2005年04月04日

ヨゴレネコノメ

ヨゴレネコノメ Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum


ヨゴレネコノメは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山地の谷沿いの湿り気のある場所に生育する多年草です。ユキノシタ科ネコノメソウ属の植物で、「イワボタン (岩牡丹 Chrysosplenium macrostemon)」の変種に分類されています。

花期は3月〜4月です。4月上旬の関東、今回の写真を写した場所でもすでに咲いています。花茎は高さ10cm〜20cmで、ときに紫色を帯びていますが、毛が生えているのでややや白っぽく見えます。花弁はなく、ガク裂片は白っぽいような褐色。雄しべは基本は4つのようですが、8つのこともあります。雄しべの先の「葯」は暗い紅色。葯が開くと黄色の花粉が出てきます。花のすぐ下あたりにある「苞」は淡い黄色をぼかしたような色で、この苞のおかげで花がグッと引き立ちます。

花が終わるころには、走出枝をのばして、その先に新たなロゼット状の葉ができます。このようにしてできる根生葉は、ふつう花のつく茎につく葉よりも大きく幅の広い葉です。

「イワボタン」は、苞やガク裂片、葯が黄緑色です。またガク裂片がやや斜めに開くのに対して、「ヨゴレネコノメ」はガク裂片が雄しべなどを包み込むようにくっついて直立しています。ということで、花のない時期に両者を見分けることは難しいでしょうね。今回の場合も咲いている株で花をチェックして、その株から発生したと思われる根生葉を撮影しています。

ネコノメソウの仲間は、とても見どころが多くて、「ネコノメ」という名前も、姿かたちも非常におもしろいです。ちなみに、「ネコノメ」という名前は、花のあとにできる果実(さく果)に裂け目が1本入っている様子が、明るい場所で細くなった猫の目のように見えることからきているといわれています。果実が裂開するとたくさんの小さなツブツブの種子が見えます。

葉は卵形〜汚れたような白っぽい斑紋があって対生します。茎につく葉には柄があり、ロゼット葉にも柄があります。冬のころに見ると、地面の土の色と同化したような紫褐色で、やはり白っぽく汚れたような斑紋があります。生えているところもやや陰湿な感じの場所が多いのでなおさら、きれいな葉とは程遠いような状態に見えるかもしれません。

葉の様子とは違って、花の部分は、特に「ヨゴレ」という名前からくるイメージとは少々異なって、それなりの華やかさもあります。でもそれは葉の部分の地味な色合いとの対比によって、そう見えているようなところもある気がします。つまり、名前の由来でもある葉の汚れたような色が重要なんだと思うんです。

ヨゴレネコノメという名前は、多くの人がそう感じるように、確かにかわいそうな名前なのかもしれません。しかし、この名前のおかげでより印象に残って、忘れられない植物の1つになるのではないでしょうか。

【和名】ヨゴレネコノメ [汚れ猫の目]
【学名】Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

posted by hanaboro at 20:53| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メギ

メギ Berberis thunbergii


メギは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山地や丘陵の林縁や草地などに生える落葉低木です。高さは1mほどで、よく分枝します。枝には筋のような折れ目があって角ばっています。枝は褐色〜紫褐色で、節々には長さ1cmほどの細いトゲがあります。葉が集まってついている下の部分にトゲがあって、ちょうど葉にかくれているので、うっかりさわってしまうと痛い目にあいます。

葉は、新しい長い枝につく場合は「互生」しますが、短枝につく葉は何枚か束になったように「束生(そくせい)します。葉は長さ1cm〜大きく生長した状態では5cmになります。形はやや幅の狭い感じの倒卵形〜ヘラのような形。先端には丸みがあって、あまりとがらないことが多いですが、反対に葉の付け根の方は次第に細くなって、流れるように葉柄につながる感じです。葉には毛がなく縁のギザギザ(鋸歯)なくて、特に若い葉は滑らかな印象があります。

メギ Berberis thunbergiiメギ Berberis thunbergii


花期は4月〜5月。短枝から短い花序が出て、淡い黄色の花を数個下向きにつけます。花は、同じメギ科の「ヒイラギナンテン」を小さくしたような花で、直径は6mm程度。花弁、ガク片ともに6枚、雄しべも6本あります。ガク片は花弁よりも大きくて、ガクの方が花弁のように見えます。果実(液果)は、10月ごろには赤く熟し、紅葉もなかなかきれいなものです。

樹皮は薬用になるということで、健胃剤にするほか、かつては煎じた液で目を洗ったのだそうです。「メギ(目木)」という名前はそこからきています。ちなみに、「コトリトマラズ」という別名は、トゲが鋭いので「小鳥もとまらない」という意味だそうです。

【和名】メギ [目木]
【別名】コトリトマラズ
【学名】Berberis thunbergii
【科名】メギ科 BERBERIDACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

■当ブログ内関連記事→ヒイラギナンテン

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posted by hanaboro at 16:49| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 芽吹き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コクサギ

コクサギ Orixa japonica


コクサギは、本州、四国、九州に分布し、山地のやや湿り気の多い林内や谷沿いなどに生育する落葉低木です。高さは2m〜4m、よく枝分かれします。

コクサギはミカン科の植物で、葉をちぎると独特のにおいがします。それもかなり強いにおいです。臭いと感じるかどうかは、個人差があると思いますが、筆者が試したものは「アーモンド」のようなにおいだったので、それほど臭いとは感じませんでした。ちなみに名前は、臭いのある木で、「クサギ」よりは小さいということからきているそうですが、クサギはクマツヅラ科の植物でコクサギとはまったく別の植物です。

葉は長さ5cm〜10cmくらいのやや幅の広い倒卵形、質は薄く縁にギザギザ(鋸歯)はありません。表面にはテカテカの光沢があります。

葉のつき方は基本的には「互生」なのですが、コクサギの場合はちょっと変わった互生で、「コクサギ型葉序」と呼ばれる葉のつき方になっています。そのコクサギ型葉序というのは、枝をはさんで、2枚の葉が1組みになって互生してつく場合をいいます。もっと簡単にいうと、右に2枚ついたら、次は左に2枚ついて、今度はまた右に2枚つく…ということを繰り返します。このような葉のつき方は、特にコクサギだけに限ったのもではなく、「サルスベリ」でも見られます。

コクサギ Orixa japonica
2005/04/03
コクサギ Orixa japonica
2004/05/30


花期は4月〜5月。葉が展開するのと同時に花が咲きます。雄花と雌花が別の個体につく雌雄異株。黄緑色で、小さくあまり目立たない花です。雄花は雌花より少し小さめで直径4mmほど、短い花序に数個つきます。雄花、雌花ともに花弁とガク片は4枚、雄しべは4つ、雌花の雄しべは退化しています。

また、雌花には子房が4つあって、花の後にできる果実は4つの部屋に分かれた分果になります。1つ1つの分果は直径1cmほどの腎形です。4つ分果ができるのがふつうだと思いますが、1個や2個のこともあります。果実が秋に熟して茶色く乾燥してくると、それぞれの分果が2つに割れて内果皮が反り返り、黒い卵形の種子を弾き飛ばします。この種子の飛ばし方は、非常に独特なものです。

4月上旬、こちら関東では、芽吹いてきているところで花はまだでした。

【和名】コクサギ[小臭木]
【学名】Orixa japonica
【科名】ミカン科 RUTACEAE
【撮影日】2005/04/03(芽吹き)、2004/05/30(若い果実)
【撮影地】東京都八王子市

■当ブログ内関連記事
クサギ
サルスベリ

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posted by hanaboro at 13:19| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 芽吹き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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