2005年03月19日

タツナミソウ

タツナミソウ Scutellaria indica


タツナミソウは、本州、四国、九州に分布し、山野の林縁や草地に生える多年草です。茎は赤みを帯び、白っぽい毛がたくさん生えています。高さは20cm〜40cmほど。葉は、幅の広い卵形で、長さも幅も1cm〜2.5cmほど、先端には丸みがあります。両面ともに軟毛が生えています。

また、「コバノタツナミ (Scutellaria indica var. parvifolia)」は、タツナミソウの変種で、葉は長さ、幅ともに1cm内外、ビロード状に短毛が密生します。本州伊豆半島以西〜九州の海岸に近い地域の山野に生えるとされています。

花期は5月〜6月。茎の先に5cm程度の花序を出して、一方向にかたよって花を咲かせます。花(花冠)は、紅紫色〜青紫色。長さは2cmほどの唇形花です。名前は、その花の咲く姿を打ち寄せる波に見立ててつけられています。

花冠も特徴的ですが、この仲間はガクの形も変わっています。花が咲いている間は、花に目がいきますが、花が終わると途端に、ガクが目立ち始めます。ガクは上下2つに分かれていて、それぞれ「上唇」、「下唇」といいます。上唇の背側の先には半円形のふくらみがあって、内側には紫色の斑点があります。花が終わった後、ガクは閉じてその中で果実が熟していきます。果実が熟すと、上唇が落ちてなくなり、中の種子がこぼれやすい状態になります。その後も下唇だけはずっと花序に残って、お皿のような形のものがたくさんついたまま立ち枯れていきます。これを見ると、花のない時期でも「タツナミソウ属」の植物だなっとわかると思います。

写真のものは栽培されていたものが、ちょっと逃げ出した感じで生えていたものです。まだ、冬を越したばかりでこの状態で、葉の大きさがどうなるかはわかりませんが、あまり大きくならないタイプかもしれません。

【和名】タツナミソウ [立浪草]
【学名】Scutellaria indica
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/03/18
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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イベリス・センペルヴィレンス

イベリス Iberis sempervirensイベリス Iberis sempervirens


イベリス属の植物は、西アジアや地中海沿岸、北アフリカなどの主に石灰岩地に40種ほど知られています。1〜2年草のタイプと多年草のタイプがあって、特に多年草のタイプは乾燥に強くロックガーデンによく植えられます。写真の「センペルヴィレンス (Iberis sempervirens)」は多年草ですが、「ウンベラータ (Iberis umbellata)」や「アマラ (Iberis amara)」は一年草として栽培されています。

センペルヴィレンスは、常緑の多年草。「トキワナズナ」や「宿根イベリス」とも呼ばれます。草丈は15cmほどで、地面をはうように広がります。花期は3月〜5月。花は小さな花が蜜に集まってつき、まったく別の植物ですがパッと見た感じでは、「マツムシソウ (スカビオサ)」に似たような花序に見えます。色は白色、1つのかたまり(花序)の直径は2cm〜3cmほどです。アマラも色は白色ですが、センペルヴィレンスよりは大柄、秋まき一年草で特に芳香があります。ウンベラータは草丈がやや高めで茎をまっすぐ伸ばし、花色は白以外に桃色、紫色、赤色などがあります。

また、イベリスの仲間は、茎の先にかたまって咲く花の姿が砂糖菓子を思わせることから、「キャンディタフト (candytuft)」とも呼ばれます。

イベリス Iberis sempervirens


写真は、越冬したイベリス(センペルヴィレンス)ですが、茎は濃い紫褐色で細くヒョロヒョロと伸び、葉のついていたあとが残っています。その姿は低木のようでもあり、多肉植物のようでもあって、葉もちょっと分厚くなっています。葉は紫褐色に染まり、茎の先に集まってついています。その先端部分からは小さなツブツブがのぞいています。蕾です。霜よけも特にされていない露地植えですが、どうやら無事に越冬し開花の季節を迎えられたようです。

【一般名】イベリス・センペルヴィレンス
【別名】キャンディタフト、トキワナズナ、宿根イベリス
【学名】Iberis sempervirens
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE (BRASSICACEAE)
【撮影日】2005/03/18
【撮影地】東京都日野市

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2005年03月18日

ミズキ

ミズキ Cornus controversa


ミズキは、北海道〜九州の日当たりのよい雑木林や山地の沢沿いなど、やや湿り気のあるところに生える落葉高木です。高さは10m〜20m。生長は速いそうで、幹はまっすぐに伸び、枝は水平に出ます。その枝が段々に見える独特の樹形です。

冬芽は無毛で長さ1cmほどの長卵形、5枚〜8枚の「芽鱗」に包まれています。枝も冬芽も紫紅色で光沢があります。ふつう、枝先の「頂芽」がよく目立って、「側芽」はあまり発達していません。赤くて横に伸びた枝は先の方が少し上にカーブして、その先端に赤い頂芽がついているという感じです。

ミズキは落葉樹ですので、冬の間は枝には葉がなくなってしまいますが、葉のついていた痕跡は残っています。それは「葉痕」といって、ミズキの場合は半円形か少しとがったようなV字形です。そして、やや枝から突き出して上向きかげんについています。葉は「互生」なので、葉痕も互い違いについています。

ミズキ科ミズキ属の樹木の中では、ミズキは葉のつき方や芽鱗の並び方が特徴的です。それに葉が互生するのは「ミズキ」だけ。「クマノミズキ」の場合は芽鱗のない「裸芽」か不明瞭な芽鱗しかなく、「ヤマボウシ」の場合は芽鱗は2枚で、両者とも葉は「対生」です。

ミズキ Cornus controversa


樹皮は灰褐色で浅く縦に溝が入っています。花期は4月〜5月。枝の先に「散房花序」を出して、白い小さな花をたくさんつけます。1つ1つの花は直径7mm〜8mmほどの小さなものですが、段々になった枝は扇を広げたような状態になって、一斉に花が咲くと遠くからでもよく目立ちます。新緑の若葉と白い花の対比は、初夏らしく清々しい印象を与えてくれます。

【和名】ミズキ [水木]
【学名】Swida controversa (Cornus controversa)
【科名】ミズキ科 CORNACEAE
【撮影日】2005/03/18
【撮影地】東京都日野市

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ハナダイコン

ハナダイコン Orychophragmus violaceus


ハナダイコンは、中国原産の一年草または越年草です。もともとは江戸時代に観賞用として入ってきたのだそうですが、現在では、日本各地で野生化しています。また、道路脇の緑化のため播種されることもあるようです。いろいろな別名で呼ばれていますが、その中の「ショカツサイ」というのは中国名で、「オオアラセイトウ」の「アラセイトウ」というのは、同じアブラナ科の「ストック (Matthiola incana)」の古い呼び名だそうです。

高さは30cm〜80cmほど。かなり小さな個体でも花をつけています。葉の質は薄めで、特に裏面は粉をふいたように白っぽく、根生葉や茎の下部の葉は羽状に分裂します。そして、羽状に分かれた葉のてっぺんにある裂片(頂裂片)が、特に大きくなる傾向があります。茎の上部の葉は長楕円形で、縁には不規則なギザギザ(鋸歯)があります。葉の付け根の方は耳のような形になって茎を包み込むようについています。そういう状態を、図鑑では「茎を抱く」というふうに書いてあります。

花期は3月〜5月。直径は2cm〜3cmで、淡い紫色〜紅紫色の4弁花。果実は細長い「長角果」で、長さ10cmぐらいになります。熟すと下の方から縦に2つに裂けて、中央には膜質の隔壁が見えます。その壁に小さい種子がついています。このような果実の構造はアブラナ科の大きな特徴なので、もうちょっと詳しく見てみると。。。

*アブラナ科の果実の構造*
雌しべの子房がのちに果実となります。「雌しべ」というのは「葉」が起源なのだそうで、雌しべの子房壁が数枚の「心皮」が合わさってできているものを「合生心皮」といいます。つまり「心皮」というのは、雌しべの子房壁を構成している葉のことで、あとで「果皮」になる部分のことです。雌しべの子房壁には「胚珠」がついていて、のちに「種子」になります。

アブラナ科の場合、2枚の心皮が合わさってできた「合生心皮」で、果実が熟したときに果皮が心皮の合わさった部分から2つに裂けて、下の方から反り返ってきます。種子は中央の膜質の隔壁についています。こういう果実を「角果」といって、細長いものは「長角果」、短いものは「短角果」といいます。


3月半ば、こちら関東の丘陵地では、ちらほらと開花が見られるようになりました。今はまだ、根生葉の状態のものや、蕾がようやく出てきた個体など背丈が低いものが多いですね。写真は、まだ根生葉の状態です。近くに人の家はあるものの、特に誰かが栽培している様子のない道ばたに少数あったものです。栽培されていたものの種子が逃げ出して野生化したものかもしれません。

【和名】ハナダイコン [花大根]
【別名】ショカツサイ [諸葛菜]、オオアラセイトウ
【学名】Orychophragmus violaceus
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE (BRASSICACEAE)
【撮影日】2005/03/18
【撮影地】東京都日野市

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2005年03月17日

サトザクラ

サトザクラ Prunus lannesiana


サトザクラは、ヤマザクラに対して人里で品種改良されたサクラということから、そう呼ばれています。ある1つの種をさすわけではなく、野生のものから選抜されたものや、交配などによってつくられた品種群の総称です。品種改良の歴史は長く、品種の数は膨大で、200種以上あるといわれています。中でもオオシマザクラ系の品種が最も多いのだそうです。

さらに、その中には花弁が幾重にも重なったように見える品種も数多く、いわゆる「ヤエザクラ」と呼ばれているものも含まれています。「ヤエザクラ」という名称も1つの種のことではなく総称です。例えば、普賢象、松月、兼六園菊桜、関山、御衣黄、鬱金といった品種は有名です。

写真は、品種名はわかりませんが、いわゆるヤエザクラの冬芽です。冬芽は長さ1cm弱の卵形〜長卵形で、濃い紫褐色、芽鱗にしっかり包まれています。冬芽や枝は無毛です。葉のついていたあとである「葉痕」は、写真ではピンク色っぽく見えていて、つぶれたような形の半円形です。そして、葉痕に見られる点々は3つ、これは「維管束痕」といって、養分や水分の通り道の痕跡です。

花期は4月中旬〜5月上旬。ソメイヨシノよりも2週間程度、遅く咲き始めます。また、ソメイヨシノは葉の展開よりも花が早く開きますが、いわゆるヤエザクラは、花が開くと同時に赤みを帯びた葉も展開し始めます。

【和名】サトザクラ [里桜]
【学名】Prunus lannesiana
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/02/15
【撮影地】東京都日野市

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ヤマツツジ

ヤマツツジ Rhododendron kaempferi


ヤマツツジは、北海道の一部、本州、四国、九州に分布し、山野の雑木林などに生える半落葉低木です。ツツジの仲間では、身近な山野で最もよく見られ、初夏の山を朱色に彩るおなじみの花。とても美しいことから庭木として植えられることも多く、園芸品種もあります。

ヤマツツジの葉には展開する時期の違う「春葉」と「夏葉」という2種類の葉があります。春に展開し秋に落葉する大きな葉を「春葉」といい、夏から秋に展開し越冬する小さな葉を「夏葉」といいます。冬芽はこの夏葉に包まれるようにして越冬します。秋に目立つ大きな春葉を落葉させてしまうので、落葉樹のよう見えますが、小さいけれど夏葉は冬の間も見られることから、「半落葉樹」といわれています。写真は、いずれも越冬した夏葉です。葉の両面に粗い毛が目立ちます。

ヤマツツジ Rhododendron kaempferiヤマツツジ Rhododendron kaempferi


高さは1m〜3mほど。葉は枝先に集まってつき、互生します。春に出る春葉はやや質が薄くて、長さ3cm〜5cmの卵状楕円形です。とにかく葉や葉柄に褐色の毛が多く、特に若い葉では、剛毛が黄色っぽくて目立ちます。3月半ば、今の時期見られるのは、まだ、越冬した夏葉だと思いますが、表面の毛は白っぽく伏せたような状態で、縁や葉柄、裏面の葉脈上にはかなり剛毛が目立ちケバケバ。紫褐色を帯びた葉の表面には光沢があって、春の陽射しに照らされて、ピカピカと光ってまぶしい。

花期は4月〜6月。枝先に朱赤色の花が2コ〜3コかたまってつきます。花(花冠)は直径4cm〜5cmの漏斗型。花冠の先は5つに裂けます。5裂した裂片の一番上向きに出る「上弁」には、少し濃いめの色の斑点があります。5本ある雄しべは長くのび、先端は上に曲がっています。雄しべの先端の葯からは白っぽい花粉がのぞいています。花粉は数珠繋ぎのようにつながっています。

【和名】ヤマツツジ [山躑躅]
【学名】Rhododendron kaempferi
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/03/08
【撮影地】東京都日野市

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2005年03月16日

ハリブキ

ハリブキ Oplopanax japonicus


ハリブキは、北海道、本州以北、紀伊半島や四国の一部の亜高山帯の主に針葉樹の林縁に生育する落葉低木です。ウコギ科ハリブキ属の植物で同じ属の植物は、この他に「チョウセンハリブキ (Oplopanax elatus)」、「アメリカハリブキ (Oplopanax horridus)」が知られていますが、日本国内に分布するのは「ハリブキ」だけです。

また、属は違いますが「タラノキ (Aralia elata)」も同じウコギ科の植物です。
高さは30cm〜1mくらい。葉は数枚が上部の方にかたまってつきます。枝や葉には鋭いトゲがあって、軸に対してほぼ直角に出ます。こういう状態を「トゲは開出する」といったりします。葉の表面や裏面では、葉脈上に細長いトゲが垂直に突き出ていて、さわってしまうと、かなりガリ〜ッとやられてしまいます。

葉はかなりの大物で、長さも幅も20cm〜40cm、掌状に7つ〜9つに裂けます。葉柄にもトゲがあって、長さは10cm〜20cmぐらいあって、結構長めです。名前は、トゲがあって葉が「フキ」に似ているということからきているそうですが、はっきりいって、見た目はそう似ているわけではありません。見間違えることもないでしょう。葉が大きく広がっていて、葉柄が長いという点が似ているということなんでしょうかね。

花期は6月〜7月。茎の先に花序を出して、淡い黄緑色の直径5mm程度の小さな花をたくさん咲かせます。花弁は5枚。花はかなり密集して円錐状につきます。

写真は、ハリブキの果序の部分です。1つ1つの果実の長さは6mm程度。赤く熟した果実のてっぺんには2本の角が出ていますが、これは花柱です。花は地味なものですが、果実は赤くかなり目につきます。といっても、ちょっと大きな葉にかくれ気味のことが多いかもしれませんね。

【和名】ハリブキ [針蕗]
【別名】クマダラ
【学名】Oplopanax japonicus
【科名】ウコギ科 ARALIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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モミジイチゴ

モミジイチゴ Rubus palmatus var. coptophyllus


モミジイチゴは、本州中部以北に分布し、山野の林縁や比較的日当たりのよい林内などに生える落葉低木です。西日本には、葉の長い「ナガバモミジイチゴ (Rubus palmatus)」が分布しています。バラ科キイチゴ属の植物で、同じ属の植物は世界各地に広く分布していて、700種ほどもあるといいます。日本国内にも40種近くが知られています。

名前は、葉が3つ〜5つに掌状に分裂して、モミジの葉に似ているところからきています。しかし、葉の形には変異が大きくて、ナガバモミジイチゴと区別しにくいような形をしていることもあります。葉の縁には粗いギザギザ(鋸歯)があって、葉柄にもカギ状の小さいトゲがあります。

花期は4月〜5月。花は冬芽からのびた短い枝先に1つつきます。直径3cmほどの白色の5弁花で下向きに開きます。果実は直径1cmほど、6月くらいには橙黄色に熟し、とても瑞々しく光沢があります。食べると甘酸っぱくてとても美味しいです。

地下茎を長く伸ばして増えるので、モミジイチゴが見られる場所では、しばしば群生していることがあります。高さは2mほど。根元の方から太めの枝を出して、上部で枝分かれしています。この枝は、越冬後花が咲いた後次の冬を前に枯れてしまい、夏には別の枝を出し、その新しい枝が越冬するのだそうです。茎は無毛ですが、細めで鋭いトゲがあって、茎からほぼ垂直に出ています。

モミジイチゴ Rubus palmatus var. coptophyllusモミジイチゴ Rubus palmatus var. coptophyllus


冬の時期に見られる茎は紅紫色〜紫褐色。冬芽も紅紫色の芽鱗に包まれていて、ちょっと光沢があります。冬芽は互生してつきます。5〜7枚の「芽鱗(がりん)」に包まれた「鱗芽(りんが)」で、先のとがった紡錘形です。紡錘形というのは、細長い円柱の両端が細くとがるような形のことです。

木々の芽が萌え出る季節になってきました。その中でも芽吹きの早い「モミジイチゴ」。色は、まだ紫褐色を帯びた状態で、寒さに耐えているような色ですが。

【和名】モミジイチゴ [紅葉苺]
【別名】キイチゴ
【学名】Rubus palmatus var. coptophyllus
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/03/15
【撮影地】東京都日野市

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2005年03月15日

ゴンズイ

ゴンズイ Euscaphis japonica


ゴンズイは、国内では本州の関東以西、四国、九州、沖縄に分布し、朝鮮半島、中国、台湾にも分布します。比較的日当たりのよい雑木林などに生える落葉小高木で、高さは5mほど。もっと低木のこともあります。

葉は長さ10cm〜30cmの奇数羽状複葉で、やや分厚く光沢があります。花期は5月〜6月。枝先に長さ20cmくらいの円錐花序を出して、淡い黄緑色のごく小さい花をたくさん咲かせます。秋には餃子みたいな形の果実(袋果)が赤く熟します。その果実の袋が裂けると、中からは黒くてツヤツヤした種子が出てきて、かなり個性的です。

ゴンズイ Euscaphis japonicaゴンズイ Euscaphis japonica


樹皮は、灰褐色〜黒褐色で、白っぽい割れ目のような隆起した模様が目立ちます。これは「皮目(ひもく)」といって、呼吸のはたらきをしています。

名前の由来には諸説あるようで、材が柔らかく役に立たないということから、同様に役に立たないという魚の「ゴンズイ」の名前がつけられたとか、樹皮の模様が魚の「ゴンズイ」に似ているからなどという説があるようです。

ゴンズイ Euscaphis japonicaゴンズイ Euscaphis japonica


冬芽の長さは5mm程度、芽は1対か2対の「芽鱗(がりん)」に包まれています。ゴンズイは葉が対生しますが、枝先には「仮頂芽(かりちょうが)」をつけます。仮頂芽というのは、枝の一番先端近くにある「側芽(そくが)」が「頂芽」のかわりになっている芽のことです。その場合、枝先には冬芽が2つ並んでついています。ただし、ゴンズイは仮頂芽ではなく、頂芽を1つつけることもあります。右上の小さい写真では2つです。

枝を見ると、冬芽の下あたりには、円形か半円形の模様のようなものがあってよく目立ちます。これは葉がついていた痕跡で、「葉痕(ようこん)」といいます。さらに葉痕をよく見ると、小さな点々が円を描くように並んでいるのがわかります。この点々は「維管束痕(いかんそくこん)」で、養分や水分の通り道の痕跡です。

【和名】ゴンズイ [権萃]
【学名】Euscaphis japonica
【科名】ミツバウツギ科 STAPHYLEACEAE
【撮影日】2005/03/15
【撮影地】東京都日野市

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アキノノゲシ (No.2)

アキノノゲシ Lactuca indica


アキノノゲシは、日本全土に分布し、日当たりのよい山野の草地などによく見られる一年草または越年草です。夏の暑い最中、ちょっと薄めの色で大きく柔らかそうな根生葉に気づきます。そのころから草丈がグングンのびて、秋に開花するころには2m近くになることもあります。しかし、根生葉は花が咲くころにはふつうは枯れてしまっています。

茎の下部の葉は羽状に裂けますが、丈夫の葉は細長くてあまり裂けない傾向があります。また、葉が羽状に切れ込まないタイプを「ホソバアキノノゲシ (Lactuca indica f. indivisa)」ということもあります。

主な花期は8〜11月。名前は、主に春から夏に開花する「ノゲシ」に対して、秋に咲くのでアキノノゲシといいます。花(頭花)は茎の先の円錐状にたくさんつき、直径は2cmほど。色は淡黄色、中央部はやや濃いめの黄色です。キク科の植物ですが「筒状花」はなく、いわゆる花びらに見える「舌状花」だけです。

花びら(舌状花)のある部分の下にある「総苞(そうほう)」という部分は長さ1cm程度の円柱形。花が咲くと次第に下の方がふくらんできます。総苞には、「総苞片」という鱗片が瓦状に重なっていて、紫褐色の縁取りがあります。写真では、細長くてピラピラと細長いものが反り返っているものが見えますが、それが総苞片です。縁は白っぽくなっています。本来はこんなにそっくり返ってはいません。しかも下を向いてしまっていますが、ふつうは、上向き〜横向きに開きます。

アキノノゲシ Lactuca indica


本当ならば、花が終わった後、白色の冠毛(綿毛)がボワッと開いて、黒い果実も見られるはずなんですがね。もしかしたら、開花することができずに、寒さで力尽きてしまったのかもしれません。生育が遅れて秋の本来の花の時期に間に合わなかったのでしょうか。それとも、早くに咲いた個体が飛ばした種子が、時期はずれに発芽し生長して本格的な寒さの前に蕾をつけてしまったのでしょうか。この個体は、次世代を残すことができずに生涯を終えてしまったようです。

ちなみに、学名の「Lactuca」は、アキノノゲシ属の学名で、乳液という意味の「lac」に由来するといいます。茎を切れば白い乳液が出てくるはずなんですがね。。。

【和名】アキノノゲシ [秋の野罌栗]
【学名】Lactuca indica
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/03/15
【撮影地】東京都日野市

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Modern syntax」さんの記事→「3月15日のラッキーさん

開設以来まだ一年にも満たない、小さくひっそりと存在するブログ。それでも、それなりに紆余曲折を経て現在に至っております。抽選にて思わぬ幸運をいただいた本日(2005/03/15)、初心にかえってのエントリー。Modern syntaxさんよりTBで、Blogpeopleさんよりメールでお知らせいただきました。ありがとうございます。当ブログ、「今日のラッキーサイト」です。

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2005年03月14日

キブシ

キブシ Stachyurus praecox


キブシは、北海道南部、本州、四国、九州に分布し、山野の比較的明るい場所に多く見られる落葉低木です。高さは2m〜5mほど。上にグングンのびる感じではなく、よく分枝した長い枝が垂れ下がるようにのびます。枝は赤みのある紫褐色で、少しツヤツヤしています。葉は互生し、長い卵形か長い楕円形で、先は細長くシッポのようにのびます。長さは5cm〜10cm程度。縁にはちょっと粗めのギザギザ(鋸歯)があります。葉の形はサクラに似ているところがあります。

花期は3月〜4月、葉が展開するより先に花が咲きます。花は5cm〜10cmくらいの垂れ下がる穂状花序にたくさんつきます。1つ1つの花は長さ5mm〜7mm程度の鐘形で、色は淡黄色。花弁は4枚、ガク片も4枚で赤褐色。大小のガク片が花弁の基部の方に、ちょこっとはりついているように見えます。

基本的には、雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。しかし数は少ないようですが、両性花をつける個体もあります。花の中をのぞいてみて、雄しべが目立っていたらだいたい雄花と思ってしまいますが、両性花の場合も雄しべはそれなりに目立ちます。雌花の場合も雄しべはありますが、雌しべに比べてかなり短く退化しています。

果実は雄花にはできず、雌花にはよくできます。長さ8mm程度の楕円形で熟すと黄色くなります。名前は、この果実をヌルデ (Rhus javanica)の「五倍子(ふし)」の代わりとして染料に用いることからきているそうです。ちなみに、「ふし」はヌルデに「ヌルデノフシムシ」というアブラムシの仲間が寄生してできた「虫こぶ」のことで、これから「タンニン」をとってインクや薬などに利用するのだそうです。

キブシ Stachyurus praecox


写真は、蕾のついた花序の部分です。徐々に垂れ下がってきているようで、風にゆらゆらと揺れていました。春の訪れを感じさせるキブシ。開花まであと少し。果たして、雄花か雌花か、それとも両性花か。。。

【和名】キブシ [木五倍子]
【別名】キフジ[木藤]、マメブシ[豆五倍子]
【学名】Stachyurus praecox
【科名】キブシ科 STACHYURACEAE
【撮影日】2005/03/08
【撮影地】東京都日野市

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ノイバラ

ノイバラ Rosa multiflora

 
ノイバラは、国内では北海道、本州、四国、九州の山野に生育する落葉低木です。日本以外では朝鮮半島や中国にも分布しています。高さは2m程度ですが、ややツル状になってワサワサとした茂みをつくる感じに伸びます。名前は、野にある「イバラ」、つまり野にあるトゲのある植物ということからつけられたのだそうです。ただし、漢字は「野薔薇」となっていることもあります。

枝にはたくさんトゲがあるので、それに気づかずにブッシュに入ると、ガリッとあちこちやってしまって、思わず悲鳴をあげてしまうことがあります。そのトゲは、茎の表皮が変形したものなのだそうです。

葉は互生し、複数の小さな葉(小葉)から1枚の葉ができていています。小葉は3対〜4対あって先端部分には1枚の小葉があるので、小葉の数は奇数枚となるので、このような形の葉を「奇数羽状複葉」といいます。小葉は卵形か長楕円形で、長さは2cm〜5cmです。縁にはギザギザ(鋸歯)があります。

表面にはあまり光沢はありません。葉の裏面や柄の部分に毛が生えることが多いです。葉柄の茎に近い部分を見ると、くしの歯状に裂けた「托葉(たくよう)」が葉柄にくっついているのがわかります。この托葉があるのもバラ科に多い特徴です。といっても写真の状態では、まだよくわからないんですけどね。

ノイバラ Rosa multiflora


花期は5月〜6月。枝先に円錐花序を出して、芳香のある白い花をたくさん咲かせます。種小名の「multiflora」は、「たくさんの花の」という意味です。花は直径2cm〜3cmほどで、バラ科らしく花弁は5枚、雄しべは多数あります。ガクは後ろに反り返っています。

果実は7mm〜8mmくらいの球形で赤く熟します。果実の上の部分にはガクの名残りが見られます。この赤い果実は、子房と花床という部分がいっしょに発達してできています。子房以外の部分が果実のようになったものを「偽果(ぎか)」といいますが、その中にはごく薄い果皮で種子を包む「痩果(そうか)」が多数あります。このような果実(偽果)を「バラ状果」といいます。

よく似た種に「テリハノイバラ (Rosa wichuraiana)」がありますが、こちらは、海岸近くや山野の崖のような場所に多く生えます。葉の表面に光沢があって、地面をはうようにようにのびることが多いです。

【和名】ノイバラ [野茨、野薔薇]
【学名】Rosa multiflora
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/03/08
【撮影地】東京都日野市

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アガパンサス

アガパンサス Agapanthus africanus


アガパンサスは、南アフリカ原産の常緑または宿根性の多年草で、英名は「アフリカンリリー」です。アガパンサス属の植物は、南アフリカを中心に20種ほどが分布していて、日本には明治の中ごろに渡来したそうです。はじめに入ってきたのは、「アフリカヌス(Agapanthus africanus)」だったとか。

肉厚の葉は根もとの方からたくさん出て、細長く光沢があります。この葉や花のつき方が「クンシラン (君子蘭 Clivia nobilis)」に似ているということで、別名は「ムラサキクンシラン」といいますが、クンシランとはまったく別の植物です。両者がそれぞれどの科に属するかについては、いいろいろと見解があるようですが、たまたま持ちあわせている園芸書では、アガパンサスはユリ科、クンシランはヒガンバナ科となっています。

草丈は50cm〜1mほど。花期は6月〜7月。花茎は長く伸び、その先端にたくさん花を散形花序につけます。1つ1つの花は漏斗型で、花冠は6つに裂けます。中からは雄しべが突き出して、その先はキュッと上に曲がります。花序の直径は10cm〜20cmほどにもなります。紫系の花色が多いですが、白やピンクのものもあります。ふつうは花序の外側の花から咲いて。次第に内側へと咲き進みます。

花が終わると写真のように果実がふくらんできます。果実は秋に成熟して、中には翼のある種子ができるはずです。写真のものにはラベルがついていて、学名は「Agapanthus africanus」となっていました。

アフリカヌスは草丈は低めで、やや寒さに弱いですが、現在の園芸品種の多くは、少し耐寒性の強い「プラエコクス(Agapanthus praecox)」の交配によってできた品種が多いそうです。こちらは、草丈が高く1m以上になることもあります。比較的温暖な地域では、地上部が枯れずに越冬しますが、寒さが厳しいと葉は枯れてしまいます。

学名の「Agapanthus」は「愛らしい花」で、アガパンサス属(ムラサキクンシラン属)をあらわしています。種小名の「africanus」は「アフリカの」という意味、また「praecox」は「早咲きの」という意味です。

【一般名】アガパンサス
【和名】ムラサキクンシラン [紫君子蘭]
【英名】African lily
【学名】Agapanthus africanus
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/02
【撮影地】東京都調布市

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2005年03月13日

マイヅルソウ

マイヅルソウ Maianthemum dilatatum


マイヅルソウは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地〜高山帯の林床などに生える多年草です。特に針葉樹林の林床でよく見られます。草丈は5cm〜20cm程度です。葉は2枚が互生します。葉はハート形、長さは5cm前後で無毛。名前は、ハート形の葉にある葉脈が形に沿って曲がっているところを、ツルが羽を広げて姿に見立ててつけられたといいます。

マイヅルソウを見かけると、よくその辺りにかたまって群生していることが多いと思います。それは、地下の細い根茎が網目状にのびて増えるからだそうです。

花期は5月〜7月。花は白色で総状につきます。花被片は4枚、雄しべは4本。花被片の先は反り返って、雄しべが突き出て目立ちます。1つ1つの花はごく小さいもので数mmですが、10個前後つきますので、咲いていたら目にとまる花といえるでしょう。

果実(液果)は、熟すと赤または紫褐色の斑紋のある果実となります。果実は直径5mm〜7mmの球形です。また、国内では北海道と本州中部以北の亜高山帯に生育する「ヒメマイヅルソウ(Maianthemum bifolium)」は、葉がやや細めで、葉の裏や縁、葉柄、茎、そして花序など全体的に短毛があります。今回の写真のものは、葉の縁に何やら突起状のものがあるのですが、葉や茎の短毛はなく全体的に無毛なので、「マイヅルソウ」としています。果実には、紫褐色の斑模様があります。

マイヅルソウ属の植物は、日本で見られる2種(マイヅルソウ、ヒメマイヅルソウ)以外に、もう1種「カナダマイヅルソウ (Maianthemum canadense)」という種が知られていますが、これは日本には生育していません。

【和名】マイヅルソウ [舞鶴草]
【学名】Maianthemum dilatatum
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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ヤマアジサイ

ヤマアジサイ Hydrangea serrata


ヤマアジサイは、国内では本州関東以西、四国、九州に分布し、山地の沢沿いやちょっと湿り気のある林内などに生育する落葉低木です。北海道や主に日本海側の地域にはよく似た「エゾアジサイ (Hydrangea serrata var. yesoensis)」が見られます。

葉は対生します。長さは10cm前後の長楕円形で、先端は細長く尾状にのびています。縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。葉の質は薄くて、あまり光沢はありません。

花期は6月〜8月。枝の先に散房花序を出して花を咲かせます。花には2種類あって、中心部には小さな「両性花」がたくさんつき、周辺部には長い柄のある「装飾花」をつけます。装飾花というのは、文字通り飾りの花で、生殖機能はありません。果実をつけるのは、中心部の小さな両性花の方で、果実は長さ2mmほどです。装飾花の方は花びらのように見えるガク片が3枚〜5枚あって、色は白色、薄い青色、薄い紅色で、中央部の花よりもずっと色や形が目立ちます。ちなみに園芸種の「アジサイ (Hydrangea macrophylla f. macrophylla
)」の場合は、すべてが装飾花となっているので、よりボリュームがあります。

ヤマアジサイにも、色や形の変異が見られ、庭木としてもよく植えられています。「アジサイ」や「セイヨウアジサイ(ハイドランジア Hydrangea macrophylla f. hortensia)」のような派手さはありませんが、楚々とした美しさで、飽きのこない花です。梅雨のころ静かな山中で咲く姿は、幻想的ともいえます。

写真は、花が終わって、中心部の両性花は結実して、緑色の若い果実ができています。周辺部の装飾花は、はじめは白だったのですが、花が終わって長い柄が下向きに曲がり、ガク片の裏側が見えています。裏側は、赤紫色に染まっていました。遠くから見ると、まだ咲いているかのようで、これもまた楽しめると思います。

また、アジサイ属が分類される「科」ですが、10年ぐらい前までは「ユキノシタ科」となっていることが多かったのですが、最近では「アジサイ科」とされることが多くなってきました。ユキノシタ科とする場合は、新エングラーの分類体系に従ったもので、アジサイ科とする場合は、クロンキストの分類体系に従ったものです。どちらで表記しても、間違いというわけではありません。

【和名】ヤマアジサイ [山紫陽花]
【学名】Hydrangea serrata
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
(アジサイ科 HYDRANGEACEAE)
【撮影日】2004/07/25
【撮影地】東京都八王子市

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ツルニンジン

ツルニンジン Codonopsis lanceolata


ツルニンジンは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の林内に生育するつる性の多年草です。つるはフニャフニャとのびる感じで、近くに他の草などがあれば、それに絡まって、2mほどになります。傷つけると白い汁が出て臭いにおいがします。うぅ〜、標本作りはしたくない。

葉は互生しますが、上部では3枚か4枚が輪生状に集まってつきます。葉の質は薄めでヒラヒラとした感じです。裏面は粉をふいたように白っぽくなっています。

写真の個体は、それほど大きいわけではありませんが、葉の縁には毛がないことから、ツルニンジンとしました。よく似た「バアソブ (Codonopsis ussuriensis)」の場合は、葉の縁や裏面に白い毛が生えています。両者の違いは、本当は花や種子を見る方が確実なんです。ツルニンジンの種子は光沢がなく薄い褐色で大きな翼がありますが、バアソブの種子には光沢があって黒褐色、翼はありません。

ツルニンジン Codonopsis lanceolata


花期は8月〜10月。幅の広い釣鐘型、先は5つに浅く裂けて、後ろに反り返ってクルクルッと巻いたようになります。花(花冠)は長さ、直径ともに3cmほどです。外側から見るとちょっと緑がかった白っぽい花で、下向きに咲くので目につきにくいところがありますが、中をのぞいてみるとビックリします。内側には紫褐色の模様があります。

ツルニンジンの花には、5本の雄しべがあって雌しべが成熟する前に雄しべが成熟します。柱頭が3つに分かれる雌しべが成熟するころには雄しべは花粉を出し終えてしおれてきます。このような「雄性先熟」という仕組みによって、同じ花での受粉を避けることができるわけです。

一番上の写真は蕾の状態で、プクッとふくらんだ薄い緑色で、何かをはり合わせたようになっています。その何かというのは、「ガク片」なんですが、開くと5つあって、長さは2cmほどです。

名前は、根が太くて「チョウセンニンジン(Panax ginseng)」に似ていることからきています。また、バアソブに対して「ジイソブ」という別名もあります。ちなみに、バアソブというのはお婆さんのそばかすという意味だそうです。

学名の「Codonopsis」はツルニンジン属の属名で、「codon(鐘)+opsis(〜に似た)」という意味があります。また、種小名の「lanceolata」は、「披針形の」という意味です。

【和名】ツルニンジン [蔓人参]
【別名】ジイソブ
【学名】Codonopsis lanceolata
【科名】キキョウ科 CAMPANULACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年03月12日

セイヨウニンジンボク

セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus


セイヨウニンジンボクは、地中海沿岸地域〜西アジア原産の落葉低木です。高さは2m〜3mになります。全体にかすかな芳香があるので香料として用いられるほか、女性ホルモンを整える薬用としても古くから利用されているそうです。

葉は表面は緑色、裏面は灰白色で、5つ〜7つの小葉に裂けた掌状複葉です。縁のギザギザ(鋸歯)はなく全縁で、対生してつきます。名前は、この葉の形が漢方薬で有名な「チョウセンニンジン (Panax ginseng)」に似ていることからつけられています。チョウセンニンジンはウコギ科の植物ですが、セイヨウニンジンボクはクマツヅラ科植物で、本州、四国、九州などの海岸の砂地にも生育する「ハマゴウ (Vitex rotundifolia)」と同じ属の植物です。

花期は7月〜9月。枝の先に長さ20cmほどの円錐花序を出して、淡い紫色の小さな花をたくさん咲かせます。花も美しいので、花木として植えられます。

写真は、花が終わって若い果実ができているところです。このあと熟すと、黒っぽい球形の果実になるはずです。

【和名】セイヨウニンジンボク [西洋人参木]
【別名】チェストツリー、チェストベリー
【学名】Vitex agnus-castus
【科名】クマツヅラ科 VERBENACEAE
【撮影日】2004/08/02
【撮影地】東京都調布市

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リキュウバイ

リキュウバイ Exochorda racemosa


リキュウバイは、中国原産の落葉低木です。高さは2m〜4m程度になります。日本に入ってきたのは、明治時代の末期のことだったそうです。庭木として植えられるほか、生け花の花材として使われることが多いようですね。名前は、茶花としてもよく使われることから千利休にちなんでつけられたといいます。

葉は楕円形で互生します。長さは5cmほどで、縁のギザギザ(鋸歯)はほとんどなく全縁ですが、ときどき鋸歯が見られることもあります。葉の質は薄めで、裏面はやや粉を吹いたように白っぽくなっています。

花期は4月〜5月。新しく出た枝の先に総状花序を出して、白い5弁の花を咲かせます。ちなみに学名の種小名「racemosa」は、「総状花序の」という意味です。花弁は円形で、付け根の方は細くなります。雄しべは20本前後あります。図鑑では雌しべは1本となっていますが、柱頭は5つあるように見えます。1本の雌しべの先が5つに分かれているということなのでしょうか。花の直径は3cm〜4cmほどです。よく分枝してよく茂り、花もたくさん咲かせます。

パッと見た感じでは、白い5弁花で雄しべ多数というバラ科の花らしいのですが、近づいてみると、かなり個性的な花ですね。中央部分はくぼんでいて、緑っぽく5枚の花弁のほかに小さく白いガクがピラピラとついています。雄しべはその緑の部分の縁に沿って並ぶ感じです。その様子は、図鑑では3本〜5本の雄しべが花弁と対生すると表現されています。

リキュウバイ Exochorda racemosa


果実の形はとても個性的で、幅の広い倒卵形で5つの稜があります。この実の形状といい、花といい、ヤナギザクラ属というのは、なかなかユニークなグループなのかもしれませんね。

【和名】リキュウバイ [利休梅]
【別名】ウメザキウツギ [梅咲き空木]、バイカシモツケ [梅花下野]
【学名】Exochorda racemosa
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/08/02
【撮影地】東京都調布市

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オオミツルコケモモ

オオミツルコケモモ Vaccinium macrocarpon


オオミツルコケモモまたは、オオミノツルコケモモ。この名前よりも「クランベリー」という名前でおなじみです。アジア北部や北アメリカ原産の常緑矮性低木です。冷涼な気候とやや湿り気のある酸性の土壌を好みます。長楕円形の葉は分厚い革質で、光沢があります。高さは15cmくらいで、茎は地面をはうように匍匐します。

花期は6月〜8月。枝先に淡紅色の花を咲かせます。花柄は細長くて先がキュッと下を向き、その先に花が下向きに開きます。花弁は4枚で上に(後ろに)反り返ります。花柄が下に曲がるので、パッと見た目の位置関係が逆転していますが、花弁よりも後に果実となる子房の部分が下にある子房下位の花です。

よく分枝してよく果実(液果)もつきます。果実は直径1cm〜2cmほどにもなり、8月〜10月にかけて熟してきます。熟した実は紅色、サクランボのようなきれいな球形で観賞用としても楽しめます。やや酸味が強くちょっと渋みもあることから、生食するというよりは、ジャムやジュースに加工して食用にします。アメリカやカナダでは19世紀のはじめごろから栽培されるようになって、現在でも加工用に多く栽培されているそうです。

日本国内にも、北海道や本州中部以北の亜高山や高山の湿地に生える「ツルコケモモ (Vaccinium quadripetalus)」という種があります。こちらは、ふつうクランベリーとして流通するものに比べて、全体的に小型です。ツルコケモモの仲間は一般にスノキ属 (Vaccinium)に分類されることが多いようですが、ツルコケモモ属 (Oxycoccus)となっていることもあります。スノキ属とした場合、同じ属の植物は、北半球に300種ほど、日本でも20種近く知られています。

【和名】オオミツルコケモモ [大実蔓苔桃]
【別名】クランベリー(Cranberry)
【学名】Vaccinium macrocarpon
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/02
【撮影地】東京都調布市

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2005年03月11日

マテバシイ

マテバシイ Pasania edulis


マテバシイは、高さ10m〜15mほどの常緑高木です。本州関東以西の暖かい沿岸地域に見られ、街路や公園によく植栽されています。ただし、分布域についてはやや不明瞭なところがあって、本来の分布域は九州〜沖縄にかけてのやや狭い地域だといわれています。

葉は枝先にたくさん集まってつきます。葉は分厚い革質で、長さ5cm〜20cmの倒卵状楕円形。葉先に近い部分で一番幅が広くなっています。つまり卵を逆さにして細長〜くしたような形なんですが、先端は少しとがり気味です。葉柄は1cm〜2cmほど、縁のギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。裏面は白っぽいような黄色っぽいような色で、ちょっと光った感じに見えます。表面には濃い緑色で光沢があります。

マテバシイ Pasania edulis


花期は5月〜6月。この仲間の花が咲いていると、その付近には独特のむせ返るようなにおいがたちこめます。果実(堅果)はいわゆる「ドングリ」で、長さ2cm〜3cmほどの長楕円形です。熟すのは翌年の秋。一年目のドングリは小さくブツブツした状態で、二年目のドングリと同時に見ることもできます。帽子の部分は「殻斗(かくと)」といいますが、やや浅めのお皿型で、瓦状の模様(総苞片)がみられます。

【和名】マテバシイ [全手葉椎]
【学名】Pasania edulis
【科名】ブナ科 FAGACEAE
【撮影日】2004/08/08
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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