2005年04月28日

カスマグサ

カスマグサ Vicia tetrasperma


カスマグサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたなどの日当たりのよい草地に生えるつる性の越年草です。マメ科ソラマメ属(スズメノエンドウ属)の植物で、学名の「Vicia」は「vincire:巻きつく」からきているといいます。実際に、カスマグサにも巻きひげがあってそれで他につかまって伸びます。

「カスマグサ」という名前は変わっていますが、これは、同じ属の「カラスノエンドウ (Vicia sativa subsp. nigra)」と「スズメノエンドウ (Vicia hirsuta)」の中間的な形をしているところから、両者の頭文字をとって、「カ+ス+間+草」とつけられたといいます。全体的な大きさや花の大きさは、確かに2種の中間に入る大きさではありますが、花は小さくどちらかといえば、目立たないし「スズメノエンドウ」よりかな。

カスマグサ Vicia tetrasperma


葉はたくさんの小さい葉(小葉)からなる羽状複葉で、てっぺんの小葉(頂小葉)がなく、巻きひげ状になっています。これで、そこらじゅう巻きついて、どこからどこまでが1個体なんだろうかと思ってしまうくらいです。小葉は8枚〜14枚くらい。

カラスノエンドウは、3種の中では、特別に大きく目立つ花なので見分けるのは簡単です。では、スズメノエンドウと比べるとどうなのかと。これも、花の色や実の形がちがうので意外に簡単に見分けられます。カスマグサは赤紫色の花を1個〜3個のつけるのですが、スズメノエンドウの方はより小さくて、白っぽいような青紫っぽいような色の花を3個〜7個つけます。したがってできる果実(豆果)の数も違ってきます。

カスマグサ Vicia tetrasperma


カスマグサは花が2つずつ咲くことが多いので、豆果も長い柄の先に2つついていることが多いですが1個のこともよくあります。豆果は下向きにぶら下がるようにつき、毛はなく、長さは1cm〜1.5cm。中にはふつう4個の種子が入っています。スズメノエンドウの豆果は、長さ1cmあるかどうかで、短い毛がたくさん生えています。中の種子は2個です。

ちなみに、カスマグサの種小名「tetrasperma」は、「4つの種子の」という意味です。

*3種の違い(数のみに注目した場合)*

小葉の数花数(果実数)種子数
カラスノエンドウ8個〜16個葉腋に1個〜3個3個〜6個
カスマグサ8個〜12個長い柄の先に1個〜3個4個
スズメノエンドウ12個〜14個長い柄の先に3個〜7個2個

特に小葉の数などは、変異の幅が大きいもので、種間で重なり合うので、これだけでは区別しかねるかもしれません。そういうときは、ほかの形質と合わせて、総合的に見てみてみます。一度わかってしまえば、この3種、比較的簡単に見分けがつくようになるでしょう。

【和名】カスマグサ [かす間草]
【学名】Vicia tetrasperma
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/28
【撮影地】東京都日野市

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カラスノエンドウ

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ヒメオドリコソウ

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ヒメオドリコソウは、ヨーロッパ原産の帰化植物で、アジアや北アメリカなどに帰化しています。日本でも各地の人家周辺や道ばた、田畑などにごくふつうに見られる越年草です。

道路脇のブロック塀のわずかな土壌でもよく生育しています。どうしてこんなところに、と思うような場所でもよく見られるのは、種子の運び屋がいることによる部分も大きいようです。その運び屋とは、「アリ」です。ヒメオドリコソウの種子には、冠毛や翼があるわけではなく、風による散布はあまり期待できません。その代わり、アリの好む「エライオソーム」という付属体があるので、アリによって運ばれます。

ということで、「ホトケノザ」でもご紹介済みの種子を運ぶアリの姿、「ヒメオドリコソウ編」です。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureumヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ヒメオドリコソウの種子は、円錐形を4等分したような形で、4つがガクの中にはさまるように入っています。入っている状態をのぞきこむと、先の太い方が見えていて、細い方が奥に向いた状態になっています。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


ガクの中から種子を取り出すのに成功した一匹のアリ発見。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


どういうわけだか、うまく持ち運ぶことができない様子。ホトケノザに比べると大きめの種子。白いエライオソームがついている細い方さえ、ちょっと大きい。どっち向きに持とうか、モゾモゾと動き回る。

ヒメオドリコソウ Lamium purpureum


このアリは、結局、この種子を落っことしてしまいました。。。

一番上の写真は、別のアリ。種子を持って猛スピードでヒメオドリコソウの株があるところから、15cmほどはなれた巣へと駆けていきました。エライオソームは巣の中で取り外され、アリはそれだけを食べます。種子の部分はそのまま巣の外に出されるらしく、条件が合えばそこで種子が発芽することになるでしょう。

ヒメオドリコソウは、紅紫色を帯びた苞葉がピラミッドのように重なっていて、結構発達したガクに包まれた種子は、ホトケノザよりもちょっと取り出しにくそう。大きいなアリはかなりおおざっぱに重なり合った苞葉の上を活発に動き回り、ときどきガクの中に顔を突っ込んで、調べている様子。それに対して、小さいアリや中ぐらいのアリは、よりガクの周辺をゆっくりと念入りに調べている。一度、ガクからの取り出しに成功し、しっかり持つころができれば、あとは一目散に茎を駆け下りる。そのスピードはものすごく早い。まるで、途中で大きなアリに横取りされないように巣へと急いでいるかのようです。エライオソームだけでなく種子ごと運んでいくのは、そのせいなのか。結局、観察していた間に、種子を取り出して無事に巣に運んぶことに成功したのは、中ぐらいのアリ3に対して大きいアリ1。

【和名】ヒメオドリコソウ [姫踊子草]
【学名】Lamium purpureum
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/04/27
【撮影地】東京都日野市

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posted by hanaboro at 15:47| 東京 ☀| Comment(5) | TrackBack(1) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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