2005年04月25日

ニガナ

ニガナ Ixeris dentata


ニガナは、日本全土に分布し、低地の道ばたの草地や、田畑のまわりから山地の日当たりのよい場所まで広く生育し、ごくふつうに見られる多年草です。草丈は20cm〜50cmほどになります。全体的にヒョロヒョロと細長く華奢な感じがします。花もちょっとまばらにパラパラ咲いている感じです。

根生葉は切れ込むことがありますが、切れ込みの度合いはさまざまです。根生葉には長めの柄があって、葉身の部分の長さは3cm〜10cmです。ただし、必ずというわけではないようですが、この根生葉にも生育段階によって明らかに二形見られることがあります。早い時期に出てきた根生葉は、柄の先に丸っこい楕円形の葉ですが、晩春のころに見られる根生葉は細長くて、羽状にギザギザと切れ込んだ状態のものが出てきています。

上に伸びてきた茎につく茎葉は、細長い楕円形で幅は1cm〜3cmほど、柄はありません。つけ根の部分は丸くはりだし、耳状になって茎を抱くような状態につきます。この丸くはりだした部分や葉の中央より下の部分には、粗い切れ込みや先の細長くなったギザギザが見られます。ちなみに、学名の種小名「dentata」は、「鋸歯のある」という意味です。葉の質は根生葉も茎葉も薄く、柔らかな印象があります。

葉や茎を切ると断面から白い乳液が出てきます。この乳液に苦味があるところから、「ニガナ(苦菜)」という名前がつけられたといわれています。

ニガナ Ixeris dentata


花期は5月〜7月。茎の上部では枝分かれして、「集散花序」に黄色の花(頭花)をつけます。頭花の直径は1.5pぐらい。花びらに見える「舌状花」はふつうは5個ですが、6〜7個のこともあります。キク科の植物ですので、この花びらに見えるものは1つ1つが小さな花(小花)です。こんなふうに複数の花が集まって1つの花に見えるものを「集合花」といいます。

花びらの下の部分には、緑色の筒状の「総苞(うほう)」があります。総苞には細長い線形の「総苞片」が並んでいますが、ふつうパッと見てそれとわかるのは、細長い「総苞内片」です。「総苞外片」はごく短いもので、総苞の下の方にちょこっと貼りついている程度の目立たないものです。

花の後にできる果実(そう果)は紡錘形で、長さは3mm程度。

「ニガナ」は、いろいろと変異の大きい植物ですが、花の直径が2cmくらいの大きめで、舌状花が8〜10個と多く白色のタイプの「シロバナニガナ (Ixeris dentata var. albiflora) 、その黄色のタイプの「ハナニガナ(Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia)」などがあります。今回の写真の個体は、まだ花が咲いていませんので、このうちのどのタイプなのかはわかりませんね。花の咲くころまで、もうちょっと待ちましょう。雌しべの花柱の先が2つに裂けてルッと巻いた状態が見られるのも、もうすぐ。

【和名】ニガナ [苦菜]
【学名】Ixeris dentata (Ixeridium dentatum)
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/14
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
ジシバリ
オオジシバリ

■Trackback People : 身近な生き物

posted by hanaboro at 18:14| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イヌザクラ

イヌザクラ Padus buergeriana


イヌザクラは、本州、四国、九州に分布し、山野に生える落葉高木です。高さは10m〜15mくらいになります。樹皮は白っぽくて、一般的なサクラと同じように、「皮目(ひもく)」という隆起したものが横に並んで、縞模様になっています。皮目は呼吸が行われているところです。

葉は互生。長さ10cmくらい、やや細身の長い楕円形で、先の方は細くとがる感じです。表面には毛があり、縁のギザギザ(鋸歯)は小さく細かく入っています。花は葉が展開した後に開花します。

サクラの仲間ではありますが、一般的なサクラとはいろいろと様子が違っています。サクラの仲間は、ふつう、葉柄に「腺点」という密腺が小さい突起がついていますが、イヌザクラの場合はそれが、葉柄ではなくて、葉身の部分の下の方に見られます。鋸歯と同じような感じなので、葉柄にある場合より目立たないかもしれないし、わかりにくいこともあります。同じ木の中でも何枚かの葉をチェックしてみると見つかるかもしれません。

イヌザクラ Padus buergeriana


花期は4月。前年度に伸びた枝から総状花序を出して、たくさんの花を咲かせます。写真の状態では、まだ蕾のついた花序は短いので、枝と花序が接近して見えるのでわかりにくいのですが、イヌザクラの場合は、花序自体には葉がつかないんです。花が開くころは、花序の長さは、5cm〜10cmほど。果実が熟すころは、もう少し長めの印象です。

1つ1つの花の直径は、5mmちょっとくらい。花弁は5つ、多数の雄しべは花弁より長くて突き出しています。花序全体としてみると、大きな試験管ブラシのようです。

同じように総状の花序に白い花をたくさんつける「ウワミズザクラ」より、ちょっとおとなしめ。ウワミズザクラの場合は、今年伸びた枝の先に花序が出ます。これが重要ポイントで、花がついている下(花序の付け根)のあたりを見て、葉があったら「ウワミズザクラ」、なければ「イヌザクラ」というふうに見分けられます。

果実はやや先が細くなりますが、ほぼ球形で、黄色→赤色→黒紫色というふうに変化します。1つの花序(果序)で、熟す時期がばらばらなようで、いろんな色が混じって見られることもあります。

イヌザクラは、一般的な図鑑などを見ると、「ソメイヨシノ」や「ヤマザクラ」などと同じサクラ属(Prunus)に分類されていて、学名は「Prunus buergeriana」となってていることが多いと思います。この場合は、サクラ属がかなり広くとらえられています。より細かく分類した場合には、日本に生育するサクラの仲間は、スモモ属(Prunus)、サクラ属(Cerasus)、ウワミズザクラ属(Padus)、モモ属(Amygdalus)、アンズ属(Aemeniaca)、バクチノキ属(Laurocerasus)などとなるようです。この場合、イヌザクラの学名は「Padus buergeriana」です。

【和名】イヌザクラ [犬桜]
【別名】シロザクラ
【学名】Prunus buergeriana (Padus buergeriana)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : ツリーウォッチング

posted by hanaboro at 15:40| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コアカザ

コアカザ Chenopodium ficifolium


コアカザは、ヨーロッパ〜シベリア西部原産の一年草です。「アカザ」と同様に、世界中に分布を広げているといいます。日本にも、かなり古い時代に入ってきたといわれています。現在では全国的に田畑や道ばた、荒れ地などにふつうに見られます。特に、土壌があまりかたくないようなところで発生しているのを見かけます。種子で繁殖しますが、芽生えるのはふつう春です。

コアカザは、「シロザ (Chenopodium album)」や「アカザ (Chenopodium album var. centrorubrum)」に比べると葉が細く、やや小型。茎がよく枝分かれして、特に若いときには、地面に近いあたりで横に広がる感じがあります。しかし、茎が横に寝て伸びるわけではなく、直立してきます。高さ30〜60cm。葉は、長さ5cm程度で、形はちょっとまちまちなところもありますが、だいたい、細い三角形っぽい形〜細長い楕円形です。付け根の近くで、3つに裂けていることが多いですが、縁には波のようにウネウネとした、不ぞろいの切れ込みがあります。

コアカザ Chenopodium ficifolium


葉は互生。1枚目の写真では、少し切れ込みが見られるのですが、2枚目の方ではまだ、葉の切れ込みがありません。芽生えてすぐの双葉や最初の数枚の本葉は、切れ込みのないただ細長いだけのものが出てくることもあるようですね。特に葉の裏は、粉のようなものがたくさんついていて白っぽく見えます。

花期は5月〜6月。ふつう、「シロザ」や「アカザ」は、秋に開花していることが多いですが、コアカザは初夏のころから夏に開花します。枝先に円錐形の花序を出して、薄い緑色の花をたくさんつけます。花は花序に密集してつくので、団子状になります。花にも粉状のツブツブがたくさんついているので、白っぽくいです。花のあとの果実は五角形。種子は黒くてごく小さいものです。

【和名】コアカザ [小藜]
【学名】Chenopodium ficifolium
【科名】アカザ科 CHENOPOIDACEAE
【撮影日】2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
アカザ

■Trackback People : 帰化植物

posted by hanaboro at 13:06| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 芽生え・幼植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。