コモチマンネングサ

コモチマンネングサ Sedum bulbiferum


コモチマンネングサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたや田畑のあぜなどに見られる多年草です。草丈は数cm〜20cmくらいです。同じ属で黄色の5弁花をつけるマンネングサの仲間には「ツルマンネングサ (Sedum sarmentosum)」「マルバマンネングサ (Sedum makinoi)」「メキシコマンネングサ (Sedum mexicanum)」など他にも数種ありますが、花はどれもよく似ています。コモチマンネングサの大きな特徴はなんと言っても葉の脇に珠芽(むかご)をつけることです。それで、名前もコモチマンネングサといいます。珠芽にはだいたい2対〜3対の葉があって、花が終わったころ地に落ちて、夏を越し、さらに冬も越します。種子はできないので、繁殖はもっぱら珠芽による栄養繁殖ということになります。

花は5月〜6月。直径1cm弱ぐらいの黄色い5弁の花で、ガク片は5枚、雄しべは10本です。尖ったような形の雌しべも5本あって根もとの方でくっついています。珠芽が落ちてすぐ増え、暖かくなるとグングン伸びてきてしまうので、畑や庭では嫌がられる存在ですが、星を散りばめたような花はそれなりに見所もあるのではないでしょうか。

コモチマンネングサは、生長した姿なら、それとわかりやすいと思います。上部の葉は互生し茎の上部になるにつれて、葉は小さくなります。上部の葉の形は細長いヘラ状です。

珠芽が少しだけ生長したぐらいの幼植物の段階では、やっかいなことに、葉が丸くて対生しているんです。その状態は「マルバマンネングサ」ととてもよく似ています。冬の時期は小さいロゼット状か、少しだけ茎が伸びたくらいの状態なので、葉の質や生育地などを手がかりにします。コモチマンネングサの方がより葉の質は薄めで、マルバマンネングサの方は葉がより分厚くより丸くより密集した感じに見え、主に山地の岩や石垣の間などに生えます。

迷うようなときはよりたくさんの個体を探すとよいかもしれません。周囲を見ると中には節間が伸び葉の付け根が細くなりつつあるような、これから細長くなりそうな素質を見せている個体が見られることもあって、コモチマンネングサだろうと予測できることもあります。

【和名】コモチマンネングサ [子持ち万年草]
【学名】Sedum bulbiferum
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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ツリフネソウ

ツリフネソウ Impatiens textori


ツリフネソウは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の少し湿り気の多い場所に生える一年草です。草丈は50cm〜80cmほどで、茎は赤みを帯びていることが多いです。

Impatiens属(ツリフネソウ属またはホウセンカ属)の植物で、小学校などで教材としてもよく使われる「ホウセンカ (Impatiens balsamina)」と同じ属です。Impatiens属は世界的に見ると温帯から熱帯にかけて広く分布していて600種ほどが知られています。インパチェンスというのは属の名前ですが、一般的に「インパチェンス」という場合は、「アフリカホウセンカ (Impatiens wallerana)」をさしていることが多いですね。そのほか「ニューギニアインパチェンス (Impatiens×hawkeri)」というものもよく見られます。

世界的に見た場合のImpatiens属は多彩な花の形をしていますが、国内のImpatiens属の「ツリフネソウ」、「キツリフネ (Impatiens noli-tangere)」、「ハガクレツリフネ (Impatiens hypophylla)」の3種は、いずれも花の形はよく似ています。ツリフネソウの花期は8月〜10月です。この形は、花を訪れ花粉を運ぶ訪花昆虫が3種に共通するからだといわれています。

パッと見た花の形がとてもおもしろくて、赤紫色の帆掛け舟を吊り下げたような形に見えるということで、ツリフネソウといいます。花には、3枚の花弁があって上側に1枚、下側に2枚あります。下側の花弁は大きくて左右に広がるような形となって、中をのぞくと紅紫色の斑点と黄色をぼかしたような模様が見えます。

ガクも3枚ありますが、上側にある2枚のガクはごく小さくて、下側にあるもう1枚のガクが大きく袋のようになって花弁を包んだ状態になっています。その袋の先はシッポのように細長くなってクルッと巻いています。このシッポのことを「距(きょ)」といって、クルッと巻いてた部分には、蜜がたまっています。

雄しべは5本ありますが、初めのころは葯(花粉のあるところ)がくっついていて、雌しべを包んだような状態になっています。同じ花の中でも雄の時期と雌の時期があって、先に雄しべが成熟して、雌しべが成熟するころには雄しべはその役目を終えています。このように成熟する時期をずらすことで、同じ花での受粉を避けていると考えられています。

果実は長さ1cm〜2cm、熟すとちょっと触っただけで果皮が5つに裂けてクルクルまきになって種子がはじき飛ばされます。属名のインパチェンスは「忍耐しない」という意味で、ちょっとした刺激によって種が弾けてしまうところからきています。

ツリフネソウ Impatiens textori種子や花の形がとてもユニークなのでまずそこに目がいくと思いますが、実は、その特徴は花序の出かたと花序につく突起状の毛にもあるんです。左の写真では、とても見にくいのですが、斜めに伸びている花序の下の方に紅紫色の突起状の毛があります。


ツリフネソウは茎がやや肉質でツルツルしていますし、葉も無毛なので、全体が無毛に見えますが、葉腋から斜めにで出る花序には突起毛があるんですね。これに対して、黄色い花のキツリフネには突起毛がなく、全体が無毛です。さらに葉の縁のギザギザ(鋸歯)があまり尖っていないので、花がなくても区別しやすいかもしれません。ツリフネソウの鋸歯が結構するどくギザギザしています。ハガクレツリフネは花序が垂れ下がる点が大きく違っています。

【和名】ツリフネソウ [釣船草]
【学名】Impatiens textori
【科名】ツリフネソウ科 BALSAMINACEAE
【撮影日】2004/09/23
【撮影地】山梨県牧丘町

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キツリフネ

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2005年01月29日

パンジー

パンジー Viola×wittrockiana
2005/01/20 撮影

パンジーはヨーロッパや北アメリカなどに分布するスミレ科Viola属の主に4つの原種、「ビオラ・アルタイカ(Viola altaica)」「ビオラ・カルカラータ(Viola calcarata)」「ビオラ・トリコロール(Viola tricolor)」「ビオラ・ルテア(Viola lutea)」などを交配して作られた超巨大輪〜中輪の園芸品種群です。「ビオラ」の場合は「ビオラ・コルヌタ(Viola cornuta)」という小輪多花性の性質をより受け継いでいます。

パンジーとビオラの区別は特に明確なものがあるわけではなく、だいたい花径が5cm〜6cm以上のものをパンジー、3cm〜4cm以下のものをビオラと呼んでいます。しかし、品種の改良がどんどん進んでいて、見た目の花の大きさでわける境目はほとんどわからなくなっています。

Viola属の植物は世界中に広く分布していて、400種以上が知られています。日本にも50種以上が分布していてすべて多年草です。パンジーも本来は常緑の多年草ですが、園芸的に一年草として扱われているものは特に夏越しは難しいです。軒下などで梅雨の長雨を避け、夏も直射の当たる時間を少なくするなど、条件が整えば不可能ではありません。とはいうものの、2004年の夏は越えられませんでした。。。2003年は大丈夫だったんですけど。

パンジーの品種改良は19世紀初頭から始まっていたそうで、現在でも毎年、新しい品種が発表されていて、現在、その品種の数は数千にのぼるといいます。花の大きさ、色も様々で、花の真ん中に目(ブロッチ)が入るものや、単色のものなど非常に多彩です。今ではブロッチが入っているものはふつうですが、もともとは珍しかったもので、これも品種改良で固定された形質だということです。

パンジー Viola×wittrockiana
2005/01/01 撮影

写真は年始早々雪に埋もれていた、特に品種名のないやや大輪のパンジーです。やはり寒さにはかなり強いですね。2004年の年末の雪やその後も霜柱がたったりする中でも開花しています。特に冬咲き性ではないので、ちらほらと咲いていますが、気温が低い分、暖かい時期よりは花持ちがよく、色も濃いめに出ています。

パンジーはもともとは春咲きだったものが、改良によって秋から咲き始める早咲き種が一般的になってきました。早咲き種は11月から花を咲きはじめ春遅くまで咲きます。それでも、気温の低い冬期は開花数が減るのがふつうでしたが、数年前からサカタのタネの「LRアリルシリーズ」など、冬でもよく花をつけるタイプも登場しています。このシリーズは花径7〜8cmの大輪で、9月の初めに種をまくと11月〜12月ごろ年内から開花が始まります。LRとはロングラン(Long Run)の略で長い期間にわたって開花する性質を表しているのだそうです。

「パンジー」という名前は「パンセ(考える)」というフランス語からきていて、和名の「サンシキスミレ(三色菫)」は、原種の1つ「ビオラ・トリコロール(Viola tricolor)」が青、黄、白の三色を持っていたことに由来しているそうです。学名は「Viola x wittrockiana」で、「wittrockiana」はスウェーデンのWittrockという人にちなんでいます。

【一般名】パンジー
【和名】サンシキスミレ [三色菫]
【別名】サンショクスミレ
【学名】Viola×wittrockiana
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/01/01、2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

■余談。
正直に言うと、長い間ずっとパンジーのよさというものがわかりませんでした。いえ、今もわかっているとはいえません。ただ、2002年の秋の種苗カタログを見てはじめて、パンジーをきれいだと思いました。その品種は「LRアリルワインフラッシュ」。深みのある微妙な色合いがたまらなかったので、翌年、種まきをしました。冬咲き性にもかかわらず技術に乏しくて、冬の間はほとんど咲かせられませんでしたが、2003年春、育った苗が咲きそろいました。しかし、微妙な色合いは固定されにくいようですね。いろんな花が咲きました。まあ、その変異を楽しむべきなんでしょうね。

■Trackback !
びたみん園芸」さんの「冬のパンジー/ビオラ最終章」の記事にパンジーつながりでトラックバックさせていただきます。「LRアリルワインフラッシュ」のお写真のほか、いろんなパンジーとビオラのお写真が見られます。管理人のにんママさんはたくさんのお花を育てておられて、いろんなお花の楽しいお話が聞けますよ。

posted by hanaboro at 19:32| 東京 ☁| Comment(6) | TrackBack(4) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウメ

ウメ Prunus mume


ウメは、中国原産の落葉小高木で、樹高は2m〜10m近くになるものもあります。日本での栽培は奈良時代から行われていたそうで、初めは薬用として導入されたといいます。すっかり日本に定着した「ウメ」ですが、もともとの中国名は「メイ」で、日本に入ってきた当時それを「ムメ」と発音していたものから「ウメ」と呼ばれるようになったのだとか。学名の種小名は「mume」です。

現在では様々な園芸品種があって、その数は300品種を越えるといいます。それらは大きく「野梅系」「紅梅系」「豊後系」という3つの系統にわけて整理されています。写真の株は品種名は特定できませんが、花はピンク色で丸い花弁のものです。

花芽は球形で開花が近づくと、ふっくらとふくらんできます。花期はふつうは2月〜3月で、早く咲く品種は1月から葉に先立って咲き始めます。花弁はふつう5枚でガクも5枚、花径は2cm〜3cmほどで柄はほとんどありません。色は白、または淡い桃色、紅色。一重咲きや八重咲きがあります。果実は直径2cm〜3cmの球形で梅雨のころ黄色く熟して、梅干しや梅酒などに広く用いられていますよね。

ウメ Prunus mumeウメ Prunus mume


左の写真の短い枝の先端には葉芽があります。これは2004年の年末の状態ですが、小さい円錐形の葉芽はまだ赤褐色の芽鱗にしっかり包まれています。同じ時期、花芽の方はかなりふくらんで、芽鱗の先からはすでにピンク色の蕾がのぞいていました。1月下旬の現在はもう咲いています。

ウメの枝先には、枝の先端が枯れて落ちたあとがよく残っています。この枝のあとのことを「枝痕」といいます。枝痕は先がちょっと細くなっていて、堅くてトゲのようになっています。上の小さい2枚の写真に一応写っているのですが、わかりにくいですね。左の写真では枝の分岐点付近に見えるとても小さい突起です。

他にも葉のついていたあと(葉痕)もあります。葉痕は、平べったくなった楕円形です。左の写真では中央あたりに写っています。右では蕾の下に見えますが、見上げた状態で写しているので、葉痕の形はわかりません。

樹木の枝にはいろんな痕跡が残っているもんなんですよね。もっと背の低い木で、ぜひ実物を観察してみてください。

ウメ Prunus mume樹皮は紫褐色、不規則な割れ目があります。若い時期はこんなにゴツゴツではなく、滑らかな樹皮でもっとツヤツヤしています。ウメは細い枝が多く若い枝は緑色で無毛ですが、葉と葉柄には少し毛が生えています。


ウメ…といえば、太宰府天満宮の梅ヶ枝餅を思い出す。。。

【和名】ウメ [梅]
【別名】ムメ、ニオイザクラ
【英名】Japanese apricot
【学名】Prunus mume
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/12/30
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月28日

スイセンノウ

スイセンノウ Lychnis coronaria
2005/01/27 冬の芝生の脇

晩秋のころから春の暖かくなるまでの時期、野山で越年草や多年草の小さな芽生えや大きなロゼット葉を見ることができます。でもそれは、野山の草たちに限ったことではありません。園芸植物でも同じことで、地上に芽を出して越冬している多年草もたくさんあります。写真のスイセンノウ(Lychnis coronaria)もその1つで、その姿は、「ハハコグサ」のロゼットをかなり分厚く巨大にしてよりケバケバにしたような感じです。と書いたもののあんまり似ていませんね。。。

スイセンノウは南アフリカ原産で、園芸的な取り扱いは、秋まき一年草(越年草)、または宿根草となっています。耐寒性はあるようですが、数年たった株の場合、寒い地域では冬の間、地上部は出ているのでしょうか。種子は春まきもできますが、開花は翌年になるようです。

花期は5月〜9月、最もふつうなのは赤紫色だと思いますが、他にも白、赤、ピンク色があります。花の直径は2cm〜3cmくらいで、枝の先につきます。花弁は5枚です。特に、赤紫のタイプは、白い葉や茎とのコントラストがとても鮮やかなものです。草丈は50cm〜70cmほど。花が終わり、果実がすっかり熟して茶色になったころ、茎をゆするとカシャカシャと音がします。筒を逆さにして掌の上で軽くたたくようにすると、中から細かい種子がたくさん出てきます。

ナデシコ科センノウ属の植物で、同属の植物は北半球の温帯から寒帯に30種ほどが知られていて、そのうちの数種が日本に自生しています。例えば、「フシグロセンノウ(Lychnis miqueliana)」、「マツモトセンノウ(Lychnis sieboldii)」、「センジュガンピ(Lychnis gracillima)」などです。センノウ属の花は子房がガクや花弁より上につく「子房上位」の花で、ガクはくっついて(合着して)筒状になります。花柱は5つあって果実は5つに分かれます。というように、「5」というのが基本となっていて、図鑑などでは「花は5数性」などと書いてあります。

また、ここでは、「センノウ属 (Lychnis)」としましたが、「シレネ属 (Silene)」に分類され、学名は「Silene coronaria」とされることも。

スイセンノウ Lychnis coronaria
2005/04/30 春の河原

乾燥には強く、意外と都市部の月極駐車場の脇などでもよく咲いています。原産地では岩場などの乾燥気味の場所に多いようです。一度生えると、こぼれダネからふえることも多いです。どちらかといえば、手をかけすぎて水のやりすぎで根ぐされして枯れることがあります。

全体が白い毛で覆われていてビロードのような感触があることから、フランネルという布のようだということで、「フランネルソウ」とも呼ばれます。子ども時代を過ごした家の裏庭には一時期、スイセンノウがありました。特に関連はないのだと思いますが、この花が咲くころ、近くを「アカビロードコガネ」がよく飛んでいました。小さいけど触るとキシキシいって、オレンジ色の独特の光沢のあるコガネムシ。まだ幼なかったわたしは、大人たちがビロードといっているのが、虫のことなんだか花のことなんだか、その後何年もの間ゴチャゴチャになっていましたけど、名前としては虫の方でしたね。

【和名】スイセンノウ [酔仙翁]
【別名】フランネルソウ、リクニス
【英名】Mullein pink
【学名】Lychnis coronaria (Silene coronaria)
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/01/27、2005/04/30
【撮影地】東京都日野市

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スイカズラ

スイカズラ Lonicera japonica


スイカズラは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の道ばたなどでふつうに見られる半落葉性のつる性の木本です。花の筒の奥の方には蜜があってそれを吸うと甘く、つる性のカズラということで「吸葛」という名前になったといいます。

葉は対生し、花が咲くころは長さ5cmくらいの長楕円形です。しかし、季節によっては葉の形がよく変化するので、とても同じスイカズラだとは思えないほどで、ビックリさせられます。冬が近づくと葉を落としますが、完全に落葉するわけではなく、ポツポツと枝先に芽をつけて越冬します。越冬中の葉は色が濃くちょっと内巻き気味で、形は花が咲くころとあまり変わりませんが、やや小さく引き締まった感じです。冬の状態は比較的スイカズラとわかりやすいです。春には切れ込んだり、切れ込まなかったり、いろんな状態の葉が出てくるので、よくわからなくなりますが、何か意味があるのでしょうかね。

写真は地面近くに横たわっていた蔓にあった越冬中の葉ですが、表にも裏にも細かい毛がたくさん生えていて、特に葉脈上や縁の毛はよく目立っていました。主脈は赤みを帯びていて、たまたま葉がぬれていて、何となく寒い冬を耐え忍んでいるように見えました。冬でも茎の先の葉が残ることから、中国名は「忍冬(にんどう)」といいます。

花は5月〜6月、枝先の葉の脇(葉腋)に2つつきます。花は咲き始めは白色なんですが、しだいに黄色に変化します。そのため「金銀花」と呼ばれることもあります。

長さ3cm〜4cmの細長い筒状で、花冠の先はまず大きく上下2つに裂けていて、さらに上は先端が浅めに4つに裂けています。下は細長く線形で一枚ペローッと垂れ下がっている感じです。5本の雄しべと1本の雌しべが、花の前方にバッーと突き出ています。このように上下に2つに裂けることを、「唇状に裂ける」といったりします。シソ科やゴマノハグサ科の植物などを図鑑で調べるとでは、よく「唇形花」という言葉が出てきます。ふつうスイカズラよりは裂け方は小さいですが、やはり大きく上と下に2つに裂けます。

また、スイカズラはタテハチョウ科のイチモンジチョウの食草だそうで、葉を巻いてその中で幼虫が越冬するそうなんですが、今なら見つかるかなと思ったんですが、その姿はまだ見たことがありません。人の手がよく入るようなところではダメなんでしょうか。

【和名】スイカズラ [吸葛]
【別名】キンギンカ [金銀花]、忍冬
【学名】Lonicera japonica
【科名】スイカズラ科 CAPRIFOLIACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月27日

ユキノシタ

ユキノシタ Saxifraga stolonifera


ユキノシタは、北海道、四国、九州に分布し、日当たりのあまりよくない湿り気のある岩の間などに生える多年草です。根もとから赤みを帯びた細長い匐枝を伸ばして、先に新しい株ができて増えるので、群生していることが多いです。先端にできた小さな苗は、はじめはふさふさした小さい丸い葉がかわいらしいのですが、すぐに大きくなってどんどん増えます。庭に植えて油断していると、そこらじゅうユキノシタだらけになってしまいます。子どものころ、その日の晩ごはんが天ぷらだとわかると、庭にこの葉をとりにいってました。

茎や葉は長い赤褐色の粗い毛でおおわれていてふさふさしています。葉は根もとから根生し、長い柄があります。大まかな形は腎円形で縁は浅く裂け、つけ根の方は心形です。葉の色はちょっと表現が難しいところがあるのですが、パッと見ると表面は暗い緑紫色を帯びて、緑や白の筋が入っているという感じでしょうか。別の言い方をすると、葉脈に沿った部分が緑色または白っぽい色で、葉脈と葉脈の間の部分が赤紫色になっているという感じです。裏面は暗紫色を帯びていて、独特の光沢があります。

花期は5月〜6月、20〜50cmほどの長い花茎を伸ばしてたくさんの花を咲かせます。花序の形は円錐形に近いですが、花はだいたい同じ方向に向かって咲きます。花には5つの花弁ありますが、上3枚と下2枚で大きさや色が異なっていておもしろいです。上の3枚は小さくて先のほうが桃色を帯び紅色の模様がありますが、下の2枚は大きく垂れ下がっていて白色です。さらに、10本の長い雄しべの先にある赤い葯(花粉のある部分)も目立ちます。中心部には雌しべが2本ありますが、根もとの子房の部分を黄色いもの(花盤といいます)が上半分にかぶさったようについています。という具合に、遠くから見ると白いものがピラピラと下がっているだけに見えますけれど、詳しく見るとなかなかユニークな形や色彩が楽しめます。

名前の由来には諸説があるようで、葉にある白い模様を雪に見立てたという説や、白い花を雪に見立ててその下に緑の葉がある様子をあらわしたとする説、雪の下でも葉が残っているところからきたとする説などいろいろです。

いずれにしても、「雪」というのは変わらないようで、寒さには強いようですね。こちら、関東では雪はないものの、霜柱がずっとたったままです。午前中だと、葉や葉柄の毛に霜やそれがとけた露が残っているのが見られます。緑の少ない寒々とした景色の中でも、ユキノシタはかろうじて緑色でした。雪と一緒の写真を撮りたかったのですが、降る気配がないし、一応、霜がとけたしずくつきでがまん。まあ、アップした写真じゃそれすらわからないですけど。しかし、手がかじかんでしょうがなかった。冷え性〜。

【和名】ユキノシタ [雪の下]
【学名】Saxifraga stolonifera
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

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マーガレットコスモス

マーガレットコスモス Steirodiscus euryopoides


マーガレットコスモスは、南アフリカ原産の半耐寒性の常緑低木です。「マーガレットコスモス」…この名前はとてもまぎらわしい。花色は黄色や橙色で、マーガレットやコスモスとは似ているかというと、そうでもない。まあ、それはそれでよいとしても、困るのは草姿のよく似た「ユリオプスデージー」の仲間と混同してしまう点です。

ということで、まず、ユリオプスデージーの仲間について簡単に整理してみます。ユリオプスデージーという名前で広く親しまれているものは、ユリオプス属の「Euryops pectinatus」の品種群です。ユリオプス属の植物は、主に南アフリカを中心に100種程度が分布していますが、代表的な園芸品種としては、「Euryops virgineus 'Golden Cracker'」や斑入りの「Euryops chrysanthemoides 'Oostvaria'」があります。そのうち、最も話をややこしくしているのが、後者のクリサンセモイデスで、これが、「マーガレットコスモス」という名前で呼ばれていることがあります。

一方、今回の「マーガレットコスモス」は、ユリオプス属ではなく、ステイロディスカス属(Steirodiscus)の植物です。Gamolepis属に分類されることもあって、別名は「ガモレピス」です。ユリオプスデージーと比べると、やや葉の切れ込みが浅く、表面には毛がなく光沢のある緑色で、花柄がヒョロリと長いです。主な花期は7月〜11月で、ユリオプスデージーの方は10月〜翌年の5月です。

マーガレットコスモス Steirodiscus euryopoidesマーガレットコスモス Steirodiscus euryopoides


左上の写真では花が終わりに近づいて、花びらに見える黄色の舌状花は、茶色に変色し縮れて垂れ下がっています。そのまま縮れて落ちていくのかと思いましたが、同時に右上の写真のように、茶色に変色した花びらが中央に集まって丸まっているものもありました。種子はできるのだろうかと思って見守っていましたが、2004年の年末の雪や連日の霜の影響でしょうか、今はずいぶん弱ってしまっていまい、種子を形成するどころではなさそうです。半耐寒性で0℃〜-5℃ぐらいなら屋外でも耐えられるようなので、何とか越冬はできそうですけれど。。。真冬のマーガレットコスモスの姿を見ると、なるほどユリオプスデージーとは別物だなと実感。

【一般名】マーガレットコスモス
【別名】ガモレピス
【学名】Steirodiscus euryopoides (Gamolepis chrysanthemoides)
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/12/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月26日

ベニバナエゴノキ

ベニバナエゴノキ Styrax Japonicus


エゴノキは、国内では北海道の一部、本州、四国、九州、沖縄に分布し、山野でよく見られる落葉高木です。樹高はだいたい5m〜8mぐらいですが、10m以上になることもあります。それなりに大きくなる木ですが、幹はそれほど太くはなりません。樹皮はだいたい紫褐色で滑らかな感じですが、ときに浅く縦にはがれていることがあるくらいで、ちょっととらえどころがないといえるかもしれませんね。ベニバナエゴノキは日本で改良されてできた園芸品種で、花はピンク色です。

葉は互生してつき、長楕円形で先の方は少しとがっています。パッと見ると葉はほとんど全縁(ギザギザがない状態)に見えますが、近くでよく見ると縁に細かいギザギザ(鋸歯)が見られることもあります。

花期は5月〜6月、小さな花を下向きに鈴なりにつけます。花冠は5つに深く裂けて花びらが5枚あるように見えます。中央部には雄しべが10本あって黄色く、ふつうの白い花冠のエゴノキの場合は特に白と黄色の対比がとても美しいものです。

ガクは杯形で先端が浅く5つに裂けていますが、鈴なりの花の裏側にあるので、下からはよく見えません。ガクがよく目につくようになるのは、花が終わった後の果期です。果実は7月ごろ膨らんで長さ1cmほどの卵形になり、色は灰色っぽいような緑色っぽいような色(灰白色)です。9〜10月には果実の表皮(果皮)が茶色になって、縦に裂け中の種子が見えるようになります。中の種子は野鳥たちには好まれるようです。ただし、果皮には「エゴサポニン」という成分が含まれていて、石鹸の代わりにしたり、麻酔効果を利用して魚を取るために使われたそうで、食用にはなりません。

写真はベニバナエゴノキの果実ですが、果実はふつうのエゴノキと特に違いはなく、長さは1cm程度、色は灰白色です。

【品種名】ベニバナエゴノキ
【和名】エゴノキ
【別名】チシャノキ [萵苣の木]、ロクロギ [轆轤木]
【学名】Styrax Japonicus (Styrax Japonicus 'Roseus')
【科名】エゴノキ科 STYRACACEAE
【撮影日】2004/08/02
【撮影地】東京都調布市(植栽)

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コブシ

コブシ Magnolia kobus


コブシは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、山野に生える落葉高木です。樹高は10mほどまでなります。花は3月〜5月、枝先に直径10cm程度の白い花をつけます。芳香があります。花の下には若葉が1枚つきます。花弁は6枚。花の中心に近い部分は紅紫色を帯びています。ガクは3枚で花弁と同じような色や形ですが花弁より小さいです。モクレン科の植物には原始的な植物だといわれるいくつかの形質がありますが、花の構造も独特です。例えば、多数の雄しべや雌しべは花の中央部でかたまって円錐形になっていて、その部分で雄しべや雌しべがらせん状に並んでついているんです。

果実はたくさんの果実が集まってつく集合果で、秋に熟して中の種子は赤くなります。果実が裂けると中の赤い種子が見え、それが白い糸でたれ下がるという変わった形状になります。それはまた次の秋までのお楽しみです。

名前は、コブコブとした変わった果実の形、または蕾が開く前の形が子どもの握りこぶしの形に似ているということで「コブシ」とつけられたといいます。まあ、どちらかといえば、果実の形の方が近いかなとは思いますが、名前の由来について調べてみるのも、自分の目でいろいろ観察してみるきっかけにはなりそうですね。また、コブシの学名はMagnolia kobusです。種小名は「kobus」ということで、コブシの名前がそのままつけられています。

よく似た種の「タムシバ (Magnolia salicifolia)」は日本海側に多く見られますが、こちらは花の下に「1枚の若葉」というのはなくて、やや花数が少なく細身の樹形です。ただし、正直に言いますと、1枚の葉も、遅い時期に見ると、それなりに葉が展開してきてしまって、えっ?と思ってしまうこともあるんですよね。花の咲き始めのころだとこの見分け方は結構精度が高そうですけど。

冬の間見られる芽にはふつう花芽と葉芽があって、厚い鱗片に包まれています。コブシの場合、葉芽にも毛がありますが、特に花芽の毛は長い軟毛でボサボサと立っています。これに対して、ハクモクレンの花芽の毛はぺったりくっついた感じで寝ています。また、タムシバは花芽の毛はちょっと立ちますが、葉芽には毛がありません。

花が終わって、結実に成功していれば夏には果実が膨らんできますが、そのころにはすでに次の年の花芽ができています。その後、秋に落葉が始まるころにはかなり花芽の冬芽は大きく膨らんできます。ソメイヨシノよりは数日早く咲いて春の訪れを告げる花ということで、農作業の基準としている場合も多いそうです。特に東北では、「タウチザクラ(田打ち桜)」「タウエザクラ(田植え桜)」などと呼ぶそうですね。

【和名】コブシ [辛夷、拳]
【学名】Magnolia kobus
【科名】モクレン科 MAGNOLIACEAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月25日

オトコエシ

オトコエシ Patrinia villosa
2004/10/07 東京都

オトコエシは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよい場所にふつうに生えています。秋の七草の1つとしてよく知られている「オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosaefolia)」と同じオミナエシ科オミナエシ属の植物です。草丈は50cm〜1m程度になります。葉は対生してつきますが、羽状に分裂したり、しなかったりです。長さは下部の葉で15cmほどですが、上部になるにつれてだんだん小さくなっていきます。

花期は8月〜10月。花冠の先は5つに裂けて下部は短い筒になっています。4本雄しべと1本の花柱、小さいですがなかなか整った形をしています。図鑑ではだいたい「花は直径4mmほどの白色で、散房状(さんぼうじょう)の花序にたくさんつきます」などと書いてあると思います。「散房状」というのは、ちょっと難しく聞こえますが、まず、散房花序という形を覚えるとわかりやすくなります。ということで、ちょっとだけ花序についてです。

花のつく花序の中心となる軸を花軸といって、その花軸から花柄を出してその先にそれぞれ花がつきます。そのとき、花軸の下の方から出た花柄ほど柄が長く、上から出たものほど花柄が短い場合、花が咲く位置がだいたい同じくらいの高さになります。そうすると、花がちょうど平らに咲きそろうような状態になります。これを「散房花序」といいます。オトコエシは完全な散房花序ではないもののそれに近いような形だと思ってくださいませ。

花が終わると小苞が大きくはり出してきて果実を取り囲んで、翼のようになります。この小苞はオミナエシにはできないので、オトコエシのオリジナルって感じですね。写真では翼の部分は白っぽく写っていて、薄い緑色の粒のようなものが果実です。果実の長さは3mmほど、翼をあわせると6mm程度です。

オトコエシ Patrinia villosa
2004/11/28 山梨県

茎の根元から横にはう枝を出して新しい株ができます。また、種子は翼のような小苞があるので風によって散布されます。2枚目の写真はもう晩秋のころで、すっかり今年度の地上部は枯れていました。花序に残っているものにはほとんど種子はなく、小苞の残骸がついているだけです。

種小名の「villosa」は軟毛のあるという意味ですが、葉の縁に白い毛が生えていることや、特に茎の下部に毛がある点に注目してつけられたのでしょう。オミナエシよりも毛が多いです。

名前は、オミナエシに比べて、茎が太くより強て丈夫そうに見えるところからきているといいますが、花が咲いている時期は必ずしもそうだとは感じないこともありますね。比較的大きな個体の花が終わった後、果実が大量にできて花序がでっかい緑色の塊になっている様子を見ると、そういった印象もありますけど。。。

【和名】オトコエシ [男郎花]
【学名】Patrinia villosa
【科名】オミナエシ科 VALERIANACEAE
【撮影日】2004/10/07、2004/11/28
【撮影地】東京都日野市、山梨県富士吉田市

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ハマヒルガオ

ハマヒルガオ Calystegia soldanella


ハマヒルガオは、日本全土の海岸の砂地に生えるつる性の多年草です。日本以外でも世界中の温帯〜熱帯の海岸に広く分布しています。他の植物などがない場合は茎は砂の上をはって伸びますが、何かつかまるものがあれば巻きついてさらに伸びたりしています。地下茎を発達させてふえるので、大群落となることもしばしばです。葉は分厚くて光沢があって、丸まったようなハート形です。長さ幅ともに2cm〜5cmほど。図鑑などではこういう形を基部の方が心形になった腎円形などといったりします。

海岸の砂地で生育する植物ということで、ふつう植物の生育にとって厳しいといえる環境に適応したしくみをやはり持っています。葉が分厚く光沢があるのは、「クチクラ」という透明で強い膜状の構造が発達しているためで、水分の蒸散を抑え乾燥や塩害を防ぐといいます。砂の動きが激しい場所で生育するためには地下茎の発達も重要です。

主な花期は5月〜6月、葉の脇(葉腋)からピューッと花柄が伸びてピンク色の花が1つの花柄に1つ咲きます。いわゆる「アサガオ」と同じような形の漏斗形の花冠で、白いすじが5本あり、直径は5cm程度です。葉の広がっている高さより花柄が長く伸びるので、花は葉よりも上に開くので、さらによく目立ちます。同じヒルガオ属の野生種には「コヒルガオ (Calystegia hederacea)」や「ヒルガオ (Calystegia japonica)」があって、これらは道ばたなど日当たりのよう場所によく見られます。ヒルガオ属はいずれもガクの根元の部分から大きめの苞が2枚出ていて、それが苞を包み込むような状態についています。花の色は、多少の濃淡はありますが、コヒルガオやヒルガオよりハマヒルガオの方が濃いめです。花時期の群生地はとても見事なお花畑となります。

【和名】ハマヒルガオ [浜昼顔]
【学名】Calystegia soldanella
【科名】ヒルガオ科 CONVOLVULACEAE
【撮影日】2004/09/21
【撮影地】静岡県新居町

■当ブログ内関連記事
ヒルガオ
コヒルガオ

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2005年01月24日

ハナモモ

ハナモモ Prunus persica


モモは中国原産の落葉高木で、観賞用や果樹として栽培されています。果実を収穫するために栽培されるモモは、「実モモ」ともいわれます。それに対して、花を観賞するために改良されたものは「ハナモモ」といって、作り出されたのは日本だということです。一口に「ハナモモ」といっても20品種ほどあるそうで、花の形は一重や八重、樹形は立性タイプ、枝垂れるタイプや矮性のものなどがあります。

今回の写真はハナモモで、樹形は立性タイプです。品種名までは明らかではありませんが、花は4月上旬、八重咲きで直径3cmほどの大輪、色は鮮やかな赤紫色です。ヤマザクラに似て、樹皮は黒褐色で割れ目が不規則に入っています。正直に言いうとわたしは樹皮では、モモかハナモモかは見分けられません。春に花を見てハナモモであることを確認していた個体を撮影したものなんです。この個体は樹高2mほどですが、大きいものでは4mぐらいにはなるようですね。

ハナモモ Prunus persica


冬芽は長い卵形で、長さは5mm〜8mmぐらいです。白っぽいような灰色っぽいような色の毛がたくさん生えていて、天気のよい日に枝先を見上げるとピカピカ光っています。芽のすぐ下には、葉っぱがついていた痕跡(葉痕)がちゃんとあるんですが、写真ではまったくわかりません。上手に写せるとそこには、扁平でちょっと三角形になりかかったような楕円形って感じの、つまり細長い形の葉痕があります。葉痕には3つの点々模様があって、この点々は維管束痕です。維管束というのは、簡単にいうと植物の根、茎、葉にある水分や養分の通る通路のことで、道管や師管などが束になった組織です。というわけで、葉痕は葉と枝との間で養分や水分の受け渡しが行われていた証のようなものなんです。植物によってさまざまな形をしていて、3つの点々の配置しだいでは動物の顔のように見えるものもあります。

【一般名】ハナモモ [花桃]
【学名】Prunus persica
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/12/16
【撮影地】東京都日野市

■余談ですが。。。
撮影地は写真に向かって左側が低くなる緩い傾斜地です。ハナモモの幹は右に向かって斜めに延びていて、その樹皮を撮影するため水平にカメラを構えて撮りました。すると当然のことながら、左がさがって地面が傾いて写ってしまいます。背後の青緑のフェンスによってそれが歴然とするわけです。被写体を選ばないのが悪いといえばそれまでですが、こういう状況の場合、フェンスにあわせてカメラを向けるんでしょうかね。でもそうすると、ものすごくハナモモが右に傾いてしまいますね〜。

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ヤグルマソウ

ヤグルマソウ Rodgersia podophylla


ヤグルマソウは、北海道と本州の山地の林内に生える多年草です。根もとの方から長い柄を伸ばして大きな掌状の葉を広げます。掌のような形の葉は5枚の小葉からできている複葉で、1つ1つの小葉の長さだけでも20cm〜40cmほどもあり、葉全体を見ると大きな矢車形に見えます。やや暗い林内の湿り気の多いところによく見られ、地下茎でふえることから大群落となることもしばしばです。濃いめの緑の巨大な葉の群れを見ると、深山に入ってきたのだなと実感したりします。

花期は6月〜7月で、花茎も60cmから大きいものでは1m以上にまで伸びます。花序は花茎の上部の20cm〜40cmほどの部分で円錐形になります。白色で直径7mm〜8mmほどの小さな花が多数咲きますが、花弁はなく小さな花びら状に見えるものはガクです。ガクの数はふつうは5枚で、花からはたくさん角のようなものがツンツン突き出していますが、これらは雄しべや雌しべで、雄しべは10本前後、雌しべの花柱は2本あります。

「ヤグルマソウ」といえば、園芸植物として栽培される「ヤグルマソウ(Centaurea cyanus)」、あるいはヤグルマギク(矢車菊)ともいう方の花を思い浮かべることも多いかもしれませんね。しかし、今回の野草のヤグルマソウとはまったく別の植物です。園芸種のヤグルマギクはヨーロッパ原産のキク科の越年草ですが、野草のヤグルマソウはユキノシタ科の植物で、見た目もぜんぜん違います。どちらの鯉のぼりの上につける「矢車」に由来する名前ですが、野草の方は葉の形が似ているところからきていて、園芸種の方は花の形からきています。

写真は、すでに花が終わって果実ができています。白いガクや雄しべはもう見当たりません。それに果実が膨らんでちょっと重たくなったのでしょうか、花茎は横たわってしまっています。花の咲き始めのころはやや緑色がかっていますが、最盛期にはほぼ真っ白で深山でよく映えるものなんですが。。。

【和名】ヤグルマソウ [矢車草]
【学名】Rodgersia podophylla
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/08/12
【撮影地】福島県南会津郡檜枝岐村

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2005年01月22日

クロッカス

クロッカス Crocus vernus


クロッカスは、地中海沿岸地域を中心に80種ほどが分布しています。秋咲きや冬咲き、春咲きと開花時期の違うさまざまな品種がありますが、早春のまだ寒いころ真っ先に咲く球根植物という印象が強いと思います。ふつう、秋咲き種は10月〜11月ごろ花が咲きますが、夏の終わりに球根を植え付ける夏植えの球根植物です。薬用や香料、染料として使われる「サフラン (Crocus sativus)」はその代表種です。冬咲き種や春咲き種は10月ごろに植えつける秋植え球根で、品種も数多くあります。

一般的には「球根」といいますが、クロッカスの場合は「球茎」で、これは茎がギュッと短く縮まって球状になったものなんです。クロッカスの球茎はちょっとつぶれたような球形で、外側の皮の部分には繊維があります。チューリップの球根だとまわりには茶色の薄皮があるので、クロッカスの球根はちょっと変わった感じがするかもしれません。芽が出始めるとふつうはまず葉が見えてきますが、程なくして葉の間から蕾が出てきます。葉は松の葉のように細くて、中心にスッーと白い筋が入っています。

草丈は10cmほど、花は直径4cm〜5cm、花弁は6枚。色は白、黄、紫、または白と紫の絞りなどです。春咲き種で最もよく見かけるのは「ベルヌス (Crocus vernus)」をもとにつくられた園芸品種群で、細長い葉にふっくらとした花。その姿はとても美しいものです。花が咲くのは日中だけで夜は閉じます。あまりの美しさに朝、花が開くとつい鉢を持ち上げていろんな角度から何度も見てしまいます。

冬咲き種は主に「クリサンツス (Crocus chrysanthus)」という種をもとに改良された品種群で、2月下旬ごろから開花が始まります。春咲き種に比べるとだいたい1ヶ月ほど早く花が咲き、スノークロッカスとか、寒咲きクロッカスとも呼ばれています。こちらは春咲き種より花は小さく黄色やクリーム色、外花被片の外側が褐色や紫色になる品種もあってなかなか多彩です。

クロッカス Crocus vernus写真のものは、1月20日の段階の春咲き種ですが、ちょっと芽の生長が早い感じですね。これだとスノークロッカス並みの勢いです。

2005/01/20 撮影


【一般名】クロッカス (春咲きクロッカス)
【別名】ハナサフラン[花泊夫蘭]、ハルサフラン[春泊夫蘭]
【英名】Dutch crocus
【学名】Crocus vernus
【科名】アヤメ科 IRIDACEAE
【撮影日】2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

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ホトケノザ (No.2)

ホトケノザ Lamium amplexicaule


ホトケノザは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたや畑によく見られる越年草です。草丈は10cm〜30cmくらいになりますが、現在、こちら関東では地上3cm〜5cmくらいで越冬中です。主な花期は3月〜6月ですが、暖かい地域や日当たりのよい場所なら、冬でも開花していることもあります。ホトケノザの場合、春にふつうに見られる赤紫色の細長い筒のある唇形花のほかに、蕾のままで開かないで結実する閉鎖花をつけます。特に肥沃な土地では閉鎖花が多くなるのだそうです。そして、どうやら閉鎖花の結実は冬でもよく行われているようです。

ホトケノザ Lamium amplexicaule


昨年の秋に芽生えた小さな個体も晩秋〜初冬のころの暖かさで、12月はじめごろまでは春の姿と変わらないくらいに生長したものも見られました。その後の寒さで生育は中断、高く伸びた茎は地面に倒れ全体的に赤っぽいような黄色っぽいような色になってしまっています。それでも個体自体が枯れているわけではなく、根元の方ではすでにいくつかに分枝して、小さい芽が出ています。さらに上部の葉の脇にはところどころ、長い楕円形の粒が挟まったようについています。粒の大きさは3mmほどで、薄い茶褐色、表面には灰色の模様が見られるものもありました。ウズラの卵を平べったくしたような感じでした。

ホトケノザ Lamium amplexicauleホトケノザ Lamium amplexicaule


晩秋のころ場所によっては赤紫色の蕾らしきものも見られましたが、多くは薄いピンクかほとんど白の蕾のようなものでした。それはやはり閉鎖花だったようですね。しばらくしても結局、春にふつうに見かける赤紫色にはなりませんでした。特に寒さのせいで蕾が傷んだわけではなく、花が開かなくてもしっかり結実できたようです。その種子というのが、対生してついている葉の間にコロコロと入っていて、ゴミかと思ってしまうような状態なんですよね。ある個体で見られた種子を撮影しようと思って近づいたら、カメラのキャップが当たってどこかに落ちてしまいました。。。

【和名】ホトケノザ [仏の座]
【別名】サンガイグサ [三階草]
【学名】Lamium amplexicaule
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事→ホトケノザ
ホトケノザ (No.3)

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2005年01月21日

ハルザキヤマガラシ

ハルザキヤマガラシ Barbarea vulgaris


ハルザキヤマガラシは、ヨーロッパ原産の多年草で、日本へは明治の終わりごろ渡来したといわれています。そのほか、現在は北アフリカや北アメリカなどの温帯を中心に広く分布しているそうです。種子と地下茎によって繁殖し、しばしば河川や用水路の脇、道ばたなどで大群落となることがあります。夏から秋にかけて芽を出し、根生葉を地面に広げて越冬します。

根生葉は羽状複葉で、柄があります。葉の一番先端の頂小葉は丸く大きくなります。葉の表面は濃い緑色で光沢があり、分厚い感じがします。茎葉は互生し羽状に裂けていますが、柄がなく基部は耳のような形(耳状)になって茎を抱いています。根もとで分枝して株になり、高さは30cm〜60cmほど。

花は5月ごろです。茎先に鮮やかな黄色の花を多数つけます。アブラナ科らしく十字形で直径は7mm程度、果実は線形で2cm〜5cmほどです。いわゆるアブラナ類(Brassica)に似ていますが、草丈が低めで下部からの分枝が多いので、全体的に丈が詰まったような印象です。ハルザキヤマガラシはヤマガラシ属(Barbarea)に分類されています。

ハルザキヤマガラシがふつうよく見られる場所は、造成工事などでできた裸地で、そこにいち早く侵入し一時期群落となった後は、他の植物の侵入によってほとんどの場合数が減少します。しかし、ある程度管理され土壌の安定した場所では、多年草として生活し安定した群落となります。また、土壌が耕される畑地などでは、毎年種子から発芽し越年草としての生活を送ることで、異なる環境に適応しさらに定着しているようです。

【和名】ハルザキヤマガラシ [春咲き山芥子]
【別名】フユガラシ、セイヨウヤマガラシ [西洋山芥子]
【英名】yellow rocket
【学名】Barbarea vulgaris
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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ギシギシ

ギシギシ Rumex japonicus


ギシギシは、日本全土に分布し、道ばたの草地や田畑のあぜなどに生える多年草です。草丈は50cm〜1mほどになります。葉は長さ10cm〜25cmほどの長楕円形で、つけ根の部分はやや丸みがあって心形か円形になります。厚みのある葉は縁が波打っています。写真は根生葉ですが、長さは20cm、幅は8cmほどです。スイバとは葉だけの時期でも見分けることができると思いますが、ギシギシ類はよく似ているので、ちょっと難しい場合もあります。今回は根生葉の全体的な形や基部の形や大きさ、葉脈の色、葉柄の長さなどから、「ギシギシ」としていますが、しっかりと種類を同定するにはやはり花時期や果実期に行った方が確実です。

ギシギシ Rumex japonicus


地上に広げた越冬中の根生葉は、全体的に勢いがなくシワシワで、赤茶色に変色しています。新年になってすぐのころはまだ、赤くなっているぐらいで、質も分厚い感じの根生葉をよく見ましたが、こちら関東では現在、写真のような状態です。

花は5月〜8月に茎の上部で分かれた枝の節々に輪生してついています。パッと見た姿がボテッとした感じなので、なかなか花の細部を見ることがないかもしれませんが、ガク(花皮片)が6枚あって、そのうちの3枚が果実期になると大きく翼のようになって果実を包みます。この翼の形、縁の突起の状態、中央のこぶなどがギシギシ類の見分け方のポイントとなっています。

【和名】ギシギシ [羊蹄]
【学名】Rumex japonicus
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

■よく似た種類の簡単な区別点

ギシギシエゾノギシギシアレチギシギシ
根生葉長楕円形
基部は心形か円形
縁は大きく波打つ
卵形〜長楕円形
基部は心形
縁は細かく波打つ
葉脈が赤くなる
長楕円形〜披針形
基部は円形か浅い心形
縁は細かく波打つ
葉脈が赤くなる
内花皮片の翼翼は広い卵形
縁に細かい鋸歯
中央はこぶ状
翼は卵形
縁に針状の突起
中央のこぶが目立つ
翼は長い卵形
縁に鋸歯はない
中央のこぶが目立つ

*ギシギシノ仲間は葉の基部が心形か円形で、スイバは矢じり形になります。

■当ブログ内関連記事→スイバ

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2005年01月20日

フレンチマリーゴールド

フレンチマリーゴールド Tagetes patula

2005/01/20 撮影

マリーゴールドはメキシコ原産の非耐寒性春まき一年草です。暑さや寒さに弱い点があるので、本来は多年草ですが、園芸的にはほとんどの品種が一年草として取り扱われています。マリーゴールドが属するTagetes属の植物はメキシコから南米にかけて50種ほどあるといわれていますが、栽培されているのは数種の品種群だといいます。その中でも最もよく知られているのが「アフリカン種 (Tagetes erecta 万寿菊)」と「フレンチ種 (Tagetes patula 千寿菊または孔雀草)」の2系統です。

一般的な特徴としては、フレンチ種(またはフレンチマリーゴールド)は小〜中輪で丈が10cm〜30cmと低く、アフリカン種(またはアフリカンマリーゴールド)の方は大輪で20cm〜1mほどにもなり丈が高くなりますがやや花色が乏しいといわれています。好みはわかれるかもしれませんが、アフリカン種は白、黄、オレンジの基本色で花弁が密集して球形になりかなりダイナミックな姿です。

そのほか、アフリカン種とフレンチ種の交配種で「アフロフレンチ種」というものや「メキシカン種 (Tagetes tenuifolia 細葉孔雀草)」あるいはレモンマリーゴールドなどといわれる「レモニー (Tagetes lemonii)」という耐寒性のある品種もあります。

今回の写真はフレンチ種の一重咲きの品種ですが、品種名まではわかりません。主な花期は5月〜10月ですが、本来は日長が短くなると花芽をつくる短日植物なので、真夏の間はやや花が少なくなる傾向があります。夏花壇の定番的な印象もありますが、夏よりも秋の方が華やかさが増して美しく、花壇もにぎやかになります。

また、マリゴールドは土壌中のネグサレセンチュウ(ネマトーダ)を殺す作用があるので、被害にあいやすいものと一緒に植え、「コンパニオンプランツ」としても栽培されます。

フレンチマリーゴールド Tagetes patula

2005/01/01 撮影

2枚目の写真は、2005年の元旦に写したものなんですが、ここ関東では2004年の年末に2度の積雪があって、まだ比較的よく咲いていたフレンチマリーゴールドも雪に埋もれてしまいました。雪はすぐとけましたが、その後も夜間から早朝の冷え込みが続いて、ほぼ毎日氷点下になっていました。さすがに、寒さに耐えかねたようです。本日(1/20)、すっかり枯れてしまったのを確認しました(写真1枚目)。

【一般名】フレンチマリーゴールド、マリーゴールド(フレンチ種)
【別名】クジャクソウ[孔雀草]、センジュギク[千寿菊]
【学名】Tagetes patula
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/01/01、2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 19:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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