2005年02月14日

アカメガシワ

アカメガシワ Mallotus japonicus


アカメガシワは、国内では本州、四国、九州、沖縄の山野に生える落葉高木です。とても生長の早い木で伐採跡地などでいち早く生えてきます。葉は長さ10cm〜20cmくらいで互生してつき、形は先がスーッと尖った卵をひっくり返したような形(倒卵形)〜、三角形に近いような形や先のほうが3つに浅く裂けたような形などちょっと変異があります。

昔はアカメガシワの葉を食べ物をのせる物として「カシワ」と同じように使っていたそうで、新芽のときは赤く色づくので「赤芽槲」というのだとか。赤く色づいた様子は、なるほど「ポインセチア」と同じトウダイグサ科の植物なんだな〜と思ったりもします。花は7月ごろに枝先に円錐状の花序を出してたくさん咲きますが、このころにはもうほとんど葉の美しい赤色はなくなってしまっているので、それと気づかないかもしれません。

葉は秋には黄色になって落葉します。その後、冬の間に見られる冬芽はちょっと、新芽のころのイメージとは様子が違っています。冬芽は裸芽(らが)で、葉脈が見えるんですよね。色も新芽が展開してくるころのように赤くてきれいって感じではありません。

アカメガシワ Mallotus japonicusアカメガシワ Mallotus japonicus


ところで、「裸芽」というのがちょっと聞きなれないかもしれないので、ちょっとだけ説明です。

「裸芽」というのは「鱗芽(りんが)」に対する言葉です。そこで、例えば、冬越し中の樹木の冬芽を観察したときに、何枚かの鱗のような形の皮のようなもの(これを芽鱗といいます)に包まれた芽を見つけることがあります。このように芽鱗に包まれた芽が鱗芽です。それに対して「裸芽」というのは、芽鱗に包まれていない芽のことをいいます。

アカメガシワの場合、特に一番てっぺんにつく芽(頂芽)は、特に発達して大きく、頂芽より下につく芽(側芽)は、丸っこい形をしています。さらに、褐色の星の形のような毛(星状毛)がびっしりと生えているので、何となく太くごわついた感じの茶色っぽい芽に見えます。

写真の頂芽はもうすでに少し開いてきていて、葉脈もはっきりわかります。また、冬芽のすぐ下あたりを見ると、何やら丸いあとがあります。これは葉がついていた痕跡で、「葉痕(ようこん)」といいます。アカメガシワの場合は、葉痕が丸くて大きめなので、比較的よく目立ちます。さらに、丸い葉痕の縁に沿って点々がたくさんついているのも見えますが、これは「維管束痕(いかんそくこん)」です。つまり、葉と枝の間での水や養分などの通り道となっていた管のあとが残っているというわけです。

【和名】アカメガシワ [赤芽槲]
【学名】Mallotus japonicus
【科名】トウダイグサ科 EUPHORBIACEAE
【撮影日】2005/02/13
【撮影地】東京都多摩市

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posted by hanaboro at 18:49| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 冬芽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヒメリンゴ

ヒメリンゴ Malus prunifolia


ヒメリンゴは、バラ科リンゴ属(Malus)の落葉低木〜小高木です。庭木や盆栽としてよく栽培されている樹木なんですが、その正体はやや定かではないところがあるようです。図鑑での取り扱いは、国内では北海道と本州中部以北に分布する「エゾノコリンゴ(Malus baccata var. mandshuria)」と中国原産の「イヌリンゴ」の雑種となっている場合と、ヒメリンゴの別名が「イヌリンゴ」あるいはイヌリンゴの別名としてヒメリンゴがあげられている場合があります。 雑種とした場合の学名は「Malus×cerasifera」、イヌリンゴの学名は「Malus prunifolia」となっているようです。

花は、5月〜6月。蕾はそれなりに濃いピンク色で、蕾から開いてすぐのころは、特に花弁の縁あたりが淡いピンク色ですが、咲き進むにしたがって真っ白になります。雄しべは多数あって、5枚の花弁のとても清々しい花です。

*「はなだより」のWAKAさんのご好意で、今回は咲いているヒメリンゴのお写真をお借りして掲載させていただいています。WAKAさん、どうもありがとうございます。真っ白で気持のよい花ですよね。


*大きめのお写真でもどうぞお楽しみください。
ヒメリンゴの花(別窓で開きます)
*(C) WAKAさん
ここで、掲載&リンクさせていただいているヒメリンゴのお花のお写真の著作権は、WAKAさんにあります。当ブログからの複写、転載等はご遠慮くださいませ。

果実は、リンゴを小さくしたような直径1cmほどの球形で、熟すと最終的には濃い暗い紅色になります。一応、食べることはできますが、酸っぱくて美味しいといえる感じではありません。お酒につけてリンゴ酒にする方がよさそうですが、それも果実が堅めなので、一般的な果実酒より漬け込む時間がかかるかもしれませんね。

ヒメリンゴ Malus prunifolia
冬芽
ヒメリンゴ Malus prunifolia
樹皮


一番上の大きい写真は、地面に落ちてしまった果実です。色はかなり濃くなっています。この写真を撮っている間、上方からはヒヨドリの叫び声が、いえ鳴き声が。。。特にこの実をねらっているというわけではないでしょうけどね。何となく縄張りを主張された気がしたので、早々に退散です。

ちょっとずつ数は減っていますが、2月半ばの現在でも、まだ枝に果実が残っています。

【和名】ヒメリンゴ [姫林檎]
【別名】イヌリンゴ [犬林檎]
【学名】Malus prunifolia (Malus×cerasifera)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

■Trackback !
→*「はなだより」さんの記事「ヒメリンゴの剪定」にトラックバックさせていただきます。花つき、実つきをよくするための重要な作業である剪定の仕方がわかりやすく解説されています。

→*「フォト日和」さんの記事「ヒメリンゴ?」にトラックバックさせていただきます。青空に映えてかわいいヒメリンゴのお写真が見られます。他にも美しい写真が満載ですよ。

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posted by hanaboro at 11:56| 東京 ☁| Comment(13) | TrackBack(3) | 冬芽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月12日

ウバメガシ

ウバメガシ Quercus phyllyraeoides


ウバメガシは、国内では、本州の関東以西の太平洋側、四国、九州、沖縄の主に暖地の海岸近くの山地などに分布している常緑低木または常緑高木です。生け垣などによく利用されるほか、備長炭の原料にもなっています。

花期は4月〜5月、雄花と雌花が別々の位置につきます。雄花の方は本年枝の下の方について、長さ2cm〜3cmの穂状の花序になって垂れ下がります。雌花の方はより上の方の葉の脇に1つか2つ上向きについて、直径1mmほどのごく小さいものです。雌しべの柱頭は3本です。

ブナ科コナラ属の植物で、秋にはいわゆる「ドングリ」ができますが、ちゃんとしたドングリとして成熟するのは花の咲いた翌年の秋です。

ウバメガシ Quercus phyllyraeoidesウバメガシ Quercus phyllyraeoides


特に若い葉の裏には「星状毛(せいじょうもう)」という星のような形をした毛があります。この星状毛はふつう生長とともになくなっていくのですが、中にはそれがずっと残っているものがあります。それで、ずっと星状毛が残るタイプを特に「ケウバメガシ (Quercus phillyraeoides f. wrightii)」ということもあります。ケウバメガシの方がはじめから生えている毛の量が多いようで、かなり密生して生えるので葉の裏が真っ白に見えます。

小さい写真の左側は、比較的若い葉の表側なんですが、表にもまばらに星状毛があるようですね。まったくもってダメな写真ですけど、小さくてツブツブしたものが、何となく見えますか。ちょっと大きくなった葉には、このツブツブが見えなかったので、表面の毛は結構早めになくなってしまうのでしょうね。

葉の質は厚く堅いもので表面には光沢があります。長さは3cm〜6cmの広い楕円形、縁にはにぶいギザギザ(鋸歯)があって、互生します。もともと、ウバメガシが生育する場所は、海岸近くの保水性が低く乾燥する場所や海からの強い潮風を受ける厳しい環境だったりします。そのために、堅く丈夫な葉をつけて適応しているのでしょうね。

冬芽は長さ3mm〜5mmで、茶褐色。小さい写真の右側が冬芽の部分です。やや茶色みを帯びた薄緑色の光沢のある葉が目立つので、冬芽は葉にかくれたような枝先を探して見ないと、目に入らないような小さなものですね。また、若い枝にも淡い褐色の星状毛が密生しています。樹皮は灰色で古い木になるほど縦に深く割れ目が入ります。

和名の由来は、若い芽が茶色っぽい色なので、おばあさんや馬の目の色に似ているということからきているのだとか。

【和名】ウバメガシ [姥目樫]
【別名】イマメガシ、ウマメガシ [馬目樫]
【学名】Quercus phyllyraeoides
【科名】ブナ科 FAGACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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2005年02月11日

コウゾリナ

コウゾリナ Picris hieracioides subsp. japonica


コウゾリナは日本の各地に分布し、道ばたや空き地などに生育する越年草です。秋に芽生えたものが、ロゼット状の葉を広げて越冬します。早春のころはまだ茎があまり伸びずロゼット状に葉がつきますが、主な花期となる5月〜6月には草丈80cmほどになります。

キク科の植物には、筒状花と舌状花のある花をつけるものも多いですが、コウゾリナはすべて舌状花で、筒状花はありません。つまり、コウゾリナの1つ1つの「小花」全部に、いわゆる「花びら」に見えるものがついているということです。花の色は黄色で、キク科植物に多い色ですが、花だけでなく全体を見たときに他のものとは明らかに違うので、比較的はやく見分けられるようになると思います。全体に淡い褐色か赤褐色の剛毛があって、剛毛の先はかぎ状になっています。

初夏〜夏の初め、他の草たちもグングン生長してくるころ、コウゾリナもかなり茎を伸ばし、越冬したロゼット葉や下の方の葉は枯れていきます。葉にも剛毛が多く特に縁や裏の葉脈にたくさん見られます。もう触るとザラザラです。茎や葉の中央に走る葉脈(主脈)や縁の剛毛などは、特に赤褐色になることが多いのですが、越冬中のロゼット葉でもその特徴が出ています。ロゼット葉だけでは、なかなか種類がわからないときもありますが、これはわかりやすい方かもしれません。

名前の由来には、いくつか説があるようですね。剛毛の様子をカミソリ(剃刀)に見たてて、カミソリナ(剃刀菜)と呼ばれていたものがコウゾリナになったという説と、ひげを剃った後のざらざらした感じから、カオソリナ(顔剃菜)と呼ばれていたものがコウゾリナになったという説があるようです。

剛毛があるのでどうなんだろうかと思いますが、花が咲く前、春にできた下の方の若い葉は、結構風味があって山菜として利用されているようです。ただし、越冬したロゼット葉は硬いので、避けたほうがよさそうですね。

当ブログ内の前回の記事「コウゾリナ」では学名を「Picris hieracioides」としていたのですが、改めて下記のサイトで調べさせていただくと、これでは不十分でした。
米倉浩司・梶田忠 (2003) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://ginkgo.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html(2005年2月11日).

こちらによると、「Picris hieracioides subsp. japonica」が標準となっていて、「Picris hieracioides var. glabrescens」、「Picris hieracioides var. japonica」「Picris japonica」は異名(シノニム synonym)として扱われています。

ちなみに、属名の「Picris」は食べたときに苦味があるということで、苦いという意味の「picros」からきているのだそうです。

【和名】コウゾリナ [顔剃菜、剃刀菜]
【学名】Picris hieracioides subsp. japonica
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事→コウゾリナ
綿毛の時期のぼんやりした全体像の写真が見られます。

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posted by hanaboro at 16:17| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月10日

サツキ

サツキ Rhododendron indicum


一般にサツキは、「サツキ (Rhododendron indicum)」と「ツツジ」類をもとにつくられた園芸品種群をさしていて、その多くが常緑低木です。園芸品種のもとにもなった「サツキ」は山地の渓流沿いの岩の隙間などに自生しています。河川の水量が増したときなどだけ水につかるような、もともと土壌の少ない場所に生育するので、ある程度の乾燥には耐えられるようですね。

そのほか、多くの園芸種が盆栽として仕立てられたり、垣根や道路の中央分離帯などにも植栽されています。栽培の歴史は古く江戸時代にはすでに高い人気を得ていたのだそうです。その後も多くの園芸品種が生み出され、現在、その数は数千種にのぼるといわれています。

サツキの花期は、一般に他のツツジの仲間より遅めで、陰暦の5月ごろ(現在の6月半ば〜7月半ば)に花が咲くのでこの名があるといいます。でも、花期は必ずしもそうではない場合もあるようですね。品種が違うからなのか、気候の変化によるものなのかよくわかりませんが、もう少し早めから咲いているような感じがします。ちなみに、写真は道路の植え込みのもので、品種名は特定できていません。樹高は1mほどで、細かい枝がたくさん密生し、枝には褐色の毛があります。葉は互生してつきますが、現在の葉は長さ2cmぐらいです。

花(花冠)は直径4cm〜5cmの漏斗形で先が5つに分かれていて、いわゆる花びらに見えます。雄しべは5本、雌しべは1本です。花の後、剪定せずそのままにしていると、果実ができてきます。果実は長さ8mmほどの長卵形で、褐色の剛毛があります。

サツキ Rhododendron indicumサツキ Rhododendron indicum


越冬中の葉は赤っぽく表面には光沢があって、白っぽい毛が目立ちます。立春の日、穏やかに晴れた関東では、写真のように日差しを浴びてピカピカ輝いていました。花芽の形成は夏ごろですが、まだ蕾はよく見えない状態です。そのかわり、果実が裂開したものがたくさんあって、きれいに5つに裂けているのでまるで花が開いているかのようでした。一瞬、ガク片かなとも思ったのですが、ガクにしてはしっかりしすぎていますよね。

また、花後の剪定後など新葉が展開してきたころに、ときどき見かけるコブのように膨らんだものは、菌えいで「もち病菌」におかされているためにできたものです。

【一般名】サツキ [皐]
【別名】サツキツツジ [皐躑躅]
【学名】Rhododendron indicum
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市 (植栽)

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My Garden - お花ダイスキ!」さんの記事「さつき」にTrackbackさせていただきます!下記のようなSOSを出しておりましたら、早速、管理人のすぅさんが、助けてくださいました。鉢植えに使う用土、肥料、増やし方などがよくわかりますよ。叔父さまから譲り受けられた盆栽を大切に管理なさっておられます。

■この記事は書きかけです。
加筆、訂正してくださる協力者を求めています(Wikipedia風)。ご協力いただける方は何らかの方法でお知らせください。お知らせいただく方法はおまかせいたします。

posted by hanaboro at 17:51| 東京 ☁| Comment(10) | TrackBack(4) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月09日

キルタンサス

キルタンサス Cyrtanthus mackenii


キルタンサスは、南アフリカ原産のヒガンバナ科キルタンサス属(Cyrtanthus)の球根植物です。同属の植物は南アフリカに50種ほどが知られています。その中でも日本で最もよく栽培されているのは、マッケニー (Cyrtanthus mackenii)とその園芸品種群だといいます。花の色は、赤、ピンク、黄色、クリーム色などがあります。主な花期は冬から春にかけてですが、黄色やクリーム色の品種は花期が長く夏近くまで咲いていることもあります。

草丈は30cm〜50cmほど、葉は細長くて2枚〜5枚くらいあります。長い花茎を伸ばして散形花序に細長いラッパのような筒状の花を咲かせます。「散形花序」というのは、花序の中心となる茎(花軸)の先から数本柄が伸びて、その先端に1つずつ花がつく花序のことで、ちょうど傘の骨のような形になります。「ヒガンバナ (Lycoris radiata)」の花序も散形花序です。

上の写真では花がもう終わっていいます。終わったから花がうなだれているかのようですが、この植物、きれいに咲いている状態でもちょっと下向きかげんに咲きます。その花のつき方と細長い筒が、何とも言えないやわらかな曲線を描いて、筒の先は6つに裂け小さな花びらのようになって、やや後ろに反り返ります。属名の「Cyrtanthus」は、曲がった花という意味なんだそうです。

キルタンサス Cyrtanthus mackenii


日本での園芸的な取り扱いは春植え球根ですが、ほぼ常緑の多年草です。それほど寒さの厳しくない地方なら、屋外での越冬が可能ですが、鉢植えで花が咲いているものなどは霜よけのため軒下に避難させるなど、ちょっとは寒さ対策をした方がよさそうですね。2枚目の写真は、とある花壇で放置されていて、風雨にさらされ土壌が流出してしまったからなのか、球根(鱗茎)がむき出しになっていました。いくら浅めに植えつけるとはいってもちょっと浅すぎのような。。。

【一般名】キルタンサス
【別名】ファイアーリリー
【学名】Cyrtanthus mackenii
【科名】ヒガンバナ科 AMARYLLIDACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 18:47| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アカバナ

アカバナ Epilobium pyrricholophum


アカバナは、北、本、四、九に分布し、山野のやや湿り気のあるところに生える多年草です。草丈は、30cm〜70cmほど。アカバナという名前は花が赤いからというわけではなく、葉が紅葉する様子からつけられたのだそうです。

花は淡い桃色〜紅色で花弁は4枚です。属は違いますが同じアカバナ科の園芸種の「ヒルザキツキミソウ (Oenothera speciosa)」や帰化種の「アカバナユウゲショウ (Oenothera rosea)」などの花を小さく淡い色にしたような感じです。

花には短い柄があって、その上の部分が細長い子房になっています。さらにその上に細いがく筒があって、花の下には4枚のガク片があります。つまり、ふつう花柄に見えている部分が子房ということですね。花を上から見ると子房が明らかにガクや花弁の下にあることがわかりますが、こういう状態を「子房下位」といいます。

アカバナはアカバナ属(Epilobium)ですが、この仲間は特に雌しべの柱頭の形によって分類されています。例えば、「アカバナ」と「イワアカバナ (Epilobium cephalostigma)」はパッと見た感じがよく似ているのですが、花が咲いていて柱頭が見られれば、結構見分けられます。柱頭の先がこん棒のようにちょっと長めだったら「アカバナ」、丸くずんぐり頭のような球形だったら「イワアカバナ」です。

ただし、花がなくすでに実だけになっていると柱頭が見られないので、今度は茎などの毛に注目します。「アカバナ」の場合は、花柄の根もとの方や葉の裏側などに腺毛が生えています。これに対して、「イワアカバナ」の方は、花柄や茎に伏せた毛がたくさん生えています。とはいうものの、毛の状態は変わりやすかったりします。そこで、次は2枚対生している葉の形を見てみます。アカバナは卵状楕円形で長さ2〜6cm、イワアカバナは長楕円状披針形で長さ2〜9cm、、、つまり、アカバナの方がやや細く先がスーッとなる感じで、イワアカバナの方はちょっと太めでだだっ広い葉です。まあ、これもなかなか、絶対的な決め手となるわけではないので、やっぱり花を見たいところですね。

写真は、花が終わって果実ができているところです。細長い棒のようなものがたくさん立っていますが、これが子房だったところで、今は果実になっています。長さは5cm内外で、熟すと4つに裂けて、中からは長い毛(種髪)のついた種子が出てきます。果実が割れたときはケバケバした感じになりおもしろいものです。

【和名】アカバナ [赤花]
【学名】Epilobium pyrricholophum
【科名】アカバナ科 ONAGRACEAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

posted by hanaboro at 13:35| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月08日

セイヨウノコギリソウ

セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium


セイヨウノコギリソウは、キク科ノコギリソウ属(Achillea)の多年草です。同じ属の植物は北半球の主に温帯地域に100種ほどが知られていて、日本にも、エゾノコギリソウ (Achillea ptarmica var. macrocephala)やノコギリソウ (Achillea alpina)など数種が分布しています。

この仲間の花(頭花)は、茎の先の散房花序にたくさんつきます。1つ1つの花はさらにたくさんの小さな花(小花)が集まってできた集合花です。その小花は縁に1列〜2列に並ぶ舌状花(花びらに見える部分)と中心部の多数の筒状花からできています。縁の舌状花は雌花ですが、筒状花は両性花です。ちなみに「散房花序」というのは、花序の中心となる茎(花軸)のより下につく花の柄が長くなってより上部の花の柄が短くなるため、花がほぼ同じ高さについて平らに見える花序のことです。

セイヨウノコギリソウは花色も豊富で、白、ピンク、赤、黄色など華やかな品種がそろっています。草丈は30cm〜1mほどです。葉は地上付近でロゼット状についているものには柄がありますが、上部の茎につく葉には柄がなくなります。

葉は互生してつき、切れ込んだ部分をぬきに見たときの輪郭は細長い楕円形〜細長い披針形。長さは8cm内外、幅は1cm程度。何といっても、そのクシの歯状の深い切れ込みと切れ込んだ1つ1つの裂片の鋭いギザギザ(鋸歯)が大きな特徴ですね。「ノコギリソウ」という名前は、そんな葉の様子を鋸の歯に見立ててつけられています。クシの歯状の葉は、実際の鋸の形とは違っていますけど、日本の野生種の1つ「エゾノコギリソウ」はクシの歯状にならず、縁に鋸歯があるだけなので、鋸のイメージに近いかもしれませんね。

セイヨウノコギリソウは、花や葉も見所があって観賞用やハーブとしての栽培のほか、法面の緑化としても用いられているそうです。ただ、寒さにも強く種子で増えるほか、茎の根もとの方からは走出枝を出して増えるので、群生していることもあります。現在、日本各地で野生化し道ばたや草地などで見られます。

現在、こちら関東では、地面近くにロゼット状に葉を広げて越冬中です。越冬中の葉は、緑色のものもあれば、写真のように赤く色づいたものも見られます。根生葉の裂片はさらに小さな裂片に分かれていてそれにまた小さな鋸歯がある感じで、何だか海藻を見ているようでした。

【和名】セイヨウノコギリソウ [西洋鋸草]
【別名】アキレア、ヤロー
【学名】Achillea millefolium
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 19:49| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マツバギク

マツバギク Lampranthus spectabilis


マツバギクは、南アフリカ原産の常緑の多年草です。名前はマツの葉のように葉が細長く多肉質で、花がキクに似ていることからきています。ふつう「マツバギク」という場合、「ランプランサス属」をさすことが多いようですが、「マツバギク」というのは、1つの植物の名前というわけではなく、「デロスペルマ属(Delosperma)」と「ランプランサス属(Lampranthus)」の植物の総称ととらえることもあります。その中でもマツバギクという名前でもっともよく見られるのは「Lampranthus spectabilis」と「Delosperma cooperi」で前者を松葉菊、後者を耐寒性松葉菊ということもあるようです。また、ランプランサス属には、スペクタビリス (Lampranthus spectabilis)のほか、アウレウス (Lampranthus aureus)、ロゼウス (Lampranthus roseus)など多数の種が知られています。

草丈は10cmから品種によっては立ち上がるので40cmほどになります。花期は種によって違いがあって、春のみ開花するものや5月〜11月くらいまで長く咲きつづけるものなどがあります。花は直径5cmほどのツヤツヤとした光沢のある花で、色は桃紫色がふつうですが、そのほかに、白、赤、オレンジなどもあります。花は日の光を受けて開き、日が陰ると閉じます。

耐寒性は種類によって違いがありますが、乾燥や暑さにはとても強くて、ほったらかしでもよく地面をはうように伸びます。多肉質ということで、葉の表面はきっと光沢があってツルツルでなめらかだろうと思ってしまうんですが、マツバギクの葉は近づいてみると小さなツブツブがたくさんあって、触るとザラザラします。

このところときどき話をきくのですが、田畑のあぜの雑草防除として、背丈が低く地面をきれいに被って、管理に手間のかからない植物を用いる手法が注目され、アジュガヒメツルニチニチソウ、シバザクラなどとともに、このマツバギクも研究されているそうです。ただし、越冬中に傷んでしまうことや次年度の生育があまりよくないこともあるようですね。

名前や多肉質なところなどが似た印象の「マツバボタン (Portulaca grandiflora)」はスベリヒユ科(PORTULACACEAE)の植物で、マツバギクとはまったく別の植物です。マツバボタンは耐寒性がなく一年草です。

マツバギクは、ある程度の耐寒性があるので、それほど寒さの厳しくない地方では、屋外での越冬が可能です。現在、ここ関東の露地で越冬中の葉は、写真のように透明感のあるピンクっぽい朱色に染まっています。葉の数は少なくなっていて、茎頂に少し残っているという感じです。何だかカニのツメがあちこち転がっているようで、ちょっと不思議な感じでした。この状態だと、松の葉っぱに似ているって感じではないですね。それとも松葉ガニってことか。。。

【和名】マツバギク [松葉菊]
【学名】Lampranthus spectabilis
【科名】ツルナ科(ハマミズナ科) AIZOACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : 多肉なPeople

目の前のマツバギクがランプランサスなのか、デロスペルマなのかよくわからないことが多いです。ここを見れば確実!というポイントや記述の誤りなどがありましたら、ぜひアドバイスお願いします。「多肉なPeople」は「My Garden - お花ダイスキ!」のすぅさんが新しく作られたTrackback Peopleです。

■記事中の間違いを訂正しました(2/8)
3段目の葉について書いてある部分の記述に間違いがありました。下線のある部分「マツバギク」が「マツバボタン」となっていました。大変失礼しました。

*ここの間違いは「はなだより」のWAKAさんに教えていただきました。WAKAさんどうもありがとうございました!さらにうれしいことに現在、蕾がたくさんついている「冬のマツバギク」のTrackbackもいただきました。耐寒性のあるなしで越冬中の姿がこんなに違うんだ!とまたビックリですよ。

posted by hanaboro at 15:35| 東京 ☔| Comment(11) | TrackBack(2) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月07日

ツルニチニチソウ

ツルニチニチソウ Vinca majorツルニチニチソウ Vinca major


ツルニチニチソウは、地中海沿岸地方原産の常緑のツル性植物です。ツルの長さは10cm〜50cmほどですが、ツル植物といっても他の植物に絡まって伸びていくというわけではありません。伸びはじめのころは上に立ち上がっていますが、しだいに地にはうようになります。長く伸びた茎の途中からは根をおろして、地面をはうように広がります。日本の風土になじんで旺盛に生育し、時折野生化していることもあります。葉は対生してつき、少し分厚くロウ細工のような質感で、濃い緑一色の品種や斑入りの品種があります。葉の縁にギザギザ(鋸歯)はありません。

花の時期には、花茎だけが立ち上がる感じになります。日陰でもよく育つのですが、花は日当たりがよい方がたくさん咲くかもしれません。主な花期は4月〜6月、葉の脇(葉腋)から上に伸びた花茎に、直径2cm〜3cmほどの淡い青紫色の花を1つずつ咲かせます。花冠は5つに裂けてプロペラのような形に見えます。花の中心には五角形の溝のような部分があって、中を見ると細かい毛がたくさん生えています。

プロペラ状に5つに裂けた花や、葉や茎に毛がなくツルツルしている様子などは、キョウチクトウ科の植物だな〜と思わせます。「キョウチクトウ (Nerium indicum)」は花や葉がたくさんつく常緑低木なので、ずいぶんパッと見たときの姿は違うんですけどね。

青紫色の花がもっともふつうだと思いますが、他にも、白やワインカラーの品種などがあります。また、花や葉が小さめのものは「ヒメツルニチニチソウ (Vinca minor)」とされています。

ツルニチニチソウ Vinca majorツルニチニチソウ Vinca major


比較的温暖な地域では葉を残したまま越冬しますが、寒さが厳しいと葉は枯れてしまいます。こちらは関東でもそれほど寒さの厳しい地域ではありませんが、長く伸びた茎についていた葉はほとんどなくなってしまいました。ところが、2005年立春の日、たまたま見かけたツルニチニチソウは、ちょっと早めに伸びてしまった芽は少し傷んでいても、さらに新しく瑞々しい新芽も見られました。この時期の新芽はかなり赤いものなんですね。

【和名】ツルニチニチソウ [蔓日々草]
【別名】ビンカ、ツルキキョウ [蔓桔梗]
【英名】Greater Periwinkle
【学名】Vinca major
【科名】キョウチクトウ科 APOCYNACEAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

posted by hanaboro at 19:42| 東京 ☁| Comment(15) | TrackBack(0) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ナズナ

ナズナ Capsella bursa-pastoris


ナズナは、日本全土に分布し、田畑や道ばたなどで見られる越年草です。草丈は、10cmから大きいものでは40cmくらいにまでなります。春の七草の1つで、「ペンペングサ」という名前でもおなじみです。

花は3月〜6月、白色で直径は3mmぐらい。この小さい花が終わった後には独特の果実ができます。果実は逆さにした三角形の平べったいもので、先はちょっとへこんでいます。長さは6mmぐらい。このように短い果実を「短角果」といいます。これに対して、「アブラナ」などの果実は長くて「長角果」といいます。また、「ペンペングサ」という別名は、この果実の形を三味線のバチに見立てて、その音からきています。

秋に芽生えたものは根生葉をロゼット状に広げて越冬します。この根生葉の形がちょっとつかみどころがないのですけれど、多くの場合、羽状に深く裂けた形になっています。この形は時期や個体によっていろいろと変化するので、なかなか微妙なものです。芽生えて初めのころに出る葉はあまり切れ込んでいない個体でも、徐々に切れ込みのある根生葉を出すものもあれば、比較的最初から切れ込みが深いものもあるようです。また、春が近づいて暖かくなって茎が上に伸び始めるころには、逆に切れ込みが少ない葉が出てきたりします。さらに伸びてきた茎につく葉はほとんど裂けなくなります。

まとめると、「越冬中の根生葉は、放射状に地面にへばりついて羽状に裂けていることが多いが、羽状にならずヘラ状のものもある」という感じでしょうか。

ナズナ Capsella bursa-pastorisナズナ Capsella bursa-pastoris


上の小さい2枚の写真は、一番上の大きい写真を部分的に切り取ったものです。冬に見られる根生葉はこんなふうに羽状に切れ込んだ裂片の1つずつが細長くて、全体として魚の骨のような形に見えるものもよくあります。同じような場所にあって花がよく似ている「タネツケバナ」との違いは、果実がない場合は、この根生葉または茎につく葉でわかることもあると思います。ちなみに一番上の写真で、左隣に写っているのは「キュウリグサ」の根生葉です。

学名は、「Capsella bursa-pastoris (L.) Medik.」です。「Capsella」はナズナ属で、小さな袋という意味です。おそらく果実の形からきているのでしょうね。「bursa-pastoris」は、「bursa」がかくしポケットまたは嚢(のう)、「pastoris」は牧畜に適した、あるいは牧者、牧師という意味です。推測ですが、牧畜に携わる人の何かの入れ物と果実の形が似ているということだと思います。学名の後についている「(L.) Medik.」は、学名を命名したりその後学名を組み替えたりした人の名前が続いています。いずれも外国の人ですが、名前をつけるとき、やはりその果実の形に注目していたようです。

【和名】ナズナ [薺]
【別名】ペンペングサ
【学名】Capsella bursa-pastoris
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

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2005年02月05日

ナガミヒナゲシ

ナガミヒナゲシ Papaver dubium


ナガミヒナゲシは、もともとはヨーロッパ原産の越年草ですが、アメリカやアジアに帰化しいるといいます。日本での最初の発見は1961年のことで、東京で見つかったのだそうです。草丈は20cmから60cmになり、全体に開出した毛におおわれています。ただ、茎の上部の毛は伏せた状態になっていることが多いようですね。茎につく葉は両面ともに毛がたくさん生えていて、羽状に深く裂け(1〜2回羽状深裂して)、柄はなく、互生しています。

「互生」というのは、葉が茎に互い違いについていることで、言いかえると、1つの節に葉が1枚ずつついていることをいいます。これに対して「対生」というのは、茎の1つの節に2枚の葉が向き合ってついていることいいます。

花期は4月〜5月、蕾のついた花茎は初めキューッと折れ曲がって蕾を下に向けた状態で伸びてきます。高さ20cmぐらいに伸び開花が近づくと上を向いて、花は真上を向いて開きます。開く前の蕾は毛がたくさん生えたガクに包まれていますが、開花するとガクは落ちてなくなってしまいます。花の直径は3cm〜6cm。4枚の花弁は微妙なオレンジ色のようなサーモンピンクのような色です。結構華やかな花なので、園芸的に栽培されることもあります。また、かなり小さな個体でも花をつけることができるため、生育環境によって大小さまざまな個体が見られます。なかなか生命力がありそうですね。

花にはたくさんの雄しべがあり、黒っぽい色をしています。花の中央には円筒形の子房が見えていて、子房の上の部分には傘の骨の部分のようなものがあります。それは柱頭で放射状の円盤のようになっています。この特徴は他のケシ属(Papaver)の植物、例えば、「ヒナゲシ (Papaver rhoeas)」や「アイスランドポピー (Papaver nudicaule)」などにも共通です。

果実は2cm〜3cmの楕円形。アイスランドポピーなどの果実はずんぐりした感じですが、それと比べるとナガミヒナゲシの果実は細長い形です。その果実の形から、「ナガミヒナゲシ」という名前がついています。

ナガミヒナゲシ Papaver dubiumナガミヒナゲシ Papaver dubium


果実には小さな種子がたくさんできて、その種子は秋に芽生えます。ロゼット葉で越冬します。都市部の道路脇などをよく見ると小さな葉をロゼット状に広げています。葉の表面には毛が生えているんですが、それがツンツンと立っていておもしろい。葉の切れ込み方もなかなかユニークなものです。ちょっと分厚めの葉で、多肉質っぽい雰囲気もあったりして、葉の縁や柄の部分は赤みを帯びていました。

【和名】ナガミヒナゲシ [長実雛罌粟]
【英名】field poppy
【学名】Papaver dubium
【科名】ケシ科 PAPAVERACEAE
【撮影日】2005/02/05
【撮影地】東京都日野市

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セイヨウジュウニヒトエ

セイヨウジュウニヒトエ Ajuga reptans


セイヨウキランソウは、シソ科キランソウ属(Ajuga)の植物で、一般に「アジュガ」または「ジュウニヒトエ」などといわれています。同じ属の仲間(アジュガの仲間)はヨーロッパからアジアにかけて40種ほどが知られていて、日本にも数種が分布しています。しかも、本州や四国の丘陵地などでは「ジュウニヒトエ (Ajuga nipponensis)」という種が見られます。日本の野生種のジュウニヒトエは、葉の表面の光沢はやや少なく全体が白い毛でおおわれていて、花は薄紫色か白色です。また人家近くでよく見られる「キランソウ (Ajuga decumbens)」は花茎は立ち上がりませんが、濃い紫色で花はアジュガとよく似ています。

花期は4月〜6月、花茎が立ち上がったときの高さは、15cm〜20cmほどです。花の基部は筒状にくっついたシソ科の植物によく見られる唇形花で、2つに裂けた上唇と大きくて3つに裂けた下唇にわかれています。こういうふうに上下に2つに分かれている形を「ニ唇形」といいます。群生したところで、穂状の花序に多数の花が咲いている様子はなかなか壮観です。

花色は青、紫、白、ピンクなどです。花色の違う品種のほかに、斑入りや緑葉、銅葉、紫葉などいろいろと葉色の美しい品種もあります。丈夫な性質で、耐暑性、耐寒性ともにすぐれていることや、日当たりのよい場所でも、日陰でも生育し走出枝(ランナー)を出してグングン増えるので、グランドカバーとしてよく植えられています。ただし、どちらかといえば日陰の方が葉の色がいいし、日当たりだと乾燥しすぎてよくしおれていますよね〜。

セイヨウジュウニヒトエ Ajuga reptans


寒い地域だともう少し地上部は少ないあるいは出ていないのかもしれないですが、こちら関東の雪の少ないいところでは、地面にロゼット状に葉を広げて越冬している姿がよく見られます。園芸的な取り扱いは、常緑宿根草となっていますね。写真のものは濃い紫色の葉で表面はかなり光沢があります。冬なので、葉の色は特に濃いめに出ていると思いますが、それにしても独特の光沢。葉脈や葉の根もとの方は紫紅色。ツルッした葉に見えますが、表面には短毛がたくさん生えていました。

写真は2枚とも立春の日に撮影したものですが、中央付近の新芽はすでに動き出しています。この株のある場所はそれほど日当たりのいい場所でもなく、冬でもポカポカという感じではなかったのですが、それでも、もうすでに春を感じ取っているように見えました。

ちなみに学名の「reptans」は「匍匐性の」という意味です。

【和名】セイヨウジュウニヒトエ [西洋十二単]
【別名】アジュガ、ツルジュウニヒトエ、ヨウシュジュウニヒトエ、
セイヨウキランソウ、ジュウニヒトエ
【学名】Ajuga reptans
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事→キランソウ

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2005年02月04日

モウセンゴケ (No.2)

モウセンゴケ Drosera rotundifolia


モウセンゴケはモウセンゴケ科(DROSERACEAE)モウセンゴケ属(Drosera)の植物です。同属は世界的に見ると、200種ほどが知られていて、すべて食虫植物です。葉には先端がツブツブになった腺毛があって、そのツブツブのところからは粘液が出ています。そこに触れた虫はくっついてしまい、さらに腺毛と葉が虫を包み込むように曲がって腺毛から数種類の消化酵素を分泌して吸収します。

葉の先は丸く長い柄があって、スプーンのようなしゃもじのような形の葉です。これを図鑑風にいうと「葉は倒卵状の球形で、基部はくびれて長い柄に続きます」という感じです。丸い部分の長さは1cm程度、柄の部分を入れると数cm〜長いもので15cmほどにはなりますが、ロゼット状に根生していますし、印象としてはすごく小さい植物となるでしょう。

葉の腺毛は赤く、群生すると地面が真っ赤に染まった様子が、まるで赤い毛氈(もうせん)を敷きつめたように見えるということから、その名前がつけられています。「コケ」は小型であるところからきています。学名は「Drosera rotundifolia L.」なので、学名の命名者は「リンネ」だということは、すぐわかるんですけどね。和名はどうですかね。

日本各地をはじめ、北半球に広く分布し、日当たりのよい湿地に生育している多年草で、比較的夏の暑さが厳しいところでは、夏に葉が傷んでしまいますが、再び秋には新しい葉が出てきます。さらに種子も発芽するのは秋だそうです。

モウセンゴケ Drosera rotundifolia


とある湿地では特に池塘付近に多くて、それこそ赤い毛氈を敷きつめたように、真っ赤に彩られていることがあります。池塘に集まる虫をくっつけて消化吸収できるチャンスが増えるからなのかどうかはわかりませんが、とにかく目を引く場所ですね。一口に湿地といっても、湿原の大小に関わらずいろんな状態の環境が入り乱れているものですよね。その微妙な環境の違いで、生えている植物の種類もいろいろと変化します。そんな中、比較的、モウセンゴケは、いろんな環境に適応できるのかもしれません。池塘付近ほどの群生ではないにしても表面が乾燥気味の湿地でもかなり生育しているようですね。

花は6月〜8月。花茎は最初、蕾のある先の方(花序の部分)がクルッと巻いた状態で伸びてきます。そして花茎がある程度の高さまで伸びると、花序の下部の蕾から開花しはじめます。まだ、このときは、花序が巻いた状態ですが花が咲き進むにつれて、巻いた部分もまっすぐになって伸びていきます。その後、一番上の花が開いて最終的には、花茎全体がまっすぐになって、高さは15cm〜20cmほどに達します。上の写真では、一応、中央付近から上に向かって1本伸びている、赤っぽくて細長い棒のようなものが花茎です。ただし、一度にたくさんの花が開いているわけではなく、広い湿原では花や楕円形の果実は目につかないことが多いかもしれません。

コモウセンゴケ(Drosera spathulata)の花序には腺毛がありますが、モウセンゴケの花序には腺毛はありません。

モウセンゴケ Drosera rotundifolia左の写真は、ちょうど一番上の花が咲いたところです。花序の下の蕾から順に上に開いていくので、この花序の花は、写っている花で終了です。すでに花序はまっすぐに立っています。すべての花が終わった花序の様子は前回の記事でご紹介済みですのでよろしかったらそちらもどうぞ。

前回のモウセンゴケの記事


特徴的な葉に目が引き付けられますけれど、花にも見所があって、先の丸い白い5弁の花はよく整った形をしています。直径1cmあるかどうか程度の大きさで、雄しべは5本、花柱は3つありますがさらに2つに分かれていて6本あるようにも見えます。雄しべの葯の色は、黄色や赤になる植物も多いですが、モウセンゴケは白いなあ。

【和名】モウセンゴケ [毛氈苔]
【英名】Sundew
【学名】Drosera rotundifolia
【科名】モウセンゴケ科 DROSERACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県南会津郡檜枝岐村

■当ブログ内関連記事→モウセンゴケ

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2005年02月03日

コフウロ

コフウロ Geranium tripartitum


コフウロは、本州、四国、九州の山地の林内に生える多年草です。フウロソウ科フウロソウ属(Geranium)の植物で、フウロソウ科は世界的に見ると5属700種ほどが知られています。園芸的に栽培されるものも多く特にPelargonium属とされるいわゆる「ゼラニウム」や「ぺラルゴ二ウム」には多彩な品種があります。また、フウロソウ属は世界に250種ほど、国内に12種ほどがあります。園芸種の「ゲラニウム」も多く見られるようになったと思います。なかなか、華やかなものが多い中、このコフウロはかなりおとなしい。

分布している地域はそれほど狭いわけではないですし、あるところには比較的多く生えていますが、どこにでもある種というわけではなく、地域によってはレッドリスト(絶滅のおそれのある動植物のリスト)に入っている場合があります。全国的に見ると、平成12年(2000年)刊行、環境省の維管束植物のレッドデーターブックには掲載されていません。

花は8月〜9月、直径1cm〜1.5cm程度です。白色の花弁は5枚で、ガク片も5枚あります。中央の薄いピンク色の花柱は先が5つに裂けて、クルッと下に巻いています。雄しべの先の葯(花粉のあるところ)は濃い紫っぽい色です。ガクの先は細い針状になっています。花弁には5本ほどの筋が入るところなど、山野に多く見られる「ゲンノショウコ (Geranium thunbergii)」に似ています。

ゲンノショウコと違っている点はいくつかありますが、結構重要なのが腺毛の有無です。「腺毛」というのは、毛の先がツブがついたように球状に膨らんでいる毛で、膨らんだ部分からは粘液が出ます。ゲンノショウコは全体的に毛が多くて茎や葉に毛が生えていますが、茎の上部、葉柄、花柄、ガクの毛には腺毛がまじっています。これに対して、コフウロの方はガク片の毛は目立ちますが、腺毛ではありません。

上の写真は、すでに花が終わって、花弁はなくなってしまっています。5枚のガクが残っていて、中央部にはちょっとだけ先がクルッと巻いた花柱も見えます。受精に成功していれば、長く伸びて長さ1cmぐらいの果実ができます。

コフウロ Geranium tripartitumコフウロ Geranium tripartitum


もう1つ、コフウロを同定するポイントとなるのは葉の形ですね。葉は3裂または5裂します。この裂けかたが重要です。葉の裂片は付け根まで完全に裂けます。このように完全に裂けることを「全裂する」といいます。葉は茎に互生します。よく似たミツバフウロは全裂せず深く裂けた葉で対生します。ゲンノショウコも深く裂けた葉です。

上の2つの小さい写真は一応、コフウロの葉です。ピンボケ写真の葉の部分だけをトリミングしたものなので、詳細などまったくわかりませんね。何となく輪郭だけでもこんな感じっていうのを見ていただけたらなと思います。

【和名】コフウロ [小風露]
【学名】Geranium tripartitum
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

posted by hanaboro at 20:41| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スズメノヤリ

スズメノヤリ Luzula capitata


スズメノヤリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、草丈の低い草地にふつうに見られる多年草です。ときどき草が刈り取られる田畑のあぜや芝生に多く見られます。

上に伸びた茎の先に花がつき、花の時期には草丈10cm〜20cmになります。花のつく茎にも葉がつきますが、小さめで数も2〜3枚です。多くの葉が根生葉です。根生葉というのは、「根出葉」または、「ロゼット」ということもありますが、地面近くの根もとのほとんど節間のない茎から出ている葉のことです。ダイコンやタンポポの葉などがそれにあたります。

スズメノヤリの根生葉は、長さ5cm〜15cmほど、幅は数mmで細長い線形です。写真を見てもらうとわかると思いますが、そういう細長い葉の形を「線形」とか「広線形」といいます。スズメノヤリの場合、縁に白くて長い毛が生えているのが特徴です。越冬中の根生葉は色が紫褐色になっていましたが、長い毛は健在でした。このような長い毛は伸びる茎につく葉(茎葉)にも生えます。

葉の基部はさやのようになって、茎を取り囲みます。このさやの部分のことを「葉鞘(ようしょう)」といいますが、葉鞘が完全に筒のようになって茎を取り囲むというのも、スズメノヤリの仲間(Luzula)の特徴です。といっても今回の写真では、そんなことは何にもわかりませんけどね。。。

花は4月〜5月、茎の先にたくさん集まってつきます。これを「頭花」といったりします。頭花の下にはふつう1対の苞葉がぺロッぺロッとついていて、これにも長い毛があります。イグサ科の植物で、いわゆる派手な花びらはありませんが、花びらまたは、ガクや花弁に当たる「花被片(かひへん)」というのがあります。花被片は茶褐色で長さは2mm〜3mmです。雌しべの先にある3個の柱頭や6本ある雄しべの葯(花粉のあるところ)が黄色いので、パッと見たときに花の塊が茶褐色のような黄色っぽいような感じに見えます。

スズメノヤリの花には、雌の時期(雌性期)と雄の時期(雄性期)があります。雌しべの方が先に成熟しますが、受精前はまだ花被片が閉じていて、先端の方からチョロチョロッと柱頭がはみ出しているような状態です。花被片は受精後に開いてきて、今度は雄しべが成熟します。このように時期がずれることで、同じ花同士の受粉が避けられるわけですね。数mmしかないような花なのによくこんな仕組みをもっているものだな〜と改めて思うのでした。

名前は、たくさんの花が集まってできている部分の形を大名行列の毛槍に見立ててつけられています。「スズメ」というのは、小さいという意味で使われています。

【和名】スズメノヤリ [雀の槍]
【別名】スズメノヒエ
【学名】Luzula capitata
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

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2005年02月02日

ヒマラヤトキワサンザシ

ヒマラヤトキワサンザシ Pyracantha crenulata


ヒマラヤトキワサンザシは、ヒマラヤ原産の常緑低木で、「ピラカンサ」と呼ばれるものの1つです。日本には昭和になってから渡来したといいます。ピラカンサというのはふつう、本種の他に「トキワサンザシ (Pyracantha coccinea)」、「タチバナモドキ (Pyracantha angustifolia)」を含めたバラ科トキワサンザシ属(Pyracantha)の総称です。この3者の区別は少々わかりづらいこともあります。

タチバナモドキは果実があれば、黄土色っぽい橙色、縁にはギザギザ(鋸歯)がなく全縁のことが多く、葉の裏には白っぽい軟毛があります。トキワサンザシの場合は、葉の縁に細かい鋸歯があって、両面には毛がなく果実も赤い点など、ヒマラヤトキワサンザシととてもよく似ていて、区別はなかなか大変です。比較的、枝が長く伸び、葉の幅が広くて樹高も高くなることなどで一応わかることもあります。

高さは2mほどになるそうですが、写真のものは1.2mほどにきれいにそろえられていて、野生化したものではなく、ちゃんと管理されているものだとわかりました。2004年12月半ばの撮影でしたが、実のつきもとてもよくて、まばゆいほどの艶やかな赤い果実がたくさんついていました。

ヒマラヤトキワサンザシ Pyracantha crenulataヒマラヤトキワサンザシ Pyracantha crenulata


また、先ほど、葉は両面無毛と書きましたが、どうやら、新芽から展開したすぐのころは、両面に白っぽい軟毛があるようですね。特に新しく伸びてきた枝や葉の裏には毛がたくさん生えています(写真左)。花が咲くころの葉の場合、表面には光沢があって裏はやや薄めの緑色になり、両面とも毛がないので、しばらくすると脱落するということでしょうね。

確かに10月ごろから冬にかけて真っ赤に色づく果実は美しい。野鳥たちにとってもご馳走のようで、種子は野鳥によって散布されているようです。植えてもいないのに勝手に生えてきたりしますからね。枝にはかなり鋭いトゲがあるので、取り扱い注意です。直径8mm程度の光沢のある果実は、ほぼ球形ですが、ちょっとつぶれたように平たくなっています。果実の上部には茶色っぽくなったガクや花の痕跡が見られ、なるほど、子房下位の花だなと思わせます。

果実は確かに観賞価値は高いでしょう。でもまぶしすぎると感じることもある。自分にとっては、同時に見られるちょっと伸びてきた新芽で十分だったりします。枝は赤みを帯びていてきれい(写真右)。先が尖っているところなんかは鋭いトゲをつけるその片鱗を見たような気はしましたけれど。。。

花は5月〜6月。直径は1cmほどの白い5弁の花です。

【和名】ヒマラヤトキワサンザシ
【別名】インドトキワサンザシ、カザンデマリ
【学名】Pyracantha crenulata
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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アリノトウグサ

アリノトウグサ Haloragis micrantha


アリノトウグサは、日本全土に分布し、日本以外でも東南アジアに分布しています。山野の日当たりのよい湿った場所から乾燥気味のところまで生育しています。草丈は10cm〜30cmほどの多年草です。

花期は7月〜9月。パッと見たところでは、茎の上部花序に赤いプツプツがついている状態なので、花の様子はよくわからなかったりします。プツプツとついている赤いもの1つ1つが花なんですが、この花の観察にはルーペがあった方がいいですね。この小さい花をアリに例え、草全体の様子を蟻塚に見立てて「アリノトウグサ」と呼ばれています。

長さ1mm〜2mm程度の花には、雄の時期(雄性期)と雌の時期(雌性期)があります。まず先に成熟するのは雄しべです。雄しべは8本あって、花は下向きなので丸い筒状のガクから突き出てぶら下がったように見えます。雄の時期には花弁が4枚反り返ってついていますが、雌しべが成熟するころには雄しべとともに落ちてなくなってしまいます。その後伸びてくる雌しべの柱頭は赤くてモシャモシャした羽毛状です。

こんなに花のことを書いても今回の写真には葉しか写っていませんので、ここではまったくわかりませんね。でもこの葉や茎の様子も独特なので、花がなくてもそれとわかると思います。葉は長さ1cmほどで卵形、葉の縁のギザギザ(鋸歯)はするどくありません。赤みを帯びることの多い茎に葉は対生してつきます。茎の下部のほうは、よく地面をはっています。はった茎の節からは新らたに茎を伸ばして立ち上がり上部に花をつけるので、よく密集して花を咲かせています。葉は秋には赤く紅葉するので、小さな葉ですがきれいなものです。

今回の写真では、ほとんど水につかった状態で見慣れた状態とはちょっと違っていたので、一瞬ギョギョっとしましたが、日当たりがよければ、乾燥していても、湿地付近で水につかってしまうような場所でも生育が可能なようですね。

【和名】アリノトウグサ [蟻の塔草]
【学名】Haloragis micrantha
【科名】アリノトウグサ科 HALORAGACEAE
【撮影日】2004/09/21
【撮影地】愛知県豊橋市

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2005年02月01日

ツワブキ

ツワブキ Farfugium japonicum


ツワブキは、本州(太平洋側では福島以西、日本海側では石川以西)、四国、九州、沖縄の海岸近くの岩場や崖などに生える多年草です。草丈は花時期で30cm〜70cmほどになります。冬でも地上に葉を出していて、光沢がありツヤツヤしているので「ツヤブキ(艶蕗)」と呼ばれていたものが、「ツワブキ」となったといいます。

展開する前の若い葉は巻き込まれた状態で、褐色の綿毛が密生しています。若い葉柄にも褐色の綿毛が密生していますが、これを佃煮にしたものを「キャラブキ」といいます。「フキ(蕗 Petasites japonicus)」も同じように佃煮にしますが、ツワブキとフキは別属に分類されています。フキは雌株と雄株が別の株(雌雄異株)で、両性花は結実しません。また、葉がフキに似ている「ノブキ (Adenocaulon himalaicum)」という種もありますが、こちらは中心部の両性花は結実せず、周辺の雌花のみ結実し冠毛のない種子ができます。

黄色の花はよく映え、花の少なくなる時期に咲くことや、濃い緑で艶のある葉は常緑で、日陰でもよく育つことでも好まれ、よく庭に植えられています。いろいろと園芸種も栽培されていて、例えば葉の縁が縮れる「ボタンツワブキ」、舌状花のみの「ヤエツワブキ」などがあります。

花は10月〜12月。花は直径5cmほどで、細長い黄色い花びらに見えるのは雌性の舌状花です。中央部分にはたくさんの筒状花があって、これは両性花です。両性花は外側にあるものから咲き始め、徐々に中央部へと開いていきます。ツワブキの場合は舌状花も筒状花も両方とも結実します。さらに、花の下の部分は全体としては幅の広い筒形になっていて、「総苞」といいます。総苞の部分には1つ1つはちょっと分厚くて先がとがった細長い総苞片がきれいに1列に並んでいます。

ツワブキ Farfugium japonicum撮影地は関東の丘陵地で、写っている個体は自生のものではありません。ヒマラヤスギの株元にひっそり生えていました。ここでは2004年、11月ごろ開花していました。現在は花はすでに終わっていて、冠毛が広がって種子を飛ばすころなんですが、どうも様子がおかしいですね。枝分かれしたほとんどの花茎は弱々しく垂れ下がってしまっています。まだ、種子はあまり飛ばされていないようですが。。。


写真の場所はあまり肥沃なところではないので、株も小さめです。葉は長さ幅ともに20cm程度です。生育のよいものだと40cmくらいにまでなります。写真の株は斜面に生えていて上からしか近づけず、むこう向きに伸びているし腕を伸ばしてやっと撮影。寒くて、体は硬直。もう少しで転がっていってしまいそうでしたね。。。

ツワブキ Farfugium japonicumツワブキ Farfugium japonicum


種子にはちょっと濁った感じの渋めの綿毛(冠毛)ができます。この冠毛によって風に乗り種子が散布されます。左の写真は反り返って黒くなった総苞片しか残ってなく、もうすでに種子が飛ばされた後のようです。右は冠毛が広がってちょうどこれから種子を飛ばす準備ができたところでしょう。また、このように種子で繁殖するほか、地下茎でも繁殖します。地下茎からは春になると芽が伸びてきます。

【和名】ツワブキ [石蕗]
【学名】Farfugium japonicum
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

■Trackback
ひなっぺた通信さんの記事「■ツワブキの綿毛」にトラックバックさせていただきます。
寒い時期でもとてもあたたかそうなツワブキがかわいいですよ。当ブログでは寒々としたツワブキになってしまいましたが、ぜひひなっぺたさんのツワブキの綿毛であたたかくなってください。

■当ブログ内関連記事→ノブキ

posted by hanaboro at 17:23| 東京 ☀| Comment(5) | TrackBack(2) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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