2005年02月22日

タムラソウ

タムラソウ Serratula coronata var. insularis


タムラソウは、本州、四国、九州の日当たりのよい山地の草原などに生える多年草です。花期は8月〜10月。キク科の植物ですが、花(頭花)にはいわゆる花びらに見える舌状花はなく、すべて筒状花で、一番外側の筒状花は特に細く雄しべや雌しべを欠いています。直径3cm〜4cmにもなる花冠は赤紫色、総苞には瓦のように重なった総苞片があります。総苞は幅の広い卵形でボッテリした感じ、総苞片の先は糸のように細くなっています。

花だけを遠目から見ると、アザミ属(Cirsium)の植物によく似ていますが、同じような環境に生えていて上向きに花をつけるアザミ属はそう多くはありません。だいたい思い当たるのは、ノアザミとノハラアザミあたりではないでしょうか。そのあたりとの違いを押えておけば、よいと思います。葉を見れば一目瞭然で、タムラソウの葉にはトゲがありません。羽状複葉の切れ込みも深く、質が薄くて、湾曲する感じがあって、ちょっと力なく垂れ下がるように見えることがあります。

遠めに花を見た場合だと、タムラソウの上部はよく分枝します。アザミ属の花冠が整った形であるのに対して、タムラソウの花冠は咲き進むにつれてボサボサ感が出てきます。また、アザミ属のように冠毛が羽毛状にならないし、ノアザミやノハラアザミよりは草丈がちょっと高めです。大きいものでは1.5mくらいになります。見慣れてくると、その立ち姿が違うので、似ているようには見えなくなるかもしれません。

あっ、いろいろ書いてますが、写真ではよくわかりませんね。花は終わっていて、総苞、花冠ともに茶色になっていますから。撮影地は、標高1000mちょっとの草原なんですが、9月下旬でもうすでにこんな状態でした。アザミ属ならこんなに茶色になってくると、すでにモワモワと冠毛(綿毛)つきの種子がわきでているんですが、写真では見当たりませんよね。

撮影中、雷鳴が次第に近づいてきて、この後、筆者は大雨にあって、ずぶ濡れになるのでした。。。

【和名】タムラソウ [田村草]
【学名】Serratula coronata var. insularis
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/09/23
【撮影地】山梨県牧丘町

posted by hanaboro at 18:59| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウメハタザオ

ウメハタザオ Arabis serrata var. japonica f. grandiflora


ウメハタザオは、一般的な図鑑を見ると、「フジハタザオの変種のイワハタザオの高山型」となっていて、本州の東北〜中部の一部の高山に分布するとされています。「
フジハタザオ (Arabis serrata)」は、名前のとおり富士山の砂礫地に生える草丈10cm〜20cmほどの多年草です。長さ2cm〜3cm、幅は1cmに満たないくらいの根生葉をロゼット状に広げますが、この根生葉の縁のギザギザ(鋸歯)がやや深めです。ウメハタザオでは鋸歯が浅めになります。「イワハタザオ (Arabis serrata var. japonica)」は、本州中部以北の山地帯に生育しています。草丈は30cm〜40cmと大きめで、葉の鋸歯はフジハタザオよりは浅めです。

フジハタザオの仲間はとても変異が多くで、他にも種内分類群がいくつも記載されています。東北地方の一部には「イワテハタザオ (Arabis serrata var. japonica f. fauriei)」、北海道と東北の高山帯には「エゾイワハタザオ (Arabis serrata var. glanca)」が生育するとされています。ただし、これらを広く取り扱うか、細かく分けるかについては、いろいろと見解の分かれるところかもしれません。

ところで、今回の写真は、果たしてどうなのか。花も実もない状態で、同定するのはなかなか大変で、わざわざ名前を調べなくてもいいのでしょうが、まあ、どうにかやってみることにします。こういう場合はかなりの度合いで、既存の図鑑の記載されている分布域を信用することになります。あとは、生育環境を見たり、葉だけしかないのでじっくりと葉を観察するのみです。

撮影地は南アルプス北部の標高3000m付近の岩場です。そこで、葉の形に注目すると、真ん中より先の方にちょっと鋸歯があります。根生葉が岩にへばりついてこんな形をしていたら、ユキノシタ科の「クモマグサ」を思い浮かべるのですが、南アルプスには記録がないようです。それによく見ると葉の表面が高山帯のアブラナ科っぽいザラザラとした感じがあります。このザラザラ感は、ハタザオ属の大きな特徴でもあって、毛が放射状にいくつも分かれて星の形に見える「星状毛」、先が2つに分かれた「二分岐毛」、それにふつうの毛「単純毛」が茎や葉の両面に密生しています。クモマグサの場合はもっと肉質で、縁に腺毛が生えていますが表面には少なくもっとツルツル感があります。

そこで、高山性のアブラナ科植物にターゲットを絞りますが、これだけではまだ、たくさんの種類が候補にあがってしまいます。検索表から行ってもよいのですが、どうしても観察できる形質が足りなくなりるので、図鑑の写真と1つ1つ見比べていくことにします。分布域に頼る部分も大きくなりますが、もう仕方ありません。それで、何度もページをめくっているうちに、フジハタザオ付近に到達したわけです。そうすると、分布域と生育地から、「ウメハタザオ」だろうということに落ち着きました。ただし、これはいい加減なものでとても苦しい同定ですから、参考にはなりませんね。

【和名】ウメハタザオ [梅旗竿]
【学名】Arabis serrata var. japonica f. grandflora
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2004/08/26
【撮影地】長野県長谷村

posted by hanaboro at 12:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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