2005年05月20日

エノキグサ

エノキグサ Acalypha australis
2005/05/16

エノキグサは、日本全土に分布し、道ばたや畑に生える一年草です。日本以外にもアジア東部に分布しています。草丈は30cm〜50cmまでなります。茎はまっすぐ伸び、途中で枝分かれします。茎や葉には軟毛が生えています。

葉は互生。茎の下部の方の葉には長い柄がありますが、新しく出たばかりのころは柄が短く茎の先端に葉が集まったようになっています。葉は長い楕円形で、先はとがり気味、長さは5cm内外。縁にはあまり鋭くないギザギザ(鋸歯)があります。

葉は特に開き始めのころ、平たく開くというよりは2つに折りたたまれたように受け気味に開きます。茎の先の新しい葉が出てくるあたりや、葉の付け根部分、茎などが少し茶色っぽいような黄色っぽいような何とも地味な色を帯びていて、でも何だか光沢があって。日本にはこれに似た草はほかにあるのだろうかと思います。名前は、その葉の形がニレ科の落葉高木「エノキ (榎 Celtis sinensis)」の葉に似ているところからきています。

エノキグサ Acalypha australis
2004/10/07

花期は8月〜10月。葉の脇(葉腋)から花序が出てきます。トウダイグサ科の植物の中でも花は地味な方ですが、とても個性的です。花序の上の方には雄花がたくさんついて、下の方には雌花がつきます。小さな雄花は、開花するとふつうは花弁にあたる「花被」が、4つに裂けて中には雄しべ8本があります。雄しべの先にある「葯」は白色で、開花すると赤茶色の花序に白いプツプツがあって、それとわかります。

雌花の方は花序の下の方で、編み笠のような形の「総苞」に包まれています。それで、別名は、「アミガサソウ」です。雌花には、細かく裂けてモシャモシャとした柱頭があります。雌花の方の花被は3つに裂けます。子房の部分には小さな突起や毛がたくさんあります。受粉の仕方がまた変わっていて、小さい雄花が、そのまま雌花のあるところに落ちてきて受粉します。雌花や総苞は雄花をキャッチするために、そんな状態になっているということなんでしょうけど、まったく不思議な形です。

ただ、雄花がたくさんついているさらに上の部分、つまり花序のてっぺんなんですが、そこにも編み笠のようなものがついています。雄花が全部なくなったあともそれは雄花の花序が枯れるまでしばらく残っているみたいなんです。

果実(さく果)は、球形で直径3mm。種子は3つできます。1つの雌花にある子房が「隔壁」でしきられた3つの部屋(室)からできていて、それぞれの室に1つずつ後に種子になる「胚珠」があるので、種子が3つできます。子房の部分の小さい突起や毛は果実になっても残っています。

一番上の写真は、まだ幼い個体で、丸い円形の子葉も残っています。これで丈は2cmくらいです。

【和名】エノキグサ [榎草]
【別名】アミガサソウ[編み笠草]
【学名】Acalypha australis
【科名】トウダイグサ科 EUPHORUBIACEAE
【撮影日】2005/05/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月19日

カラスノエンドウ

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra
2005/05/05
カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra
2005/04/29


カラスノエンドウは、本州、四国、九州、沖縄に分布する一年草または多年草です。果実は熟すと真っ黒になるので、それを「カラス」にたとえてその名があります。この植物の特徴もいろいろとありますが、今回はその中の1つ、「腺体」についてです。カラスノエンドウの葉の付け根の方にある付属物、「托葉(たくよう)」には蜜を分泌する「腺体」があります。この構造は花の中の蜜腺に対して「花外蜜腺」と呼ばれています。

すでに「イタドリ」の花外蜜腺に来るアリの姿をご紹介済み。そのカラスノエンドウ編。

カラスノエンドウの花外蜜腺は、一度わかれば、見つけるのはもう簡単です。花の下の方、葉の付け根のあたりを見ればそこにあるヒレのような「托葉」の部分にあります。ちょっと茶色くなった部分がそれです。

花が咲き進むと、カラスノエンドウの花の近くや若いさやのあたりが、アリマキだらけになっていることがあります。近くにはアリもうろうろしています。カラスノエンドウの株の前でちょっと待っていると、ものの数分で茎にアリが登ってきます。こういうぼんやりした写真なら、気の短い筆者でも撮影可能です。

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigraカラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra
2005/05/14

果実(豆果)がまだ若いうちは、蜜腺からもまだ、十分に蜜が出ているようです。茎を上下に移動しながら、あらゆる蜜腺に立ち寄って蜜をなめるアリの姿が見られます。しかし、後脚は何だかつっぱったようにずいぶん開脚しているんですね。

カラスノエンドウ Vicia sativa subsp. nigra
2005/05/19

豆果が黒くすっかり熟くすと、そのうち勝手にパチン音をたてて弾け、中の種子が飛び散ります。そして、すでに中の種子も弾け飛んだあとは、茎も黄色く変色して枯れ始めます。それでも蜜腺の痕跡だけは一応、見ることもできます。とはいっても、さすがにもう蜜は出ていないのでしょう。アリの姿はありませんでした。

【和名】カラスノエンドウ [烏野豌豆]
【別名】ヤハズエンドウ
【学名】Vicia sativa subsp. nigra
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/29、2005/05/05、2005/05/14、2005/05/19
【撮影地】東京都日野市

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ニガイチゴ

ニガイチゴ Rubus microphyllus


ニガイチゴは、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよいちょっと乾燥したようなやせたような場所に生える落葉低木です。日本以外にも中国などに分布しています。地下茎を伸ばして増えるのでしばしば群生します。高さは30cm〜1m。よく枝分かれし、横に伸びたり、斜面から垂れ下がったりするので、枝の長さはもっと長くなっていることもあります。枝には細かなトゲが生えています。

葉は互生。長さ5cmくらい。幅の広い卵形。3つに裂けたり裂けなかったり、裂けそうになっていたりです。縁のギザギザ(鋸歯)は、「重鋸歯」といって、大きなギザギザがさらに細かくギザギザしている状態になっています。葉の裏側は粉をふいたように白っぽくなっています。でも特に白い毛が密生しているというわけではありません。特に若いころは表面は青緑色で光沢があり、葉脈や葉柄、枝などが紫褐色を帯びています。

ニガイチゴ Rubus microphyllus
若い果実

花期は4月〜5月。花は前年度の枝から新しく伸びた短い枝の先にふつう1つ咲きますが、新しい枝はごく短いので、前年度の枝から直接花がついているように見えます。花は直径2.5cmほどの白色の5弁花です。花弁は細長く縮れたような感じです。

写真は花が終わって間もないころの若い果実です。というより、ガクです。ガクは蕾のときは閉じていますが、開花中は開き後ろに反り返り気味になり、花の終了後はまた閉じてしまいます。この後、果実が順調に熟せば、直径1cmほどの球形の赤い液果になるはずです。一応、キイチゴ属の果実なので食べられますが、中にある「小核」といういわゆる種子の部分には、名前の通り苦味があるので、種子を噛んでしまうと、苦くてグェ〜となります。

ところで、「液果」ですが、これは「多肉果」ともいって、子房壁が成熟してできた「果皮」が3つの層に分かれた場合の「中果皮」という部分が多肉質か液質になったものです。液果にもいろいろな状態の果実がありますが、キイチゴ属の場合は、「小核果」と呼ばれる小さなツブツブの果実がたくさん集まった「集合核果」です。このように、たくさんの果実が集まった集合果ですが、キイチゴ属の集合果は、1つの花の1つの子房に由来しています。

【和名】ニガイチゴ [苦苺]
【別名】ゴガツイチゴ
【学名】Rubus microphyllus
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/05/05
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月18日

トウバナ

トウバナ Clinopodium gracile
2005/04/15 若い芽

トウバナは、本州、四国、九州に分布し、山野の林縁や道ばた、田のあぜなどやや湿り気のある場所に生育する多年草です。根もとからたくさん茎を出して、根もとの部分はやや地面をはい少し斜めに伸びる傾向があります。上部はだいたい直立します。高さは20cm〜30cmほどになりますが、5cmくらいか、それよりももっと背の低い状態で開花しはじめます。

葉はシソ科らしく対生で、茎も角ばっています。卵形〜幅の広い卵形で、長さ、幅とも2cm前後で、1cmくらいの葉柄があります。縁には浅いギザギザ(鋸歯)があります。

トウバナ Clinopodium gracileトウバナ Clinopodium gracile
2005/05/14 開花前のガク

花期は5月〜8月。茎の先につく花(花冠)は長さ5mm〜6mmくらいのごく小さな「唇形花」で、淡い紅色。花冠は上下2つにわかれていて、下唇の方が大きくさらに3つにわかれています。本当に小さな花ですが、まばらに毛も生えています。中をのぞくと雄しべが上唇にくっついています。4本の雄しべのうち2本が長くなっています。このあたりの観察にはルーペが必要です。

ガクも上下に裂けていますが、さらに上は3つに、下は2つに裂けます。ガクの部分にはまばらに毛があって、しばしば赤みを帯びています。

花は咲き始めのころは花茎が短くつまっていますが、数コずつが段々にわかれて輪生し、花が咲き進むと花茎が伸びて塔のようになります。そこで、名前は花穂の形を塔に見立てて「塔花」といいます。

よく似た種の「イヌトウバナ(Clinopodium micranthum)」は、山地に多く葉の裏に「腺点」があって、ガクには長い軟毛があるところなどで見分けます。

【和名】トウバナ [塔花]
【学名】Clinopodium gracile
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/05/14、2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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イヌガラシ

イヌガラシ Rorippa indica
終わりかけの花と若い果実

イヌガラシは、日本全土に分布し、山野の草地や道ばた、水田の周辺などに生育する多年草です。日本以外にも中国や朝鮮半島などアジア東南部に分布しています。草丈は20cm〜50cmくらい。根もとの方から枝分かれして株立ち状になり、さらに上部でも分枝します。茎は上方向に伸びることは伸びるのですが、グネグネと曲がりくねりながら伸びていきます。特に上部で枝分かれした茎は花が咲き進むにつれて横方向に曲がる感じです。

同じイヌガラシ属の植物は、在来種の「スカシタゴボウ (Rorippa islandica)」、「ミチバタガラシ (Rorippa dubia)」、「コイヌガラシ (Rorippa cantoniensis)」などがあります。さらに数種の帰化種も知られています。その中で、特によく見られる種で似ているのが「スカシタゴボウ」だと思います。

より湿ったところに多い一年草のスカシタゴボウの場合は、根生葉がイヌガラシよりも切れ込みが深くギザギザしています。茎葉のつけ根はスカシタゴボウの方がやや茎を抱く感じが強いです。ですが、ちょっと微妙なときもある。そこで今度は果実(角果)を見ます。角果が長さ5mm〜8mmくらいで短めだったら「スカシタゴボウ」、1.5cm〜2cmくらいの長い角果なら「イヌガラシ」です。花もスカシタゴボウの方が小さめです。

イヌガラシ Rorippa indica
葉の基部は小さく耳状にはりだす。

ミチバタガラシの場合は、全体的に小さくて、地面をはうような状態になります。花弁が退化していることも多く、果実はまっすぐに伸びます。

主な花期は4月〜9月。それ以外の時期でも、暖かい地方では花が見られることがあります。花は直径4mm〜5mmくらいの黄色の4弁花。花弁は細長く傷んでくるとさらにピラピラに。

長角果のアブラナ科によく見られることなのですが、花が咲き進むにつれて、先に開いた花の中心にある花柱がグングン伸びて目立ってきます。果実は熟すにつれて、細長い円柱形になって、上向きに弓のように曲がってきます。

イヌガラシ Rorippa indicaイヌガラシ Rorippa indica


今回の写真の個体はまだ、果実も若くて長さは1cm。スカシタゴボウではなくイヌガラシとしたのは、葉の切れ込みが少ないということと果実がもう少し長くなりそうなことからなので、ちょっと決め手に欠けるところがあります。両者の雑種もできるということでなかなかです。

【和名】イヌガラシ [犬芥子]
【学名】Rorippa indica
【科名】アブラナ科 BRASSICACEAE (CRUCIFERAE)
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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キバナスズシロ

キバナスズシロ Eruca vesicaria subsp.sativa
2005/05/14 若い果実

キバナスズシロは、この和名よりも「ロケットサラダ」または「ロケット」、「ルッコラ」などの名前で近年、すっかりおなじみの野菜になりました。スーパーなどでもよく売られています。ビタミンC等が豊富に含まれ、健康野菜として人気を集めています。若い葉は「ゴマ」のような香ばしさと、「クレソン(オランダガラシ)」に似た辛みもあります。多く加熱するとちょっと風味がとんでしまうので、サラダとしての利用がいいようです。また種子は油をとったり、マスタードの代用にもされるとか。

地中海沿岸〜アジア西部原産のアブラナ科キバナスズシロ属の一年草です。ヨーロッパではかなり古い時代から利用されていたそうです。日本でも、真夏をのぞけば栽培が可能。種まきの適期は3月〜10月の真夏以外です。

草丈は50cm〜80cm。よく生長したものでは1mをこえるぐらいにまでなります。写真のところはそれほど肥沃ではなさそうで、高さは80cmくらいです。茎には長めの軟網が生えています。葉はへら形〜長楕円形。縁は羽状に切れ込みます。緑色でやわらかな毛がまばらに生えています。やや質は厚めです。

キバナスズシロ Eruca vesicaria subsp.sativa
2005/04/15 下部の茎葉
キバナスズシロ Eruca vesicaria subsp.sativa
2005/04/15 根生葉


花期はだいたい4月〜8月。栽培開始の時期をずらせば、花期もちょっとずれてきます。花は白〜クリーム色の4弁花。花弁は細長く紫褐色のすじ模様が目立ちます。十字架を思わせる形です。キバナスズシロという名前は、野生種の花が黄色で、同じアブラナ科の「ダイコン(古名:スズシロ)」に似ているところからきているそうです。

キバナスズシロ Eruca vesicaria subsp.sativa
2005/04/15
キバナスズシロ Eruca vesicaria subsp.sativa
2005/05/14
終わりかけの花


果実は、アブラナ科なのでやっぱり「角果」をつけます。太めで長い円柱形の長角果です。

開花が始まったころは、まだロゼット状に地面に広がった根生葉も残っているのですが、花が咲き進むと、根生葉も次第に枯れていくようですね。長い期間、葉を食用にするには、やっぱり花を咲かせないように花芽を見つけたら摘み取らなければいけませんね。蕾も菜の花と同じように利用できるのかな。

【和名】キバナスズシロ [黄花清白、黄花蘿蔔]
【別名】エルーカ
【英名】ロケットサラダ (Rocket salad)
【イタリア名】ルッコラ (Rucola)
【学名】Eruca vesicaria subsp. sativa (Eruca sativa)
【科名】アブラナ科 BRASSICACEAE (CRUCIFERAE)
【撮影日】2005/05/14、2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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オランダガラシ

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ハーブについてよく知らないことだらけ。これから学ばせていただきたいな。

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2005年05月17日

ゲンノショウコ

ゲンノショウコ Geranium thunbergii
2004/11/09

ゲンノショウコは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよい草地などにふつうに見られる多年草です。フウロソウ科フウロソウ属(Geranium)の植物で、この仲間の大きな特徴のひとつは、果実(さく果)が熟したときに5つに裂けてその裂片がクルリと巻き上がることです。その裂片の先には種子が1つずつついていて、とてもユニークな姿になります。その様子がみこしに似ているということで、ミコシグサという別名もあるそうです。

花期は7月〜10月。「アメリカフウロ (Geranium carolinianum)」よりは遅めの開花です。花は柄の先に2つずつつきます。直径1cm〜1.5cmくらいの淡い紅色〜白色の5弁花です。ガク片も5つ、花の中心にある雌しべの花柱も5つに裂けます。

花後にできた果実は、次第に先端が長くくちばしのように伸びて、種子は下のガク片の中にできます。熟して黒褐色になると、下から果実が裂けて、裂片が種子を先につけて巻き上がり、おもしろい形が出来上がります。巻き上がったときに見えている中心の軸は、「心皮間柱」といって、花軸が雌しべを貫いて花柱まで伸びたものです。雌しべが複数の「心皮」という胚珠を包み込むものからできていて、そのそれぞれに種子ができています。

ゲンノショウコ Geranium thunbergii
2005/04/03

シーズン初めのころは、比較的地面に近い位置で開花していますが、次第に生長して草丈30cm〜50cmにもなります。全体に毛がたくさん生えていて、葉柄、花柄やガクなどには腺毛もあります。特に瑞々しいときはやわらかな印象です。特に若い葉には紅紫色の斑点があり、アメリカフウロとは葉の形も違っています。

ゲンノショウコ Geranium thunbergii
2005/07/16

根生葉や茎の下部の葉は掌のように5つに裂けることが多く、上部の葉は3つに裂けることが多いです。裂片はアメリカフウロの方がずっと細かくなります。また根生葉のころは、葉が互生しますが、茎葉は対生です。

【和名】ゲンノショウコ [現の証拠]
【別名】ミコシグサ[御輿草]
【学名】Geranium thunbergii
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
【撮影日】2005/04/03、2004/11/09
【撮影地】東京都八王子市、日野市

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アメリカフウロ
コフウロ

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[追記]
2枚目の根生葉の写真、思い込みで掲載してしまいました。今後、差し替えるかもしれません。

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ゴウダソウ

ゴウダソウ Lunaria annua
2005/04/28
ゴウダソウ Lunaria annua
2005/07/02


ゴウダソウは、ヨーロッパ原産の越年草です。濃い紅紫色の花は華やかで、実の形がユニークなことから観賞用に栽培されています。それがときどき逃げ出して人家周辺の道ばたなどにポツポツ見られることがあります。日本でよく見られるのは、今のところ、北海道など寒冷な地域が中心です。草丈は40cm〜60cmくらいなのがふつうのようですが、大きいのもでは1mくらい。

ゴウダソウという名前は、明治のころ、フランスから日本に種子を導入した合田清さんという人の名前からきているそうです。また、果実の形から「ギンセンソウ」、「ギンカソウ」とも呼ばれます。「ルナリア」という属名で呼ばれていることも多いです。

ゴウダソウ Lunaria annuaゴウダソウ Lunaria annua


全体に粗い毛がたくさん生えています。根生葉や茎の下の方の葉には長い葉柄があります。株の方は節間が非常につまっていて、まるで輪生しているようです。しかし、葉は互生です。上部にいくにしたがって葉柄は短くなって、無柄になります。途中の葉などは卵形で丸みがあって、基部の方は心形です。長さは5cm内外。縁には粗いギザギザ(鋸歯)があります。

ゴウダソウ Lunaria annuaゴウダソウ Lunaria annua


花期は4月〜5月。茎の上部の花序に紅紫色の4弁花を咲かせます。直径は2cmくらいで、ほんのり香りがあります。

果実は薄っぺらい団扇のような形になります。若い果実はまだ、細長い状態ですが、これが次第に円形〜楕円形になって直径は3cmくらいまでなります。非常に見た目の楽しい果実で、ドライフラワーにしても楽しめます。

今回の写真の場所は、人家に極めて近く個体も1株しかなくて、周囲には他の園芸種も見られました。恐らくまだ人の管理下にあるようで、帰化しているという状態ではないと思います。

【和名】ゴウダソウ [合田草]
【別名】ギンセンソウ[銀扇草]、ギンカソウ[銀貨草]、オオバンソウ、ルナリア
【学名】Lunaria annua
【科名】アブラナ科 BRASSICACEAE (CRUCIFERAE)
【撮影日】2005/04/28、2005/07/02
【撮影地】東京都日野市

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アメリカフウロ

アメリカフウロ Geranium carolinianum
2005/04/28 若い苗

アメリカフウロは、北アメリカ原産の一年草または越年草です。日本に入ってきたのは昭和のの初めごろのことだったそうです。現在では本州、四国、九州の道ばたや荒れ地、河原、畑などにふつうに見られます。また日本以外にも、アジアなどに広く帰化しています。

茎がよく枝分かれして、草丈は30cmほどまでなりますが、かなり小さな個体でも開花可能です。全体に軟毛や細かい毛がたくさん生えていて、白っぽくフサフサと柔らかい印象です。茎や葉柄は赤みを帯びていることが多いです。さらに葉の縁も赤っぽい。

葉柄は長くて、葉は深く5つ〜7つに裂けた裂片が、さらに細かく裂けています。輪郭をなぞると高さの短い五角形。

アメリカフウロ Geranium carolinianum
2005/05/14 若い果実

花期は4月〜9月。葉の脇(葉腋)から花柄が出て、淡い紅色の花が数個咲きます。同じフウロソウ属の「ゲンノショウコ (Geranium thunbergii)」の場合だと、花の直径は1cm〜1.5cmほどありますが、アメリカフウロの場合はそれよりもかなり小さくて、直径5mm程度です。花弁の幅も狭いです。

花弁もガク片も5枚あります。花の中央に見える雌しべの花柱も5つに裂けます。アメリカフウロの花柱はゲンノショウコに比べると、丸みがあって小さな桜が花の中に咲いているみたいです。ゲンノショウコは花弁が丸く花柱は細長い。アメリカフウロは花弁は細いが花柱は丸っこい、そんな感じ。そして、アメリカフウロは花弁とガク片が同じくらいの長さ。葯が開いた雄しべは雌しべよりも長く伸びるのかもしれないです。

アメリカフウロ Geranium carolinianum
2005/05/14
群生する様子
アメリカフウロ Geranium carolinianum
2005/06/28
裂開した果実


開花が始まってしばらくたつと、あちこちで花と同時に若い果実(さく果)も見られるようになります。さく果は、下の方は丸くふくらんで、先はピューッと上にくちばしのように伸びた形になっています。とっくりの先がものすごく細長くなったような感じ。その長く伸びたものは「心皮」と呼ばれる部分で、種子は下のふくらんだ部分にあります。ガクやくちばしにも毛が目立ちます。そして、これが熟したときが、またさらにおもしろい形になるのです。

そのうち、ガクが黄色っぽくなり縁も赤っぽく、または全体的に茶色っぽくなってくると果実も熟してきます。果実は熟すと黒褐色になって、くちばしの部分が下から5つに裂けてクルッと上にカールします。そのときカールした裂片の先には種子が1つずつついていきます。その様子はとてもユニークです。もうすぐそれが見られると思います。帰化種で、田畑などでは困った雑草ですが、見た目はいろいろとおもしろい面を持った草でもあります。

【和名】アメリカフウロ [アメリカ風露]
【英名】Carolina geranium
【学名】Geranium carolinianum
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
【撮影日】2005/04/28、2005/05/14、2005/06/28
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月16日

ヒメスイバ

ヒメスイバ Rumex acetosella


ヒメスイバは、ヨーロッパ原産の多年草です。日本に入ってきたのは明治の中ごろのことだったとか。日本以外にも世界中に広く帰化しているといいます。現在では日本各地の道ばたや人家周辺の草地や荒れ地などにふつうに見られます。地下茎を横に伸ばして増えるので、生育している場所では、だいたい群生しています。

草丈は20cm〜50cmほど。おなじみの「スイバ」よりは全体に小型です。それで、名前は「ヒメスイバ」です。

葉はほこ形で、長さ2cm〜7cm。付け根の方は少し耳状に横に張り出します。根生葉はヒョロリと長い葉柄がありますが、茎の上部の葉にはほとんど柄がなく、茎を抱きこむようについている場合もあります。茎葉は互生です。

花期は5月〜8月。茎の先の花序に小さい花をたくさんつけます。特に、花被片の外側は赤く染まることが多く、蕾は真っ赤のことがあります。群生していると、その辺りが赤く染まって見えるので、小さくても意外に目につくかもしれません。果実も赤くなります。

雄花と雌花が別々の個体につく雌雄異株。花被片は6枚。スイバの場合は、花が終わった後の果実には翼ができます。その翼は雌花の「内花被片」だった部分で、果実のころには大きくなって翼になります。しかし、ヒメスイバの場合は、果実のころになっても雌花の内花被片は大きくならないのです。

【和名】ヒメスイバ [姫酸い葉]
【学名】Rumex acetosella
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/05/14
【撮影地】東京都日野市

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ハナズオウ

ハナズオウ Cercis chinensis


ハナズオウは、中国原産の落葉低木です。高さは5mほど、根もとからよく枝分かれします。日本に入ってきたのは江戸時代のことだったとか。耐寒性があるので、日本でも広く庭木として植えられるほか、花材にも利用されます。

よく似た種で、北米原産の「アメリカハナズオウ (Cercis canadensis)」もときどき植栽されますが、ハナズオウよりは花が小さくて、色は薄めです。また、「セイヨウハナズオウ (Cercis siliquastrum)」という種もありますが、こちらはヨーロッパではよく植栽されているそうです。筆者はまだ、実物を見たことがありません。

花期は4月。葉の展開よりも先に開花します。とても鮮やかな紅紫色の花です。白花もあります。よく見るとマメ科の植物らしくチョウが羽を広げたような「蝶形花」です。遠めには紅紫色の花の塊が、枝いっぱいについている状態ですが、近づいてみると、1つ1つは直径2cm程度です。名前は、この花の色が紅色の染料である「スオウ」で染めた色に似ていることからきているそうです。

葉は丸みのあるハート形。しっかり展開すると長さ10cmくらい。

ハナズオウ Cercis chinensis


3月の終わりごろ突如として、その濃い赤紫の蕾が枝に出現し、はっとさせられます。こちら関東の丘陵地では、この2005年の春も、4月半ばごろ満開を迎え、枝をおおうほどびっしりと咲いていました。それから、ひと月後の5月半ば。赤みを帯びた黄緑色の若葉が展開し、花はすっかり終わって、果実(豆果)がたくさんできていました。花がたくさん咲いた分、できる果実も大量です。マメのさやはブーメランのように曲がっていて、先の方はくちばしみたいに細くとがって伸びています。平べったくて長さは5cmくらいです。

この後しばらくすると、もうちょっと幅も広くなって、マメが垂れ下がってきます。その形は「サヤエンドウ」に似ています。そしてさらに秋になると、垂れ下がったマメが黒っぽくなってビロビロした状態になります。中の種子は黒くて長さ4mm〜5mmくらいです。

【和名】ハナズオウ [花蘇芳]
【別名】スオウバナ[蘇芳花]、スオウギ[蘇芳木]
【英名】Chinese redbud
【学名】Cercis chinensis
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/05/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月15日

ノミノツヅリ

ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia
2005/04/21

ノミノツヅリは、日本全土に分布し、道端や田畑、荒れ地などにごくふつうに見られる一年草、または越年草です。草丈は10cm〜25cm程度の小さなもので、アスファルトの隙間に生える植物の定番の1つ。根もとの方でよく分枝して、やや地面に寝そべって伸びる傾向もあるので、茎の長さはもうちょっと長いこともあります。全体に短い毛が密生しています。

日本国内に見られる同じノミノツヅリ属の植物には、「カトウハコベ (Arenaria katoana)」や「チョウカイフスマ (Arenaria merckioides var. chokaiensis)」などがありますが、これらは一部の高山帯にのみに見られるもので、花はノミノツヅリよりも大きくて、見栄えもよいものです。ノミノツヅリは路傍の雑草ですが、それら高嶺の花をずっと小さくしたようなものです。

葉はナデシコ科らしく対生。卵形の葉は長さ5mm前後。先は少しシャープな印象で、全体を遠めに見ると、三角形の葉が規則正しく並んでついて、どこか多肉植物を思わせるよな雰囲気もあります。といっても、実際はそんな多肉質というほどではなく、ハコベと大差ありません。小さい分しまって見えるかなという感じです。名前は、小さな葉を蚤の綴り、つまり粗末な衣にたとえたものだそうです。

ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia
2005/05/14

花期は3月〜6月。葉の脇(葉腋)から出た細い花柄の先に、直径5mm程度の白色の花を咲かせます。白色の5弁花で、ごく小さな花ですが、平たくパッ、パッと咲いている姿は、お箸やお碗の絵柄にもなりそうな整った形です。5枚のガク片は花弁よりちょっと長めで先がとがっています。

こちら、関東の丘陵地では、5月半ばともなると、ノミノツヅリはだいたい一通り咲き終わって、果実(さく果)がたくさんできています。先の細くなったつぼのような形で、先が6つに裂けます。

ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia


果実の中には細かい種子が入っています。肉眼では小さな黒のツブツブです。そこで、スキャナで取り込んでみたのが、上の3枚目の画像です。種子は腎円形で、表面には何か模様が見えます。筆者の技術では、スキャンもこれが限界。図鑑と照らし合わせると、この模様は、細かな凹凸なんだと思います。

この画像に写っている種子の一番上から、一番下までが5mmくらいなので、種子1つの長さは1mmに満たないものです。定規も一緒にスキャンしたのだけど、なぜだか取り込まれませんでした。う〜っ。

【和名】ノミノツヅリ [蚤の綴り]
【学名】Arenaria serpyllifolia
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/05/14、2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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ミツデカエデ

ミツデカエデ Acer cissifolium


ミツデカエデは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地に生える落葉高木です。高さは10mをこえるぐらいまでなります。

カエデ科カエデ属ですが、葉の形が特徴的。一般的なカエデの掌状の葉とはちょっと違っています。葉は3つの小さい葉(小葉)でできた「3出複葉」です。小葉の形は細長い楕円形で先が細く伸びます。長さは5cm前後で縁には粗めのギザギザ(鋸歯)があります。

ミツデカエデ Acer cissifolium


葉には白っぽい毛が多く、特に新葉が展開してくるころには、白い毛が目立ってフサフサしています。若葉は柔らかな感じ。薫風にフワフワとそよぎます。

葉柄の赤いのも特徴です。新緑の若葉とのコントラストはとても美しい。こういうときに、写真が上手に写せたらと思うのです。努力しましょう。

ミツデカエデ Acer cissifolium


花期は4月〜5月。長さ10cm前後の花序が垂れ下がって、黄色の小さな花がたくさん咲きます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。花のつく様子も非常にさわやかです。カエデ属なので、花後にはやっぱりプロペラのような果実、「翼果」ができます。翼果の長さは2cm〜3cm。2つずつつきますが、2つの間はあまり開かない感じになります。

カエデの仲間も、種類によっていろんな葉や翼果の形があって、それを見比べるのもおもしろい。そして秋には紅葉も楽しめます。

【和名】ミツデカエデ [三手楓]
【学名】Acer cissifolium
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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コウヤボウキ

コウヤボウキ Pertya scandens


コウヤボウキは、本州関東以西、四国、九州の山野の林縁や林内などに生える草本のような落葉小低木です。乾燥した場所に多く、よく尾根筋で見かけます。枝はとても細くよく枝分かれして、高さは50cm〜1mほどになります。この植物の枝は「高野山」で「ほうき」に使われたのだそうで、「コウヤボウキ」といいます。何でも高野山では「竹」を植えるのを禁止されていたために、竹のかわりにこれが用いられたとか。

コウヤボウキ Pertya scandens


葉の形やつき方には2通りあります。1つは一年目の枝で、卵形の丸っこい葉が互生します。もう1つは2年目の枝で、一年目の葉よりも細長い卵形の葉が3枚〜5枚、束になってつきます。ということで、今回の写真の枝はどちらも2年目のものです。しかも枝先に昨年の秋に咲いたらしい花の残骸があります。その一見、花びらのように開いているものは「総苞(そうほう)」で、茶色のピラピラした1枚1枚は「総苞片」です。キク科の花が終わったあと、すっかり枯れてしまっても、よくこの総苞片だけは残っていることがあります。

コウヤボウキの花(頭花)は、1年目の枝の先端につきます。これに対してよく似た「ナガバノコウヤボウキ (Pertya glabrescens)」の場合は2年目の枝で、葉が束になっているところに花をつけます。この2種は葉にも違いがあって、コウヤボウキは毛が多く若葉のころはよく目立ちますが、ナガバノコウヤボウキの方は毛があまり生えていないのです。

花期は9月〜10月。花の直径は2cmくらい。キク科の花びらに見える「舌状花」はなく、すべて「筒状花」で、十数個の筒状花が集まって1つの頭花ができています。筒状花の先は5つに裂けてヒラヒラと反り返っています。舌状花はなくても、意外に静かなにぎわいの花です。

【和名】コウヤボウキ [高野箒]
【学名】Pertya scandens
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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キンラン

キンラン Cephalanthera falcata
2005/05/14 下の方の花には唇弁が見当たらない

キンランは、本州、四国、九州に分布し、山野の林内に生える多年草です。草丈は40cm〜50cm。葉の長さは10cm内外、幅の広い長い楕円形。つけ根は茎を抱くように、互生してつきます。名前は、鮮やかな黄色の花色から「金蘭」といいます。

キンラン Cephalanthera falcata


花期は4月〜6月。花は黄色、幅1.5cmくらい。しっかりと開かず、ちょっとだけしか開かないところがまた、贅沢な感じ。ちらっと見える唇弁はほんのりと朱色を帯びているのですが、一番上の写真では、すでに唇弁は傷んで縮れたり、脱落したりしてよくわからない状態になっています。かなり花数の多い個体だったんだけど。新鮮な花だったら、こんなに開かないのに。。。

本来は唇弁は3つに裂けていて、そのうち中心の裂片(中裂片)には隆起したヒレのようなものが数本あって、「隆条」または「隆条線」などといいます。茎から枝分かれして花がついている感じですが、その枝に見えるところは子房です。花時期の子房の部分は細長いので、枝のような、花柄のような感じに見えますが、受精していれば花後には果実となります。

キンラン Cephalanthera falcata
2004/05/15
終わりかけの花
キンラン Cephalanthera falcata
2005/02/13
冬に見られた果実の残骸


キンランの花は上を向くので、花の後ろ側は下になる。その下の方には短い「距」があります。新緑の雑木林の中で、この黄色に輝く花はかなり目立ってしまう。林の中をパッと明るくするその花に目が留まる。同じようなところに生育する「ギンラン」の方は、ずっと小さくて花も白色だから、やや目につきにくい。開花個体も比較的見られるのだが、キンランの方は。。。

【和名】キンラン [金蘭]
【学名】Cephalanthera falcata
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/05/14、2005/02/13、2004/05/15
【撮影地】東京都

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2005年05月14日

ヤブタビラコ

ヤブタビラコ Lapsana humilis
2005/05/04 八王子市 しぼんだ花

ヤブタビラコは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の林縁や田んぼの周辺ななどに生える越年草です。全体に軟毛が生えていて、柔らかな感じがします。

ヤブタビラコ Lapsana humilis
2005/05/04 八王子市
開花期の根生葉
ヤブタビラコ Lapsana humilis
2005/02/13 多摩市
越冬中の小さい根生葉


草丈は20cm〜30cmくらい。茎は斜めになったり倒れたりで、全体的に弱々しい感じがあります。伸びた茎にも葉はありますが、根生葉に比べるとずっと小さいものです。花が咲くころの根生葉はやや斜め上に立ち上がってきます。根生葉は羽状に切れ込んで、てっぺんが丸く大きくなっています。長さは10cm内外です。

越冬中は小さな根生葉ですが、てっぺんの大きな葉が目印です。

ヤブタビラコ Lapsana humilis
2004/05/15 八王子市 果実

花期は5月〜7月。花茎の上部の方は少し枝分かれして、まばらにポツポツと咲きます。花(頭花)は黄色。直径は1cmないぐらいです。小さいですが、いくつもの小さい花(小花)が集まった集合花です。花びらに見える「舌状花」は20枚ぐらいあり、中央部には「筒状花」もあります。花がしぼんだ後、花首がちょっと下垂するような状態になります。小さなツボみたいな「総苞」が下を向いている様子は、「ガンクビソウ」の仲間を思い起こさせる感じ。

果実(そう果)は長さ2mm〜3mm程度の小さなもの。キク科ですが、綿毛(冠毛)はなく茶色い種子だけがでてきます。この小さな果実に突起がないのが特徴で、先の両端に突起のあるコオニタビラコと区別できます。ちなみに「コオニタビラコ」の方は、春の七草の1つ「ホトケノザ」だといわれています。

ヤブタビラコもコオニタビラコも、同じキク科ヤブタビラコ属(Lapsana)に分類されています。一方、もう1つ名前のよく似た「オニタビラコ (Youngia japonica)」は、オニタビラコ属の植物です。

【和名】ヤブタビラコ [藪田平子]
【学名】Lapsana humilis
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/05/04、2005/02/13、2004/05/15
【撮影地】東京都八王子市、多摩市

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コヒルガオ

コヒルガオ Calystegia hederacea
2005/05/14 2枚の大きな苞

コヒルガオは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや日当たりのよい草地などにふつうに見られるつる性の多年草です。日本以外にも東南アジアにかけて分布し、比較的暖かい地方によく見られます。地下茎を長く伸ばして、広範囲に広がってよく増えます。名前は、「ヒルガオ」に比べて花や葉が小さいことからきているそうですが、ヒルガオよりもさらに乾燥に強く、道路脇にも多いし、田畑の雑草でもあります。

コヒルガオ Calystegia hederacea
葉はとがる感じ
コヒルガオ Calystegia hederacea
下部の葉は丸っこいことも
2005/05/14

葉はヒルガオよりも確かにしまった感じ、直線的なパキッとした輪郭です。形はほこ形で、長さは3cm〜7cm。つけ根の部分は横に張り出して、しばしば2つに裂けます。つる植物ですので、真夏のころにはもうどう絡まっているのか、よくわからないくらいに繁茂していることもあります。そんなブッシュ状に広がった状態でも、何となく鋭角の葉の先がツンツンと目立ちます。
コヒルガオ Calystegia hederacea
2005/04/27 地上部が出たばかりのころ

花期は5月〜9月。花(花冠)は、「アサガオ」と同じ漏斗型。直径5cmくらいの「ヒルガオ」より少し小さめで、直径3cm〜4cm。葉の脇(葉腋)から花柄を出して先に1つずつ咲かせます。花柄の長さは2cm〜5cm。ガクは2枚の大きな「苞」に包まれていて、注意してみないと、その苞がガクのように見えてしまいます。ガク2枚の苞の間から先のほうがのぞいて見えるぐらいです。苞もヒルガオよりは心もち小さくシャープな印象。

コヒルガオ Calystegia hederaceaコヒルガオ Calystegia hederacea
2005/05/14
花柄の部分にはウネウネとした翼。葉柄の付け根あたりの茎にも何となく翼が。

よく似たヒルガオとの区別点として重要なのが、花柄の翼。コヒルガオではデコボコした翼が見られます。真夏の昼間でもしおれず、よく花が見られます。

【和名】コヒルガオ [小昼顔]
【学名】Calystegia hederacea
【科名】ヒルガオ科 CONVOLVULACEAE
【撮影日】2005/05/14、2005/04/27
【撮影地】東京都日野市

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ヒルガオ

ヒルガオ Calystegia pubescens
2005/04/08 まだ幼い苗

ヒルガオは、日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、朝鮮半島や中国にも分布しています。道ばたや日当たりのよい草地などに生育するつる性の多年草です。名前は昼間に花が開くことからきているということですが、必ずしも開き始めるのが昼間というわけではなさそうです。場所によっては比較的朝早くから咲き始め、午前中には開花しています。そして、夕方ごろまでは開いています。

「自家不和合性」という性質があって、ふつう自家受粉せず、受粉は訪花昆虫に頼っているために、あまり種子をつけないといわれています。そのかわり、かなりの広い範囲に地下茎を伸ばして増えます。

ヒルガオ Calystegia pubescens
2005/05/14
まだ咲き始めのころの葉
ヒルガオ Calystegia pubescens
2005/07/10
大きく生長した株の葉


葉は互生。ほこ形〜矢じり型で、長さは5cm〜10cm程度。葉の付け根の方は横に張り出します。この張り出した部分が2つに裂けていないのが特徴で、これで、「コヒルガオ」とだいたいの区別ができます。しかし、はっきりと2つに裂けないまでも裂け気味のことが結構あります。逆にコヒルガオの方も、2裂しないようなこともあるので、これで必ず区別できるとは限らないでしょう。ただ傾向としては、ヒルガオの葉はやや丸みがあるのに対して、コヒルガオの葉はとがってツンツンした印象があるという感じでしょうか。

ヒルガオ Calystegia pubescensヒルガオ Calystegia pubescens
2005/05/14

葉を見てよくわからない場合、今度は花柄に注目してみます。そこで花の下の柄の部分に翼がなければ「ヒルガオ」、はっきりとデコボコした翼があるのは「コヒルガオ」です。花の大きさや色にも少し違いがあります。ヒルガオの方が大きめでやや濃いめの淡紅色、中心部の白がはっきりめ。コヒルガオは小さめで色が薄いです。

花期は5月〜9月。葉の脇(葉腋)から、長さ2cm〜5cmの柄の先に漏斗型の花を咲かせます。花(花冠)の直径は5cm。コヒルガオでは3cm〜4cm。

ヒルガオの場合、「アサガオ」の花や果実でも見られるガクの部分が、大きな2枚の「苞」に包まれています。というより、2つの苞によってサンドイッチみたいにはさまれています。これはヒルガオ属の大きな特徴でもあります。一見すると、苞がガクのように見えてしまうかもしれませんが、横からのぞくとガクが見えます。ちなみにヒルガオ属の学名「Calystegia」には、「calyx (ガク)」+「stege (ふた)」という意味があります。

正午ごろに撮影したものですが、5本ある雄しべは、下の方でかたまったような状態で、雌しべは長く伸びて先が2つに割れて、コの字形になっていました。

【和名】ヒルガオ [昼顔]
【学名】Calystegia pubescens (Calystegia japonica)
【科名】ヒルガオ科 CONVOLVULACEAE
【撮影日】2005/07/10、2005/05/14、2005/04/08
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月13日

イタドリ

イタドリ Polygonum cuspidatum


イタドリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野にごくふつうに見られる多年草です。特に日当たりがよく、他の草が侵入していないような場所にはいち早く入り込み、道路脇のちょっとした隙間にもどんどん生えてきます。草丈は50cm〜1mを越え、開花するころには大きいものでは人の背丈ぐらいまでなります。ちょっとした斜面に生えていたりすると、はるか上から覆いかぶさってくるような迫力で、背の低い筆者なんぞは圧倒されてしまいます。地下の根茎は横に長く伸び、あちこちから芽を出して群生します。花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)から花序を出して小さな花がたくさんつきます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。

イタドリ Polygonum cuspidatumイタドリ Polygonum cuspidatum


イタドリの葉の付け根には丸くてくぼんだような「腺体(蜜腺)」があって、そこにはアリがやってきます。実際に、イタドリを眺めているとあちこちで、茎を行ったり来たりするアリの姿が見られます。アリは葉の付け根にたどり着くと蜜腺のところで少し立ち止まって、蜜をなめます。しかし、大型のアリは、一か所にじっと留まらず次々と葉の付け根を渡り歩いて、せわしなく茎を移動していきます。それに比べると小型のアリは1つの蜜腺でじっくり味わっているようです。

この蜜腺は花の中にある蜜腺に対して、「花外蜜腺」と呼ばれます。花外蜜腺は、イタドリに限った構造ではなく、サクラ類の葉柄やカラスノエンドウの托葉など、いろいろな植物で見られます。

イタドリ Polygonum cuspidatumイタドリ Polygonum cuspidatum


大型のアリは蜜腺を渡り歩く途中で、アブラムシの集団に立ち寄ったり、別のアリに出会って何かモゾモゾやったりと忙しい。「ヒメオドリコソウ」のエライオソームつきの種子を探すときもせわしない様子だったなぁ。そういえば、今までアリの名前は調べてなかったので、そろそろ調べようかとも思うのだが。さて、どうしましょう。。。

【和名】イタドリ [虎杖]
【学名】Fallopia japonica (Polygonum cuspidatum)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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ノビル

ノビル Allium macrostemon


ノビルは、日本全土に分布し、道ばたや土手、田畑の周辺などに生える多年草です。ふつう、秋の終わりに葉を出して越冬します。葉は細長く長さ30cmほど。「蒜」というのは、「ネギ」や「ニンニク」などの総称。ノビルの根もとの様子もネギのよう。葉や地下の球根(鱗茎)を食べることもできます。鱗茎は白っぽい膜のような皮に包まれていて直径は1cm〜2cm。

ノビル Allium macrostemonノビル Allium macrostemon


細長くヒョロヒョロとのびているのは花茎で、40cm〜60cmほどになります。先端の白っぽい塊は蕾のある部分で、白っぽくて薄い膜のような総苞の中に蕾が包まれています。その総苞の先は細長くくちばしのようにとがっています。花期は5月〜6月。花序にはよく「ムカゴ(珠芽)」ができます。花を咲かせず、ムカゴだけの場合もあって、しばしば花序についたままの状態でニョロニョロと芽を出します。

これまでよく用いられてきた分類体系の「新エングラー体系」や「クロンキスト体系」では、ノビルが含まれる「ネギ属 (Allium)」は、「ユリ科 (LILIACEAE)」とされています。しかし、近年発達した分枝系統学的な手法、主に葉緑体DNAの解析結果を用いた「APG植物分類体系」では、「ネギ科 (ALLIACEAE)」に分類されます。

被子植物の分類も系統を反映したものへと移り変わりつつあるようです。特に非常に多様で大きなグループだった「ユリ科」は大揺れで、単子葉類全体の分類が見直されるほどになっています。

ノビルの花では特にガクと花弁の区別がなく、花びらに見えているものは「花被片(かひへん)」と呼ばれます。一般的な「ユリ属」の場合だと、花びらに見えるものが6枚あって、質や形は似ていますが、3枚ずつ内外の区別をして「内花被片」、「外花被片」と呼んでいます。話をノビルにもどすと、ノビルの場合は、その花被片が6つです。これはネギ属の全般に見られる特徴で、「ニラ」や「アサツキ」でも同様です。

花被片は白っぽくうっすらと紅紫色を帯びていて、平たく開きます。花序の形は散形状。雄しべは6本あって、花被片よりも長くなります。

【和名】ノビル [野蒜]
【別名】チョウセンノビル
【学名】Allium macrostemon (Allium grayi)
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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ニラ

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