2005年05月06日

マルバスミレ

マルバスミレ Viola keiskei


マルバスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野のに当たりのよい草地や林縁などに生える多年草です。

「マルバスミレ」という名前は、もともとは、「ケマルバスミレ」の変種扱いで、茎や葉に毛のないタイプに対してつけられた名前だったそうですが、毛のないタイプは非常に少ないことから、茎や葉の毛の有無には関係なく「マルバスミレ」と呼ばれるようになっているようです。ちょっと古めの図鑑だと「ケマルバスミレ」も載っていて、筆者は毛のあるものは「ケマルバ」と覚えたものだから、今でも見かけると「ケマルバスミレ」といってしまいます。

葉は地面近くで展開しますが、花が咲くころは花茎が伸びるので、草丈は5cm〜10cmくらいです。葉は長さ2cm〜4cmの丸みのあるハート形。縁のギザギザ(鋸歯)にも丸みがあります。茎や葉には粗い毛がたくさん生えています。花後には葉の大きさや草丈もかなり大きくなって、他のスミレ同様、ビックリさせられます。

マルバスミレ Viola keiskeiマルバスミレ Viola keiskei


花期は4月〜5月。直径2cm程度の白色のスミレ。淡い紅紫色を帯びることもあります。葉も丸みがありますが、花弁も丸く豊かな感じ。5枚の花弁のうち、上の2枚は「上弁」、下の2枚は「側弁」です。その側弁の内側、花の中心付近をチェックします。側弁の毛は、スミレの仲間を見分けるときのチェックポイントの1つ。マルバスミレの場合は、側弁に毛があるタイプと毛のないタイプがあって、今回の写真の場合は、側弁の毛はありません。特に、有毛のタイプは、「ヒゲケマルバスミレ (Viola keiskei f. barbata)」といいます。

花の中央部に突き出しているのは雌しべの花柱ですが、その先端はカマキリの頭のような形になっています。下の1枚の花弁は「唇弁」ですが、紫色の筋が入っています。側弁にもいくらか筋が入りますが、かなり控えめです。そして、唇弁の後ろにはシッポのような「距」が出ていますが、マルバスミレの距は太めで先のほうがちょっとふくらんでいます。花柄やガク片にも毛があることが多く、結構目立ちます。さらに、ガクに注目すると、上部にはみ出しているような部分があります。これは、ガク片の付属体で、ギザギザと切れ込みが入っています。

【和名】マルバスミレ [丸葉菫]
【別名】ケマルバスミレ
【学名】Viola keiskei
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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posted by hanaboro at 18:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | スミレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ホオノキ

ホオノキ Magnolia hypoleuca


ホオノキは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の雑木林やコナラ、ミズナラ、ブナなどの落葉樹の多い林に生える落葉高木です。高さは15m〜30mほどにまでなります。また幹の直径も1mにもなる非常に大きな木ですが、数多くの個体がまとまって生えているようなことはなく、他の樹種が多い中にポツポツと見られます。モクレン科モクレン属で、同属の植物は、日本国内には6種知られています。モクレン、コブシ、タムシバ、オオヤマレンゲ、シデコブシなどです。漢方薬に利用される中国原産の「厚朴 (Magnolia officinalis)」は、ホオノキに近縁だと考えられています。

大きな葉を広げ、他の植物を圧倒するかのように、枝は上へ上へと向かって伸びていきます。葉は枝の先の方に集まってつき、まるで車輪のようです。実際には、輪生しているわけではなく、らせん状についている「偽輪生状」。形は卵を逆さにして細長くしたような大きく長い楕円形。長さは20cm〜40cmもある巨大な葉。1枚1枚が大きい分、枚数としては少なめ。

風に揺れてベランベランとしていますが、しっかり展開した後の葉はそれなりに厚みもあり、少しかたくなってきます。葉の裏や葉柄には長めの軟毛がたくさん生えていてフサフサします。さらに裏面は白っぽく、枯れて落ち葉になっても、林床でよく目立ちます。その様子は何だかちょっと異様な光景で、大量のレジ袋が落ちているのかと、目をこすって確かめたことがあります。こんなにも高く天を目指す大きな木。その地下の根は一体どんなだろうかと思います。

ホオノキ Magnolia hypoleucaホオノキ Magnolia hypoleuca


葉が展開していると、ほとんど冬芽のころの芽鱗や托葉は落ちてしまっています。芽吹きのころ観察して、茶色くしっかりしているのもがあれば「芽鱗」、葉ののび始めのころ、はがれて白っぽくて薄い膜のようになっているのは「托葉」、はがれる前は薄茶色。ホオノキの場合は芽鱗も托葉に由来しているのだとか。樹皮には、ブツブツと隆起した「皮目(ひもく)」が目立ちます。特に若い枝などでは、托葉のついていた痕(托葉痕)が輪状に残っているのも見られます。

ホオノキ Magnolia hypoleucaホオノキ Magnolia hypoleuca


ホオノキには、基本的に花をつける枝と花をつけない枝があります。花をつけない枝は、途中で枝分かれしながらグングン上に向かって伸びていきます。花をつけるほうの枝はほとんど生長しないためそのうち陰になってしまい数年で枯れ、今度は花をつけない枝が花をつけ始めます。ホオノキは、こんなふうに枝を入れ替えながら、光の確保と繁殖をうまく両立させて生長を続けるのだそうです。

花期は5月〜6月。枝先に直径15cm〜20cmほどもあるクリーム色の花が上向きに開きます。丸くて優雅、そして艶やかな光沢のある花弁。花弁の数は8枚〜9枚。ガク片は3枚。赤く見えるのは花糸。葯の部分は黄白色。甘く強烈な芳香を放ち、かなりの数の虫たちが訪れるのですが、はるか天空の出来事のようで、その様子はなかなか見ることができません。

中央部分には、たくさんの雄しべがあって、雌しべもたくさん集まって円錐状についています。これら、雄しべや雌しべのつき方は、とても変わっていて、らせん状に並んでいるんです。このほかにも、ホオノキは、被子植物の祖先的な形質をいくつか持っていて、ホオノキを含めたモクレン科の植物は、被子植物の中でもっとも原始的だといわれています。

ホオノキの花には、雌の時期(雌性期)と雄の時期(雄性期)があります。まず、先に成熟するのは雌しべです。開花したその日の花には、まだ花粉出てなく、雌しべの先にある紫色の柱頭が反り返って目立ちます。雌しべが受粉できるのはこのときだけで、翌日にはもう雌しべはピッタリとはりついてしまい、今度は雄しべが開いてきます。またその翌日も雄しべだけが開き、およそ3日間で、ホオノキの1つの花の生殖期間は終了です。その後、花弁は落ちるまで、開ききった状態になります。雄しべも花弁の上に散らばります。

果実は「袋果」がたくさん集まった「集合果」、落葉のころに熟してきます。熟すと袋果が裂けて、中の赤い種皮に包まれた種子が、白い糸で吊り下げられたような状態になります。その白い糸は、胚珠の中を通っていた「導管」なんだそうです。

ホオノキ Magnolia hypoleuca
まだ30cmくらいの苗木。十分光を受けている。

「ホオノキ」と「オオヤマレンゲ (Magnolia sieboldii)」の雑種の「ウケザキオオヤマレンゲ (Magnolia X watsonii)」は、公園などに植えられることがあるようです。雑種だけあって、両者の中間的な花が咲きますが、ホオノキと比べると、花は少し小さめで、名前のとおり平たく開かないけれど、向きはだいたい上を向くようです。

属名の「Magnolia」はフランスの植物学者「マグノル (P.Magnol)」という人にちなんでいるとか、種小名の「hypoleuca」は「hypo(下)+leuca(白色の)」という意味です。葉の裏面が白っぽいことからきているそうです。

【和名】ホオノキ [朴の木]
【学名】Magnolia hypoleuca (Magnolia obovata)
【科名】モクレン科 MAGNOLIACEAE
【撮影日】2005/05/05
【撮影地】東京都日野市

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キラリとひかって生命力のある朴の花と蕾が堪能できます。

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posted by hanaboro at 16:38| 東京 ☔| Comment(24) | TrackBack(9) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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