2005年04月21日

ホトケノザ

ホトケノザ Lamium amplexicaule


ホトケノザは、本州、四国、九州、沖縄に分布するほか、東アジアやヨーロッパ、北アフリカなどに広く見られる越年草です。草丈は10cm〜30cmほど。主な花期は3月〜6月。こちら関東の丘陵地では、4月半ばを過ぎた現在、遅めに生長したものがちらほら花を咲かせているくらいで、すでに一通り咲ききって、ほとんど終わっています。

そこで、花は落ちてなくなって、ケバケバしたガクが残っているあたりをじっくり見ると、薄茶色の種子が挟まるように入っていることがあります。近くには、蕾のまま開かずに結実する「閉鎖花」の残骸のようなものもあります。

ホトケノザの種子には、アリが好む「エライオソーム」という付属物がついています。そのとおり、段々についている葉の上は、種子を運ぶアリたちがウロウロ。ガクの間の種子を物色中のアリもあちこちで見られます。

ホトケノザ Lamium amplexicauleホトケノザ Lamium amplexicaule


ガクの中をのぞくとふつうは4つの種子が入っているはずなんですが、コロコロと落っこちやすい種子らしく、あまり4つそろっていないかもしれません。種子は3つの稜があって、背側は丸くふくらんだ形になっています。一見薄茶色なのですが、よくみると白斑が見られることもあります。エライオソームは白っぽい色をしていて、種子の細くなった方についていて、ガクに入っているときは、下側になっています。

前日、雨が降ったせいでぬれていたからなのか、何となくネバネバしていて、アリもそこから種子をとりだすまで時間がかかっている様子。それともその場で、ネバネバをなめていたのかな。ふつうだったら、もっと種子ははずれやすいと思うのだけど。

白いエライオソームがついているのは、種子の細い方。アリはエライオソームがついている方を持って運んでいっていました。ホトケノザがアリのために、細い方にエライオソームをつけるようにしたのかはわかりませんけども。こうやって、アリは栄養豊富なエライオソームを食べるため、巣までせっせと種子を運んでいきます。その種子はアリの巣で発芽することになります。ホトケノザはアリによって種子が運ばれる植物なんですね。このような種子散布様式は他の植物でも見られます。例えば、ホトケノザと同じ属の「ヒメオドリコソウ」や「スミレ類」、「カタクリ」などです。

冬の最中のホトケノザの種子は、アリに運ばれていきそうな気配はなかったのですが、4月半ばを過ぎた現在、ホトケノザのまわりは数匹のアリの往来で、少しにぎわっていました。

写真をちゃんと撮れたらいいのですが、筆者の腕ではこんなのが限界でございます。小さいもののお写真の撮影、関心がある方は、こういうのにもチャレンジされてはいかがでしょう。

【和名】ホトケノザ [仏の座]
【別名】サンガイグサ [三階草]
【学名】Lamium amplexicaule
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ホトケノザについて、詳しくわかりやすくまとめてあります。

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ナワシロイチゴ

ナワシロイチゴ Rubus parvifolius


ナワシロイチゴは、日本各地のほか、中国、朝鮮半島など東アジアに分布する落葉低木です。山野の道ばたや土手などの日当たりのよい場所で見られます。茎は地をはうように広がって、根を下ろして増えます。花をつける茎は上に伸び、高さは30cmほどです。茎や枝にはトゲや短い毛がたくさんあります。

葉は互生。裏には綿毛が密生しているので、真っ白です。ふつうは3つの小さい葉(小葉)からなる「3出複葉」ですが、ときどき5つの小葉になるときもあります。小葉の長さは2cm〜5cmくらいで卵を逆さにしたような、ひし形のような形です。縁には不規則にギザギザした「重鋸歯」がありますが、先の方などは何となく丸みを感じます。「重鋸歯」というのは、1つのギザギザに、さらに細かいギザギザがある鋸歯のことです。「ソメイヨシノ」の葉には鋭い重鋸歯があります。

バラ科なので、葉柄のつけ根の部分には、「托葉(たくよう)」という付属物があるのですが、長さ5mmくらいの線形のものなので、あまり目立つものではないですね。

ナワシロイチゴ Rubus parvifolius


花期は5月〜6月。4月も半ばともなれば、関東の丘陵地などでは「クサイチゴ」や「ニガイチゴ」などは、花盛りとなります。しかし、このナワシロイチゴはゆっくりめ。ようやく葉を広げ始めています。名前は、果実が苗代のころに赤く熟すところからきているそうですが、実際には、熟すのはもっと後のことが多いかもしれません。

バラ科キイチゴ属の植物ですが、ナワシロイチゴの花は、他の多くの種の花とはちょっと違っています。ふつう、キイチゴの花といえば、パッと開いた真っ白の5弁花を思い浮かべますが、ナワシロイチゴの場合、5枚あるものの紅紫色で、上向きに開きます。開くといってもどの状態が開いた状態なのかよくわからないような花です。ガク片だけが開いたすぐくらいのころが、紅紫色の花びらが目立って美しく見えるかもしれません。そのうち、直立した花びらの上部から、多数の雄しべが見えてきます。ガク片は5枚あって、しだいに反り返って、両面に短い毛が密生して白っぽい。花弁もガクも長さは6mm〜7mmくらいです。花序は枝の先や葉の脇(葉腋)からでます。

果実は、直径1.5cmほどの球形に、たくさんの赤い粒ができます。この果実は他のキイチゴ属の多くの種類と同様に、生食するほか果実酒やジャムに利用されます。ただし、花柄にも小さなトゲがありますので、要注意。

【和名】ナワシロイチゴ [苗代苺]
【別名】サツキイチゴ
【学名】Rubus parvifolius
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ニワゼキショウ

ニワゼキショウ Sisyrinchium atlanticum


ニワゼキショウは、北アメリカ原産の一年草、または多年草です。日本に入ってきたのは明治の中ごろのことで、観賞用の花卉として導入されたそうです。現在では、各地で帰化して、日当たりのよい道ばたや芝生の中などでふつうに見られます。名前は、庭などによく生え、葉の形がサトイモ科の「セキショウ」に似ているところからきています。

茎の高さは10cm〜20cmほど。全体に毛はなくツルッとしています。根もとの方は葉が数枚重なり合ったような状態でついていて、アヤメをずーっと小さくしたような形をしています。花だけを見ていると、これがアヤメ科の植物とはわかりにくいのですが、この葉を見ると、なるほどっと思うのではないでしょうか。

葉は平べったい剣形、幅は2mm〜3mm程度です。付け根の方は茎を抱きような状態になります。

春にのびてくる花序は、葉と同じようなへら形をした1〜2枚の「苞(ほう)」に包まれています。その先端部分から、細長い柄が出てきて、直径1.5cmくらいの花が咲きます。もともと観賞用として入ってきたものでもありますし、特に群生していると小さくても見栄えがします。

花期は5月〜6月。花は紅紫色〜白色で花びらに見える花被片は6枚です。花色には、濃い紫のものと、少し青みがかった白色の2つのタイプを中心に、いろいろ濃淡があって、赤みがかったもの、白っぽいもの、青っぽいもの紫の濃いものなど変化があります。また、花被片には紫色の筋が入っています。花の中心部は黄色。花はその日一日でしぼんでしまう一日花ですが、しばらくは次々と花を咲かせていきます。ちなみに学名の種小名「rosulatum」には、「かわいいバラの」とか、「ロゼット状の」という意味があります。

アヤメ科ニワゼキショウ属の植物ですが、アヤメ属の花と比べると少し様子が違っています。アヤメ属の場合はふつう6枚の花被片のうち、外側の3枚が大きくて目立ちます。さらに中央部の花柱の先が3つに裂けて花弁のように平たく開きます。ニワゼキショウの方は花被片が6枚なのは同じですが、すべて同じ形をしています。さらに花柱の先も3つに裂けますが、裂片の先は糸状です。

果実(さく果)は直径3mmくらいの球形。熟すと垂れ下がって、3つに裂けます。

よく似た「オオニワゼキショウ」は、ニワゼキショウよりも草丈はやや大きいのですが、逆に花は小さめです。また、ニワゼキショウより子房の部分が大きくて、花の色がより青っぽい、「アイイロニワゼキショウ (Sisyrinchium graminoides)」という種類もあります。ただし、このあたり、学名も含めてまだよくわからない点があるようです。

【和名】ニワゼキショウ [庭石菖]
【学名】Sisyrinchium atlanticum
【科名】アヤメ科 IRIDACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 17:36| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(1) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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