2005年04月20日

ウマノミツバ

ウマノミツバ Sanicula chinensis


ウマノミツバは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の林内に生育する多年草です。草丈は30cm〜50cm、大きいものでは80cmくらいにはなります。ふつう花のころによく見られる茎葉は、小葉を比べるとよく似た「ミツバ (Cryptotaenia japonica)」を細身にしたようなものです。基本的には3つに完全に裂けた葉で、3つの小葉(または裂片)のうち外側の2枚を「側小葉(側裂片)」といいますが、その側小葉はさらに2つに裂けるので、5つの小葉があるように見えます。

また、葉脈が下面にくぼんだ状態となって、表面はシワシワに見えます。ミツバの場合は、小葉が3枚の「3出複葉」で、小葉は先のとがった卵形です。ミツバが全体として三角形に見えるのに対して、ウマノミツバは多角形の感じです。

茎葉の特徴はこんな感じですが、根生葉は、また違った形をしています。根生葉は、写真のような葉で、全体に丸く見えます。基本的には茎葉と同じように3つに裂け、そのうちの2枚がさらに5つに裂けます。そしてかなり長い葉柄があります。伸びた茎につく茎葉は下の方の葉には長い葉柄がありますが、上の方のものには短い柄しかありません。

花期は7月〜9月。茎先の「複散形花序」に白っぽい花をつけます。ウマノミツバの場合、その特徴がわかりづらいですが、一応セリ科なので、花序の形は基本的には「散形花序」です。散形花序というのは、これまでにも「オカウコギ」、「ヤブニンジン」、「アガパンサス」、「キルタンサス」あたりで登場しています。簡単にいうと、「散形花序」は、花軸(花のつく枝)の先からたくさん枝が出て、その先に1つずつ花がつく花序のことです。そして、「複散形花序」の場合は、たくさん出た枝先にさらに小さな散形花序(小散形花序)がつく、という花のつき方になります。

小散形花序につく小さな花には、カギ状のトゲがついた子房のある「両性花」と子房のない「雄花」があって、中央部分に両性花、周辺部分に雄花があります。両性花の子房の部分は、花が終わると果実ができ、先がカギ状に曲がったトゲが密生しています。

名前は、食用や薬用として利用されるミツバに比べて、利用価値がなく、馬に食べさせるくらいのものだというところからきています。

しかし、写真のような状態をはじめてみたときは、「チドメグサ」のお化けかと思ってしまいました。

【和名】ウマノミツバ [馬の三葉]
【学名】Sanicula chinensis
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE
【撮影日】2004/04/11
【撮影地】東京都青梅市

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オカウコギ

オカウコギ Acanthopanax nipponicus


オカウコギは本州の東北南部、関東以西、四国、九州の暖地の山地に生える落葉低木です。高さは2m〜3mほど。

5つの小さい葉(小葉)からなっていて、手のひらのような形に見える「掌状複葉」で、小葉の縁は粗く不規則に切れ込んで、さらにギザギザと切れ込む「重鋸歯」があります。小葉の長さは2cm〜4cm。葉柄は3cm〜7cm。枝にはトゲがあります。

オカウコギ Acanthopanax nipponicus


「掌状複葉」を持つ日本の野生植物はそれほど多い方ではないので、これはとても大きな特徴です。今回の写真のような葉を見て「ウコギ科ウコギ属」にたどり着くことは、それほど難しくはないのですが、そこから先が少々やっかいです。同じ属の「ヤマウコギ (Acanthopanax spinosus)」とよく似ていています。

オカウコギ Acanthopanax nipponicus


今回の写真のものは、葉の形からすると、ヤマウコギのようにも見えたのですが、葉の表面の脈状に突起状の毛があるということで、オカウコギとしています。花が咲くころになればもっとよく違いがわかるはずです。ヤマウコギは花序が葉柄よりも短いのに対して、オカウコギは花序と葉柄がほぼ同じ長さになります。

花期は5月。黄緑色の小さな花を「散形花序(さんけいかじょ)」に咲かせます。散形花序というのは、花軸の先端からたくさん枝分かれした柄の先に、それぞれ1つずつ花がつくという花のつき方のことです「傘」でいうと、傘の軸から何本も出た骨の先に1つずつ花がつく状態です。

同じウコギ科の「ヤツデ」の花は白い丸い塊(散形花序)がたくさんついて円錐状になりますが、オカウコギの散形花序はそれをずっと地味にしたようなもので、円錐状にはならず、葉の脇から黄緑色の散形花序をたらす感じです。果実は球形で、直径5mm程度、秋に熟して黒っぽくなります。

【和名】オカウコギ [岡五加]
【別名】マルバウコギ、ツクシウコギ
【学名】Acanthopanax nipponicus
【科名】ウコギ科 ARALIACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 18:40| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コスミレ

コスミレ Viola japonica
2004/04/13

コスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、人里周辺の日当たりのよい草地や田畑の周りなどに多く生える多年草です。草丈は5cm〜10cm程度、それほど背丈は高い方ではないですが、花や花後の葉は大きめで、「小さい」という印象は特にありません。同じように人里近くに生育する「ノジスミレ」や「アリアケスミレ」よりも生育範囲が広く、低地〜山地のやや標高の高いところに生育するようです。

コスミレ Viola japonica
2004/04/13

葉は長く丸みのある三角形〜卵形。花時期の葉は2cm〜4cmくらいですが、花が咲き進むにつれ葉は大きくなり、長さは5cm以上にもなります。葉は濃いめの緑色で、やや白っぽくくすんだような色です。裏面はときどき紫色を帯びています。「タチツボスミレ」のような立ち上がる地上茎はありません。

花期は3月〜5月。やや早くから咲いています。日当たりのよい場所では、特にたくさんの花を咲かせることが多く、花も大柄なので、にぎやかな印象です。花の直径は1.5cm〜2cm。色は、淡い紫色で少しかすれたような感じです。ただし、花の色には変化が多いようで、濃淡があり、白色のこともあるそうです。また、5枚の花弁のうち下にある1対を「側弁(そくべん)」といいますが、コスミレの場合、側弁の毛もあるものとないものがあります。ちなみに、こちら関東の丘陵地で見たものは、わずかに側弁の毛があるものと無毛のものがありました。東日本では無毛、西日本では有毛のことが多いとか。

コスミレ Viola japonica
2004/04/01
コスミレ Viola japonica
2004/04/13


なかなか実体がつかみづらいコスミレですが、わかりやすい特徴としては、特に咲き進むと花弁は細長く見え、側弁がつけ根からしっかりと開いて、中の花柱などがよく見えること、上の1対の花弁(上弁)ウサギの耳のように長く、間のやや狭いV字形で、よく主張しているように見えることでしょうか。ただし、花弁は丸っこく太いこともあるので、そういうふくよかなコスミレをはじめに見た場合は、とても好印象になると思います。細長いタイプの方だと、なんだかおおざっぱな感じです。そのほかのチェックポイントとしては、中心から突き出ている花柱の先が少しふくらむこと、唇弁の後ろに突き出たシッポのような「距」は、やや太くてやや長めなことです。

【和名】コスミレ [小菫]
【学名】Viola japonica
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/04/01、2004/04/13
【撮影地】東京都町田市、日野市

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posted by hanaboro at 16:02| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | スミレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クスノキ

クスノキ Cinnamomum camphora
2005/0419

クスノキは、本州の関東以西、四国、九州の暖地に生える常緑高木です。高さはふつうは20mほどですが、巨木になったものでは50mくらいにもなります。樹形は丸くなります。古くから寺社に植えられたほか、現在は公園樹や街路樹としてもよく植えられています。かなりの高木となり、各地にご神木としてまつられるような名木があります。

クスノキ Cinnamomum camphora
2005/02/15 冬芽
クスノキ Cinnamomum camphora
2005/02/15 若い木の幹


葉は互生。楕円形で、先の方は急に細くなってシッポのように少し伸びます。葉の長さは6cm〜10cm。縁にはギザギザ鋸歯がなく、ゆらゆらと波を打ったような状態になります。革質で、表面には光沢があって、裏面はやや粉をふいたように白っぽくなっています。若い葉や葉柄は赤みを帯びることも多いです。葉をもむと「樟脳」のにおいがします。常緑樹ではありますが、葉は毎年入れ替わっています。

クスノキ科の仲間によく見られる特徴に、葉の「三行脈(さんこうみゃく)」があります。これは、葉脈が付け根のあたりから3つにわかれて、長く伸びる状態のことで、クスノキのほか、「シロダモ」や「ヤブニッケイ」などでも見られます。クスノキの場合は、表から見るとこの三行脈の分かれ目にふくらんだ部分があります。このふくらみは1mm程度の小さいものですが、中ではダニが生活しています。防虫剤としても使われるクスノキ。しかし、そこで生活するダニが数種いる。それらのダニには樟脳が必要不可欠ということのようです。

クスノキ Cinnamomum camphora
2005/04/19

何はともあれ、このダニ部屋があるかどうかで、よく似た他の種と区別することができます。日本産の樹木でダニ部屋ができるのは、クスノキだけだそうなので。ただし、まだ若い幼木では、葉の三行脈がはっきりしないことや、ダニ部屋ができていないこともあります。

花期は5月〜6月。葉の脇(葉腋)から花序を出して小さな花を咲かせます。色は黄白色で、直径は5mm程度の小さなものです。花被片は6枚で、雄しべは12本。果実は直径1cmに満たないくらいの球形で、秋に熟すと黒っぽくなります。

【和名】クスノキ
【別名】クス [楠、樟]
【学名】Cinnamomum camphora
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/02/15、2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 12:59| 東京 ☔| Comment(8) | TrackBack(0) | 芽吹き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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