2005年02月03日

コフウロ

コフウロ Geranium tripartitum


コフウロは、本州、四国、九州の山地の林内に生える多年草です。フウロソウ科フウロソウ属(Geranium)の植物で、フウロソウ科は世界的に見ると5属700種ほどが知られています。園芸的に栽培されるものも多く特にPelargonium属とされるいわゆる「ゼラニウム」や「ぺラルゴ二ウム」には多彩な品種があります。また、フウロソウ属は世界に250種ほど、国内に12種ほどがあります。園芸種の「ゲラニウム」も多く見られるようになったと思います。なかなか、華やかなものが多い中、このコフウロはかなりおとなしい。

分布している地域はそれほど狭いわけではないですし、あるところには比較的多く生えていますが、どこにでもある種というわけではなく、地域によってはレッドリスト(絶滅のおそれのある動植物のリスト)に入っている場合があります。全国的に見ると、平成12年(2000年)刊行、環境省の維管束植物のレッドデーターブックには掲載されていません。

花は8月〜9月、直径1cm〜1.5cm程度です。白色の花弁は5枚で、ガク片も5枚あります。中央の薄いピンク色の花柱は先が5つに裂けて、クルッと下に巻いています。雄しべの先の葯(花粉のあるところ)は濃い紫っぽい色です。ガクの先は細い針状になっています。花弁には5本ほどの筋が入るところなど、山野に多く見られる「ゲンノショウコ (Geranium thunbergii)」に似ています。

ゲンノショウコと違っている点はいくつかありますが、結構重要なのが腺毛の有無です。「腺毛」というのは、毛の先がツブがついたように球状に膨らんでいる毛で、膨らんだ部分からは粘液が出ます。ゲンノショウコは全体的に毛が多くて茎や葉に毛が生えていますが、茎の上部、葉柄、花柄、ガクの毛には腺毛がまじっています。これに対して、コフウロの方はガク片の毛は目立ちますが、腺毛ではありません。

上の写真は、すでに花が終わって、花弁はなくなってしまっています。5枚のガクが残っていて、中央部にはちょっとだけ先がクルッと巻いた花柱も見えます。受精に成功していれば、長く伸びて長さ1cmぐらいの果実ができます。

コフウロ Geranium tripartitumコフウロ Geranium tripartitum


もう1つ、コフウロを同定するポイントとなるのは葉の形ですね。葉は3裂または5裂します。この裂けかたが重要です。葉の裂片は付け根まで完全に裂けます。このように完全に裂けることを「全裂する」といいます。葉は茎に互生します。よく似たミツバフウロは全裂せず深く裂けた葉で対生します。ゲンノショウコも深く裂けた葉です。

上の2つの小さい写真は一応、コフウロの葉です。ピンボケ写真の葉の部分だけをトリミングしたものなので、詳細などまったくわかりませんね。何となく輪郭だけでもこんな感じっていうのを見ていただけたらなと思います。

【和名】コフウロ [小風露]
【学名】Geranium tripartitum
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
【撮影日】2004/09/16
【撮影地】山梨県山中湖村

posted by hanaboro at 20:41| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スズメノヤリ

スズメノヤリ Luzula capitata


スズメノヤリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、草丈の低い草地にふつうに見られる多年草です。ときどき草が刈り取られる田畑のあぜや芝生に多く見られます。

上に伸びた茎の先に花がつき、花の時期には草丈10cm〜20cmになります。花のつく茎にも葉がつきますが、小さめで数も2〜3枚です。多くの葉が根生葉です。根生葉というのは、「根出葉」または、「ロゼット」ということもありますが、地面近くの根もとのほとんど節間のない茎から出ている葉のことです。ダイコンやタンポポの葉などがそれにあたります。

スズメノヤリの根生葉は、長さ5cm〜15cmほど、幅は数mmで細長い線形です。写真を見てもらうとわかると思いますが、そういう細長い葉の形を「線形」とか「広線形」といいます。スズメノヤリの場合、縁に白くて長い毛が生えているのが特徴です。越冬中の根生葉は色が紫褐色になっていましたが、長い毛は健在でした。このような長い毛は伸びる茎につく葉(茎葉)にも生えます。

葉の基部はさやのようになって、茎を取り囲みます。このさやの部分のことを「葉鞘(ようしょう)」といいますが、葉鞘が完全に筒のようになって茎を取り囲むというのも、スズメノヤリの仲間(Luzula)の特徴です。といっても今回の写真では、そんなことは何にもわかりませんけどね。。。

花は4月〜5月、茎の先にたくさん集まってつきます。これを「頭花」といったりします。頭花の下にはふつう1対の苞葉がぺロッぺロッとついていて、これにも長い毛があります。イグサ科の植物で、いわゆる派手な花びらはありませんが、花びらまたは、ガクや花弁に当たる「花被片(かひへん)」というのがあります。花被片は茶褐色で長さは2mm〜3mmです。雌しべの先にある3個の柱頭や6本ある雄しべの葯(花粉のあるところ)が黄色いので、パッと見たときに花の塊が茶褐色のような黄色っぽいような感じに見えます。

スズメノヤリの花には、雌の時期(雌性期)と雄の時期(雄性期)があります。雌しべの方が先に成熟しますが、受精前はまだ花被片が閉じていて、先端の方からチョロチョロッと柱頭がはみ出しているような状態です。花被片は受精後に開いてきて、今度は雄しべが成熟します。このように時期がずれることで、同じ花同士の受粉が避けられるわけですね。数mmしかないような花なのによくこんな仕組みをもっているものだな〜と改めて思うのでした。

名前は、たくさんの花が集まってできている部分の形を大名行列の毛槍に見立ててつけられています。「スズメ」というのは、小さいという意味で使われています。

【和名】スズメノヤリ [雀の槍]
【別名】スズメノヒエ
【学名】Luzula capitata
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 13:09| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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