2005年03月03日

イタチハギ

イタチハギ Amorpha fruticosa


イタチハギは、もともとは北米やメキシコ原産の落葉低木です。日本に入ってきたのは大正時代のことだそうで、砂防や護岸に用いられています。現在では、各地の崩壊して開けた場所などで野生化しているのが見られます。高さは1m〜5mほど。葉は長さ20cm〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉は5〜12対あります。小葉の縁にはギザギザはなく全縁です。

葉の形は、植物の名前を調べるのときにはとても重要です。一般的な図鑑でも「奇数羽状複葉」というような用語がよく出てきます。そこで、まず「複葉」という用語を「単葉」との違いと一緒に覚えておきましょう。簡単にいうと小葉が複数ある葉が「複葉」で、複数の小葉がなく葉が一枚でできているのが「単葉」です。また、複葉はバラ科やマメ科の植物でよく見られ、イタチハギのように羽状になったものを「羽状複葉」といいます。

上の写真はわかりにくいですが、楕円形の小さい葉がたくさん見えているのが「小葉」です。この小葉が、羽状復葉の一番先端に1枚だけついています。それによって、小葉の数が奇数枚になるので「奇数羽状複葉」といいます。先端に2枚小葉がつく場合は「偶数羽状複葉」です。ただし、イタチハギの場合は奇数とは限らず、偶数になることもあるようです。

花は6月ごろ、枝先に総状花序を出して、たくさんの長さ1cm内外の暗紫色の蝶形花をつけます。総状花序というのは、花序の中心となる茎(花軸)に柄のある花がたくさんついて、下から上に咲き進む花序のことです。ただし、花序が下に垂れ下がっている場合は、上から下へ咲き進むことになります。また、マメ科植物の多くが5枚の花弁が蝶のような形についている蝶形花をつけます。ふつうは、上につく1枚の花弁は旗弁といって大きく目立ち、翼弁と舟弁という少し小さめの花弁が、左右対称に2枚ずつついています。

ところが、イタチハギの場合はちょっと変わっていて、黒紫色の旗弁しかありません。それで、雄しべが花の外に突き出てオレンジ色の葯がよく目立ちます。花が咲き進むにつれて、下の花はどんどん終了していきます。咲いている花のある黒紫色とオレンジの帯は下から上に移動して、終わったところは色あせてしまいます。写真は、もう上までほとんど色あせてしまっています。変わった取り合わせに色のシッポのような穂が、あちこちたくさん立っている姿は、やはりどこか日本のものではないなという雰囲気を漂わせます。

写真では見えませんが、花の後にできる豆(豆果)は、長さ1cm程度の小さなもので種子は1個か2個です。

【和名】イタチハギ [鼬萩]
【別名】クロバナエンジュ [黒花槐]
【学名】Amorpha fruticosa
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2004/07/04
【撮影地】山梨県牧丘町

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posted by hanaboro at 17:10| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヤマモモ

ヤマモモ Myrica rubra


ヤマモモは、国内では本州の関東南部や福井県以西、四国、九州、沖縄に分布し、暖地の山地に多く生育している常緑高木です。高さは20mを越えるほどにまでなりますが、庭木や街路樹としても植栽されています。

雌雄異株で、雄株と雌株があります。花は、4月ごろ。夏には雌株に直径1.5cmくらいの球形の果実ができます。赤い果実の表面にはツブツブがたくさんあって、飴やグミなどお菓子にありそうな見た目です。一見堅いタネなんて入ってなさそうですが、中には堅い「核」が入っています。果実は「外果皮(がいかひ)」が液質の「核果(かくか)」です。色は明るめの赤から次第に黒っぽくなってきます。たくさん実をつけるためには、近くに雄株と雌株の両方が必要で、赤く熟した実は甘酸っぱく、ジャムや果実酒などに利用されます。

いくつか、専門的な言葉が出てきましたので、少し説明です。ふつう、花が咲いて受精が行われると、「子房」が果実に、「胚珠」が種子になります。そして果実は外側から「外果皮」、「中果皮」、「内果皮」があって、その中に種子が入っている構造をしています。ヤマモモの果実は、外果皮が多汁で、内果皮の部分が堅い核となっています。そこでこのような果実を「核果」といいます。

ヤマモモ Myrica rubra
ヤマモモの葉 (裏面)
ヤマモモ Myrica rubra
ヤマモモの葉 (表面)


葉はやや枝の先の方に密集してつきます。長さは10cm内外、幅は2cm〜3cm程度の細長い倒披針形(とうひしんけい)で、互生します。「倒披針形」というのは、先端のほうは丸みを帯びて鈍く、付け根の方が細くとがっていて、真ん中よりもちょっと上よりの部分の幅が広くなる形のことです。「披針形」はその反対の形です。

葉脈に注目すると、葉の中央を走る主脈から、横に目立つ側脈がいくつか出ていて、その出方が主脈に対して直角に近い角度で出ているのがわかります。

ヤマモモ Myrica rubra
葉の裏面から見える細かい網の目

成木の葉だと、縁のギザギザ(鋸歯)は、まったくないか、わずかに浅い鋸歯が見られる程度ですが、まだ若い木の葉には鋭い鋸歯があって、これが「ホルトノキ (Elaeocarpus sylvestris var. ellipticus)」によく似ています。ヤマモモの場合は、葉を透かしてみると、かなり細かい網の目のようになった脈がよく見えますが、ホルトノキの場合だともう少し大き目の脈までしか見えません。

上の画像だと、網の目の線が黒っぽく写っていますが、光に透かしてみると、線の部分が白っぽく見えます。画像の後ろから光を当てたように見えるように加工したかったんですが。。。

【和名】ヤマモモ [山桃]
【学名】Myrica rubra
【科名】ヤマモモ科 MYRICACEAE
【撮影日】2005/02/27
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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posted by hanaboro at 12:56| 東京 🌁| Comment(9) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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