2005年04月30日

2005年04月の記事一覧

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2005年04月29日

ウスベニチチコグサ

ウスベニチチコグサ Gnaphalium purpureum


ウスベニチチコグサは、アメリカ原産の一年草または越年草です。日本国内では、1930年代には採集されていたものの、その後、長い間、同じ属の帰化植物でよく似た「チチコグサモドキ」や「タチチチコグサ」と混同されてきたそうです。そして、ウスベニチチコグサとして整理されたのは1980年代の終わりごろのことだとか。それ以来、関東〜九州にかけて広く見られることがわかったといいます。現在では、かなりふつうに見られるとのことですが、筆者が認識できたのはこれが初めてです。この仲間(キク科ハハコグサ属)の帰化種で、こちらの近辺でよく見かけるのは、圧倒的に多いのが「ウラジロチチコグサ (Gnaphalium spicatum)」で、次いで「チチコグサモドキ (Gnaphalium pensylvanicum)」かな。

と思っておりましたが、その後、あちこちでウスベニチチコグサもあることがわかりました。比較的多い方といえるかもしれません。(追記 2005/05/25)

ウスベニチチコグサ Gnaphalium purpureum


ウスベニチチコグサは、写真の場所で見られたものは、開花しているもので草丈20cm。根生葉の状態のものは5cm程度です。図鑑では草丈20cm〜50cm。茎は根もとの方で地面に沿うように横に枝分かれします。そして何茎か直立して株立ち状になります。この仲間は、みんな茎や葉に白い綿毛を密生して白っぽいのですが、「ウスベニチチコグサ」はその中にあっても、かなり白い方。全体に白い軟毛が密生しています。

葉は長さ3cm〜5cmくらいの細長いヘラ形、縁のギザギザ(鋸歯)は不明瞭。分厚く質がかため。葉はあまり平開しないようで、巻き気味、多肉質っぽい印象さえある。茎にまとわりつくような状態で、葉は横方向への広がりがあまりない感じ。

キク科の植物ですが、花びらに見える「舌状花」はなく、頭花は「筒状花」のみです。頭花は長さ5mm程度で、茎の先に集まって咲きます。枝分かれはしないはず。「タチチチコグサ」の方は、上部の数か所の葉腋から短い枝が出ます。ウスベニチチコグサの筒状花の色は、「紅色」だそうで、その名前がついているようですが、今回のものは、薄い褐色だったなぁ〜。もうちょっと時間がたてば、紅色になるのだろうか。。。

【和名】ウスベニチチコグサ
【学名】Gnaphalium purpureum
【英名】purple cudweed
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/29
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月28日

カスマグサ

カスマグサ Vicia tetrasperma


カスマグサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたなどの日当たりのよい草地に生えるつる性の越年草です。マメ科ソラマメ属(スズメノエンドウ属)の植物で、学名の「Vicia」は「vincire:巻きつく」からきているといいます。実際に、カスマグサにも巻きひげがあってそれで他につかまって伸びます。

「カスマグサ」という名前は変わっていますが、これは、同じ属の「カラスノエンドウ (Vicia sativa subsp. nigra)」と「スズメノエンドウ (Vicia hirsuta)」の中間的な形をしているところから、両者の頭文字をとって、「カ+ス+間+草」とつけられたといいます。全体的な大きさや花の大きさは、確かに2種の中間に入る大きさではありますが、花は小さくどちらかといえば、目立たないし「スズメノエンドウ」よりかな。

カスマグサ Vicia tetrasperma


葉はたくさんの小さい葉(小葉)からなる羽状複葉で、てっぺんの小葉(頂小葉)がなく、巻きひげ状になっています。これで、そこらじゅう巻きついて、どこからどこまでが1個体なんだろうかと思ってしまうくらいです。小葉は8枚〜14枚くらい。

カラスノエンドウは、3種の中では、特別に大きく目立つ花なので見分けるのは簡単です。では、スズメノエンドウと比べるとどうなのかと。これも、花の色や実の形がちがうので意外に簡単に見分けられます。カスマグサは赤紫色の花を1個〜3個のつけるのですが、スズメノエンドウの方はより小さくて、白っぽいような青紫っぽいような色の花を3個〜7個つけます。したがってできる果実(豆果)の数も違ってきます。

カスマグサ Vicia tetrasperma


カスマグサは花が2つずつ咲くことが多いので、豆果も長い柄の先に2つついていることが多いですが1個のこともよくあります。豆果は下向きにぶら下がるようにつき、毛はなく、長さは1cm〜1.5cm。中にはふつう4個の種子が入っています。スズメノエンドウの豆果は、長さ1cmあるかどうかで、短い毛がたくさん生えています。中の種子は2個です。

ちなみに、カスマグサの種小名「tetrasperma」は、「4つの種子の」という意味です。

*3種の違い(数のみに注目した場合)*

小葉の数花数(果実数)種子数
カラスノエンドウ8個〜16個葉腋に1個〜3個3個〜6個
カスマグサ8個〜12個長い柄の先に1個〜3個4個
スズメノエンドウ12個〜14個長い柄の先に3個〜7個2個

特に小葉の数などは、変異の幅が大きいもので、種間で重なり合うので、これだけでは区別しかねるかもしれません。そういうときは、ほかの形質と合わせて、総合的に見てみてみます。一度わかってしまえば、この3種、比較的簡単に見分けがつくようになるでしょう。

【和名】カスマグサ [かす間草]
【学名】Vicia tetrasperma
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/28
【撮影地】東京都日野市

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ヒメオドリコソウ

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ヒメオドリコソウは、ヨーロッパ原産の帰化植物で、アジアや北アメリカなどに帰化しています。日本でも各地の人家周辺や道ばた、田畑などにごくふつうに見られる越年草です。

道路脇のブロック塀のわずかな土壌でもよく生育しています。どうしてこんなところに、と思うような場所でもよく見られるのは、種子の運び屋がいることによる部分も大きいようです。その運び屋とは、「アリ」です。ヒメオドリコソウの種子には、冠毛や翼があるわけではなく、風による散布はあまり期待できません。その代わり、アリの好む「エライオソーム」という付属体があるので、アリによって運ばれます。

ということで、「ホトケノザ」でもご紹介済みの種子を運ぶアリの姿、「ヒメオドリコソウ編」です。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureumヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ヒメオドリコソウの種子は、円錐形を4等分したような形で、4つがガクの中にはさまるように入っています。入っている状態をのぞきこむと、先の太い方が見えていて、細い方が奥に向いた状態になっています。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ガクの中から種子を取り出すのに成功した一匹のアリ発見。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


どういうわけだか、うまく持ち運ぶことができない様子。ホトケノザに比べると大きめの種子。白いエライオソームがついている細い方さえ、ちょっと大きい。どっち向きに持とうか、モゾモゾと動き回る。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


このアリは、結局、この種子を落っことしてしまいました。。。

一番上の写真は、別のアリ。種子を持って猛スピードでヒメオドリコソウの株があるところから、15cmほどはなれた巣へと駆けていきました。エライオソームは巣の中で取り外され、アリはそれだけを食べます。種子の部分はそのまま巣の外に出されるらしく、条件が合えばそこで種子が発芽することになるでしょう。

ヒメオドリコソウは、紅紫色を帯びた苞葉がピラミッドのように重なっていて、結構発達したガクに包まれた種子は、ホトケノザよりもちょっと取り出しにくそう。大きいなアリはかなりおおざっぱに重なり合った苞葉の上を活発に動き回り、ときどきガクの中に顔を突っ込んで、調べている様子。それに対して、小さいアリや中ぐらいのアリは、よりガクの周辺をゆっくりと念入りに調べている。一度、ガクからの取り出しに成功し、しっかり持つころができれば、あとは一目散に茎を駆け下りる。そのスピードはものすごく早い。まるで、途中で大きなアリに横取りされないように巣へと急いでいるかのようです。エライオソームだけでなく種子ごと運んでいくのは、そのせいなのか。結局、観察していた間に、種子を取り出して無事に巣に運んぶことに成功したのは、中ぐらいのアリ3に対して大きいアリ1。

【和名】ヒメオドリコソウ [姫踊子草]
【学名】Lamium purpureum
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/04/27
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月27日

クサボケ

クサボケ Chaenomeles japonica


クサボケは、本州関東以西、四国、九州に分布し、丘陵や山地の日当たりのよい雑木林の縁や、田畑の周辺や土手などに生える落葉小高木です。花をつける個体の高さは様々です。人の手のよく入る場所では、草刈も行われることですし、草丈数センチ。明るい林の中などでは30cm〜1mくらいになります。

茎の下部の方は地面をはうような形になっていて、地面についたところは一部、地下茎になります。また、小さな枝はトゲ状になりますが、これは、枝の生長が途中で止まったものだそうで、まだ若い状態ではトゲはよくわからないこともあります。

葉は互生。若い個体の葉の色は特に変わっていて、早めに出た葉は少し青っぽい緑色、最近出た葉は黄緑色。両面ともに毛がなく独特の光沢があります。葉の縁にはギザギザ(鋸歯)があって、形は卵形〜楕円形。先の方は丸みのあるものや少しとがるものがあります。もっと大きく生長した個体では、もう少し分厚くてかたそうな葉が出ます。

新しい茎には少し黄色っぽいような褐色っぽいような毛が目立ち、葉の付け根には、ヒレがついたように見える小さくて丸っこい「托葉(たくよう)」があります。まだ若い地上部は、他のもろもろの草たちと変わらない10cm〜20cmくらいの背丈ですが、その葉の色や形でもって、草ではないのだと主張しているようです。

クサボケ Chaenomeles japonica


花期は4月〜5月。花の咲き始めは、葉の展開よりも早めです。朱赤色の直径2cm〜3cmくらいの花が数個、同じ節から束になるようにつきます。若草色の林内で、木漏れ日に照らされたりすると一層鮮やかなものです。バラ科らしく花弁は5枚、先は丸く、特に開き始めは、花全体としても丸くてふくよかな印象。果実は「梨」のような直径3cmほどもある球形の果実で、香りもよく、8月〜9月に黄色に熟します。

「クサボケ」という名前は、「ボケ」に似て丈が低いことからきています。ボケの方は中国原産ですが、クサボケは日本国内に自生している種です。国内のボケ属は、クサボケ1種のみ。花期は、ボケの方が春、早めに開花します。

【和名】クサボケ [草木瓜]
【別名】シドミ、ジナシ [地梨]
【学名】Chaenomeles japonica
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/01/01
【撮影地】東京都日野市

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ボケ

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アカネ

アカネ Rubia akane
2005/04/19

アカネは、本州、四国、九州に分布し、山野の林の縁などにふつうに見られるつる性の多年草です。茎は角ばっていて、切った断面は四角形。その角には下向きのカギ状になったトゲが生えていて、そのトゲで他のものにつかまって伸びていきます。アカネがはびこっているような場所に入ってしまうと、ガリガリッと引っかかってしまいます。

葉は丸みのある三角形〜幅の狭い卵形で、先の方はスッととがる感じです。葉に見えるものは、4枚輪生状についているのですが、このうち2枚が本来の葉で、残りの2枚は「托葉(たくよう)」というふつうは葉の付属物です。アカネの場合、2枚の托葉が大きくふつうの葉と同じくらいに発達して、結果として、4枚の葉が輪生しているように見えます。

このように、托葉が大きくなって葉と同じ形になって輪生状になるのは、アカネ科では、アカネ属やヤエムグラ属で見られます。「ヤエムグラ」では6枚〜8枚が輪生しますが、このうち本来の葉は2枚だけです。

アカネ Rubia akane
2005/04/19

花期は8月〜10月。花は、直径は3mm〜4mmほどで、葉の脇(葉腋)から出た「集散花序」にたくさんつきます。集散花序は、花軸の先端に花がついて、その先はそれ以上伸びず、その下から枝分かれしてその先に次の花がつくというのを繰り返す、とういう花のつき方のことです。花冠は5つに深く裂けるので、5枚の花びらがあるように見えます。色は淡い黄緑色で、花冠の裂片は開くと後ろに反り返ります。雄しべは5本、雌しべの花柱は2つで、先の柱頭は平らになっています。

アカネ Rubia akane
2004/10/11 若い果実

果実(液果)は、直径5mm程度の球形で、熟すと黒っぽくなります。

根は太く、生きた状態だと黄赤色、乾燥すると濃い赤色を帯びていて、古くから「茜染め」の染料として利用されてきました。繊維を染める赤の染料としては、この「アカネ」の他に、ヨーロッパ〜西アジア原産の「セイヨウアカネ (Rubia tinctorum)」を用いることも多かったようです。

【和名】アカネ [茜]
【学名】Rubia akane
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
【撮影日】2005/04/19、2004/10/11
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月26日

ネコハギ

ネコハギ Lespedeza pilosa


ネコハギは、国内では本州、四国、九州に分布し、日当たりのよいやや乾いた草地などに生える多年草です。上にはほとんどのびず、茎は地面をはうようにのびます。根もとの近くではよく枝分かれしますが上部ではそれほど分枝せず、1本の茎がかなり長〜くのびます。茎や葉の両面など、全体に毛が密生していて毛むくじゃら。ガクや果実の部分にも毛があります。茎の毛は特に長くて目立ちます。

名前は、全体に黄色っぽい毛がたくさん生えていることから、「イヌハギ」に対してつけられたという説や、全体に柔らかい毛が生えているのを猫の毛に見立てたものという説があります。

1つの葉は、3つの小さい葉(小葉)からできている「3出複葉」で、毛のたくさん生えた「クローバー」のような感じです。1つの小葉は幅の広めの卵形、長さ1cm〜2cm、幅も1cm内外です。その3出複葉が互生します。

ネコハギ Lespedeza pilosa


花期は7月〜9月。葉の脇(葉腋)に1つ〜5つくらいつきます。マメ科の植物なので、花は「フジ」や「カラスノエンドウ」などと同じように「蝶形花」ですが、色は白色。正面を向いて一番大きくて目立つ「旗弁」という花弁に紅紫色の斑点があって、それがちょうど花の中心部に見えるので、よいアクセントになります。ガクは5つに深く裂けます。

花の後には、長さ3mm程度の平べったくて丸くい、小さな果実(豆果)ができます。ネコハギはふつうに咲く花(開放花)のほかに、「閉鎖花」もつけます。これは、花が開かずに結実する花で、閉鎖花によってできる果実は、開放花によってできるものよりも小さいのだそうです。果実の先には花柱が残っていて、1本ピッと立っていて、その様子は、同じハギ属の「メドハギ」にも似ています。

【和名】ネコハギ [猫萩]
【学名】Lespedeza pilosa
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/26
【撮影地】東京都日野市

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メドハギ

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ヤブタバコ

ヤブタバコ Carpesium abrotanoides


ヤブタバコはの本全土に分布し、山野の林内や林縁に生える一年草または越年草です。草丈は、30cm〜1mくらい。上の方へ伸びるというよりは、ある程度の高さになると、そこから上には生長せず、たくさんの茎を横に長く伸ばします。横幅があるので、実際の草丈よりもかなりの大物に見えます。

根生葉は幅の広い楕円形〜長楕円形。とても大きくて、ビロンビロンとだだっ広い感じ。葉脈が葉の裏面に向かってくぼんでいるので、表面はシワシワに見えます。名前は、その葉が「タバコ」の葉に似ていて、藪に多いことからきています。この根生葉は、花が咲くころにはほとんど枯れています。上部の葉は、大きさがちょっと不ぞろいで、ところどころ大きな葉もついていますが、根生葉よりは小さめの長楕円形です。

今回の写真を撮影した場所では、ヤブタバコ属の植物が3種生育しています。そのうち「ヤブタバコ」と「コヤブタバコ (Carpesium cernuum)」がとても近い位置に生えていて、花を見れば明らかですが根生葉ではどうなのかと。もう1種の「サジガンクビソウ (Carpesium glossophyllum)」は色が濃く青っぽい緑色で、形も違うのではっきりわかります。それで、残った2種を比べると、ヤブタバコの方がちょっとしっかりめで、毛は生えているけれど遠めには目立たず、コヤブタバコの方は明らかに白い軟毛が多くて柔からそうに見える。これでよいですかね。。。

その筒状花の中にも2つのタイプがあって、外側には雌花。内側には両性花があります。このうち果実ができるのは両性花の方です。果実は円柱形、綿毛(冠毛)はありませんが、粘液が分泌されるので、それによって動物の体などにくっついて運ばれます。

ヤブタバコ Carpesium abrotanoides


花期は8月〜10月。花(頭花)は直径1cmほど、ほとんど柄はなく、花のもとの部分には小さな苞葉が数枚あります。キク科の植物なので、1つの花は小さな花(小花)がたくさん集まってできた「集合花」です。でも、ヤブタバコの場合は、花びらに見える「舌状花」はなく、すべて「筒状花」です。筒状花の部分は一応黄色いのですが、緑色の総苞に包まれているし、下向きに咲くので、目立つ花ではありません。

よく似たコヤブタバコは、葉はヤブタバコより小さめですが、花は反対に大きめで直径1.5cmくらい、花数はヤブタバコほど大量ではないです。

花は、横にのびた枝の葉の脇にたくさん下向きに並ぶので、上から見ているだけだと、花が咲いているのかよく見えないこともあります。下からのぞいてビックリ。なんてこともあるかもしれません。大きな個体では、これでもかってくらい花がつきます。

【和名】ヤブタバコ [藪煙草]
【学名】Carpesium abrotanoides
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/26
【撮影地】東京都日野市

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ヒメハギ

ヒメハギ Polygala japonica


ヒメハギは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよいやや乾燥気味の草地などに生える多年草です。ヒメハギは、ヒメハギ科ヒメハギ属の植物で、同じ属には「カキノハグサ (Polygala reinii)」や「ヒナノキンチャク (Polygala tatarinowii)」などが知られています。しかし、それらの多くは分布域が限られていたり、希少な種となっていたりします。ヒメハギに限っては広く分布しているし、同じ仲間の中ではよく見られる方だと思います。

草丈は10cm〜30cm。見た目は柔らかそうにも見えるのですが、茎はかため。地面近くの根もとの方でよく枝分かれして、少し地をはうように伸びますが、その後、上や斜め向きに立ち上がってきます。

葉は卵形〜楕円形で、互生します。葉の縁や茎は紫褐色を帯びていることも多いです。花が咲いている時期の葉は長さ1cm程度の小さなものですが、花が終わったころには3cmくらいになります。

花期は4月〜7月。花は茎の上部の方に赤紫色で、マメ科の「ハギ」のような、ラン科のような形の花です。花はちょっと変わったつくりになっていて、5つのガク片のうち、2つが大きく紅紫色で花弁のようになって左右に張り出します。本来の花弁は5つのうち上の2つは鱗片状で目立たず、残りの3つがくっついて筒状になります。その筒は花の中央から突き出るような形になっていて、先が房状に細かく裂けます。雄しべはふつう8つですが、やはりくっついた状態になることがあります。

ヒメハギという名前は、「ハギ」に似ていて、全体が小さいところからきています。

ヒメハギ Polygala japonica


果実は平べったくて丸く、団扇のような形になります。種子にはアリの好む付属体があるので、種子はアリによって離れたところまで運ばれます。

【和名】ヒメハギ [姫萩]
【学名】Polygala japonica
【科名】ヒメハギ科 POLYGALACEAE
【撮影日】2004/05/01
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月25日

ニガナ

ニガナ Ixeris dentata


ニガナは、日本全土に分布し、低地の道ばたの草地や、田畑のまわりから山地の日当たりのよい場所まで広く生育し、ごくふつうに見られる多年草です。草丈は20cm〜50cmほどになります。全体的にヒョロヒョロと細長く華奢な感じがします。花もちょっとまばらにパラパラ咲いている感じです。

根生葉は切れ込むことがありますが、切れ込みの度合いはさまざまです。根生葉には長めの柄があって、葉身の部分の長さは3cm〜10cmです。ただし、必ずというわけではないようですが、この根生葉にも生育段階によって明らかに二形見られることがあります。早い時期に出てきた根生葉は、柄の先に丸っこい楕円形の葉ですが、晩春のころに見られる根生葉は細長くて、羽状にギザギザと切れ込んだ状態のものが出てきています。

上に伸びてきた茎につく茎葉は、細長い楕円形で幅は1cm〜3cmほど、柄はありません。つけ根の部分は丸くはりだし、耳状になって茎を抱くような状態につきます。この丸くはりだした部分や葉の中央より下の部分には、粗い切れ込みや先の細長くなったギザギザが見られます。ちなみに、学名の種小名「dentata」は、「鋸歯のある」という意味です。葉の質は根生葉も茎葉も薄く、柔らかな印象があります。

葉や茎を切ると断面から白い乳液が出てきます。この乳液に苦味があるところから、「ニガナ(苦菜)」という名前がつけられたといわれています。

ニガナ Ixeris dentata


花期は5月〜7月。茎の上部では枝分かれして、「集散花序」に黄色の花(頭花)をつけます。頭花の直径は1.5pぐらい。花びらに見える「舌状花」はふつうは5個ですが、6〜7個のこともあります。キク科の植物ですので、この花びらに見えるものは1つ1つが小さな花(小花)です。こんなふうに複数の花が集まって1つの花に見えるものを「集合花」といいます。

花びらの下の部分には、緑色の筒状の「総苞(うほう)」があります。総苞には細長い線形の「総苞片」が並んでいますが、ふつうパッと見てそれとわかるのは、細長い「総苞内片」です。「総苞外片」はごく短いもので、総苞の下の方にちょこっと貼りついている程度の目立たないものです。

花の後にできる果実(そう果)は紡錘形で、長さは3mm程度。

「ニガナ」は、いろいろと変異の大きい植物ですが、花の直径が2cmくらいの大きめで、舌状花が8〜10個と多く白色のタイプの「シロバナニガナ (Ixeris dentata var. albiflora) 、その黄色のタイプの「ハナニガナ(Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia)」などがあります。今回の写真の個体は、まだ花が咲いていませんので、このうちのどのタイプなのかはわかりませんね。花の咲くころまで、もうちょっと待ちましょう。雌しべの花柱の先が2つに裂けてルッと巻いた状態が見られるのも、もうすぐ。

【和名】ニガナ [苦菜]
【学名】Ixeris dentata (Ixeridium dentatum)
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/14
【撮影地】東京都日野市

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イヌザクラ

イヌザクラ Padus buergeriana


イヌザクラは、本州、四国、九州に分布し、山野に生える落葉高木です。高さは10m〜15mくらいになります。樹皮は白っぽくて、一般的なサクラと同じように、「皮目(ひもく)」という隆起したものが横に並んで、縞模様になっています。皮目は呼吸が行われているところです。

葉は互生。長さ10cmくらい、やや細身の長い楕円形で、先の方は細くとがる感じです。表面には毛があり、縁のギザギザ(鋸歯)は小さく細かく入っています。花は葉が展開した後に開花します。

サクラの仲間ではありますが、一般的なサクラとはいろいろと様子が違っています。サクラの仲間は、ふつう、葉柄に「腺点」という密腺が小さい突起がついていますが、イヌザクラの場合はそれが、葉柄ではなくて、葉身の部分の下の方に見られます。鋸歯と同じような感じなので、葉柄にある場合より目立たないかもしれないし、わかりにくいこともあります。同じ木の中でも何枚かの葉をチェックしてみると見つかるかもしれません。

イヌザクラ Padus buergeriana


花期は4月。前年度に伸びた枝から総状花序を出して、たくさんの花を咲かせます。写真の状態では、まだ蕾のついた花序は短いので、枝と花序が接近して見えるのでわかりにくいのですが、イヌザクラの場合は、花序自体には葉がつかないんです。花が開くころは、花序の長さは、5cm〜10cmほど。果実が熟すころは、もう少し長めの印象です。

1つ1つの花の直径は、5mmちょっとくらい。花弁は5つ、多数の雄しべは花弁より長くて突き出しています。花序全体としてみると、大きな試験管ブラシのようです。

同じように総状の花序に白い花をたくさんつける「ウワミズザクラ」より、ちょっとおとなしめ。ウワミズザクラの場合は、今年伸びた枝の先に花序が出ます。これが重要ポイントで、花がついている下(花序の付け根)のあたりを見て、葉があったら「ウワミズザクラ」、なければ「イヌザクラ」というふうに見分けられます。

果実はやや先が細くなりますが、ほぼ球形で、黄色→赤色→黒紫色というふうに変化します。1つの花序(果序)で、熟す時期がばらばらなようで、いろんな色が混じって見られることもあります。

イヌザクラは、一般的な図鑑などを見ると、「ソメイヨシノ」や「ヤマザクラ」などと同じサクラ属(Prunus)に分類されていて、学名は「Prunus buergeriana」となってていることが多いと思います。この場合は、サクラ属がかなり広くとらえられています。より細かく分類した場合には、日本に生育するサクラの仲間は、スモモ属(Prunus)、サクラ属(Cerasus)、ウワミズザクラ属(Padus)、モモ属(Amygdalus)、アンズ属(Aemeniaca)、バクチノキ属(Laurocerasus)などとなるようです。この場合、イヌザクラの学名は「Padus buergeriana」です。

【和名】イヌザクラ [犬桜]
【別名】シロザクラ
【学名】Prunus buergeriana (Padus buergeriana)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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コアカザ

コアカザ Chenopodium ficifolium


コアカザは、ヨーロッパ〜シベリア西部原産の一年草です。「アカザ」と同様に、世界中に分布を広げているといいます。日本にも、かなり古い時代に入ってきたといわれています。現在では全国的に田畑や道ばた、荒れ地などにふつうに見られます。特に、土壌があまりかたくないようなところで発生しているのを見かけます。種子で繁殖しますが、芽生えるのはふつう春です。

コアカザは、「シロザ (Chenopodium album)」や「アカザ (Chenopodium album var. centrorubrum)」に比べると葉が細く、やや小型。茎がよく枝分かれして、特に若いときには、地面に近いあたりで横に広がる感じがあります。しかし、茎が横に寝て伸びるわけではなく、直立してきます。高さ30〜60cm。葉は、長さ5cm程度で、形はちょっとまちまちなところもありますが、だいたい、細い三角形っぽい形〜細長い楕円形です。付け根の近くで、3つに裂けていることが多いですが、縁には波のようにウネウネとした、不ぞろいの切れ込みがあります。

コアカザ Chenopodium ficifolium


葉は互生。1枚目の写真では、少し切れ込みが見られるのですが、2枚目の方ではまだ、葉の切れ込みがありません。芽生えてすぐの双葉や最初の数枚の本葉は、切れ込みのないただ細長いだけのものが出てくることもあるようですね。特に葉の裏は、粉のようなものがたくさんついていて白っぽく見えます。

花期は5月〜6月。ふつう、「シロザ」や「アカザ」は、秋に開花していることが多いですが、コアカザは初夏のころから夏に開花します。枝先に円錐形の花序を出して、薄い緑色の花をたくさんつけます。花は花序に密集してつくので、団子状になります。花にも粉状のツブツブがたくさんついているので、白っぽくいです。花のあとの果実は五角形。種子は黒くてごく小さいものです。

【和名】コアカザ [小藜]
【学名】Chenopodium ficifolium
【科名】アカザ科 CHENOPOIDACEAE
【撮影日】2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月23日

オヤブジラミ

オヤブジラミ Torilis scabra


オヤブジラミは、北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布し、山野の日当たりのよい林縁や道ばたの草地に生える一年草または越年草です。同じ属の「ヤブジラミ (Torilis japonica)」によく似ています。草丈は30cm〜80cm。茎や葉は赤紫色を帯びていることが多いです。

葉は長さ5cm〜10cm、大きくなった葉は「3回3出羽状複葉」で互生します。小葉は細かく裂け、両面に短い毛がたくさん生えています。写真は、まだ幼い状態なので、形がはっきりと表われていません。

ややこし〜い、葉の形。枝が3回枝分かれして、それぞれの枝の先に3枚の小葉がついていて、それぞれがさらに細かく裂けているような状態。。。この部分、いつもこんがらがってしまうんですよね。もっとわかりやすい説明ができたらいいのだけど。

花期は4月〜5月。ヤブジラミよりも少し早めの時期から開花しますが、ヤブジラミも5月には咲きはじめますので、花期は重なります。花は枝先に出た「複散形花序」につく白く小さなもので、ややまばらに2個〜6個咲かせます。花弁は5枚、縁はしばしば赤紫色に染まっています。

セリ科の植物の花のつき方を見るとき、よく出てくる言葉、「散形花序」。これは、花のつく枝(花軸)の先からたくさん枝が出て、その先に1つずつ花がつく花のつき方のことです。そして、「複散形花序」は、たくさん出た枝先にさらに小さな散形花序(小散形花序)がつきます。オヤブジラミは、花がまばらにしかつかないので、花序の形が観察しやすいと思います。

オヤブジラミ Torilis scabra


果実は6月ごろには熟して、褐色になり長さ5mm〜7mmの卵状楕円形。ヤブジラミの果実が長さ2.5mm〜3.5mm程度であるのに比べると、ちょっと長めの果実です。そのうち果実は、2つに分かれてぶら下がるような状態になります。つまり1つの花から2つの果実ができるわけです。その分かれた1つ1つの果実を「分果」といいます。

果実には、小さくて先がカギのように曲がったトゲがたくさんあって、いわゆる「ひっつき虫」の1つです。果実はそのトゲによって動物の体などにくっついて、離れた場所まで運ばれます。「ヤブジラミ」という名前は、藪に生えて、果実が衣服などにくっつくのを「シラミ」にたとえたものだそうです。

熟すと褐色になりますが、熟す前の果実は、トゲの部分が紅紫色を帯びていることが多く、それは、この地味な野草が、もっとも華やぐ時なのかもしれません。そのときがくるまで、もうあと少し、あと少し。

【和名】オヤブジラミ [雄藪虱]
【学名】Torilis scabra
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ヤブガラシ

ヤブガラシ Cayratia japonica


ヤブガラシは、日本全土に分布し、道ばたや荒れ地の藪などにふつうに生えるつる性の多年草です。地下茎をのばしてふえ、巻きひげで他のものにからみつきグングンツルを伸ばして、非常に旺盛に繁茂します。その様子は、藪をも枯らしてしまいそうなほどだということで、「ヤブガラシ」という名前がつけられています。

葉は5つの小さい葉(小葉)からなっていて、鳥の足のような形に見える「鳥足状複葉」です。5枚の小葉のうちてっぺんにある「頂小葉」が特に大きくて長さは5cm〜8cmくらいで、やや細長い卵形です。縁には少し粗めのギザギザ(鋸歯)があります。

晩春のころ、赤茶色のヤブガラシの芽が、あちこちでニョキニョキと出てきます。毛はなくツルットした茎や若い葉には独特の光沢があって、ちょっとギトギトした感じもあります。この姿を見ると、早くも夏に気持ちが飛んでしまいます。

ヤブガラシ Cayratia japonica


花期は6月〜8月。ヤブガラシは、「2出集散花序」という花のつき方をします。「集散花序」では、まず茎頂に花がついて、そこでその茎の生長がとまって、その花の下の腋芽が新しく伸びてきて、またその先に花がついてというのを繰り返して次々に花を咲かせます。2出集散花序では、対生している葉の脇から新しい枝が伸びてきます。ヤブガラシの場合は、葉があるという感じではないですが、二又、二又に分岐していきます。

直径5mmほどの小さなものです。花弁は黄緑色で4枚。雄しべも4本。中央のオレンジ色をした部分は「花盤」といいます。花弁やガクがついている茎の先端の部分を「花床」または、「花托」といいますが、ヤブガラシの場合は、その一部がよく発達して円盤状になっていて、それを「花盤」といいます。花盤には蜜がたまっていて、ミツバチやチョウ、アリなどの昆虫がよく訪れます。

花は朝開花して、はじめは雌しべは短くて機能せず、雄しべだけが花粉を出して機能しています。その後、花弁や雄しべは午後には散ってしまって、花盤と雌しべだけが残ります。そうすると、雌しべが成熟して長く伸びてきます。花盤の色はしだいに淡い紅色に変化します。小さく地味な花ですが、意外にも自家受精を避ける仕組みを発達させていたり、花色も移り変わるなど、劇的な変化を見せる花でもあります。

他家受精に成功すれば果実ができ、秋には熟して黒っぽい球形の果実になります。

【和名】ヤブガラシ [藪枯らし]
【別名】ビンボウカズラ
【学名】Cayratia japonica
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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カシワバハグマ

カシワバハグマ Pertya robusta
2004/07/03 若い個体

カシワバハグマは、本州の宮城県以南の主に太平洋側、四国、九州に分布し、山地の林内に生える多年草です。草丈は30cm〜70cm。茎は枝分かれせずにまっすぐに伸びます。葉は長い卵形。縁には粗いギザギザ(歯牙)があります。集まってつくので、やや輪生状に見えます。葉には長い柄があります。

花期はふつう9月〜11月。一般的な図鑑では、だいたい花期は秋になっています。しかし、昨年(2004年)などは、関東の丘陵地の比較的明るめの場所に生えていて、十分に生育している個体は5月に開花していました。秋に花を咲かせる林床植物は、春から夏を経て長い期間ゆっくりと生長してから、花をつけるわけで、林冠が樹木の葉でおおわれる前に、素早く開花結実する春植物とは違って、暗い林の中で長く生長を続けます。しかし、もしかしたら、光が十分に注いでいれば、秋まで待たずに、初夏に開花結実を終わらせるようなこともあるのかなぁと思って見ていました。

カシワバハグマ Pertya robusta
2004/09/23 終わた花

カシワバハグマは、キク科コウヤボウキ属で、花(頭花)は白っぽく、茎の上の方に穂状につきます。細長くてピラピラとした一見、花弁のようなものは、「舌状花」ではなく「筒状花」の裂片です。カシワバハグマの筒状花は10個ほどあって、それぞれが5つに細長〜く裂けて、その先端がクルッとカールしています。

名前のハグマ(白熊)というのは、「ヤクの尾の毛」のことだそうです。そのヤクの毛は、仏具の「払子」に使われるとか。葉の形が「カシワ(柏)」の葉に似ていて、白っぽく細長い裂片がたくさんある頭花を白熊に見立てて、「カシワバハグマ」と名づけられたといいます。

花冠の下の部分にある「総苞」は細長い円筒形で、長さは1.5cm〜2.5cmくらい。総苞にある「総苞片」は魚の鱗のようにペッタリ伏してくっついた状態です。総苞片は緑色〜赤みを帯びていることも多いです。

【和名】カシワバハグマ [柏葉白熊]
【学名】Pertya robusta
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/07/03、2004/09/23
【撮影地】東京都八王子市、山梨県牧丘町

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ゴマフ的生活」さんの記事「冬の花
すでに役目を終えたはずの花が、もう一度、冬に咲かせた花とは?

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2005年04月22日

ワダソウ

ワダソウ Pseudostellaria heterophylla


ワダソウは、本州中部以北と九州の一部に分布する多年草です。主に山地の明るめの林内に生育します。全体的に華奢な感じのする小さな草本で、草丈は5cm〜20cm。茎には短い毛が生えています。

葉は対生しますが、葉の形やつき方がちょっと変わっていて、上部につく2対の葉は特に大きくて、すごく接近してつくので、4枚輪生しているように見えます。それより下部のは細長く、コスモスの双葉のような感じで2枚、ピッ、ピッと対生します。さらに、上部の2対は、花の終わりごろになるとかなり大きくなって、その状態を初めて見たときは、これは一体何なんだぁ〜と、しばし考え込んでしまいました。上の葉で長さは5cm前後です。

ワダソウ Pseudostellaria heterophylla


花期は4月〜5月。花は、葉の脇から出た細長い花柄の先につきます。花柄やガクには短い毛があります。花は上向きに開きますが、花が終わりに近づくと下向きかげんになって、果実は垂れ下がります。1株につき花数は、1個〜数個。ナデシコ科ワチガイソウ属の植物で、花は白色の5弁花です。花弁は長さ7mm〜8mm、弁の先は少しへこんだようになります。ガク片も5枚で緑色。

雄しべは10本あって、先の「葯(花粉のあるところ)」の部分が赤くて白の花弁によく映えます。何となくなんですが、10本のうち5本は仮雄しべってことはないですかね。長さや色に違いがあるような気がするんですけど。それとも成熟する時期を5本ずつにわけているとか。。。

名前は、人の名前みたいですけれど、長野県の和田峠に多いことからきているそうです。

【和名】ワダソウ [和田草]
【学名】Pseudostellaria heterophylla
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2004/04/30
【撮影地】東京都八王子市

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オオジシバリ

オオジシバリ Ixeris debilis


オオジシバリは、日本全土に分布し、道ばたや水田の周辺などにふつうに生えている多年草です。キク科ニガナ属の植物で、同属でよく似た種類の「ジシバリ (Ixeris stolonifera
)」よりもやや湿り気が必要なようです。石垣やブロック塀の隙間など土壌の少ない乾燥気味の場所で見られるのは、だいたい「ジシバリ」の方です。

名前は、そのジシバリよりも花や葉が大きいことからきていますが、ジシバリは、地面をはう茎から根を下ろして、まるで地面を縛るかのように見えることからきています。いずれも、しばしば群生しているのが見られます。

オオジシバリ Ixeris debilisオオジシバリ Ixeris debilis


葉は長さ5cm〜20cm、幅1.5cm〜3cmほど。へら形〜細長い楕円形で、しばしば、羽状に切れ込んでいます。葉質は薄くてやわらかく、色も明るめの緑色。縁が赤みを帯びていることも多いです。花の咲く前くらいの小さな葉は、地面に伏したようになっていることもありますが、花が咲くころの葉は、細長くて上に立ち上がっていることが多いです。それに比べると、ジシバリの方はあまり立ち上がらずに、葉は丸っこくて小さいです。

オオジシバリ Ixeris debilis


花期は4月〜5月。花茎をのばした状態の草丈は、20cm〜30cmくらい。花は直径2.5cm〜3cm。花茎の上部で枝分れして、花(頭花)は2個〜3個つきます。キク科の花なので、ふつう1つの花に見えている頭花は、小さい花(小花)がたくさん集まった「集合花」です。キク科の花の小花には2種類の花があって、よくあるマーガレットタイプの花では、中央部に「筒状花」、周辺部には花びらに見える「舌状花」があります。しかし、オオジシバリの場合は「筒状花」はなく、すべて花びらに見える黄色の「舌状花」からなっています。

花びらの下にある緑色〜黄緑色の部分は、「総苞(そうほう)」といって、長さは1cmちょっとくらい。総苞をよく見ると、まず目に飛び込んでくるのは、細長い部分で、それは「総苞内片」です。そして、その総苞内片の長さの3分の1に満たないくらいの「総苞外片」も見られるはずです。今回の一番上のしぼんだ花の写真では、総苞外片は3分の1の長さよりもずっと短くて、しかも角度が悪かったので、細長い総苞内片しか見えていません。それに、もしかすると、花がしぼむころには総苞外片は脱落してしまうのかもしれません。なんだかよくわからないことがあります。

オオジシバリの花は、黄色くタンポポのような花をパッと広げて、いかにも虫の訪問を誘っているようですが、必ずしも花粉を運んでくれる虫が訪れるとは限らない。そこで、確実に種子を作るために、このオオジシバリは、他の花からの受粉できなかったときには、速やかにどうか受粉する仕組みを持っているのだそうです。

花後にできる果実(痩果)は、7mm〜8mm。ジシバリと同じように、花が終わって果実が熟すころには、冠毛が広がって綿毛状になります。そして、少し平べったい紡錘形の果実の先は、細長くくちばしのように伸びた形になります。冠毛はそのくちばしのようになっている方についていて、長さは7mm〜8mm程度、色は白色です。

【和名】オオジシバリ [大地縛り]
【別名】ツルニガナ
【学名】Ixeris debilis
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月21日

ホトケノザ

ホトケノザ Lamium amplexicaule


ホトケノザは、本州、四国、九州、沖縄に分布するほか、東アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く見られる越年草です。草丈は10cm〜30cmほど。主な花期は3月〜6月。こちら関東の丘陵地では、4月半ばを過ぎた現在、遅めに生長したものがちらほら花を咲かせているくらいで、すでに一通り咲ききって、ほとんど終わっています。

そこで、花は落ちてなくなって、ケバケバしたガクが残っているあたりをじっくり見ると、薄茶色の種子が挟まるように入っていることがあります。近くには、蕾のまま開かずに結実する「閉鎖花」の残骸のようなものもあります。

ホトケノザの種子には、アリが好む「エライオソーム」という付属物がついています。そのとおり、段々についている葉の上は、種子を運ぶアリたちがウロウロ。ガクの間の種子を物色中のアリもあちこちで見られます。

ホトケノザ Lamium amplexicauleホトケノザ Lamium amplexicaule


ガクの中をのぞくとふつうは4つの種子が入っているはずなんですが、コロコロと落っこちやすい種子らしく、あまり4つそろっていないかもしれません。種子は3つの稜があって、背側は丸くふくらんだ形になっています。一見薄茶色なのですが、よくみると白斑が見られることもあります。エライオソームは白っぽい色をしていて、種子の細くなった方についていて、ガクに入っているときは、下側になっています。

前日、雨が降ったせいでぬれていたからなのか、何となくネバネバしていて、アリもそこから種子をとりだすまで時間がかかっている様子。それともその場で、ネバネバをなめていたのかな。ふつうだったら、もっと種子ははずれやすいと思うのだけど。

白いエライオソームがついているのは、種子の細い方。アリはエライオソームがついている方を持って運んでいっていました。ホトケノザがアリのために、細い方にエライオソームをつけるようにしたのかはわかりませんけども。こうやって、アリは栄養豊富なエライオソームを食べるため、巣までせっせと種子を運んでいきます。その種子はアリの巣で発芽することになります。ホトケノザはアリによって種子が運ばれる植物なんですね。このような種子散布様式は他の植物でも見られます。例えば、ホトケノザと同じ属の「ヒメオドリコソウ」や「スミレ類」、「カタクリ」などです。

冬の最中のホトケノザの種子は、アリに運ばれていきそうな気配はなかったのですが、4月半ばを過ぎた現在、ホトケノザのまわりは数匹のアリの往来で、少しにぎわっていました。

写真をちゃんと撮れたらいいのですが、筆者の腕ではこんなのが限界でございます。小さいもののお写真の撮影、関心がある方は、こういうのにもチャレンジされてはいかがでしょう。

【和名】ホトケノザ [仏の座]
【別名】サンガイグサ [三階草]
【学名】Lamium amplexicaule
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ikimonodaisuki !」さんの記事「ホトケノザ
ホトケノザについて、詳しくわかりやすくまとめてあります。

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ナワシロイチゴ

ナワシロイチゴ Rubus parvifolius


ナワシロイチゴは、日本各地のほか、中国、朝鮮半島など東アジアに分布する落葉低木です。山野の道ばたや土手などの日当たりのよい場所で見られます。茎は地をはうように広がって、根を下ろして増えます。花をつける茎は上に伸び、高さは30cmほどです。茎や枝にはトゲや短い毛がたくさんあります。

葉は互生。裏には綿毛が密生しているので、真っ白です。ふつうは3つの小さい葉(小葉)からなる「3出複葉」ですが、ときどき5つの小葉になるときもあります。小葉の長さは2cm〜5cmくらいで卵を逆さにしたような、ひし形のような形です。縁には不規則にギザギザした「重鋸歯」がありますが、先の方などは何となく丸みを感じます。「重鋸歯」というのは、1つのギザギザに、さらに細かいギザギザがある鋸歯のことです。「ソメイヨシノ」の葉には鋭い重鋸歯があります。

バラ科なので、葉柄のつけ根の部分には、「托葉(たくよう)」という付属物があるのですが、長さ5mmくらいの線形のものなので、あまり目立つものではないですね。

ナワシロイチゴ Rubus parvifolius


花期は5月〜6月。4月も半ばともなれば、関東の丘陵地などでは「クサイチゴ」や「ニガイチゴ」などは、花盛りとなります。しかし、このナワシロイチゴはゆっくりめ。ようやく葉を広げ始めています。名前は、果実が苗代のころに赤く熟すところからきているそうですが、実際には、熟すのはもっと後のことが多いかもしれません。

バラ科キイチゴ属の植物ですが、ナワシロイチゴの花は、他の多くの種の花とはちょっと違っています。ふつう、キイチゴの花といえば、パッと開いた真っ白の5弁花を思い浮かべますが、ナワシロイチゴの場合、5枚あるものの紅紫色で、上向きに開きます。開くといってもどの状態が開いた状態なのかよくわからないような花です。ガク片だけが開いたすぐくらいのころが、紅紫色の花びらが目立って美しく見えるかもしれません。そのうち、直立した花びらの上部から、多数の雄しべが見えてきます。ガク片は5枚あって、しだいに反り返って、両面に短い毛が密生して白っぽい。花弁もガクも長さは6mm〜7mmくらいです。花序は枝の先や葉の脇(葉腋)からでます。

果実は、直径1.5cmほどの球形に、たくさんの赤い粒ができます。この果実は他のキイチゴ属の多くの種類と同様に、生食するほか果実酒やジャムに利用されます。ただし、花柄にも小さなトゲがありますので、要注意。

【和名】ナワシロイチゴ [苗代苺]
【別名】サツキイチゴ
【学名】Rubus parvifolius
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ニワゼキショウ

ニワゼキショウ Sisyrinchium atlanticum


ニワゼキショウは、北アメリカ原産の一年草、または多年草です。日本に入ってきたのは明治の中ごろのことで、観賞用の花卉として導入されたそうです。現在では、各地で帰化して、日当たりのよい道ばたや芝生の中などでふつうに見られます。名前は、庭などによく生え、葉の形がサトイモ科の「セキショウ」に似ているところからきています。

茎の高さは10cm〜20cmほど。全体に毛はなくツルッとしています。根もとの方は葉が数枚重なり合ったような状態でついていて、アヤメをずーっと小さくしたような形をしています。花だけを見ていると、これがアヤメ科の植物とはわかりにくいのですが、この葉を見ると、なるほどっと思うのではないでしょうか。

葉は平べったい剣形、幅は2mm〜3mm程度です。付け根の方は茎を抱きような状態になります。

春にのびてくる花序は、葉と同じようなへら形をした1〜2枚の「苞(ほう)」に包まれています。その先端部分から、細長い柄が出てきて、直径1.5cmくらいの花が咲きます。もともと観賞用として入ってきたものでもありますし、特に群生していると小さくても見栄えがします。

花期は5月〜6月。花は紅紫色〜白色で花びらに見える花被片は6枚です。花色には、濃い紫のものと、少し青みがかった白色の2つのタイプを中心に、いろいろ濃淡があって、赤みがかったもの、白っぽいもの、青っぽいもの紫の濃いものなど変化があります。また、花被片には紫色の筋が入っています。花の中心部は黄色。花はその日一日でしぼんでしまう一日花ですが、しばらくは次々と花を咲かせていきます。ちなみに学名の種小名「rosulatum」には、「かわいいバラの」とか、「ロゼット状の」という意味があります。

アヤメ科ニワゼキショウ属の植物ですが、アヤメ属の花と比べると少し様子が違っています。アヤメ属の場合はふつう6枚の花被片のうち、外側の3枚が大きくて目立ちます。さらに中央部の花柱の先が3つに裂けて花弁のように平たく開きます。ニワゼキショウの方は花被片が6枚なのは同じですが、すべて同じ形をしています。さらに花柱の先も3つに裂けますが、裂片の先は糸状です。

果実(さく果)は直径3mmくらいの球形。熟すと垂れ下がって、3つに裂けます。

よく似た「オオニワゼキショウ」は、ニワゼキショウよりも草丈はやや大きいのですが、逆に花は小さめです。また、ニワゼキショウより子房の部分が大きくて、花の色がより青っぽい、「アイイロニワゼキショウ (Sisyrinchium graminoides)」という種類もあります。ただし、このあたり、学名も含めてまだよくわからない点があるようです。

【和名】ニワゼキショウ [庭石菖]
【学名】Sisyrinchium atlanticum
【科名】アヤメ科 IRIDACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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