアフリカなどとなっていることもあります。国内で最初に発見されたのは、明治中期のことだったとか。当時は東京の都心部で少しだけ見られるぐらいだったそうですが、現在では全国的に道ばたや田畑、空き地などでふつうに見られ、春になったことを知らせてくれる花としてすっかりおなじみになっています。

種子は秋に発芽し冬を越して翌年の春に開花します。通常の花期は3月〜5月です。写真の撮影は12月中旬、平年よりも暖かな関東の丘陵地です。早くもオオイヌノフグリが蕾をつけています。写したのは午前中でしたから、午後には日の光を十分受け蕾が開いたかもしれません。しかし、まだ開花していないとはいえ、全体に長い毛がたくさん生えている様子や花柄が茎の上部の葉の脇(葉腋:ようえき)から伸びている様子などを観察することができます。

花弁は4枚で、色は鮮やかな青紫色、2本の雄しべも目立ちます。開いたときの花の直径は1cmほどです。比較的小さな花の割にはよく蜜を出し、おおむね、虫によって花粉を運んでもらって受粉する虫媒花のようですが、虫の訪問がなくても自家受粉して確実に種子を作ることができるため、一度定着した場所では秋にはかなりの数の芽生えが見られます。

オオイヌノフグリという名前は、大きな「イヌノフグリ」という意味です。同じ仲間の在来種(といわれています)「イヌノフグリ (Veronica didyma var. lilacina)」に比べて大きいのでこの名があります。フグリとは陰嚢の古い言い方で、果実の形が犬の陰嚢に似ているからだそうです。他にも似ている形のものはあったと思うのですが、よりによってこの名前にするとは。。。

今のところ、植物の和名に関しては、定まった基準があるわけではなく、慣例的に多く使われているものが標準として図鑑などで掲載されています。つまり、どういう名前で呼んでもかまわないわけで、このままでは別名や地方名などでもいいことになり(いいのはいいのですが)、混乱するかもしれません。現在、生物の分類学の各分野で、鳥類のように1つの学名に対して1つの標準和名を決めることや、差別的な言葉が含まれている和名をそうでないものに変更する案などが出ているようです。ただし、「オオイヌノフグリ」は、特に差別的というわけではなさそうですから、このままの可能性が高そうな気がします。

別名には「ヒョウタングサ」や「オオハタケクワガタ」というものがあるそうですが、今のところ、実際にこの名で呼んでいる場面は見たことがありません。

【和名】オオイヌノフグリ [大犬の陰嚢]
【学名】Veronica persica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/12/13
【撮影地】東京都日野市

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タチイヌノフグリ

posted by hanaboro at 19:51| 東京 ☀| Comment(12) | TrackBack(2) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドウダンツツジ

ドウダンツツジ Enkianthus perulatus
2004/12/08 紅葉と赤い冬芽

ドウダンツツジは、広くとらえると本州の房総半島の一部と伊豆以西、四国、九州に分布しますが、少し葉の幅が広いものを「ヒロハドウダンツツジ(Enkianthus perulatus var. japonicus)」として区別した場合、ドウダンツツジの分布は、主に四国の蛇紋岩地のみとなるようです。なお、四国の蛇紋岩地では、ドウダンツツジとヒロハドウダンツツジの両方のタイプが混生しているところがあるといいます。

春〜初夏のころの花と秋の紅葉の美しさから、「シロドウダン(白灯台 Enkianthus cernuus)」、「サラサドウダン(更紗灯台 Enkianthus campanulatus)」など近縁種とともに公園や庭によく植えられています。植栽されているものは丈が1mぐらいにそろえられていることが多いですが、自生地では3mほどまでなるようです。

ドウダンツツジ Enkianthus perulatus
2005/08/03 まだ熟す前の果実が見える

花は、長さ7mm〜8mm程度の白い壷形で、1cm〜2cmぐらいの花柄にぶら下がって咲きます。輪生状についた葉の間から散りばめたようにつきます。秋の真っ赤に燃えるような紅葉は、都市部の公園では貴重な彩りとなっています。

一番上の写真は12月上旬の撮影で、都市郊外の公園に植栽されていたものです。真っ赤な紅葉も今ではもうまばらに枝に残るのみとなりました。葉が落ちてくると、早速、冬芽が目立ち始めます。枝先にできた「頂芽(ちょうが)」は長さ5mmぐらいになっています。魚のうろこのように何枚もかぶさっている皮のようなものは、「芽鱗(がりん)」といい、ドウダンツツジではだいたい10枚ぐらいです。写した個体の場合は冬芽の芽鱗は紅葉と同じ色で真っ赤でしたが、赤褐色〜黄褐色のことも多いです。

【和名】ドウダンツツジ [灯台躑躅]
【学名】Enkianthus perulatus
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/12/08、2005/08/03
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 13:25| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 冬芽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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