2005年04月23日

オヤブジラミ

オヤブジラミ Torilis scabra


オヤブジラミは、北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布し、山野の日当たりのよい林縁や道ばたの草地に生える一年草または越年草です。同じ属の「ヤブジラミ (Torilis japonica)」によく似ています。草丈は30cm〜80cm。茎や葉は赤紫色を帯びていることが多いです。

葉は長さ5cm〜10cm、大きくなった葉は「3回3出羽状複葉」で互生します。小葉は細かく裂け、両面に短い毛がたくさん生えています。写真は、まだ幼い状態なので、形がはっきりと表われていません。

ややこし〜い、葉の形。枝が3回枝分かれして、それぞれの枝の先に3枚の小葉がついていて、それぞれがさらに細かく裂けているような状態。。。この部分、いつもこんがらがってしまうんですよね。もっとわかりやすい説明ができたらいいのだけど。

花期は4月〜5月。ヤブジラミよりも少し早めの時期から開花しますが、ヤブジラミも5月には咲きはじめますので、花期は重なります。花は枝先に出た「複散形花序」につく白く小さなもので、ややまばらに2個〜6個咲かせます。花弁は5枚、縁はしばしば赤紫色に染まっています。

セリ科の植物の花のつき方を見るとき、よく出てくる言葉、「散形花序」。これは、花のつく枝(花軸)の先からたくさん枝が出て、その先に1つずつ花がつく花のつき方のことです。そして、「複散形花序」は、たくさん出た枝先にさらに小さな散形花序(小散形花序)がつきます。オヤブジラミは、花がまばらにしかつかないので、花序の形が観察しやすいと思います。

オヤブジラミ Torilis scabra


果実は6月ごろには熟して、褐色になり長さ5mm〜7mmの卵状楕円形。ヤブジラミの果実が長さ2.5mm〜3.5mm程度であるのに比べると、ちょっと長めの果実です。そのうち果実は、2つに分かれてぶら下がるような状態になります。つまり1つの花から2つの果実ができるわけです。その分かれた1つ1つの果実を「分果」といいます。

果実には、小さくて先がカギのように曲がったトゲがたくさんあって、いわゆる「ひっつき虫」の1つです。果実はそのトゲによって動物の体などにくっついて、離れた場所まで運ばれます。「ヤブジラミ」という名前は、藪に生えて、果実が衣服などにくっつくのを「シラミ」にたとえたものだそうです。

熟すと褐色になりますが、熟す前の果実は、トゲの部分が紅紫色を帯びていることが多く、それは、この地味な野草が、もっとも華やぐ時なのかもしれません。そのときがくるまで、もうあと少し、あと少し。

【和名】オヤブジラミ [雄藪虱]
【学名】Torilis scabra
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ヤブガラシ

ヤブガラシ Cayratia japonica


ヤブガラシは、日本全土に分布し、道ばたや荒れ地の藪などにふつうに生えるつる性の多年草です。地下茎をのばしてふえ、巻きひげで他のものにからみつきグングンツルを伸ばして、非常に旺盛に繁茂します。その様子は、藪をも枯らしてしまいそうなほどだということで、「ヤブガラシ」という名前がつけられています。

葉は5つの小さい葉(小葉)からなっていて、鳥の足のような形に見える「鳥足状複葉」です。5枚の小葉のうちてっぺんにある「頂小葉」が特に大きくて長さは5cm〜8cmくらいで、やや細長い卵形です。縁には少し粗めのギザギザ(鋸歯)があります。

晩春のころ、赤茶色のヤブガラシの芽が、あちこちでニョキニョキと出てきます。毛はなくツルットした茎や若い葉には独特の光沢があって、ちょっとギトギトした感じもあります。この姿を見ると、早くも夏に気持ちが飛んでしまいます。

ヤブガラシ Cayratia japonica


花期は6月〜8月。ヤブガラシは、「2出集散花序」という花のつき方をします。「集散花序」では、まず茎頂に花がついて、そこでその茎の生長がとまって、その花の下の腋芽が新しく伸びてきて、またその先に花がついてというのを繰り返して次々に花を咲かせます。2出集散花序では、対生している葉の脇から新しい枝が伸びてきます。ヤブガラシの場合は、葉があるという感じではないですが、二又、二又に分岐していきます。

直径5mmほどの小さなものです。花弁は黄緑色で4枚。雄しべも4本。中央のオレンジ色をした部分は「花盤」といいます。花弁やガクがついている茎の先端の部分を「花床」または、「花托」といいますが、ヤブガラシの場合は、その一部がよく発達して円盤状になっていて、それを「花盤」といいます。花盤には蜜がたまっていて、ミツバチやチョウ、アリなどの昆虫がよく訪れます。

花は朝開花して、はじめは雌しべは短くて機能せず、雄しべだけが花粉を出して機能しています。その後、花弁や雄しべは午後には散ってしまって、花盤と雌しべだけが残ります。そうすると、雌しべが成熟して長く伸びてきます。花盤の色はしだいに淡い紅色に変化します。小さく地味な花ですが、意外にも自家受精を避ける仕組みを発達させていたり、花色も移り変わるなど、劇的な変化を見せる花でもあります。

他家受精に成功すれば果実ができ、秋には熟して黒っぽい球形の果実になります。

【和名】ヤブガラシ [藪枯らし]
【別名】ビンボウカズラ
【学名】Cayratia japonica
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 16:17| 東京 ☁| Comment(38) | TrackBack(2) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カシワバハグマ

カシワバハグマ Pertya robusta
2004/07/03 若い個体

カシワバハグマは、本州の宮城県以南の主に太平洋側、四国、九州に分布し、山地の林内に生える多年草です。草丈は30cm〜70cm。茎は枝分かれせずにまっすぐに伸びます。葉は長い卵形。縁には粗いギザギザ(歯牙)があります。集まってつくので、やや輪生状に見えます。葉には長い柄があります。

花期はふつう9月〜11月。一般的な図鑑では、だいたい花期は秋になっています。しかし、昨年(2004年)などは、関東の丘陵地の比較的明るめの場所に生えていて、十分に生育している個体は5月に開花していました。秋に花を咲かせる林床植物は、春から夏を経て長い期間ゆっくりと生長してから、花をつけるわけで、林冠が樹木の葉でおおわれる前に、素早く開花結実する春植物とは違って、暗い林の中で長く生長を続けます。しかし、もしかしたら、光が十分に注いでいれば、秋まで待たずに、初夏に開花結実を終わらせるようなこともあるのかなぁと思って見ていました。

カシワバハグマ Pertya robusta
2004/09/23 終わた花

カシワバハグマは、キク科コウヤボウキ属で、花(頭花)は白っぽく、茎の上の方に穂状につきます。細長くてピラピラとした一見、花弁のようなものは、「舌状花」ではなく「筒状花」の裂片です。カシワバハグマの筒状花は10個ほどあって、それぞれが5つに細長〜く裂けて、その先端がクルッとカールしています。

名前のハグマ(白熊)というのは、「ヤクの尾の毛」のことだそうです。そのヤクの毛は、仏具の「払子」に使われるとか。葉の形が「カシワ(柏)」の葉に似ていて、白っぽく細長い裂片がたくさんある頭花を白熊に見立てて、「カシワバハグマ」と名づけられたといいます。

花冠の下の部分にある「総苞」は細長い円筒形で、長さは1.5cm〜2.5cmくらい。総苞にある「総苞片」は魚の鱗のようにペッタリ伏してくっついた状態です。総苞片は緑色〜赤みを帯びていることも多いです。

【和名】カシワバハグマ [柏葉白熊]
【学名】Pertya robusta
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/07/03、2004/09/23
【撮影地】東京都八王子市、山梨県牧丘町

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ゴマフ的生活」さんの記事「冬の花
すでに役目を終えたはずの花が、もう一度、冬に咲かせた花とは?

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posted by hanaboro at 13:19| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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