2005年03月09日

ムラサキシキブ

ムラサキシキブ Callicarpa japonica


ムラサキシキブは国内では北海道〜沖縄まで分布し、山野の林縁などに生える落葉低木です。高さは2m〜3mほどです。葉は先が細長くのび、長さは5cm〜10cmちょっとで対生します。

冬芽は芽が「芽鱗(がりん)」に包まれていない「裸芽(らが)」で、「星状毛(せいじょうもう)」が密生していて、ホコリをかぶっているかのような灰色っぽい芽です。裸芽なので、小さい葉の形がすでに見えていて2枚が向き合ってくっついています。それに葉脈があるのもわかります。長さは5mm〜1.5cmくらいです。

ムラサキシキブ Callicarpa japonica
花序の残骸
ムラサキシキブ Callicarpa japonica
葉痕と維管束痕


冬芽の下には、円形か半円形の葉のついていたあと(葉痕:ようこん)も見られます。葉痕にある点は「維管束痕(いかんそくこん)」で、養分や水分などの通路になっていた部分の痕跡です。

花序(果実の柄の部分)の残骸も比較的長い間、枝に残っています。そのため花序の形は花時期以外でも観察できるわけです。ムラサキシキブの花序は「集散花序(しゅうさんかじょ)」です。集散花序というのは、まず中心となる花柄(花軸)の先端に花がつき、その下から枝分かれして花が咲きます。そして、その花の下からも枝分かれして花が咲くという花序のことです。よく見ると三又になった部分が残っているので、そのつど花の下から枝分かれして出る枝の数は2本だということがわかります。

*ちょっとだけ用語まとめ*
芽鱗冬芽を包む鱗片状の葉。
裸芽葉や花芽を包む芽鱗がない芽。
鱗芽芽鱗のある芽。
星状毛一か所から放射状に生える毛のこと。
葉痕落葉後、枝に残る葉のあと。
維管束痕水分や養分の通り道になる組織のあと。

図鑑では、より簡潔にするためにバシバシ専門用語で書かれています。ちょこっとずつでも覚えていくと、図鑑も使いやすくなっていくはずなんですが。。。

ムラサキシキブ Callicarpa japonica
しわしわになった実
ムラサキシキブ Callicarpa japonica
冬芽の色は冴えない感じ


花期は6月〜7月。葉の脇(葉腋)から花序を出して桃紫色の小さい花をたくさんつけます。花序には、特に初めのころ少し星状毛が生えていますが、よく似た種の「ヤブムラサキ (藪紫 Callicarpa mollis)」ほど目立ちません。花の後、果実は直径5mm程度の鮮やかな紫色になります。晩秋のころ、葉がほとんど落葉してもまだ果実はよく残っているのが見られます。名前は、果実の美しさを源氏物語の作者、紫式部にたとえたことからきているのだそうです。

ヤブムラサキの場合は、花冠、ガク、花序に星状毛がもっと密生して目立ち、葉にも毛が多いのでさわるとフサフサしています。果実の時期にも星状毛が密生したガクが残ります。また、一般に「ムラサキシキブ」として流通し庭木によく植えられのは「コムラサキ (小紫 Callicarpa dichotoma)」が多いのだといいます。コムラサキの場合は枝が下垂し、葉が小さく縁にギザギザ(鋸歯)があるのは先半分だけです。

【和名】ムラサキシキブ [紫式部]
【学名】Callicarpa japonica
【科名】クマツヅラ科 VERBENACEAE
【撮影日】2005/03/08
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 19:22| 東京 ☀| Comment(7) | TrackBack(1) | 冬芽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クロモジ

クロモジ Lindera umbellata


クロモジは、本州、四国、九州の落葉樹林内に生える落葉低木です。高さは2m〜5mほどになります。樹皮は緑色っぽい褐色で、黒っぽい斑点があります。

主な花期は3月〜4月。葉が展開してくるのと同時にたくさんの花を咲かせます。色は淡い黄緑色。雄株と雌株が別々の雌雄異株。樹皮などには独特の香りがあるので、高級爪楊枝の材料にもなっています。枝を少しもんでみると香りがするので、野外でそれらしいものに出あったときのチェックポイントともなります。

北海道南部や本州の主に日本海側の地域には、クロモジの変種としてより葉の大きい「オオバクロモジ (Lindera umbellata var. membranacea)」が知られています。しかし、中間的な形質を持つタイプも多いことから、はっきりとした区別はなかなか難しいこともあります。

そのほか、主に暖地に生え花柄の毛が赤い「ヒメクロモジ (Lindera lancea)」、西日本に生育し葉の表面に毛が密生する「ケクロモジ (Lindera sericea)」、ケクロモジの変種で葉の表面の毛がない「ウスゲクロモジ (Lindera sericea var. glabrata)」といったものもあって、なかなか複雑ですね。冬芽の段階で、これらを区別するなんてことは困難でしょう。

クロモジ Lindera umbellataクロモジ Lindera umbellata


写真は、クロモジの冬芽ですが、細長くとがったような形のものが葉芽で、先のとがった球状のものは花芽です。花芽は長さ5mm程度で柄には毛があり、弧を描くように斜め上向き〜横向きについています。この花芽の様子で、同属のよく似た種と区別できる場合があります。


花芽の様子
クロモジ花芽の柄に毛がある。弧を描くように斜め上向き〜横向きにつく。
アブラチャン花芽の柄は無毛。上や横などいろいろな向き。
カナクギノキ花芽の柄は無毛。上向き。
シロモジ花芽の柄は無毛。横向き〜下向き。
ヤマコウバシ花芽は葉芽と同じ冬芽に入っている。


クロモジの葉芽は長さ1cm内外で、中央が太くて上下の端が次第に細くなる紡錘形です。芽を包む芽鱗は2枚〜4枚で黄色っぽいような赤っぽいような褐色で、ごく短い毛がはりついたように密生しているので白い粉をふいたように見えます。

【和名】クロモジ [黒文字]
【学名】Lindera umbellata
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/03/08
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 13:07| 東京 ☀| Comment(15) | TrackBack(2) | 冬芽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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