2005年04月15日

オカトラノオ

オカトラノオ Lysimachia clethroides


オカトラノオは、北海道、本州、四国、九州に分布し、丘陵や山地の日当たりのよい草地に生える多年草です。高さは50cm〜1mほどになります。サクラソウ科オカトラノオ属(Lyshimachia)の植物で、「コナスビ」と同じ属に分類されています。そういえば、「ごまのはぐさのこまごまことのは」さんで紹介されている「クサレダマ」も同じ属の植物ですね。

地下茎を伸ばして増えるので、株立ちになっていたり、群生していることもあります。茎には少し短い毛がありますがまばらです。特に茎の下のほうや、葉柄の付け根のあたりなどは、よく赤みを帯びています。若いうちは葉の縁も赤みを帯びています。

葉は互生。長さ10cm前後、幅2cm〜5cmの長い楕円形で、先は少しとがっています。縁のギザギザ(鋸歯)はなく滑らかです。写真では、まだ、芽が出たばかりの小さなもので、草丈は5cmに満たないものでしたが、今のところ周囲に他の芽は見当たりませんでした。種子から芽生えたにしては大きいような気がするけれど。

花期は6月〜7月。茎の先の20cm〜30cmの総状花序を出して、白い小さな花をたくさんつけます。名前は、花序の様子をトラの尻尾に見立ててつけられたものです。緩やかに垂れ下がって先端の方が少し上に立ち上がる独特で、とても優美な曲線を描きます。花はその花序の下のほうから咲き進みます。

花(花冠)の直径は1cmくらい。深く5つに裂けているので、花びらが5枚あるように見えます。花序全体の姿も美しいのですが、1つ1つの花をじっくり見ても、よく整っていてきれいなものです。

その1つ1つの花をよく見ると、5つの花冠の裂片にはそれぞれ雄しべが1本ずつ向き合うようについています。これはサクラソウ科の植物の特徴の1つで、ほかの科の植物だと雄しべが花冠裂片と互生していることが多いです。オカトラノオは、雄しべが花冠裂片と対生している様子を観察しやすいと思います。

よく似た「ノジトラノオ (Lysimachia barystachys)」はの茎には褐色の毛が多く葉が細身です。ちなみに、ノジトラノオは、環境省の絶滅のおそれのある野生生物の種をとりまとめた「レッドデータブック」に掲載されています。また、湿地に生える「ヌマトラノオ (Lysimachia fortunei)」は花序が直立します。

【和名】オカトラノオ [岡虎の尾]
【学名】Lysimachia clethroides
【科名】サクラソウ科 PRIMULACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
コナスビ

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ごまのはぐさのこまごまことのは」さんの記事
→「くされだま 草連玉 サクラソウ科
「クサレダマ」ってすごい響きがありますが、さて、その名前の由来は?

posted by hanaboro at 19:09| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チゴユリ

チゴユリ Disporum smilacinum


チゴユリは、本州、四国、九州に分布し、丘陵や山地の明るい林に生える多年草です。早春の花がだいたい終わって、次に林床に花開く代表的な植物。草丈は20cmから大きいもので30cmくらいですが、だいたい小さめです。名前は、その小さなかわいらしい姿を小さな子どもにたとえて、「チゴユリ(稚児百合)」と呼ばれています。

ふつうはほとんど枝分かれしないのですが、ときどき枝分かれすることもあります。葉は5枚程度つきます。種子での繁殖のほかに、地下茎を長く伸ばして増えるので、特に明るい場所では群生していることも多いです。

葉は楕円形で先はとがって、付け根の方には丸みがあります。長さは5cm前後、幅は2cm〜3cmくらい。質はちょっと薄めで、若い時期はとても柔らかそう。平行に入る3本の葉脈がよく目立ちます。芽吹きから花の時期は特にとても瑞々しい黄緑色です。その後、濃い緑色になります。

チゴユリ Disporum smilacinumチゴユリ Disporum smilacinum


花期は4月〜5月。茎の先に1個か2個の花をやや垂れ下がるようにつけます。茎の上部が斜めにちょっと弧を描くような感じで伸びるので、花がかくれてよく見えないこともあります。

花びら(花被片)は、白色〜クリーム色で長さ1cm程度、先のとがった披針形。花被片6枚、雄しべ6本。雌しべの柱頭の先は3つにわかれています。花の後にできる果実は、熟すと黒っぽい藍色になります。できる種子の数は少なく、発芽したその年は、地上部を出さずに過ごすのだそうです。二年目になってようやく、地上に本葉を2枚出すのだとか。栄養繁殖でなく、種子で新しい個体を増やすのはたやすいことではないのですね。

ユリ科の植物には、チゴユリと同じような場所に生えて、よく似た葉を出して、晩春〜初夏のころに咲く植物がいいろいろあります。その中でもチゴユリは花が咲くのが早い方。その後、ホウチャクソウ、ミヤマナルコユリ、アマドコロ、ナルコユリなどがどんどん咲いていきます。花が咲けば、それぞれ個性があるのでわかりやすくなりますが、小さい葉っぱの時期は、もうよくわかりませんね。今回のものは、全体に小さくて、もうすでに、蕾が見えかけていたので、チゴユリだとわかりました。

【和名】チゴユリ [稚児百合]
【学名】Disporum smilacinum
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 16:13| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(3) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オオカワヂシャ

オオカワヂシャ Veronica anagallis-aquatica


オオカワヂシャは、ヨーロッパ〜アジア北部原産の多年草です。湿り気の多い場所に生え、河川によく見られます。高さは1mほどです。全体に毛はなく、葉の付け根のあたりの茎は赤みを帯びていることもあります。在来種の「カワヂシャ (Veronica undulata)」よりも全体に大きめなので、オオカワジシャといいます。「カワジシャ」というのは、川に生える「チシャ(レタス)」という意味からつけられたのだそうです。

葉は両面ともに毛はなく、ちょっと分厚い感じの長楕円形〜披針形です。長さは7cm〜8cmほど。「披針形」というのは、先端はとがっていて、根もとの方は丸みがあって鈍く、真ん中よりもちょっと下くらいに幅が一番太くなる部分がある形のことです。

葉の縁のギザギザ(鋸歯)は細かいもので、ほとんど全縁のように見えます。葉柄がなく対生するので、特に茎の上のほうの葉は、向かい合ってついている2枚の葉のつけ根が、両側から茎を囲むような状態になります。

オオカワヂシャ Veronica anagallis-aquatica


花期は、4月〜6月。葉の脇(葉腋)から花序を伸ばして、穂状にたくさんの花を咲かせます。直径5mm程度の青紫色〜白色まで、個体によって濃淡が見られます。花(花冠)は、4つに深く裂けて、赤紫色の筋が入っています。同じクワガタソウ属の「オオイヌノフグリ」とよく似た花です。花柄の付け根には小さな苞葉があります。ガク片も4つに裂けて、果実の時期にも残っています。果実(さく果)は長さ5mmくらいで、先が少しくぼんだ球形になります。

このオオカワヂシャ。筆者はまだよく実体をとらえきれていません。写真のものは、オオカワヂシャの特徴がよく出ているタイプだと思いますが、河川沿いによく見られるオオカワヂシャの群落では、隣同士に生えていても、株が少し小さめで白色の花を咲かせるものがあるんですよね。それは、オオカワヂシャとカワヂシャの雑種で「ホナガカワヂシャ (Veronica x myriantha)」といわれるものなのか、オオカワヂシャの変異の範囲内のものなのか、よくわかりません。濃い青の花が咲いているものよりは、葉の鋸歯はギザギザの度合いが大きいんですけど。カワヂシャなのかなとも思いつつ。。。

【和名】オオカワヂシャ
【別名】オオカワジサ、オオカワヂサ
【学名】Veronica anagallis-aquatica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/04/23
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 09:08| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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