2005年04月12日

フタバアオイ

フタバアオイ Asarum caulescens


フタバアオイは、本州、四国、九州の山地の林内に生える多年草です。草丈は10cm〜20cmくらい。茎は土や落ち葉などに埋もれたりしながらも地をはって伸びていき、葉はその茎の先端に2枚出て、対生状についています。その状態は、二又に分かれているように見えます。茎は分枝して伸びていくので、生えている場合は、だいたいそのあたりにひとかたまりの株立ち状になり、しばしば群生します。

葉は長さ4cm〜8cmのハート形。両面に白っぽくて短い毛がたくさん生えています。先はとがり、逆に基部は深く湾入して心形になっています。徳川家の家紋になっている「三葉葵」は、このフタバアオイの葉を3枚組み合わせて図案化したものだといわれています。また、京都の賀茂神社の神紋で、5月15日に行われる「葵祭」の飾りにも使われるのだとか。

カンアオイの仲間は常緑ですが、このフタバアオイやウスバサイシンは地上の葉を落として越冬します。写真の状態は、まだ葉や蕾が出てきたばかりで、葉はまだしっかり展開していませんでした。おかげで、葉の両面の短い毛はよく目立ち、蕾もよく見えました。

フタバアオイ Asarum caulescens


花期は3月〜5月。花は二又状になっている部分、つまり葉柄の基部から柄のある花が1つ出ます。花は直径1cmちょっとくらいで、下向きに咲きます。色は内側は紫褐色や茶褐色、ときに白っぽくなり、いずれも地味な色あい。3つのガク片は先端から半分くらいが三角形に切れ込んでいて、その部分が花の外側に折り返されて、ピッタリくっつくので、下から見ると円形に見えます。ガク片や花柄には白くてやや長めの毛があります。

学名の「Asarum」は、カンアオイ属の学名で、同属の1種のギリシャ名からきているそうです。種小名の「caulescens」は、「茎のある」という意味です。

【和名】フタバアオイ [双葉葵]
【別名】カモアオイ [賀茂葵]
【学名】Asarum caulescens
【科名】ウマノスズクサ科 ARISTOLOCHIACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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2005年04月11日

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン Adenophora triphylla var. japonica


ツリガネニンジンは、北海道、本州、四国、九州の高原や山野にふつうに見られる多年草です。花期は8月〜10月。茎頂の花序に釣鐘型の花を下向きに咲かせます。花冠は紫色〜白色、個体によって、やや濃淡があります。長さは2cm程度で、先は5つに裂けています。花冠から長〜く突き出したものは雌しべの花柱で、先は3つにわかれています。ガク片は5つで、細長い線形です。花はいろいろと変異があって、花冠の大きさや形などは、細かったり大きくふくらみがあったり、花冠の裂片の先が少し反っていたり、ほとんど反り返っていなかったりします。

草丈は30cm〜1mにほどになります。茎はあまり枝分かれしないのがふつうです。上部の葉の脇からたくさん花序が出ていることはよくあります。全体に毛が生えていて、茎の上部の葉は長楕円形でふつうは3枚〜4枚が同じ節から出て「輪生」します。葉柄はほとんどない状態です。ただし、葉のつき方は、互生や対生のこともあります。

根生葉は一応、柄がありますが、長いものもあれば、ごく短くて密集して葉がついているとよくわからないようなこともあります。根生葉も伸びてきた茎につく葉の形も個体差があって、おや?っと思うことも多いです。花時期になればそんなことも特にないのですが、葉っぱだけだと隣り合わせに生えている個体でも、何だか同じ種類の株なんだかどうだか、?マークが飛び交います。根生葉しかないときでも、どことなく茎が伸びたときに「輪生」しそうな素質が見える場合は、きっとそれだろうとわかるかもしれません。ちなみに、この根生葉、花が咲くころにはほとんど枯れてしまっているか、あっても草むらの中でよく見えないので、根生葉の現物を見るなら、4月上旬の今が旬。

若い芽は山菜の「トトキ」、根は肥大していて薬用として使われます。山菜取りの達人なら、?マークは出ないかもしれませんね。

【和名】ツリガネニンジン [釣鐘人参]
【別名】トトキ
【学名】Adenophora triphylla var. japonica
【科名】キキョウ科 CAMPANULACEAE
【撮影日】2005/04/08
【撮影地】東京都日野市

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タチイヌノフグリ

タチイヌノフグリ Veronica arvensis


タチイヌノフグリは、ヨーロッパ原産の越年草です。日本で最初に帰化が認められたのは、明治の中ごろのことだったそうです。現在では各地でごくふつうに見られます。

草丈は10cm〜30cmほど。小さい個体では茎はほぼまっすぐに直立します。大きめの個体になると、茎の株の方はよく枝分かれしてやや地面をはうように斜めに伸び、途中から直立します。全体に短い毛がたくさん生えています。

葉は卵形でほとんど柄がなく対生します。長さ5mm〜1cmほど、幅は1cmあるかどうかっていう程度です。茎の上の方の葉は次第に小さくなって、特に花のついている花序のあたりでは細くとがった「苞」になっています。

花期は4月〜6月。花は茎の上部の葉の脇(葉腋)に、1つずつつきます。同じ茎に同時に咲いているのはせいぜい2つ〜3つのことがほとんどですが、株が生長してくると、たくさん分枝して、それなりに花をつけていることもあります。

花色は青紫色、直径は3mm〜4mm。花柄はほとんどなく、苞やガクの間にチョコチョコと咲きます。同じクワガタソウ属(Veronica)の「オオイヌノフグリ (Veronica persica)」をすごく小さくしたような花です。同じような場所に生えるので、よく隣同士で「タチイヌノフグリ」と「オオイヌノフグリ」が咲いています。大きさを比較した写真は、一度は撮影したくなるものでしょう。

果実の形はやはり、オオイヌノフグリに似た形で、長さや幅は3mm〜4mmで、縁には腺毛が生えています。中の種子は平べったい楕円形です。

タチイヌノフグリ Veronica arvensis


芽生えて間もないような幼植物では、葉の鋸歯が非常に少ないですが、それでもほんのちょっとだけある!というのがミソです。葉の縁がやや裏側に巻き気味みになるところもチェックポイント。とくに越冬中は、オオイヌノフグリよりもかなり小さいものが見られます。

4月上旬の、こちら関東の丘陵地では、まだ、小柄な個体が多いもので、草丈は数cmで、芽生えたばかりのようなものも見られます。大きくても10cm程度。

【和名】タチイヌノフグリ [立犬の陰嚢]
【学名】Veronica arvensis
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2005/04/08
【撮影地】東京都日野市

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ブタナ

ブタナ Hypochaeris radicata


ブタナは、ヨーロッパ原産の多年草で、世界中に広く帰化しています。日本では、1930年代に北海道や兵庫県で帰化が認められた後、各地でも帰化が確認されたといいます。現在では、似あたりのよい草地や道ばた、荒れ地などでふつうに見られ、特に牧場が近くにあるような、高原の道路脇などでは群生していることもしばしばです。

この草は、フランスでは「ブタのサラダ」と呼ばれているそうで、ブタナという名前は、その日本語訳なのだそうです。また、タンポポに似た花を咲かせることから、別名を「タンポポモドキ」ともいいます。

ブタナ Hypochaeris radicata


全体に剛毛が生えていますが、葉の両面にもたくさん生えています。葉はすべて根もとの方から出る根生葉で、地面にへばりつくようにロセット状に葉を広げます。葉の質は分厚くて堅く、縁には羽状に切れ込みがあります。切れ込み方には個体差があって、ちょっと深めに切れ込むものや、浅めに切れ込むものがあります。生育段階でも切れ込みの度合いがやや変わったりもするし、切れ込むというよりは、縁がウネウネしたような状態のことも多いです。全体の輪郭としては、細長い楕円形。

ブタナ Hypochaeris radicata


ソメイヨシノが満開の4月上旬の関東の丘陵地。サクラの木の下では、地面にベッタリはりついた状態ながらも日に日に葉を生長させているブタナの姿も見られます。

花期は6月〜8月。50cm〜80cmくらいになる花茎を伸ばして、その先端にタンポポに似た花を上向きにつけます。花茎は途中で枝分かれすることが多く、1本〜3本になります。花(頭花)は鮮やかな黄色で、直径は3cmほど。花びらに見える「舌状花」は、先端がふつう5つに浅く裂けています。また、花茎をじっくり見ると、一応、退化した葉がごく小さく薄い鱗片状になって、ついているのがわかります。

タンポポの観察では、よく在来種と帰化種を見分けるのに、「総苞片(そうほうへん)」が反り返っているかどうかを見ます。黄色の花の下をのぞいてみると、緑色の「総苞」という部分があって、そこに細長い鱗片状の「総苞片」があります。ブタナの場合は、その総苞片が「セイヨウタンポポ」のように激しく反り返ったりせずに、まっすぐにはりついた状態になっていて、白っぽい毛が生えています。

種子の表面には小さな突起がたくさんあって、ブツブツしています。「冠毛(かんもう)」は、羽毛状の綿毛になります。

一見するとタンポポに似ていますが、背が高くて、花茎が分枝するので株の大きさのわりには花がたくさん咲いていたり、葉に剛毛が多くて堅そうだったり、茎の緑が濃いめで花の黄色のコントラストは人目をひきます。その姿はやはりどこかエキゾチックな雰囲気です。

【和名】ブタナ [豚菜]
【別名】タンポポモドキ
【学名】Hypochaeris radicata (誤:Hypochoeris radicata)
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/04/11
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月09日

タケニグサ

タケニグサ Macleaya cordata


タケニグサは、本州、四国、九州に分布し、山野や都市部などの道路脇や荒れ地などにふつうに見られる大形の多年草です。高さは1m〜2mに達します。茎や葉の裏は粉を吹いたように白っぽく、葉は互生し、長さ20cm〜40cmにもなります。根生葉のときから、全体に白っぽいのですが、葉の裏をひっくり返してみると、特に真っ白です。

4月上旬の関東の丘陵地。すでにタケニグサの個性的な葉が目につくようになっています。生長が早いところも竹に似ているのでしょうか。ついこの間までは、こんなにあちこちに出ていなかったのに。もうかなり大きな葉を広げた個体も見られます。裏を見ると白くて長めの軟毛がモジャモジャと生えていました。

タケニグサ Macleaya cordata


茎が粉白色になることや、茎の中が中空になるところなど、「竹」に似たところがあるので、名前はそこからつけられたといいますが、葉の形はぜんぜん違います。タケニグサの葉は、「菊」を大きく分厚くしたような感じで、つけ根の部分はグッと湾曲するので、全体の輪郭としてはハート形。といってもずいぶん切れ込みの多いハート形ですけども。このとてもユニークな葉の形は、一度覚えたら、きっと忘れられないものになると思います。ただし、名前の由来には、ほかにもいろいろと説があるようですね。

ちなみに、学名にある種小名の「cordata」は、「心臓形の、心形の」という意味です。

茎を折ると、黄色い汁がでてきます。薬用にもなるそうですが、かなり強い成分が含まれているそうで「毒草」でもあります。注意した方がよいですね。

タケニグサ Macleaya cordata


春はまだ、大きめの葉が地面近くに広がっているくらいなのですが、夏が近づくにつれてぐんぐん生長して、7月〜8月には茎の先に大型の円錐花序を出して、たくさんの花をつけます。大きくてダイナミックな草ですが、その巨体の割には1つ1つの花は小さくて、花には花弁がなく2枚の白いガク片と多数の線形の雄しべがピラピラとついているだけです。蕾のときは白くふくらみのあるものなんですが、ガクは開くと早々に脱落してしまうので、雄しべばかりが目立ちます。その雄しべは、糸状の「花糸」とその先につく線形の「葯(花粉のあるところ)」からできていて、長さは1cm程度です。

花が終わると平たいマメ科のような形の果実(さく果)ができて、それがたくさんぶら下がるようにつきます。果実の長さは2cm〜3cmくらいで、秋には、ちょっと独特の色合いのオレンジがかったような褐色になります。

【和名】タケニグサ [竹似草]
【別名】チャンパギク [占城菊]
【学名】Macleaya cordata
【科名】ケシ科 PAPAVERACEAE
【撮影日】2005/04/09
【撮影地】東京都日野市

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ハナイバナ

ハナイバナ Bothriospermum tenellum
2005/04/09

ハナイバナは、日本全土に分布し、道ばたや畑などにごくふつうに生えている一年草または越年草です。国内だけでなく、東アジアに広く分布しています。草丈は10cm〜15cmほど。茎は、はじめはやや地面に伏したように斜めに伸びますが、次第に立ち上がって伸びる茎が増えてきます。葉や茎、ガク片などにやや長めの毛が多く生えていますが、これが白くて茎にはりついたように上向きについています。

葉は長さ2cm〜3cmほど、幅は1cm〜2cmの長めの楕円形。葉の形は、あまりしっかり決まった形があるようではなく、縁は波打つことが多く、表面は何となく縮れたようなシワシワがあるような、そんな感じです。

ハナイバナ Bothriospermum tenellum
2005/04/09

花期はとても長くて、3月〜11月。同じ個体が、この期間ずっと咲き続けるというよりは、春先など、早めに咲いた個体にできた果実が、発芽してまた夏や秋には花をつけ、全体として花期が長くなっているのだと思います。つまり年数回、順次発生しているということなんでしょう。花(花冠)は、淡い青紫色で、直径は3mm程度のごく小さい花です。花冠の先は、5つにさけています。ガクは5枚で、花後に4つできる果実(分果)がそのガクの間に包まれたような状態になります。

花はキュウリグサに似ていますが、根生葉の形はぜんぜん違います。越冬中の方が見分けやすいかもしれません。花の時期なら、花序の形に注目します。キュウリグサの場合は、クルッと巻いた花序が開花とともにほどけていく「さそり状花序」なのですが、ハナイバナはさそり状花序にはならず、茎の上部の方まで葉がついています。葉の脇に小さな花がチョコチョコつく感じです。名前は、茎の上部の葉と葉の間に花をつけるので「葉内花(ハナイバナ)」といいます。

ハナイバナ Bothriospermum tenellum
2005/02/04

春、暖かくなってから伸びてきた根生葉は、花の咲き始めた4月上旬、とても明るくて瑞々しい色をしています。

秋に芽生えた個体の越冬中の根生葉は褐色を帯びていて、葉の縁の毛がやたらと目立っていました。一月ほど前までは、まだ、あちこちで寒さに耐えている様子の根生葉が見られたのに、季節の移り変わりのなんと早いことでしょうか。

【和名】ハナイバナ [葉内花]
【学名】Bothriospermum tenellum
【科名】ムラサキ科 BORAGINACEAE
【撮影日】2005/04/09、2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月08日

ミヤマカタバミ

ミヤマカタバミ Oxalis griffithii


ミヤマカタバミは、本州、四国に分布し、山地の林内に生育する多年草です。全体に軟毛が多くて、茎や葉の裏、ガクや苞にまで密生しています。「カタバミ」や園芸種の「オキザリス」などと同じカタバミ科カタバミ属(Oxalis)の植物です。

葉は、角の少し丸い三角形をした3つの小葉からなっていて、長い柄の先についています。小葉の先端は少しへこんだ形になっています。葉の裏にも軟毛が密生していて、特に3小葉が芽吹いてくるときには、3小葉が内側に畳み込まれていて、ちょうど裏が見えているので、軟毛におおわれて白っぽく見えます。

同属の園芸種「オキザリス・バーシーカラー」のような縁取りはないのでわかりにくいですが、蕾をよく見ると、傘をたたんだときのように花弁が巻いています。

花期は3月〜5月。花柄にも軟毛があって、長さは5cmくらい、先端に1つだけ花をつけます。直径3cm〜4cmほどの白色の5弁花。しばしば、淡い紫色の筋が入っています。果実は長さ2cmほどの細長い卵形です。中には小さな種子が数個入っています。さらに花期が終わると、閉鎖花によっても果実をつけます。

ミヤマカタバミ Oxalis griffithii


また、関東西南部〜東海に分布し、葉の裏の毛が少なく果実の小さいタイプを「カントウミヤマカタバミ (Oxalis griffithii var. kantoensis)」といいます。「コミヤマカタバミ (Oxalis acetosella)」の場合は、全体に小型で小葉の角はさらに丸みがあります。こちらは花期が6月〜8月です。そういえば、日本海側には、「コミヤマカタバミ」の変種の「ヒョウノセンカタバミ (Oxalis acetosella var. longicapsula)」というのがありました。全体的に大きくて、小葉の幅は3cm〜5cmにもなります。花は白色か淡い紅紫色です。

ミヤマカタバミ Oxalis griffithii


根もとの方には何やら妙なものが見えます。これは葉がついていたところで、葉柄の基の部分が残っているものです。

【和名】ミヤマカタバミ [深山傍食]
【学名】Oxalis griffithii
【科名】カタバミ科 OXALIDACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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サイハイラン

サイハイラン Cremastra appendiculata


サイハイランは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内に生える多年草です。冬でも地上の葉は枯れずに、次の年の新しい葉が展開してから、花時期の前後に枯れてきます。葉の下の地下部には、1つの芽に1つの「偽球茎(バルブ)」ができます。バルブは、直径1cm〜2cmほどの卵形。

葉は長い楕円形で長さ15cm〜30cm、幅5cm内外、先端はスーッととがります。ふつうは、ペラーッと1枚だけ葉をつけます。まれに2枚つけることがあるくらいで、新しい葉が展開してからしばらくたつと、葉は地面にベラーッとはりついてしまいます。その葉は「エビネ」によく似ています。暗い林の中で、遠くから見てエビネと見間違うものの代表格。まあ、近づいてみるとまったく違うんですけども。

筆者の乏しい経験では、九州で見たものは斑が入っているのがふつうでした。たまたまかもしれませんが、これまで本州で見たものは、やや斑の入り方が少なかったり、ほとんど入っていなかったりでした。

花期は5月〜6月。花茎は30cm40cmほどの高さにまっすぐのびて、ほぼ一方向にかたよって10個〜20個の花をつけます。一般的な図鑑では、「ほぼ一方向にかたよって」というふうに書いてあるのですが、花序を横から見て前後を比べると、花のついている方向は確かにほぼ一方向といえると思います。しかし、花がついている方向から真正面に見ると右や左、そして、前方にと、特に一方向というわけではありませんよね。花は下向きに開き、紫褐色を帯びた肌色弁紅紫色舌。花弁やガク片の長さは3cmほど。

花の中央の「ずい柱」は、白っぽい棒状で、前方に突き出していて、唇弁に包まれたような状態になっています。先端の部分には淡い黄色の「葯」があって、ここには「花粉塊」が入っています。唇弁は3つに裂けて、真ん中の裂片(中裂片)が特に大きく、ほかの2枚の裂片(側裂片)は小さく細いです。ガク片(背ガク片、側ガク片)や花弁(側花弁、唇弁)はあまり開かず、唇弁以外はヒラヒラと弱そうな印象です。上から見ているとほとんど閉じているので、よく見えませんが、横や下からのぞいてみると、意外にも派手な色合いの唇弁にギョギョッとします。

名前は、こんなふうに咲く花の咲く様子を、武将が戦で指揮をとるのに使った「采配」にみたてて、サイハイランといいます。

サイハイラン Cremastra appendiculata


ふだん植物の写真を撮影するとき、おおいかぶさっている落ち葉などをあまりどかさないんですよね。でも、このときは脇に新芽があるはずだと思って、数枚の落ち葉をどかしてしまいました。撮影後、落ち葉をかけなおしはしたけれど、何かはれ物にでもさわったかのような気持ちになってしまうのは、相手がそれほど珍しいものではないにしても、一応、野生のランだからなのでしょうか。

【和名】サイハイラン [采配蘭]
【学名】Cremastra appendiculata
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都

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2005年04月07日

マルバコンロンソウ

マルバコンロンソウ Cardamine tanakae


マルバコンロンソウは、本州、四国、九州に分布し、山地のやや湿り気の多い林内に生える越年草です。高さは5cm〜20cm。全体に長めの軟毛が生えていて、白っぽく見えます。茎はほぼ直立してくるのですが、どことなく柔らかな感じをかもしています。

葉は、羽状複葉で、1つ1つの小さな葉(小葉)は、円形で短い柄があり、縁には一見丸いギザギザ(鋸歯)があります。てっぺんの頂小葉の輪郭の形だけみると、同じアブラナ科の「ユリワサビ」、シソ科のカキドオシやユキノシタ科のネコノメソウ類のような感じかな。う〜、他にもっと似ているのがあった気がするのだが。。。それより、羽状複葉でみたら、「オオバタネツケバナ」に近い形かな。まあ、そういうふうな丸っこい感じの小葉が数対ついて、奇数羽状複葉になっています。小葉の長さは1cm〜2cmくらい、頂小葉が一番大きいです。

さらに葉をよくみて、頂小葉以外の小葉の1つ1つに注目すると、小葉の中央脈に対して左右対称の形でないことが多いです。ちょっとゆがんだような形をしています。これは、同じタネツケバナ属(Cardamine)の他の種やそのほかの羽状複葉をもつ種でもよく見られる傾向だと思います。

と、ここで葉のことをいろいろ言っても、写真にはあんまり写ってないんですけどね〜。

花期は4月〜5月。茎の上部の花序に数個、花をつけます。花はアブラナ科らしい白色の4弁花です。花弁は長楕円形で、長さ5mm〜6mmほど。花茎やガクは、ふつう紫褐色を帯びていて、花柄やガクにも白い毛があります。蕾の感じは、色や毛の様子など、どこかナデシコ科の「ミミナグサ」のような雰囲気もあります。果実は細長い「長角果」で、果実にも毛があります。

【和名】マルバコンロンソウ [丸葉崑崙草]
【学名】Cardamine tanakae
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE(BRASSICACEAE)
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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ヘラオオバコ

ヘラオオバコ Plantago lanceolata


ヘラオオバコは、ヨーロッパが原産の帰化植物で、多年草または一年草です。日本には江戸時代の末期に入ってきたのだそうで、現在では各地の道ばたや空き地などで見られます。

葉はすべて根生葉で、長さ10cm〜20cm、幅は1cm〜3cmの細長いヘラ形。表面にはまばらな毛がありますが、大きく生長した葉では表面がほとんど無毛のこともあります。葉柄の部分には長い毛があります。根生葉はしだいに立ち上がってきて花のころには、ほぼ直立します。

花期は6月〜8月。葉の間から高さ20cm〜50cm以上になることもある花茎を伸ばして、先端に花序をつけます。花序は長さ2cm〜8cm、幅7mm〜15mm。ふつうの「オオバコ」よりもずっと背丈は高くなり、花もユニークで目立ちます。

花序を伸ばしながら舌から上へと咲きあがっていきますが、黄白色のピラピラが見えているのは雄しべで、その部分が花序に輪っかをつけたようになります。全体的に見るととんがり帽子をかぶったような状態で、とても個性的。帰化植物ではありますが、わかりやすく立体的な動きを見せるので、おもしろいものです。

このピラピラと雄しべが目立つ部分の花は、雄性期ということになります。咲き進むにつれて輪っかの部分は上へ上がっていきます。帽子よりも顔の方が長くなっていくわけです。雄性期の花も終わると、茶色の棒のようになります。

雌しべはというと、雄しべのある輪っかの部分より上で、雄しべよりも先に成熟しています。雌しべはごく短くて細長い棒状のもので目立ちませんが、よく見るとチラチラと見えているはずです。雌性期の花は、雄しべが見えている部分のすぐ上あたりにあります。このように、オオバコの仲間は、雌しべの方が雄しべよりも先に成熟する「雌性先熟(雌しべ先熟)」です。

雄しべが目立つので、なかなかその存在は目に入りづらいですが、一応、花びらに相当するものがあります。その花冠は白っぽくて4つに裂けて平らたく開きます。

ヘラオオバコ Plantago lanceolata


オオバコ類の場合、いろいろと帰化種があるのですが、特に困ってしまうのは、在来種の「オオバコ (Plantago asiatica)」と帰化種の「セイヨウオオバコ (Plantago major)」がとてもよく似ている点だと思います。セイヨウオオバコの方がオオバコよりも全体的に大柄で、できる種子の数が多いです。

似た種類がいろいろとある場合、幼植物の状態で見分けるのはなかなか難しいのともあるのですが、今のところ、「ヘラオオバコ」は、わかりやすい方かもしれません。「葉が細身で、葉柄や葉にはやや長めの軟毛が生えている」というのを手がかりに、他種との違いをおさえます。

市街地などで、今回の写真のような根生葉を見つけたときは、まず、葉の幅が広くなりそうな「オオバコ」などは、消去できると思います。候補としては、いずれも帰化植物のヘラオオバコ、ツボミオオバコあたりになるでしょう。「ツボミオオバコ (Plantago virginica)」の場合なら、全体に短い毛が密生しているので、白っぽく見えるはず。葉はもっと丸みがあって細長くはならず披針形で、縁にはあまり目立ちませんが、ギザギザ(鋸歯)があります。ヘラオオバコの場合はほとんど全縁です。では、「ムジナオオバコ (Plantago depressa)」はどうかというと、こちらはほとんど葉に毛がないはず。ということで写真のものは、全体の幅で5cmくらいの小さな株ですが、まず「ヘラオオバコ」でOKでしょう。

【和名】ヘラオオバコ [箆大葉子]
【学名】Plantago lanceolata
【科名】オオバコ科 PLANTAGINACEAE
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市

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ネジバナ

ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
2005/04/06

ネジバナは、日本全土に分布し、日当たりのよい草地や芝生に生えます。もっとも身近な場所で見られる野生のラン科植物です。草丈は花茎が伸びた状態で30cm〜40cmくらいまでなります。といっても、もっと小さい個体でも花を咲かせていますけども。ネジバナの花序には毛がありますが、奄美大島〜沖縄に分布し、花序に毛がないものを「ナンゴクネジバナ (Spiranthes sinensis var. sinensis)」といいます。

根もと付近からは数枚の根生葉が出ていて、その根生葉は長さ5cm〜20cm、幅は1cmもないくらいの細長いもので、先端はとがっています。花茎はこの根生葉の間からのびてきます。花茎には鱗片状になった細長く先のとがった葉が1枚〜3枚あって、茎にはりつくようにくっついています。冬には地上部がなくなって、春に地際から根生葉を出してきます。塊根は細長い紡錘形です。

ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
2004/05/01

花期は5月〜8月。花序は長さ5cm〜15cmで、毛があり、名前のとおりねじれているように見えます。それによって、小さな花は花序の下から上へらせん状に咲いていきます。花はふつうは紅紫色か白色、個体によって花色の濃淡があります。といっても、紅紫色のものも花全体が紅紫色なのではなくて、ふつうは「紅紫色弁白舌」。1枚だけ白い「唇弁」には縁に細かいギザギザ(歯牙)があります。2枚の横に水平に開いている花びらは「側ガク片」です。

小さな花の基の部分には子房がありますが、それが、小さくて先のとがった卵型の「苞」に包み込まれています。花はその苞から顔を出して咲く感じです。ラン科の植物によく見られる「距」とよばれるシッポのようなものは、ネジバナにはありません。

ラン科植物の花にはふつう、「外花被片(ガク片)」3枚と、「内花被片(ふつうはこれが花弁)」3枚があって、外花被片3枚のうち一番てっぺんにある1枚を「背ガク片」、他の2枚を「側ガク片」といいます。そして、内花被片3枚のうち背ガク片と反対位置にある1枚を「唇弁」、他の2枚を「花弁(側花弁)」といいます。ラン科の唇弁はふつう舌のような形や、袋のような形をしています。

ネジバナの場合は、「背ガク片と側花弁」つまり、上の方に位置する3枚の花びらはあまり開かずに、前方にかぶさったような感じで、先は少し反り返っています。その3枚(背ガク片と側花弁)はほぼ同じ大きさで同じ形です。

こんなにいろいろ書いていても、花の図解がないと、何のことだかよくわかりませんね。花の各部の名前は、何が何だかめんどくさいので、筆者の場合は、昔、唇弁を「舌」、そのほかを「弁」といっておりました。今でもそういってますけども。。。

【和名】ネジバナ [捩花]
【別名】モジズリ [捩摺]
【学名】Spiranthes sinensis var. amoena
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/04/06、2004/05/01
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月06日

ヌルデ

ヌルデ Rhus javanica var. chinensis


ヌルデは、国内では北海道から沖縄まで分布し、山野の日当たりのよい場所に生える落葉小高木です。高さは5m〜10mほどになります。名前は、樹液が白く塗り物に使うことからきていています。ウルシ科の植物ですが、「ヤマウルシ」や「ハゼノキ」とはちがって、ほとんどかぶれないといわれています。

葉は羽状複葉で、互生、軸の部分には翼があります。「羽状複葉で、翼がある」というのは、葉がある時期に、ヌルデを見分ける重要ポイントです。花期は8月〜9月。枝先の円錐花序に黄白色の小さい花をたくさん咲かせます。

葉にできる「五倍子または付子(フシ)」には、タンニンが多く含まれていて、黒色の染料や薬として用いられます。この五倍子は、アブラムシの1種の「ヌルデノミミフシ」という虫が寄生してできた「ゴール(虫こぶ)」で、茎や若葉に寄生するということです。今回、撮影した冬芽のあたりにも何か虫がいましたが、それが、その虫かどうかは未確認。また、「キブシ」の果実はこの五倍子のかわりに使われるとか。

ヌルデ Rhus javanica var. chinensisヌルデ Rhus javanica var. chinensis


冬芽は黄褐色の軟毛に覆われていてケバケバです。枝は紫褐色で灰褐色の隆起したツブツブがたくさんあります。このツブツブは、「皮目(ひもく)」といって、ここでは呼吸が行われています。葉のついていたあとである「葉痕」は、U字型かV字型で、冬芽を取り囲むような形でのこっています。

【和名】ヌルデ [白膠木]
【別名】フシノキ
【学名】Rhus javanica var. chinensis
【科名】ウルシ科 ANACARDIACEAE
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市

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マメグンバイナズナ

マメグンバイナズナ Lepidium virginicum


マメグンバイナズナは、北アメリカ原産の一年草または越年草です。日本に入ってきたのは、明治の中ごろのことだそうで、現在では各地に広く帰化しています。道ばたや荒れ地などでごくふつうに見られ、しばしば群生します。草丈は20cm〜50cm、かなり小さな個体でも花をつけます。

根生葉は、羽状に切れ込んでロゼット状になります。表面はやや光沢があって、少し濃いめの緑色です。花が咲くころには、この根生葉はほとんど枯れてしまいます。のびた茎につく葉(茎葉または茎生葉)には、ほとんど柄がなく互生します。形は長楕円形で縁には不規則なギザギザ(鋸歯)があります。

花期は5月〜6月。茎の上部でたくさん枝分れして、さらにその先の方にそれぞれ穂状の花序を出して、密集して花をつけます。花は直径3mmほどのごく小さいもの。ふつうは白の4弁花、ガク片は4枚で緑色です。時折、花弁のない花をけていることもあります。

果実は、平たくてほぼ円形の「短角果」、先端はちょっとだけへこんでいます。長さは3mm程度。全体にマメグンバイナズナより大きめでよく似た種に「グンバイナズナ」がありますが、名前は果実の形が、相撲の行司がもつ軍配の形に似ているところからきています。

マメグンバイナズナ Lepidium virginicum


「ナズナ」よりは春の生育が遅く、4月上旬の関東の丘陵地では、ナズナの方はすでに、花より果実が目立ち始めていますが、マメグンバイナズナの方は、写真のような小さなロゼットで、秋に芽生えて越冬したと思われる紫褐色の葉が、まだ見られるような状態です。

【和名】マメグンバイナズナ [豆軍配薺]
【学名】Lepidium virginicum
【英名】virginia pepperweed
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE(BRASSICACEAE)
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月05日

ユリワサビ

ユリワサビ Eutrema tenue


ユリワサビは、本州、四国、九州に分布し、山地の谷沿いの湿り気の多い場所に生える多年草です。生えているところは、ワサビほど水分が豊富な場所ではなく、湿り気の多い谷沿いでもそれほど水びたしにならないところに多く生えています。登山道脇など表面的にはやや乾燥して見えるようなところにも生育しています。

名前は葉が「ワサビ (Eutrema japonicum (Wasabia japonica))」に似ていることと、秋に地上部が枯れた後、葉柄の基部がふくらんで、その様子が「ユリ」の鱗茎に似たような状態になることから、「ユリワサビ」といいます。とはいうものの、ユリワサビの根茎は細くて短いもので、根茎が太くなるのは、東北に分布する「オクノユリワサビ」。それにしても、オクノユリワサビの学名は何なんでしょうね。原記載はどこにあるのだろう。。。


茎は地面をはうようにのび、先の方は斜めに立ち上がります。高さは15cmくらいで、よく立ち上がっている場合は20cmくらいです。全体に毛はなく、ツルッとした感じがあります。

根生葉には長めの柄があって、直径2cm〜5cmほどの腎円形です。写真の葉は、やや茎の下の方にある茎葉で、根生葉よりはやや小さく細身の卵形で、縁には大きく粗いギザギザがあります。茎の丈夫になるほど葉は小さくなります。

こんなふうに、根生葉と茎の上部につく葉(茎葉)の大きさや形が違うので、オヤッ?と思うことがあるかもしれません。茎葉だけを見ると特に「ワサビ」に似ている感じはありませんが、根生葉の方は丸みがあって、ワサビをずっと小さくしたような葉です。

花期は3月〜5月。4月上旬ともなれば、関東の低山では、いろいろと華やかでよく名前の知られた春植物が咲き誇っています。ユリワサビもその中に混じって花を咲かせていますが、もっと寒い時期からもチラホラと花が見られ、多くの春植物に先がけて開花が始まります。

花は直径1cmほどの小さな白い花で、茎の先の短い花序にパラパラとまばらに咲かせます。派手さはありませんが、アブラナ科らしい十字状の4弁花です。花が開くとかくれて見えづらいですが、蕾のときは灰褐色に白い縁取りのある楕円形のガクがよく見えると思います。ガクも4枚です。ワサビの方が全体に大柄で、花もまとまってたくさんつけます。

【和名】ユリワサビ [百合山葵]
【学名】Eutrema tenue (Wasabia tenuis)
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE(BRASSICACEAE)
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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ヤマルリソウ

ヤマルリソウ Omphaloides japonica


ヤマルリソウは、本州、四国、九州に分布し、山地の木陰や道ばたなどに生える多年草です。
草丈は10cm〜20cmくらい。茎や葉など全体にやや長めの毛が開出しているので、白っぽくてフサフサしています。

根生葉はロゼット状で、長さ10cm〜15cm、幅2cmくらいの倒披針形。縁はウネウネと波打つ感じで、全体の印象も柔からそうに見えます。上にのびる茎につく葉(茎葉)は、明瞭な柄がなくやや茎を抱いています。

花期は4月〜5月。茎の先の総状花序に、淡い青紫色の花を咲かせます。花(花冠)は直径1cmほどで、5つに裂けて平たく開きます。花冠の色には多少変異があって、ほとんど白色のものや、ピンク、青紫などの濃淡が見られます。また、咲き始めよりは開いてから少し時間がたった方が色が濃くなる傾向があるようです。

花茎は花が咲き進むにつれて茎の上部が上へ立ち上がってくる場合もあれば、そのまま地面をはうように花茎が伸びていることもあります。いずれにしてもあまり茎は直立せず、斜め上向きに伸びます。花序の下部の蕾から咲き始め、上へと先進み、終わった花から次第に花柄が下を向いてきます。

ヤマルリソウ Omphaloides japonica


ヤマルリソウは、「ワスレナグサ (Myosotis scorpioides)」や「キュウリグサ (Trigonotis peduncularis)」などと同じムラサキ科の植物ですが、ヤマルリソウは「ルリソウ属」、ワスレナグサは「ワスレナグサ属」、キュウリグサは「キュウリグサ属」と別の属に分類されています。花は淡い青紫色の5裂する花冠を持ち、大小の違いはありますが、よく似ています。また、花冠裂片の基部(花の中央部)には2つずつ鱗片があって、輪っかのように見えます。ワスレナグサだと中央にある黄色い輪っかの部分です。この輪っかは「ハナイバナ (Bothriospermum tenellum)」にもみられる特徴です。

学名の「Omphaloides」はルリソウ属の学名で、「omphalosはへそ、eidosは〜の形」という意味です。

【和名】ヤマルリソウ [山瑠璃草]
【学名】Omphaloides japonica
【科名】ムラサキ科 BORAGINACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

■当ブログ内関連記事→キュウリグサ

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2005年04月04日

ヨゴレネコノメ

ヨゴレネコノメ Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum


ヨゴレネコノメは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山地の谷沿いの湿り気のある場所に生育する多年草です。ユキノシタ科ネコノメソウ属の植物で、「イワボタン (岩牡丹 Chrysosplenium macrostemon)」の変種に分類されています。

花期は3月〜4月です。4月上旬の関東、今回の写真を写した場所でもすでに咲いています。花茎は高さ10cm〜20cmで、ときに紫色を帯びていますが、毛が生えているのでややや白っぽく見えます。花弁はなく、ガク裂片は白っぽいような褐色。雄しべは基本は4つのようですが、8つのこともあります。雄しべの先の「葯」は暗い紅色。葯が開くと黄色の花粉が出てきます。花のすぐ下あたりにある「苞」は淡い黄色をぼかしたような色で、この苞のおかげで花がグッと引き立ちます。

花が終わるころには、走出枝をのばして、その先に新たなロゼット状の葉ができます。このようにしてできる根生葉は、ふつう花のつく茎につく葉よりも大きく幅の広い葉です。

「イワボタン」は、苞やガク裂片、葯が黄緑色です。またガク裂片がやや斜めに開くのに対して、「ヨゴレネコノメ」はガク裂片が雄しべなどを包み込むようにくっついて直立しています。ということで、花のない時期に両者を見分けることは難しいでしょうね。今回の場合も咲いている株で花をチェックして、その株から発生したと思われる根生葉を撮影しています。

ネコノメソウの仲間は、とても見どころが多くて、「ネコノメ」という名前も、姿かたちも非常におもしろいです。ちなみに、「ネコノメ」という名前は、花のあとにできる果実(さく果)に裂け目が1本入っている様子が、明るい場所で細くなった猫の目のように見えることからきているといわれています。果実が裂開するとたくさんの小さなツブツブの種子が見えます。

葉は卵形〜汚れたような白っぽい斑紋があって対生します。茎につく葉には柄があり、ロゼット葉にも柄があります。冬のころに見ると、地面の土の色と同化したような紫褐色で、やはり白っぽく汚れたような斑紋があります。生えているところもやや陰湿な感じの場所が多いのでなおさら、きれいな葉とは程遠いような状態に見えるかもしれません。

葉の様子とは違って、花の部分は、特に「ヨゴレ」という名前からくるイメージとは少々異なって、それなりの華やかさもあります。でもそれは葉の部分の地味な色合いとの対比によって、そう見えているようなところもある気がします。つまり、名前の由来でもある葉の汚れたような色が重要なんだと思うんです。

ヨゴレネコノメという名前は、多くの人がそう感じるように、確かにかわいそうな名前なのかもしれません。しかし、この名前のおかげでより印象に残って、忘れられない植物の1つになるのではないでしょうか。

【和名】ヨゴレネコノメ [汚れ猫の目]
【学名】Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

posted by hanaboro at 20:53| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メギ

メギ Berberis thunbergii


メギは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山地や丘陵の林縁や草地などに生える落葉低木です。高さは1mほどで、よく分枝します。枝には筋のような折れ目があって角ばっています。枝は褐色〜紫褐色で、節々には長さ1cmほどの細いトゲがあります。葉が集まってついている下の部分にトゲがあって、ちょうど葉にかくれているので、うっかりさわってしまうと痛い目にあいます。

葉は、新しい長い枝につく場合は「互生」しますが、短枝につく葉は何枚か束になったように「束生(そくせい)します。葉は長さ1cm〜大きく生長した状態では5cmになります。形はやや幅の狭い感じの倒卵形〜ヘラのような形。先端には丸みがあって、あまりとがらないことが多いですが、反対に葉の付け根の方は次第に細くなって、流れるように葉柄につながる感じです。葉には毛がなく縁のギザギザ(鋸歯)なくて、特に若い葉は滑らかな印象があります。

メギ Berberis thunbergiiメギ Berberis thunbergii


花期は4月〜5月。短枝から短い花序が出て、淡い黄色の花を数個下向きにつけます。花は、同じメギ科の「ヒイラギナンテン」を小さくしたような花で、直径は6mm程度。花弁、ガク片ともに6枚、雄しべも6本あります。ガク片は花弁よりも大きくて、ガクの方が花弁のように見えます。果実(液果)は、10月ごろには赤く熟し、紅葉もなかなかきれいなものです。

樹皮は薬用になるということで、健胃剤にするほか、かつては煎じた液で目を洗ったのだそうです。「メギ(目木)」という名前はそこからきています。ちなみに、「コトリトマラズ」という別名は、トゲが鋭いので「小鳥もとまらない」という意味だそうです。

【和名】メギ [目木]
【別名】コトリトマラズ
【学名】Berberis thunbergii
【科名】メギ科 BERBERIDACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

■当ブログ内関連記事→ヒイラギナンテン

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posted by hanaboro at 16:49| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 芽吹き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コクサギ

コクサギ Orixa japonica


コクサギは、本州、四国、九州に分布し、山地のやや湿り気の多い林内や谷沿いなどに生育する落葉低木です。高さは2m〜4m、よく枝分かれします。

コクサギはミカン科の植物で、葉をちぎると独特のにおいがします。それもかなり強いにおいです。臭いと感じるかどうかは、個人差があると思いますが、筆者が試したものは「アーモンド」のようなにおいだったので、それほど臭いとは感じませんでした。ちなみに名前は、臭いのある木で、「クサギ」よりは小さいということからきているそうですが、クサギはクマツヅラ科の植物でコクサギとはまったく別の植物です。

葉は長さ5cm〜10cmくらいのやや幅の広い倒卵形、質は薄く縁にギザギザ(鋸歯)はありません。表面にはテカテカの光沢があります。

葉のつき方は基本的には「互生」なのですが、コクサギの場合はちょっと変わった互生で、「コクサギ型葉序」と呼ばれる葉のつき方になっています。そのコクサギ型葉序というのは、枝をはさんで、2枚の葉が1組みになって互生してつく場合をいいます。もっと簡単にいうと、右に2枚ついたら、次は左に2枚ついて、今度はまた右に2枚つく…ということを繰り返します。このような葉のつき方は、特にコクサギだけに限ったのもではなく、「サルスベリ」でも見られます。

コクサギ Orixa japonica
2005/04/03
コクサギ Orixa japonica
2004/05/30


花期は4月〜5月。葉が展開するのと同時に花が咲きます。雄花と雌花が別の個体につく雌雄異株。黄緑色で、小さくあまり目立たない花です。雄花は雌花より少し小さめで直径4mmほど、短い花序に数個つきます。雄花、雌花ともに花弁とガク片は4枚、雄しべは4つ、雌花の雄しべは退化しています。

また、雌花には子房が4つあって、花の後にできる果実は4つの部屋に分かれた分果になります。1つ1つの分果は直径1cmほどの腎形です。4つ分果ができるのがふつうだと思いますが、1個や2個のこともあります。果実が秋に熟して茶色く乾燥してくると、それぞれの分果が2つに割れて内果皮が反り返り、黒い卵形の種子を弾き飛ばします。この種子の飛ばし方は、非常に独特なものです。

4月上旬、こちら関東では、芽吹いてきているところで花はまだでした。

【和名】コクサギ[小臭木]
【学名】Orixa japonica
【科名】ミカン科 RUTACEAE
【撮影日】2005/04/03(芽吹き)、2004/05/30(若い果実)
【撮影地】東京都八王子市

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クサギ
サルスベリ

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2005年04月02日

カルーナ・ブルガリス

カルーナ・ブルガリス Colluna vulgaris 'Gold Haze'


カルーナ・ブルガリス (またはカルナ・ウルガリス Colluna vulgaris)は、主に北ヨーロッパやシベリアなどに分布する常緑低木で、荒れ地や湿地などの酸性の土壌に多く生育しているそうです。高さは20cm〜50cmくらい。

カルーナは、初夏ごろから咲き始める花を観賞するほか、赤や黄金色に色づく冬の葉も見事な品種がいろいろとあります。葉は濃い緑色のほか、黄、紅など豊富で、ほふくするタイプと、あまりほふくせずに立ち上がるタイプがあります。花色は濃い桃色や薄い桃色、白色などです。

写真は、主に葉の色を楽しむ品種の1つ、「ゴールドヘーズ ('Gold Haze')」で、明るい黄金色の葉がまぶしいくらいに輝いて見える品種です。花色は白色、花時期には草丈は30cmくらいになります。また、冬の時期、真っ赤に色づく「サンライズ ('Sunrise')」という品種もあります。

花期は6月〜10月、小さな花が総状につきます。直径は5mmほどの小さなもので鐘形。「エリカ (Erica)」に似た花です。以前はカルーナもエリカ属に分類されていましたが、葉の形や花の様子が異なるので、別属に分けられています。カルーナの場合、ふつうガクが花弁より長くなっていて、エリカはその逆です。

1つ1つの葉は小さく鱗片状になって密についています。ふつう十字に対生してつくので、角ばった形の枝がたくさん伸びている感じです。パッと見たところでは、コニファー類のような針葉樹的な印象です。

【一般名】カルーナ・ブルガリス
【品種名】ゴールドへイズ (Colluna vulgaris 'Gold Haze')
【英名】heather
【和名】ギョリュウモドキ [御柳擬き]
【学名】Colluna vulgaris
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/05/18
【撮影地】東京都調布市

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ジプソフィラ・レペンス

ジプソフィラ・レペンス Gypsophila repens


ジプソフィラ・レペンス (またはギプソフィラ Gypsophila repens)は、ナデシコ科カスミソウ属(またはコゴメナデシコ属 Gypsophila)の植物で、おなじみのカスミソウの仲間です。カスミソウ属の植物は、主にヨーロッパやアジアに120種ほどが分布していて、一年草や多年草などがあって、そのうちの数種が日本でも栽培されています。

例えば、一年草のタイプには、背丈の低い「ムラリス (Gypsophila muralis)」や、草丈50cmほどの高性の「エレガンス (Gypsophila elegans)」があります。また、主に切花でよく見られるのは、多年草で高性タイプのいわゆる「宿根カスミソウ (Gypsophila paniculata)」です。こちらは草丈は50cm程度で、八重咲きのものもあります。

また、宿根(多年草)のタイプのジプソフィラにも高性種と矮性のものがあって、写真のレペンス種は矮性のタイプです。ジプソフィラ・レペンスの原産地はヨーロッパアルプス。寒さには強く、やや高温多湿に弱いところがありますが、十分に日当たりがよく水はけのよいロックガーデンに向いています。

全体的に毛はなく、茎は地面をはうように伸び、マット状に広がります。茎の先の方は立ち上がって、高さは10cm〜15cmくらいになります。ちなみに種小名の「repens」は「匍匐性の」という意味です。葉は披針形〜線形で長さは2cmほど、十字に対生します。縁にギザギザ(鋸歯)はなく滑らかな全縁です。

花期は6月〜7月。花は茎の先に数個咲きます。花弁は5枚、ガクは5つに裂けます。花色は白がふつうですが、ピンクの('Rosea')、サームンピンク、紫色などがあります。花の直径は1cmあるかどうかというくらいです。

【一般名】ジプソフィラ・レペンス
【学名】Gypsophila repens
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2004/05/18
【撮影地】東京都調布市

posted by hanaboro at 14:16| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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