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ナガミヒナゲシは、もともとはヨーロッパ原産の越年草ですが、アメリカやアジアに帰化しいるといいます。日本での最初の発見は1961年のことで、東京で見つかったのだそうです。草丈は20cmから60cmになり、全体に開出した毛におおわれています。ただ、茎の上部の毛は伏せた状態になっていることが多いようですね。茎につく葉は両面ともに毛がたくさん生えていて、羽状に深く裂け(1〜2回羽状深裂して)、柄はなく、互生しています。
「互生」というのは、葉が茎に互い違いについていることで、言いかえると、1つの節に葉が1枚ずつついていることをいいます。これに対して「対生」というのは、茎の1つの節に2枚の葉が向き合ってついていることいいます。
花期は4月〜5月、蕾のついた花茎は初めキューッと折れ曲がって蕾を下に向けた状態で伸びてきます。高さ20cmぐらいに伸び開花が近づくと上を向いて、花は真上を向いて開きます。開く前の蕾は毛がたくさん生えたガクに包まれていますが、開花するとガクは落ちてなくなってしまいます。花の直径は3cm〜6cm。4枚の花弁は微妙なオレンジ色のようなサーモンピンクのような色です。結構華やかな花なので、園芸的に栽培されることもあります。また、かなり小さな個体でも花をつけることができるため、生育環境によって大小さまざまな個体が見られます。なかなか生命力がありそうですね。
花にはたくさんの雄しべがあり、黒っぽい色をしています。花の中央には円筒形の子房が見えていて、子房の上の部分には傘の骨の部分のようなものがあります。それは柱頭で放射状の円盤のようになっています。この特徴は他のケシ属(Papaver)の植物、例えば、「ヒナゲシ (Papaver rhoeas)」や「アイスランドポピー (Papaver nudicaule)」などにも共通です。
果実は2cm〜3cmの楕円形。アイスランドポピーなどの果実はずんぐりした感じですが、それと比べるとナガミヒナゲシの果実は細長い形です。その果実の形から、「ナガミヒナゲシ」という名前がついています。
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果実には小さな種子がたくさんできて、その種子は秋に芽生えます。ロゼット葉で越冬します。都市部の道路脇などをよく見ると小さな葉をロゼット状に広げています。葉の表面には毛が生えているんですが、それがツンツンと立っていておもしろい。葉の切れ込み方もなかなかユニークなものです。ちょっと分厚めの葉で、多肉質っぽい雰囲気もあったりして、葉の縁や柄の部分は赤みを帯びていました。
【和名】ナガミヒナゲシ [長実雛罌粟]
【英名】field poppy
【学名】Papaver dubium
【科名】ケシ科 PAPAVERACEAE
【撮影日】2005/02/05
【撮影地】東京都日野市
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