コモチマンネングサ

コモチマンネングサ Sedum bulbiferum


コモチマンネングサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたや田畑のあぜなどに見られる多年草です。草丈は数cm〜20cmくらいです。同じ属で黄色の5弁花をつけるマンネングサの仲間には「ツルマンネングサ (Sedum sarmentosum)」「マルバマンネングサ (Sedum makinoi)」「メキシコマンネングサ (Sedum mexicanum)」など他にも数種ありますが、花はどれもよく似ています。コモチマンネングサの大きな特徴はなんと言っても葉の脇に珠芽(むかご)をつけることです。それで、名前もコモチマンネングサといいます。珠芽にはだいたい2対〜3対の葉があって、花が終わったころ地に落ちて、夏を越し、さらに冬も越します。種子はできないので、繁殖はもっぱら珠芽による栄養繁殖ということになります。

花は5月〜6月。直径1cm弱ぐらいの黄色い5弁の花で、ガク片は5枚、雄しべは10本です。尖ったような形の雌しべも5本あって根もとの方でくっついています。珠芽が落ちてすぐ増え、暖かくなるとグングン伸びてきてしまうので、畑や庭では嫌がられる存在ですが、星を散りばめたような花はそれなりに見所もあるのではないでしょうか。

コモチマンネングサは、生長した姿なら、それとわかりやすいと思います。上部の葉は互生し茎の上部になるにつれて、葉は小さくなります。上部の葉の形は細長いヘラ状です。

珠芽が少しだけ生長したぐらいの幼植物の段階では、やっかいなことに、葉が丸くて対生しているんです。その状態は「マルバマンネングサ」ととてもよく似ています。冬の時期は小さいロゼット状か、少しだけ茎が伸びたくらいの状態なので、葉の質や生育地などを手がかりにします。コモチマンネングサの方がより葉の質は薄めで、マルバマンネングサの方は葉がより分厚くより丸くより密集した感じに見え、主に山地の岩や石垣の間などに生えます。

迷うようなときはよりたくさんの個体を探すとよいかもしれません。周囲を見ると中には節間が伸び葉の付け根が細くなりつつあるような、これから細長くなりそうな素質を見せている個体が見られることもあって、コモチマンネングサだろうと予測できることもあります。

【和名】コモチマンネングサ [子持ち万年草]
【学名】Sedum bulbiferum
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 19:14| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ツリフネソウ

ツリフネソウ Impatiens textori


ツリフネソウは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の少し湿り気の多い場所に生える一年草です。草丈は50cm〜80cmほどで、茎は赤みを帯びていることが多いです。

Impatiens属(ツリフネソウ属またはホウセンカ属)の植物で、小学校などで教材としてもよく使われる「ホウセンカ (Impatiens balsamina)」と同じ属です。Impatiens属は世界的に見ると温帯から熱帯にかけて広く分布していて600種ほどが知られています。インパチェンスというのは属の名前ですが、一般的に「インパチェンス」という場合は、「アフリカホウセンカ (Impatiens wallerana)」をさしていることが多いですね。そのほか「ニューギニアインパチェンス (Impatiens×hawkeri)」というものもよく見られます。

世界的に見た場合のImpatiens属は多彩な花の形をしていますが、国内のImpatiens属の「ツリフネソウ」、「キツリフネ (Impatiens noli-tangere)」、「ハガクレツリフネ (Impatiens hypophylla)」の3種は、いずれも花の形はよく似ています。ツリフネソウの花期は8月〜10月です。この形は、花を訪れ花粉を運ぶ訪花昆虫が3種に共通するからだといわれています。

パッと見た花の形がとてもおもしろくて、赤紫色の帆掛け舟を吊り下げたような形に見えるということで、ツリフネソウといいます。花には、3枚の花弁があって上側に1枚、下側に2枚あります。下側の花弁は大きくて左右に広がるような形となって、中をのぞくと紅紫色の斑点と黄色をぼかしたような模様が見えます。

ガクも3枚ありますが、上側にある2枚のガクはごく小さくて、下側にあるもう1枚のガクが大きく袋のようになって花弁を包んだ状態になっています。その袋の先はシッポのように細長くなってクルッと巻いています。このシッポのことを「距(きょ)」といって、クルッと巻いてた部分には、蜜がたまっています。

雄しべは5本ありますが、初めのころは葯(花粉のあるところ)がくっついていて、雌しべを包んだような状態になっています。同じ花の中でも雄の時期と雌の時期があって、先に雄しべが成熟して、雌しべが成熟するころには雄しべはその役目を終えています。このように成熟する時期をずらすことで、同じ花での受粉を避けていると考えられています。

果実は長さ1cm〜2cm、熟すとちょっと触っただけで果皮が5つに裂けてクルクルまきになって種子がはじき飛ばされます。属名のインパチェンスは「忍耐しない」という意味で、ちょっとした刺激によって種が弾けてしまうところからきています。

ツリフネソウ Impatiens textori種子や花の形がとてもユニークなのでまずそこに目がいくと思いますが、実は、その特徴は花序の出かたと花序につく突起状の毛にもあるんです。左の写真では、とても見にくいのですが、斜めに伸びている花序の下の方に紅紫色の突起状の毛があります。


ツリフネソウは茎がやや肉質でツルツルしていますし、葉も無毛なので、全体が無毛に見えますが、葉腋から斜めにで出る花序には突起毛があるんですね。これに対して、黄色い花のキツリフネには突起毛がなく、全体が無毛です。さらに葉の縁のギザギザ(鋸歯)があまり尖っていないので、花がなくても区別しやすいかもしれません。ツリフネソウの鋸歯が結構するどくギザギザしています。ハガクレツリフネは花序が垂れ下がる点が大きく違っています。

【和名】ツリフネソウ [釣船草]
【学名】Impatiens textori
【科名】ツリフネソウ科 BALSAMINACEAE
【撮影日】2004/09/23
【撮影地】山梨県牧丘町

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キツリフネ

posted by hanaboro at 15:04| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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