2005年01月20日

テバコモミジガサ

テバコモミジガサ Cacalia tebakoensis


テバコモミジガサは、本州の関東から近畿の太平洋側、四国、九州の山地の林内に生える多年草です。分布域をみると襲速紀要素(そはやきようそ)の植物といえると思います。襲速紀…一般的にはあまりなじみのない言葉かもしれませんが、「襲(そ)」は九州の古名の熊襲(くまそ)の襲で、「速(はや)」は豊予海峡をいう速吸瀬戸の速、「紀」は紀の国つまり和歌山県をさす紀で、これらをあわせて「襲速紀」といいます。襲速紀というのは日本に分布する植物を共通の分布域をもつ植物ごとにまとまり(区系)としてとらえたときの植物区系の1つです。

以前は襲速紀要素の植物を文字にあらわれているとおりの地域に限られた植物のことをさしていましたが、現在はもっと広くとらえていうことが多くなっているようです。簡単にまとめると、襲速紀要素の植物というのは、秩父山地、赤石山地、紀伊半島、四国山地、西中国山地、九州山地…だいだいこれらの地域にのみ分布している植物のことです。代表的な主としてはギンバイソウ、シロモジ、キレンゲショウマなどの名前があげられることが多いようですが、他にもたくさんの種類があります。

さて、テバコモミジガサですが、名前は高知県の「手箱山(手筥山)」で最初に発見されたことでつけられています。山地の林内では時折、群生していることもあります。よく似た種の「モミジガサ (Cacalia delphiniifolia)」より葉の質はやや薄めで、色もやや薄めの緑色、表面の光沢もやや少なく全体が小型です。さらに葉の裏の脈の隆起が目立ち、毛が多いことも区別点となります。また、地下茎がよく発達することでも見分けられますが、これは抜いてみないとわかりません。

茎の高さは50cmほど。花期は8月〜10月です。頭花は茎の先に円錐状につきます。「モミジガサ」は、葉がモミジ類のように裂けて傘のように見えることからきています。

【和名】テバコモミジガサ [手箱紅葉傘、手筥紅葉傘]
【学名】Cacalia tebakoensis
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

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2005年01月19日

ヤマクワガタ

ヤマクワガタ Veronica miqueliana


ヤマクワガタは、関東〜中部のやや標高の高い山地〜亜高山に生える多年草です。主な花期は7月〜8月で、草丈は5cm〜20cm、分枝した茎が地面に伏してそこから根を下ろして広がることがあります。太平洋側の関東〜紀伊半島にかけての山地に生える「クワガタソウ (Veronica miqueliana)」とはよく似ていますが、花が咲いている時期なら花色も区別点となります。クワガタソウは比較的濃いめの淡紫色で、ヤマクワガタは白色かごく淡い淡紫色でやや小さめの花です。

花があってもなくても、クワガタソウとの区別点として重要なのは、茎の毛の状態です。クワガタソウでは毛が曲がって茎に寝たようになっていますが、ヤマクワガタでは付け根はやや丸くなるものの毛が茎からはなれてシュッと伸びます。さらにヤマクワガタは葉の表面の毛が多く縁のギザギザ(鋸歯)がちょっと低い傾向があっておとなしめです。

写真の個体はややどちらとも決めにくい個体でしたが、わずかに上部の茎に開出毛があることと、葉の表面に毛が多いことを重視して、ここでは「ヤマクワガタ」としています。しかし、下部の茎が地に伏していないことやちょっと葉の形が細長いこと、実の形もひし形とまではいえない点などは、クワガタソウ的ですから、まだ再検討の余地があります。

「クワガタソウ」という名前は、写真にもちょっと写っていますが、実の時期のガクの形が合戦のときに武士がかぶる兜の前についている角のような飾り「鍬」に似ているところからきています。あまりふくらみのない果実ですが、「オオイヌノフグリ (Veronica persica)」に似ている部分もあります。同じ「クワガタソウ属 (Veronica)」の植物ですからね。

【和名】ヤマクワガタ [山鍬形]
【学名】Veronica japonensis
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

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シナノヒメクワガタ

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ヒュウガミズキ

ヒュウガミズキ Corylopsis pauciflora


ヒュウガミズキは、本州中部や近畿の日本海側の岩地に分布する落葉低木なんですが、この分布域や名前の由来には諸説があって、正直なところよくわかりません。以前は、九州の日向(宮崎)には野生のものはないともいわれていたと思いますが、数は少ないものの野生のものが発見されたという話もありますね。

名前の由来については、日向(宮崎)にたくさん植えられていたからという説と、「明智日向守光秀」が治めていた丹波(京都)に多く生えていたからという説があるようです。いずれにしても植えられていたとする説と生えていたとする説が入り乱れています。

写真の撮影地は東京の公園ですから、いうまでもなくどこかで育てられた苗木が植栽されていたものでしょうが、もともとはどこにあったものなんでしょうね。トサミズキ属(Corylopsis)で日本に分布する野生種は他に数種ありますが、ヒュウガミズキとともによく植栽されているのは、「トサミズキ (Corylopsis spicata)」でしょうね。こちらは四国の主に蛇紋岩地に生えます。どちらも花は淡黄色で花序が垂れ下がりますが、ヒュウガミズキの方は1つの花序につく花の数が少なく、トサミズキは7個〜10個と多めです。

冬芽は長さ3mm〜5mmぐらいの卵形でトサミズキより小さめです。よく見ると幅の広い丸々とした芽とやや細長い形の芽があります。より丸い方が花芽で細い方が葉芽なんですが、写真に写っている芽はもしかしたら一番上のは葉芽かなとも思いましたが、全部花芽のようです。葉芽の場合は一番外側の芽鱗(芽を包む鱗状の鱗片)が一枚で芽をほとんど包んだようになっているはずです。

花は葉が展開するより先に咲きます。花弁は5枚で長さは1cmに満たないくらい、雄しべの先にある葯(花粉のあるところ)がやや赤みがかってアクセントになります。

公園樹や庭木としてよく植えられる春の代表的な花木の1つ。淡い黄色の鈴がたくさんぶら下がった姿を見られる季節まではもうちょっとですね。

【和名】ヒュウガミズキ [日向水木]
【別名】イヨミズキ
【学名】Corylopsis pauciflora
【科名】マンサク科 HAMAMELIDACEAE
【撮影日】2004/12/13
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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2005年01月18日

ヒメミカンソウ

ヒメミカンソウ Phyllanthus matsumurae


ヒメミカンソウは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや畑に生える一年草です。草丈は10cm〜30cmほど。トウダイグサ科の植物ですが、コミカンソウ属(Phyllanthus)は、茎を折っても乳液が出ません。

同属の「コミカンソウ Phyllanthus urinaria (または Phyllanthus lepidocarpus)」とはよく似ていますが、コミカンソウの場合は斜め横に出る横枝にのみ葉がつくのに対して、ヒメミカンソウは主要な茎にも葉がつくので、パッと見たときの姿が違います。また花の後にできる果実にも違いがあります。果実は両種とも直径2mm〜3mmほどでちょっと平たくなった球形ですが、コミカンソウの方は表面に隆起した突起があって赤みを帯びることが多いですが、ヒメミカンソウの果実の表面はツルツルで色は黄緑色です。

葉は互生してつき形は長い楕円形で長さは1cm内外です。花期は8月〜10月、葉の脇(葉腋)につきます。雄花と雌花がありますが、雌雄同株…つまり同じ株に雄花も雌花も咲きます。同じ株の中でも雄花と雌花は特に位置が別れてつくわけではなく、混じり合ってついています。花は小さく地味なもので目立ちませんが、ガクと花弁の区別が特になく雄花だと4〜5枚、雌花だと6枚の花被片があります。雄花には雄しべのほかに腺体もあります。一方、雌花の花柱の先は大きく3つに裂けたものがさらに2つに裂けるので、「ハサミムシ」のハサミの部分が3つくっついたような状態です。

名前はおそらく「コミカンソウ」の方が先についたのだと思いますが、果実を小さな「ミカン」にみたててつけられています。しかし、まあ、トウダイグサ科の植物というのは個性豊かでおもしろいものですね。

【和名】ヒメミカンソウ [姫蜜柑草]
【別名】チョウセンミカンソウ
【学名】Phyllanthus ussuriensis (Phyllanthus matsumurae)
【科名】トウダイグサ科 EUPHORBIACEAE
【撮影日】2004/10/11
【撮影地】東京都日野市

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カナムグラ

カナムグラ Humulus scandens


カナムグラは、日本全土に分布し、道ばたや土手、荒れ地などに生えるつる性の一年草です。生育地では一帯をおおってしまうほどの大群落となっていることもしばしばです。茎や葉柄に下向きのトゲがたくさん生えていて、他の植物などに絡まって伸びていきます。四角形になった茎はとても丈夫なことからを「鉄」にたとえて、「鉄葎 (カナムグラ)」といいます。カナムグラの草むらに入ろうものなら、あっという間に傷だらけです。駆除するには非常にやっかいな雑草です。

葉は長さが5cm〜10cm以上のこともあって、5〜7つに裂ける掌のような形をしています。葉の表面には粗い毛があるのでザラザラします。

花期は8月〜10月です。雌花と雄花が別の株につく雌雄異株で、雌花と雄花の形状がかなり違っています。写真は雌花の方です。雌花のつく花序は葉の脇(葉腋)から花茎が伸びてきて下に垂れ下がります。何枚か重なって見えているものは「苞(ほう)」です。特に苞の縁には白くて粗い毛が密生し、ケバケバした感じです。もう少し大きくなると松ぼっくりを逆さにしたような状態になって、果実ができるころにはもっと紫がかった色になります。さらに苞の先端は細長く反り返ります。ビールの苦味をつけるのに「ホップ (Humulus lupulus)」が使われますが、カナムグラホップは同じ属(カラハナソウ属)で、雌花の状態はよく似ています。

雌花の花序は下向きにつきますが、雄花の花序は葉の間から上に立ち上がって、円錐状の花序になります。花序は上向きですが雄花自体は下向きにちょっとまばらにつき、淡紫色のガクが5つあります。小さいながらも目立つのはぶら下がった雄しべの先の葯(やく:花粉の入っている部分)。花粉が飛散するので、秋ごろのいわゆる花粉症の原因の1つとなっているそうです。

葉も花もそれなりに独特の形を見せる植物なんですが、できるだけ近づきたくない植物といえるかもしれませんね。

【和名】カナムグラ [鉄葎]
【学名】Humulus scandens (Humulus japonicus)
【科名】アサ科 CANNABACEAE (クワ科 MORACEAE)
【撮影日】2004/09/23
【撮影地】山梨県牧丘町

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2005年01月17日

ゴヨウイチゴ

ゴヨウイチゴ Rubus ikenoensis


ゴヨウイチゴは、本州中部以北の亜高山帯の林縁などの生える落葉小低木です。見た目は低木というよりはややつる状に地面をはう草本という感じで、高さは10cm〜20cmほど。花期は5月〜7月、花柄の先に1個から3個下向きにつきます。バラ科のキイチゴ属(Rubus)ですが、白い花弁はまったくないか、ごく小さなものしかありません。筒状のガクは5つに裂けて、裂片の先が細長くとがります。色は黄緑色で、ガクと花柄にはトゲがあります。

葉は5枚の小葉からできていて鳥の足のような形をしている複葉です。こういう葉を「5出複葉」といって、ゴヨウイチゴの場合は特に一番先端の小葉が大きくて先が細長くとがります。小葉の縁のギザギザは「重鋸歯(二重鋸歯)」になっていますが、重鋸歯というのは、粗いギザギザにさらに細かいギザギザがある場合の鋸歯のことで、バラ科の植物には多く見られます。

また、茎や葉柄には細いトゲが生えています。よく似た種に北海道や本州中部以北に分布する「ヒメゴヨウイチゴ (Rubus pseudojaponicus)」がありますが、こちらにはトゲがありません。小葉の形も先が細長くとがらないので区別できます。花柄にもトゲがなくふつう花は上向きに1個つきます。さらにガクは7枚で白い花弁も7枚あるので、花が咲いていれば間違うことはなさそうです。

だいたい、針葉樹林下で見られるのですが、写真の場所も暗かったんですよね。仕方なく光らせたら、赤く熟した実は何やら白いカビにおかされているようで、フラッシュによってさらに不気味な感じに写りました。

【和名】ゴヨウイチゴ [五葉苺]
【別名】トゲゴヨウイチゴ
【学名】Rubus ikenoensis
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

posted by hanaboro at 18:19| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(7) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バライチゴ

バライチゴ Rubus illecebrosus


バライチゴは、本州の関東以西、四国、九州の山地に生える落葉小低木です。丈は20cm〜40cmほどで地下茎を伸ばしてふえることから地面近くで広がって生育していることもあります。主な花期は6月〜7月。花はいわゆるイチゴの仲間によく見られる真っ白の5弁花で、直径は4cmmほど。果実は赤く熟して食べられますが、そのままではおいしいとはいえません。どうしても食べたい場合はジャムか果実酒にするのがよいでしょうね。

葉は小さい葉(小葉)が2〜3対ついて羽状になった複葉です。バライチゴのように葉の軸の先端に小葉が1枚ついていると小葉の数が奇数枚になりるので「奇数羽状複葉」といいます。また、先端部分に小葉が2枚ついている植物もあって、そういう場合は小葉の数が偶数枚になるので「偶数羽状複葉」ということになります。

小葉は細長く先がとがっていて、特に側脈が目立ちます。側脈というのは、中央にある葉脈(中央脈)から左右に斜めに走る葉脈のことです。また縁のギザギザ(鋸歯)はよく見ると1つのギザギザがさらに細かくギザギザに切れ込んだりしています。こういう鋸歯のことを「重鋸歯」といいます。

ガクの裂片は幅を狭くしたような卵形(狭卵形)で先はとがり、写真では先端の方が赤く染まっています。花柄や茎、葉の軸にはへん平なトゲが生えていますが、写真ではほとんどわかりませんね。花弁は平たく開いてふつうは一重ですから、一般的ないわゆる「バラ」の花よりはおとなしいくあまり似ていないともいえるかもしれません。でも、開く前の蕾の様子なんかはやっぱり似ているところはあるかなと思いました。

【和名】バライチゴ [薔薇苺]
【別名】ミヤマイチゴ [深山苺]
【学名】Rubus illecebrosus
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

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2005年01月15日

ジンチョウゲ

ジンチョウゲ Daphne odora


ジンチョウゲは、中国原産の常緑低木です。花を見て咲いていることに気づくよりも、甘くて濃厚な香りで花に気づくことが多いのではないでしょうか。この花の香りとともに春が訪れるといってもよいほど早春の代表的な花木としておなじみです。名前は花の香りを熱帯のジンチョウゲ科の植物の香り「ジンコウ(沈香)」と、フトモモ科の植物「チョウジ(丁字)」の香りにたとえたものだそうです。

葉は厚い革質で表面には光沢があり、縁のギザギザ(鋸歯)がないのでべロッとした感じです。葉は互生して付きますが、枝先に集まってつく傾向があって遠くから見ると花の下あたりで輪生しているようにも見えます。

ふつう花弁(花びら)に見えているものは、ガクで本当の花弁はありません。ガクは筒型で分厚く4つに裂けて開き先はうしろにそり返るようになります。よくジンチョウゲは雌雄異株で日本で植えられているものの多くが雄株だといいます。ただし、雄花にも雌花にもにも雌しべと雄しべがちゃんとあるんですよね。雌花の場合は雌しべの柱頭と雄しべが近い位置についていますが、雄花では柱頭と雄しべが離れてついています。また雄しべのつき方が変わっていて、全部で8本ある雄しべは上下4本ずつの2段に分かれてついているんです。

同じジンチョウゲ属の国内の野生種には「コショウノキ (Daphne kiusiana)」、「オニシバリ (Daphne pseudomezereum)」「ナニワズ (Daphne jezoensis)」などがあって、ジンチョウゲと同じように早春に咲くものが多いですね。そのせいもあって、ジンチョウゲは比較的寒さに強そうな印象がありますが、ちょっと寒さに弱いところがあるそうですね。寒さの厳しい地域ではあまり植えられていないとか。確かにジンチョウゲ科としてみた場合、南の方に分布する種類もあるようですからね。またジンチョウゲは常緑ですが、オニシバリやナニワズはふつう夏に落葉します。

ジンチョウゲ Daphne odora
2004/12/13 撮影
ジンチョウゲ Daphne odora
2005/01/12 撮影


ジンチョウゲの蕾って、濃い赤紫の部分の表面は結構でこぼこしているもんなんですね。開くと中は白いものが多いですが、中も外も白いタイプもありますね。上の小さい2枚の写真は現在(右)と1か月前(左)の様子を写したもので、ちょっと角度が違っていますが同じ個体の同じ蕾です。ごくわずかな変化しかありませんが、少し生長しいくぶん色が濃くなっていました。確実に開花に近づいているようです。今年、このあたり(関東の丘陵地)での開花は2月後半でしょうかね。

【和名】ジンチョウゲ [沈丁花]
【学名】Daphne odora
【科名】ジンチョウゲ科 THYMELACEAE
【撮影日】2004/12/13、2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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スイバ

スイバ Rumex acetosa


スイバは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、世界的に見ても北半球の温帯に広く分布している多年草です。田のあぜや人里近くの草地でふつうに見られ、特に草刈が行き届いた草地では群生しています。スイバという名前は、茎葉にシュウ酸を含んでいてすっぱいことからきていて、特に若い芽は甘酸っぱく「スカンポ」とも呼ばれます。

草丈は30cm〜1m近くまでなります。花は5月〜8月ごろまで見られますが、4月〜5月ごろはまだそれほど草丈の高い野草はないので目立ちます。遠くから眺めていると茎の先の花序が緑っぽい株と赤っぽい株があるのがわかります。これは雌雄異株で雄花と雌花の赤くなる度合いの違いによっています。

雌花はふさのようになった柱頭や3枚ある子房をつつむもの(内花被片)が赤く、さらに果実ができてくると翼状に大きくなって赤みを帯びているのでよく目立ちます。雄花には花被片6枚と雄しべ6個がありますが、赤みが少なくほとんど黄緑色で地味です。

同じ属の植物に「ギシギシ (Rumex japonicus)」がありますが、スイバとギシギシの違いはすぐわかると思います。ただ、ギシギシの方には「エゾノギシギシ (Rumex obtusifolius)」、「アレチギシギシ (Rumex conglomeratus)」などもありますので、まず、ギシギシ類とスイバが見分けられるようになってから、ギシギシ類を細かく覚えていくとよいと思います。

花のある時期だとまず姿を見ますが、スイバはスーッと立っていて、ギシギシの方は背丈も高く太くて大柄でボッテリしています。花はどちらも花序に輪生してつきますが、ギシギシの方がぎっしりと密につく感じです。また、ギシギシの内花被片の縁にはギザギザがあるので、これもチェックポイントとして重要です。アレチギシギシの場合は花序が細いですが花序の出る角度や花の大きさもまったく違いますので、スイバと間違えることはないでしょう。

もう1つわかりやすいポイントは葉です。ギシギシ類の葉は分厚く縁が波打つ傾向が強くて、色が濃く表面には光沢があります。スイバは質が薄く上部の葉は小さくあまり光沢はありません。秋から冬の時期、積雪がなければスイバの根生葉が観察できます。

スイバ Rumex acetosa


スイバは、おもに種子は秋に発芽し、すでにある個体は地下茎から根生葉を出して越冬します。根生葉は長楕円形で、基部は矢じり形になっています。越冬中の根生葉は真っ赤に染まっていることが多いですね。写真は2004年12月半ばですので、赤くなりつつもまだしゃんとしていましたが、現在は真っ赤になってちょっとしおれ気味です。

【和名】スイバ [酸い葉]
【別名】スカンポ
【学名】Rumex acetosa
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2004/12/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月14日

カラスノエンドウ

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra


カラスノエンドウは、本州、四国、九州、沖縄の日当たりのよい草地や道ばた、畑などにふつうに生える越年草です。秋に種子から芽生え冬を越し翌年の春に開花結実します。花期は3月〜6月ですが、パッと咲いていつの間にかなくなっているという感じで、ほぼ春のうちに一生を終える短い生活型といえます。小葉の先が3つほどに分岐した巻きひげになる一応「つる性植物」なんですが、夏のころ大繁茂するつる性植物のようにどこまでもからまって伸びていくようなことはありません。

花は葉の脇(葉腋)に1個〜3個つき、紅紫色のマメ科植物らしい蝶形花です。花が終わると長さ2cm〜5cm程度の豆(豆果)ができ、中には5〜10個の種子が入っています。豆果は熟すと黒色になって2つにさけ種子がはじき出されます。草むらで一人ごそごそやっていたとき知らないうちに触ってしまっていて、これがパチンとはじけてビックリしたことがあります。

秋も深まり冬を迎えるころには夏草はすっかり枯れ、草刈も終わると、いろんな越年草の芽生えが見られるようになります。その中に何やらマメ科らしい幼植物があるんですが、その小葉の形が何だかいろいろあってそれが同じものだと判明するまでは、少々首を傾げたくなります。

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigraカラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra


葉は互生してつき、小葉が4対〜7対(枚数にすると8枚〜14枚)ほどの羽状複葉です。花が咲くころの上部につく葉の小葉は細長く幅の狭い形(狭倒卵形)ですが、幼植物のころの葉はより丸い傾向があるようです。だいたい丸っこい葉が目立つのですが、ところどころに右上の写真のように先のとがった葉が混じって見えるんですよね。これは何なんでしょうか。幼植物のときはこういう葉の形みたいですね。

検索表つきの図鑑などでは「ヤハズエンドウ」となっていることが多いようですが、一般的なフィールド図鑑では断然「カラスノエンドウ」で登場していることが多のではないかと思います。日本の野生植物の標準和名については、現段階では鳥類のように1つの学名に対して1つの標準和名を定めるというような決まりがあるわけではないので、今回は個人的により一般的だと思う「カラスノエンドウ」の方で表記しました。

「カラスノエンドウ」は、豆果が黒く熟すので「カラス」に例えてつけられ、「ヤハズエンドウ」の方は、小葉の先端が矢筈のようにくぼむところからつけられています。

また、学名は一般的な図鑑では「Vicia angustifolia」や「Vicia angustifolia var. segetalis」となっているのを見ますが、
米倉浩司・梶田忠 (2003) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html
(2005年1月14日).
によると「Vicia sativa L. subsp. nigra」が標準だとされています。こちらでは和名は「ヤハズエンドウ」となっていました。

【和名】カラスノエンドウ [烏野豌豆]
【別名】ヤハズエンドウ
【学名】Vicia sativa subsp. nigra
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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シュウメイギク

シュウメイギク Anemone hupehensis


シュウメイギクは、人家近くに多く見られる多年草で、古い時代に中国から観賞用として入ってきたものが野生化したといわれています。半日陰の湿り気のある場所を好む傾向があって、沢沿いや林縁部で見られるほか、石灰岩地にも生育しているといいます。

草丈は50cm〜1mほど。根元の方には長い柄を持つ根生葉がありますが、上部の葉は柄がごく短く小さくなります。その葉がつく節の部分から2〜3本枝が分かれて花茎もそこから伸びてきます。より下部から出た花茎はより長く伸び、上部から出た花茎は短いうちに開花する傾向があるのでしょうか。花茎の長さだけを見ていたら長短いろいろあるのですが、比較的同じくらいの高さで花が咲いていたりします。

秋に花が咲きキクに似ていることから「秋明菊」といいますが、キク科ではなくキンポウゲ科の植物で、花びらに見えている部分は「ガク」です。花が開く前の蕾のときも真ん丸ですが、ガクが散った後の形も真ん丸です。主だった品種の花色は白、赤紫、薄いピンク色で、ガクが幅広い一重咲きや細長いガクが30枚ほどある八重咲きなどがあります。

ガクが散った後にも残る花の中央部の丸いものは、雌蕊群です。その周りには黄色いリングをつけたようにたくさんの雄しべがあります。

シュウメイギク anemone_hupehensis03.jpgシュウメイギク anemone_hupehensis02.jpg
生育が遅かった株でしょうね。丈は30cmぐらいでしたが、開花した形跡がありました。


独特の草姿から立ち枯れていても、それとわかるものですね。

また、スプリングエフェメラルなどと称される春植物の代表種、「イチリンソウ (Anemone nikoensis)」や「ニリンソウ (Anemone flaccida)」などと同じアネモネ属(イチリンソウ属 Anemone)の植物です。シュウメイギクの花は秋ですし背丈が1mほどになるので、小さい春植物とはまったく違うイメージですが、特に白花で一重咲きのタイプなどは、花の部分だけを見るとやはり似ているところがありますね。

【和名】シュウメイギク [秋明菊、秋冥菊]
【別名】キブネギク[貴船菊]、アキボタン[秋牡丹]
【英名】Japanese anemone
【学名】Anemone hupehensis var. japonica (Anemone hupehensis)
【科名】キンポウゲ科 RANUNCULACEAE
【撮影日】2005/01/01
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月13日

コナラ

コナラ Quercus serrata


コナラは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい山野にふつうに見られる落葉高木です。高さは15mから大きいものでは30mほどにもなることがあります。里山の雑木林の構成樹種としておなじみの木です。樹皮は灰色っぽい暗褐色で、縦に裂け目が入っています。冬芽は長さ5mmほどの卵形で、濃い赤褐色です。

花期は4月〜5月で、秋には長さ2cmほどの長楕円形の果実(堅果)ができます。いわゆる「ドングリ」です。「ドングリ」というのは、コナラだけではなくブナ科の植物の果実の総称です。シイ類、ナラ類、カシ類など一口にドングリといっても様々なものがあります。
ドングリの代表種
マテバシイ、スダジイ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、ウラジロガシ、シラカシ、アラカシ、ウバメガシなど。

コナラ Quercus serrataドングリの帽子の部分は「殻斗(かくと)」といって、これは総苞が発達したものです。ドングリは熟しても果実が裂けるわけではなく堅い殻(果皮)に覆われていているので、「堅果」といいます。種子には胚乳がなく、子葉に養分を蓄えています。


コナラ Quercus serrata果皮は木質化して堅い。しかし、堅い果皮と中の種子は異質な感じで離れやすくなっています。芽生えたときも殻は外れて付近にころんと転がっています。その殻は丸まっていて何ともいえない曲線的なもので、微妙に光沢が残こりどことなく海岸で拾うツメタガイの貝殻を連想してしまいました。


発芽するとき果皮から先に出てくるのは根で、根を地中に伸ばし水や養分などを吸収しながら、果皮をやぶって真っ赤な子葉が出てきます。その子葉の付け根からはすでに新芽の先が見えています。白っぽい長い毛に覆われていて形はよくわかりませんが、暖かくなってくると、ここからスーッと真上に1本細長い茎が伸び、白っぽい黄緑色の葉が数枚、展開してきます。

コナラ Quercus serrataコナラ Quercus serrata


2004年の秋、写真のドングリを落とした木はなかなかの豊作だったようで、横の道を歩いていると上から頭を直撃したり、落ちたものを踏んで滑ってしまいそうなほど大量に落ちていました。この場所は丘陵地の公園の脇でまわりは人家です。ドングリを捕食する鳥やネズミなどはあまりいないのでしょうか、それともできたドングリが大量だったからでしょうか、真冬でも地面にたくさん転がっています。本当は、冬の間の食料として土に埋めて貯蔵する習性のある動物によって、どこかに運んでほしかったのでしょうけど。。。現在のところ、地表に残されていたドングリがなんとか乾燥に耐え、あちこちで芽生えています。樹肌や冬芽に加えて真っ赤な芽生えも楽しめます。

【和名】コナラ [小楢]
【別名】ハハソ、ホウソ、ナラ
【学名】Quercus serrata
【科名】ブナ科 FAGACEAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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メタセコイア

メタセコイア Metasequoia glyptostroboides


メタセコイアは中国原産の落葉高木で、整った円錐形の樹形となるので公園などによく植えられています。中国の四川省で1945年に発見されたことで、「生きている化石」として一躍有名になったといいます。それまでは化石が見つかっていただけの木だったので、とても関心を集めたようですね。日本でも化石が発見されていて、300万年〜100万年前には自生していたといいます。

その後、中国から苗木をもらって挿し木などで増やし、日本でもあちこちで植えられるようになったのだそうです。性質が丈夫で、増やしやすく生育が早いことや樹形の美しさが好まれよく利用されています。それほど丈夫な木なのに、どうしてほかの場所では滅んでしまって中国の山奥の方にだけ遺存的に残っていたのでしょうね。

原産地では高さ35mのかなりの巨木になるとか。樹皮は赤褐色でスギと同じような感じで縦に裂けます。葉は2cm程度の線形で小枝に対生してつきますが、秋には黄色っぽくなって小枝と一緒に落葉します。

メタセコイア Metasequoia glyptostroboides冬芽は長さ5mmぐらいの卵形で薄茶色。鱗状の芽鱗は15枚ぐらいあります。芽鱗のつき方もランダムではなく、十字に対生してついています。


【一般名】メタセコイア
【和名】アケボノスギ [曙杉]
【学名】Metasequoia glyptostroboides
【科名】ヒノキ科 CUPRESSACEAE (スギ科 TAXODIACEAE)
【撮影日】2004/12/30
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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2005年01月12日

キバナコスモス (No.2)

キバナコスモスは、主に秋に咲く一般的な「コスモス (Cosmos bipinnatus)」と同じ属の別種「Cosmos sulphureus」の品種群です。花期は6月〜11月と長めですが、全部の品種がその期間中ずっと咲きつづけるというわけではないようで、やはり早咲きの品種と秋咲きの品種があります。またそれに加えて種のまく時期をずらすことによって、長い期間花を楽しむことができ、園芸的な取り扱いはふつうは春まきの一年草です。

キバナコスモス Cosmos sulphureusキバナコスモス Cosmos sulphureus
2004/11/23 撮影2004/12/08 撮影


夏の間に盛んに開花結実していたキバナコスモスも秋の深まりとともに勢いがなくなって、とある公園の花壇に植えられていた個体も、いつの間にか別の花の苗に植え替えられていました。日本では一般に春や秋は、種子の発芽や生育に適した気候となりますが、2004年の秋〜初冬は特に温暖で、秋に種子から発芽したものが開花するようなものも見られました。

11月の終わりごろ、公園の隅で数十本の幼いキバナコスモスの苗を発見(写真左上)。すぐそばには蕾をつけた個体もありました。夏の間付近でたくさん咲いていた個体の種が落ち勝手に芽生えてきたものの可能性が高く、だとすれば本来は背丈が50cmほどになるタイプのはずです。品種名まではわかりませんが、花色はオレンジ色でした。

しかしいくら暖かいとは言っても、もともと発芽や生育にやや高温が必要なキバナコスモスにとっては、やっぱり低温だったといえるでしょう。12月はじめには、葉の先が傷んでチリチリになり、地面に倒れこんでいるものもありました(写真右上)。個の姿を見て、もうこれで開花はないだろうと思っていたら、12月半ば、上とは別の個体ですが再び息を吹き返したかのように、蕾を膨らませているものがあったんです(写真左下)。

キバナコスモス Cosmos sulphureusキバナコスモス Cosmos sulphureus
2004/12/16 撮影2005/01/12 撮影


でも、膨らんだ蕾も結局それ以上開くことはありませんでした。2004年の年末から続くこのところの寒波にはやっぱり耐え切れなかったようです。ついに本日(2005/01/12)、その公園で秋に芽生えたキバナコスモスのほぼすべての個体が枯れてしまったことを確認しました。

【一般名】キバナコスモス [黄花秋桜]
【英名】yellow cosmos
【学名】Cosmos sulphureus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2004/11/23、2004/12/08、2004/12/16、2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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→自分で育てたわけではありませんが、公園の土や雨水、太陽が育てたということで。。。ダメかな?

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キランソウ

キランソウ Ajuga decumbens


キランソウは、本州、四国、九州に分布し山野や人家近くの道ばたなどにふつうに生える多年草です。変わった名前ですが、「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色という意味で、花の色からキランソウという名前になったのだといいますが、名前の由来や漢字の表記には諸説あるようで、漢字では「金瘡小草」、「金襴草」などとされています。また、放射状に地面にへばりつくよう広がるので「ジゴクノカマノフタ」というこれまたすごい別名まであります。種子でも増えますが、走出枝を伸ばしてすぐ隣に新たな株がどんどんできていくので、そのあたり一帯に群生していることもしばしばです。

花の咲く時期でも、上方にどんどん伸びるわけではなく地面にはりついていますが、冬の間もロゼット葉を出して過ごしています。暖かい時期に比べると勢いはなく葉も紫褐色で地面や落ち葉と同化しています。より地面に近いところにある越冬中のロゼット葉は、花が咲くころに出てくる上部の茎葉より大きめです。

葉の先端や縁の鋸歯(ギザギザ)はとがらず、うねうねとした葉はとらえどころのないような形をしていますが、全体に縮れた毛がたくさん生え表面はでこぼこしていて、意外と特徴的な葉ともいえます。それで花がなくてもだいたいそれだとわかりやすいです。越冬中は全体的に紫褐色になっていますが、暖かい時期の葉は濃い緑色で、縁や主脈がおもに紫色に染まっています。

花期は3月〜5月。葉の脇(葉腋)に濃い紫色の唇形花をつけます。唇形花はシソ科の植物などに見られる基本的な花の形ですが、キランソウ属の植物の場合、上唇は目立たず、下唇(舌のように見える方)が大きくなる特徴があります。

【和名】キランソウ [金瘡小草]
【別名】ジゴクノカマノフタ [地獄の釜の蓋]
【学名】Ajuga decumbens
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月11日

シナレンギョウ

シナレンギョウ Forsythia viridissima


シナレンギョウは中国原産の落葉低木で、高さは2m〜3mほどになります。庭木や公園樹としてよく植えられています。上の写真は冬芽のたくさんついた小枝の部分を写したものです。冬芽は長さ5mm内外で対生してつき、すぐ横にもう1つの芽(副芽)ができているところもあります。花の最盛期の華やかさとはずいぶん違って、ゴツゴツとした印象です。よくよく見るとこの枝にも葉がついていたあと(葉痕)が残っています。

写真ではものすごく小さくしか写っていないのですが、冬芽の下にある半円形のでっぱり(輪切りにしたソーセージをさらに半分に切ったような状態の部分)が葉痕です。葉痕を見ると中央あたりに維管束のあと(維管束痕)が1つあります。植物の種類によって、葉痕、維管束痕の形状も様々で、ときには動物の顔に見えるユニークなものもあって楽しいですよ。

レンギョウの仲間は数種あってよく似ていますが、まず枝ぶりや花つきで大まかな感じをつかみ、そして花の中をのぞいて雄しべの状態を観察します。シナレンギョウの場合は枝が立ち上がって伸び、雄しべが2個あって花柱より短いのが特徴です。これに対して「チョウセンレンギョウ (Forsythia viridissima var. koreana)」は枝が湾曲して伸び、2個の雄しべは花柱より長い点で区別できます。さらに葉があれば鋸歯(縁のギザギザ)の状態を見ます。シナレンギョウの鋸歯は葉の先(上半分)にありますが、チョウセンレンギョウの鋸歯は葉のほぼ全体にあります。

また、同じように雄しべが花柱より短い「レンギョウ (Forsythia suspensa)」と区別するためには、見ることができる場合なら枝の中を見ます。縦に割ってみるか、少し削いでみたとき、レンギョウの場合は中身が中空で「髄(ずい)」がありませんが、シナレンギョウの場合は髄がありたくさんの壁(隔壁)で隔てられています。

シナレンギョウ Forsythia viridissima一般的な花期は4月ですが、こちらでは2004年の年末から開花しているものもあります。雌雄異株で、雄花の場合は雌しべが退化してしまいますが、右の写真の個体は柱頭がしっかり花の中央部に見えましたので雌花だったようです。

シナレンギョウは、葉が展開するより先に直径2.5cmほどの真っ黄色の花が咲きはじめますが、咲き進むにつれて新葉も展開してきます。花冠は4つに深く裂けているので、花びらが4枚あるように見えます。

【和名】シナレンギョウ [支那連翹]
【学名】Forsythia viridissima
【科名】モクセイ科 OLEACEAE
【撮影日】2004/12/30
【撮影地】東京都日野市

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シャリンバイ

シャリンバイ Rhaphiolepis umbellata

2005/01/01 撮影

シャリンバイは、主に暖地の海岸に生育する常緑低木です。公園樹や生け垣としてよく使われています。こちらでは高さ1.2mぐらいにそろえられたものをよく見かけますが、自生の場合だと2m〜6mになるそうです。葉先が丸く分厚い葉をつけ背丈の低いタイプの「マルバシャリンバイ」を含めた分布は、本州の山形県や宮城県以南、四国、九州です。学名についても、シャリンバイという種類を広くとらえるか狭くとらえるかによっても異なるようで、図鑑によってさまざまな取り扱いが見られます。

葉は質が厚く乾燥によく耐える構造(クチクラ層)が発達していて、表面には光沢があり通常は濃い緑色です。秋から冬の初めかなりの暖かさが続いたからでしょうか、新芽の芽吹くのがずいぶん早かったようですね。花の咲くころの新葉はふつう黄緑色に赤っぽい縁取りがあるような葉なんですが、現在こちら関東の丘陵地で見られるシャリンバイの新葉は朱赤色です。朱赤色の新芽は雪に埋もれながらも、特に傷んだ様子もなく新春の陽光にピカピカ輝いていました。

シャリンバイ Rhaphiolepis umbellata

2004/12/30 撮影

名前は、葉が枝の先の方に輪生状に集まってつき、5弁で白く「梅」のような花を咲かせることから、「車輪梅」といいます。花期は5〜6月、白い5弁の花をつけます。バラ科らしくたくさんの雄しべが目立ちます。数は20本だそうです。花後に果実ができて秋には黒紫色に熟します。ちょっと白い粉を吹いたような球形の果実です。

【和名】シャリンバイ [車輪梅]
【別名】タチシャリンバイ
【学名】Rhaphiolepis indica var. umbellata
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/12/30、2005/01/01
【撮影地】東京都日野市 (植栽)

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2005年01月08日

アメリカイヌホオズキ

アメリカイヌホオズキ Solanum ptychanthum


アメリカイヌホオズキは、北アメリカ原産で道ばたや荒れ地に生える一年草です。ナス科ナス属の植物ですが、よく似た種類もいくつかあり個体差もあってちょっとわかりづらいこともあります。特によく似ているのは、「イヌホオズキ (Solanum nigrum)」、「テリミノイヌホオズキ (Solanum americanum)」あたりです。学名の取り扱いもゴチャゴチャしているようですが、今回は下記サイトに従って表記しました。
米倉浩司・梶田忠 (2003) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html
(2005年1月8日)

特に身近でよく見られるイヌホオズキとアメリカイヌホオズキの違いをかなりおおざっぱにちょっとだけ。イヌホオズキの花は白色ですが、アメリカイヌホオズキは白色のこともありますが淡い紫色のことも多いです。1枚目の写真はアメリカイヌホオズキの若い果実ですが、果実は軸の先の方に集まってついています。これが熟すと光沢のある黒い実になります。これに対して、イヌホオズキの果実は散らばってつき熟しても光沢がありませんので、実のあるときの方が区別しやすくなるかもしれません。

果実は垂れ下がってついていますが、花が咲く前は斜め上〜横向きというぐらいで花が終わるにつれて花茎が下がってくるという感じです。球形の果実は、直径5mm〜8mmで若い時期からすでにツヤツヤ。

アメリカイヌホオズキ Solanum ptychanthum


2枚目の写真は、枝の先端部分にあった蕾で花冠が開く前のはずですが、先からは柱頭(雌しべの先)が見えています。雌性先熟ってことなんですかね。いや、他のを見るとそうとは限らないようですね。一般的な花期は7月〜10月ですが、2004年は暖かさが長く続いたからでしょうか、12月になってもまだアメリカイヌホオズキ以外にも冬には枯れるタイプの草本類が開花していました。とはいってもアメリカイヌホオズキはそれなりに寒さを感じ取っているようで、茎や葉の表面は紫褐色に変色していました。

茎が紫褐色になる傾向があるのは、どちらかというとイヌホオズキの方なんですが。。。草丈も時期はずれだったからか25cmぐらいでしたけど、本来は30cm〜大きいものでは80cmぐらいまでなるということです。また、アメリカイヌホオズキの場合は、よりたくさん枝分かれする傾向があるので茎が横に広がってゴチャゴチャと重なっています。それで、どこにカメラを向けようかと困ってしまうこともしばしばです。

【和名】アメリカイヌホオズキ [亜米利加犬酸漿]
【学名】Solanum ptychanthum
【科名】ナス科 SOLANACEAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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コナスビ (No.2)

コナスビ Lysimachia japonica

2004/12/08 撮影

コナスビは、国内では北海道〜九州の山野の道ばたや人家近くにふつうに見られる多年草です。日本以外にもアジア東部の熱帯や温帯に広く分布しています。多年草なんですが、秋から冬にかけてこれをみると、越年草と同じような雰囲気があります。越年草というのは、秋に種子から芽生えて翌年に開花結実する草のことです。越年草は、大きく上には伸びずごく小さい状態で越冬します。葉の色も寒くなるにつれて紫褐色を帯びてくることも多いです。

コナスビの場合は、暖かい時期でも地面をはうように四方に広がって伸びていくので、高さ的にはそれほど変化はありません。花時期にはやや斜めに立ち上がることはありますけれど。

コナスビ Lysimachia japonica

2004/12/30 撮影

暖かだった2004年の秋から初冬、こちらのコナスビもかなりよく生育しこんもりとした塊があちこちで見られ、開花しているものもありました。こんもりとなっていたり開花していた個体は一年以上前に芽生えたものでしょうね。その周りにはこの秋に芽生えたばかりのごく小さな個体も見られましたから、きっとこんもりした個体が初夏ごろ開花し結実した種子から芽生えたものなんでしょう。しかし、さすがに寒さが増してくると生育を止め、葉の色も紫褐色に変色し内側に巻いて、なんとか寒さをしのいでいるようでした。

主な花期は5月〜6月です。5つに裂けた花冠(花びらに見える部分)は黄色で、ガクも深く5つに裂けますがこちらは緑色です。「コナスビ」という名前は、花後にできる果実が球形で「ナス」の実に似ていて小さいことからきています。学名は 「Lysimachia japonica Thunb.」で「Lysimachia」は、オカトラノオ属、「japonica」は日本のという意味で、「Thunb.」はこの学名の命名者 Carl Peter Thunbergの略記です。

【和名】コナスビ [小茄子]
【学名】Lysimachia japonica
【科名】サクラソウ科 PRIMULACEAE
【撮影日】2004/12/08、2004/12/30
【撮影地】東京都日野市

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コナスビ

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2005年01月07日

ツルコケモモ

ツルコケモモ Vaccinium oxycoccos


ツルコケモモは、国内では北海道と本州中部以北に分布し、亜高山〜高山の高層湿原に生えます。日本以外でも北半球の亜寒帯〜寒帯に分布しています。茎は細くあまり上には伸びずミズゴケの中をはうようにして伸びていくので、高さにすると数cmほどです。本当にか細い茎ですが、ツツジ科の植物で常緑矮性低木という扱いです。

学名の扱いは図鑑によっていろいろあるようですが、下記サイトによれば、
「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html(2005年1月7日)
Vaccinium oxycoccos L. が標準で、Oxycoccus quadripetalus Gilib. などは異名(synonym)とされています。「Vaccinium」はスノキ属で、「Oxycoccus」とする場合はツルコケモモ属ということになります。

花期は6月〜7月ごろで、一般的な夏山シーズンより早めです。時期をはずすと開花しているものにもなかなか出会えませんが、今回は実を見つけるのにも苦労してしまいました。湿原の中に葉はたくさん見えるのですが実がないんです。細長い柄の割には丸々とした大きめの果実(液果)をつけるもので、どうやらミズゴケの間にかくれてしまうようですね。おかげでこの実を求めて真夏の湿原の木道を行ったり来たり。上の写真はそうやってようやく写せたものなんです。まだ熟してはいませんが、「クランベリー(cranberry)」の素質が見え、おいしそう。。。

ツルコケモモ Vaccinium oxycoccos


葉はちょっと分厚い革質で互生(互い違いにつくこと)、長さは1cmぐらいの卵を細長くしたような楕円形です。

花も美しく、淡い紅紫色の花冠が4つに深く裂けて反り返ります。パッと花だけ見るとまったくツツジ科の植物に見えません。

【和名】ツルコケモモ [蔓苔桃]
【学名】Vaccinium oxycoccos
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県南会津郡檜枝岐村

posted by hanaboro at 19:36| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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