2005年04月12日

ナガバノスミレサイシン

ナガバノスミレサイシン Viola bisseti


ナガバノスミレサイシンは、本州、四国、九州の太平洋側の丘陵地や山地の林内に生える多年草です。草丈は10cm内外。また、四国や九州に分布して葉に斑が入るタイプを「フイリナガバノスミレサイシン (Viola bisseti var. kiusiana)」といいます。

葉は細長〜い長卵形で、長さ3cm〜8cm、先は細くとがります。日本海側の多雪地に生える「スミレサイシン (Viola vaginata)」よりも細長い葉です。花の咲いている時期には、あまり開かずに元のほうが巻いた状態になっていることが多いです。花が終わったころには、葉がかなり大きくなることもあって、カンアオイ類かと思ってしまうほどです。

花期は3月〜4月。花は淡い紫色〜白色で、直径2cmくらい。スミレサイシンよりもやや薄い色のことが多いです。日本のスミレの中では大きめの花です。距は太くて短い。外から見える距は一番下の花びら(唇弁)から出ていますが、この距の中にはもう1つ距があって、それは雄しべから出ています。

スミレには5枚の花弁があって、上の2枚は「上弁」、下の2枚は「側弁」、そして一番下にあるのが「唇弁」です。スミレの種類を見分けるポイントの1つとして、しばしば、側弁の内側の基部、ちょうど花の中心付近になんですが、そこに毛が生えているかどうかというのをチェックします。ナガバノスミレサイシンやスミレサイシンの側弁は無毛です。花が桃紫色の「アケボノスミレ (Viola rossi)」の場合は、側弁に毛が生えていることもあります。

花の中心部には淡い黄色の花柱があって、花柱の先の方はカマキリの頭のような形に横に膨らんでいます。花柱の先に少しだけ突き出ている、細長いくちばしのような部分は柱頭です。花柱や柱頭の形もスミレの仲間を観察するときのポイントの1つです。

ナガバノスミレサイシン Viola bisseti


2005年はスミレ類の開花も少しゆっくりめ。4月初め、関東の低山で花盛りだったのは、「アオイスミレ」でした。ふつうは、アオイスミレはもっと早春に咲いて、4月にはもうほとんど終わっているんですが。ナガバノスミレサイシンは、ようやく蕾を伸ばしてきたところで、上の写真のようにちょっとスレンダーな印象。

【和名】ナガバノスミレサイシン [長葉の菫細辛]
【学名】Viola bisseti
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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ノジスミレ

ノジスミレ Viola yedoensis


ノジスミレは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや人家近くの芝生の中や田畑のまわりなど日当たりのよい場所に生える多年草です。低地にごくふつうに見られるスミレの1つです。高さは10cmに満たないくらい。全体に白い細かい毛が生えているので、よく似た種の「スミレ (Viola mandshurica)」より白っぽい印象になります。

ノジスミレ Viola yedoensis
葉の表
ノジスミレ Viola yedoensis
葉の裏


葉は春先の早い時期に出るものは長さが3cmくらいの短い二等辺三角形という感じですが、花が咲き進んでくるころには、しだいに長さ5cmくらいのへら型の細長い葉が増えてきます。その長い葉も、花が終わりに近づくころには、幅も広く長さも長い三角形や楕円形になってきます。夏葉の状態では、「コスミレ (Viola japonica)」とほとんど区別がつかないことも多いです。「アリアケスミレ (Viola betonicifolia var. albescens)」や「ヒメスミレ (Viola minor)」もあるので夏葉になっていると、なかなか一筋縄ではいかないでしょうね。

ノジスミレ Viola yedoensisノジスミレ Viola yedoensis


花期は3月〜5月。花色は、淡い紫色〜濃い紫色で、青みががっていることが多いです。花弁の長さは1cm〜1.5cmほどですが、花弁は反り返り見た感じの花の直径も1.5cmくらいです。花の後ろにあるシッポのような「距(きょ)」の色は少し濃淡はありますが花とほぼ同色で、スミレの距よりは薄い色になる傾向です。花柄にも細かい毛があります。

スミレの花の花びらに見えるものは5枚ありますが、それぞれ名前がついていて、一番上の2枚の弁を「上弁」、下の2枚を「側弁」、一番下にある1枚を「唇弁」といいます。距は一番下の花びら、つまり唇弁から出ています。

中をのぞくと中心部からは雌しべが1本突き出しているのが見えます。その先端の柱頭は横に膨らんでいます。「タチツボスミレ (Viola grypoceras)」だとこの横の膨らみがありません。さらに花の中央付近をよく見て、側弁の基部に毛があるかどうかをチェックします。ノジスミレの場合、側弁には毛がないのがふつうです。これはスミレと見分けるときの重要ポイント。スミレだと、側弁の基部に毛がたくさん生えています。

開いて間もない時期はそれなりの美しさがありますが、ちょっと日がたつと、形や色があっという間に冴えないものになってしまいます。ややかすれたような色で、花弁の先などは特に傷みやすく、旬の時期の短い花のような気がします。

*スミレとは側弁の毛で見分ける*
スミレに似ていますが、ノジスミレは側弁に毛がないことがほとんどで、スミレより色は薄く青みが強いことが多いので、スミレほどの強烈なインパクトはないかもしれません。また、ノジスミレでは葉柄の翼があまり発達しないことや草丈が低めのことが多い点も要チェック。ただし、花色は濃淡があるし、地域による違いもあって、いずれの種も変異が多いので一概には言えないのですけども。

*コスミレとは側弁の開き具合いで見分ける*
時として葉の形や花色が「コスミレ」に似ていることもあります。両者とも側弁の毛はないので、毛の有無は決め手になりませんが、コスミレの方がノジスミレよりはちょっと大きめで、側弁が根もとの方からよく開いているので、のぞきこまなくても花柱の先がよく見えます。ノジスミレだとコスミレほど開いていないので、見えにくいときもあります。

【和名】ノジスミレ [野路菫]
【学名】Viola yedoensis
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市

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タチツボスミレ

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スミレの観察は、ポイントをつかめば次第に見分けられるようになると思います。でも、少しなれると今度はいくつかあるチェックポイントを見るのを忘れて、あっ、しまった、托葉を見てなかったとか、側弁を見てなかったなんてことをしょっちゅうやらかしております。

posted by hanaboro at 13:18| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | スミレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フタバアオイ

フタバアオイ Asarum caulescens


フタバアオイは、本州、四国、九州の山地の林内に生える多年草です。草丈は10cm〜20cmくらい。茎は土や落ち葉などに埋もれたりしながらも地をはって伸びていき、葉はその茎の先端に2枚出て、対生状についています。その状態は、二又に分かれているように見えます。茎は分枝して伸びていくので、生えている場合は、だいたいそのあたりにひとかたまりの株立ち状になり、しばしば群生します。

葉は長さ4cm〜8cmのハート形。両面に白っぽくて短い毛がたくさん生えています。先はとがり、逆に基部は深く湾入して心形になっています。徳川家の家紋になっている「三葉葵」は、このフタバアオイの葉を3枚組み合わせて図案化したものだといわれています。また、京都の賀茂神社の神紋で、5月15日に行われる「葵祭」の飾りにも使われるのだとか。

カンアオイの仲間は常緑ですが、このフタバアオイやウスバサイシンは地上の葉を落として越冬します。写真の状態は、まだ葉や蕾が出てきたばかりで、葉はまだしっかり展開していませんでした。おかげで、葉の両面の短い毛はよく目立ち、蕾もよく見えました。

フタバアオイ Asarum caulescens


花期は3月〜5月。花は二又状になっている部分、つまり葉柄の基部から柄のある花が1つ出ます。花は直径1cmちょっとくらいで、下向きに咲きます。色は内側は紫褐色や茶褐色、ときに白っぽくなり、いずれも地味な色あい。3つのガク片は先端から半分くらいが三角形に切れ込んでいて、その部分が花の外側に折り返されて、ピッタリくっつくので、下から見ると円形に見えます。ガク片や花柄には白くてやや長めの毛があります。

学名の「Asarum」は、カンアオイ属の学名で、同属の1種のギリシャ名からきているそうです。種小名の「caulescens」は、「茎のある」という意味です。

【和名】フタバアオイ [双葉葵]
【別名】カモアオイ [賀茂葵]
【学名】Asarum caulescens
【科名】ウマノスズクサ科 ARISTOLOCHIACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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posted by hanaboro at 00:54| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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