2005年05月11日

カラスビシャク

カラスビシャク Pinellia ternata
2005/05/08

カラスビシャクは、日本全土に分布し、田畑や人里周辺の草地に生える多年草です。花は緑色なので、一見目立たないですが、その姿を一度見ると忘れられないとてもユニークな形をしています。すごく細身で、竿のようなものが長〜くのびた独特のスタイルです。その糸状の竿のようなものは、花序からのびている付属体です。

葉には長い柄があり、3つの小さい葉(小葉)からなっていて、それが2枚〜3枚、根もとから出てきます。1つの小葉の長さは5cm〜10cmくらいの長い楕円形、先端はとがっています。葉柄の長さは10cmくらいです。

上の写真のまだ小さい個体は、丈が3cmくらいです。下の写真はすでに開花しているものの葉です。幅が狭く見えていますが、これは小葉が2つにちょっと折りたたまれたような状態で、それを真上から見ているので狭く見えています。本来はもう少し幅が広いです。

カラスビシャク Pinellia ternata
2004/04/26

同じサトイモ科ハンゲ属の植物で、よく似た種に「オオハンゲ (Pinellia tripartita)」がありますが、こちらは主に西日本の林内に生育しています。葉柄にムカゴはなく全体に大きめで、葉は3つに深く裂けていますが、単葉です。また、葉と花茎の高さは同じくらいで、花序の付属体が黒っぽくならないところなどが違っています。

花期は5月〜8月。花茎は高さ20cm〜40cm。葉よりも高くなります。「ミズバショウ」や「マムシグサ」などと同じように、花序は「仏炎苞(ぶつえんほう)」という総苞葉(特殊化した葉)に包まれています。花は仏炎苞の中の「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれる軸の部分が多肉になる花序にたくさんつきます。ハンゲ属の肉穂花序は下部の方で仏炎苞とくっつきます。

カラスビシャク Pinellia ternata
2005/05/16

花には雄花と雌花があって、雄花は花序の上部で仏炎苞とくっついていない部分にあります。雌花の方は花序が仏炎苞とくっついた部分にあります。これらの花には花披、つまりガクや花弁に当たるものがなく、雌花は子房がむきだしになっています。

カラスビシャクは栄養繁殖もさかんです。地下部には球茎があって、たくさん子球ができて繁殖します。さらに葉柄の下部の方や小葉の付け根にはムカゴ(珠芽)ができ、それによっても増えていきます。畑地のやっかいな雑草となっている所以です。

【和名】カラスビシャク [烏柄杓]
【別名】ハンゲ [半夏]
【学名】Pinellia ternata
【科名】サトイモ科 ARACEAE
【撮影日】2005/05/16、2005/05/08、2004/04/26
【撮影地】東京都あきる野市、日野市

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キツネアザミ

キツネアザミ Hemistepta lyrata
2005/05/05

キツネアザミは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたや田畑の周辺、空き地など日当たりのよい場所に多く見られる越年草です。主に秋に芽生えて、根生葉をロゼット状に広げて越冬します。日本以外にも中国、朝鮮半島など広く分布していて、日本には古い時代に農耕とともに入ってきたものと考えられています。いわゆる、「史前帰化植物」の1つだといわれています。

草丈は、60cm〜1m近くにまでなりますが、かなり小さな個体でも開花しています。春先の生長はめまぐるしいものがあって、グングン生長し、いつの間にか花を咲かせています。地上部も直立していますが、地下の根も直根性、まっすぐに下に伸びているので、意外にスポッと抜けたりします。

キツネアザミ Hemistepta lyrataキツネアザミ Hemistepta lyrata


一見、アザミ属(Cirsium)の花に似ていますが、キツネアザミ属(Hemistepta)という別属に分類されています。よく見ると、かなり違いがあります。葉は質が薄く柔らかくて、アザミ属のようなトゲはありません。さわっても痛くないです。葉は羽状に深く裂け、葉の裏には白い綿毛が密生していて、真っ白に見えます。似ているけれど異なるもの、有用なものに似てはいるけど役に立たないものに、「キツネ」や「イヌ」とつくことが多いのですが、キツネアザミもアザミに似ているけど実はぜんぜん違うことからきているそうです。

花期は5月〜6月。茎の上部で枝分かれして、花(頭花)は上向きにつき、真上にツンツン突き上げるような状態になります。直径2cm〜2.5cmくらいで、紅紫色。下の球形の「総苞」という部分には「総苞片」が並んでいて、そこはなにやらゴツゴツした状態になっています。それは、総苞片にトサカのような突起があるためです。蕾の状態でも、何となくその突起の片鱗が。。。

紅紫色の部分は、たくさんの小さい花(小花)が集まっていて、すべて筒状花。花びらに見える舌状花はありません。頭花をよく見ると、先が2つに裂けてクルッと巻いているものが飛び出しているのが見えます。それは雌しべの花柱です。果実には白い冠毛があります。

【和名】キツネアザミ [狐薊]
【学名】Hemistepta lyrata
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/05/05、2004/04/10
【撮影地】東京都日野市

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エイザンスミレ

エイザンスミレ Viola eizanensis


エイザンスミレは、本州、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地の林内に見られる多年草です。多くのスミレがハート形やほこ形をしている中で、深く裂けた葉は特異な存在に見えます。日本に見られる切れ込みのある葉をもつものは、エイザンスミレのほかに、「ヒゴスミレ (Viola chaerophylloides f. sieboldiana)」、「ナンザンスミレ (Viola chaerophylloides)」などです。

草丈は5cm〜15cm。スミレの中では大型。やや暗めの林内から、林道脇の崩れた斜面など他の背の高い植物がないようなところなら、比較的幅広く環境に生育しているようにみえます。名前は、比叡山に多いということからきているそうですが、ふつうに見られるのは、関東周辺です。また、葉がほとんど切れ込まず単葉になったものやそれに近いような状態になった「ヒトツバエゾスミレ (Viola eizanensis var. simplicifolia)」と呼ばれるタイプもあります。

エイザンスミレ Viola eizanensis


葉は深く3つに裂けるのが基本です。裂片がさらに切れ込んで、ヒゴスミレのように見えるときもありますが、付け根のあたりをよく見ると3つに裂けているので、5つに裂けるヒゴスミレと見分けられます。花後の葉はさらに大きくなって、長さ15cmくらいにはなります。柄も長くなって、その姿は、ふつうにイメージするスミレとはかけ離れています。

花期は4月〜5月。直径2cm〜2.5cmほど、色は淡い紅紫色〜ほぼ白色。花弁はやや細く縁が波打った状態になることが多いです。一番上の写真のものも花弁がシャッキリしてませんでした。スギの落ち葉の間から出てきたような状態だったので、なおさらです。かなりたくさん開花しているようなのですが、花柄もグニョグニョに曲がって、何だかよくわからなくなっていました。こんなのでは説得力がないですが、一応、下2枚の花弁(側弁)の内側は有毛です。

エイザンスミレ Viola eizanensis


スミレ属の植物を庭に植えていると、「ツマグロヒョウモン」という蝶がやってくる。幼虫はだいたいどんなスミレ属でも食べてしまう。しかし、いろんなスミレの中でもそれなりによく食べるものとあまり食べないものがあるようだ。エイザンスミレもムシャムシャと食べられてしまうのだが、ヒゴスミレはあまり食べられなかった。ツマグロヒョウモンの幼虫は葉の縁につかまって、ガッガッガッと食べていく。ヒゴスミレは葉の切れ込みが細かく深くて、食べにくいのでしょうね。成分や毛の量なんかが違ったりするのかもしれませんが。ツマグロヒョウモンにどれほどの選好性があるものやら。植食性昆虫の世界も奥深そう。

【和名】エイザンスミレ [叡山菫]
【別名】エゾスミレ
【学名】Viola eizanensis
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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コマツヨイグサ

コマツヨイグサ Oenothera laciniata
2004/09/21 静岡県

コマツヨイグサは、北アメリカ原産の越年草です。日本に入ってきたのは1910年代のことだそうで、以来、どんどん分布を拡大して、現在では日本各地で見られるようになっています。全体にちょっと長めの毛がたくさん生えていて、少し白っぽく、なよなよとした感じです。茎は根もとでよく枝分かれして、地面近くをはうように伸びるか、斜め上に伸びます。上に伸びた場合は50cmくらいになることはあります。

道ばたや空き地などで、地面をはう姿がよく見られますが、他のやや背丈が高くなる草などが生えている中に生えているものは、ヒョロヒョロとまっすぐに伸びていることがあります。何とかそんな場所でも花をつけようと、弱々しくも葉は横にめいっぱい広げているものも見られます。今回、撮影した場所でも、ポツポツと蕾をつけているものが複数見られました。丈は30cmくらい。典型的なコマツヨイグサとは何だか様子が違って見えます。それなら、「メマツヨイグサ」ではないかとも思うのですが、その草むらから少しずつ離れるにしたがって、徐々に丈の低い、いかにも「コマツヨイグサ」という形態の株まで、連続していろんなタイプの株が見られるわけです。ヒョロヒョロの株は、本来の生育環境とは少々違うような場所でも何とか適応して生育している姿なわけで、植物というのは、さまざまな環境条件に対してある程度の可塑性をもっているものなんだなぁと改めて思うのでした。

コマツヨイグサ Oenothera laciniataコマツヨイグサ Oenothera laciniata
2005/04/29 東京都

とはいっても、コマツヨイグサは、やはり他の背の高い植物がたくさん生えているような場所には、あまり入り込むことができないので、よく見られる場所も、海岸や河原、空き地などです。特に海岸では、もともとそこに生えているハマヒルガオやハマエンドウなどの海浜植物は、草丈の低いものばかりです。その植生が荒れて隙間がたくさんできていると、ますます、コマツヨイグサは入り込みやすくなるでしょう。夕暮れの海岸で見られるコマツヨイグサの花は幻想的ではあるのだけど、コマツヨイグサの群落が拡大してしまうことは、困った事態と言わざるを得ないでしょう。

コマツヨイグサ Oenothera laciniata
2005/04/29 東京都

葉は互生。葉柄はありません。長さ3cm〜7cm。細長い葉の縁は不規則なギザギザや切れ込みがあるか、ウネウネと波打った状態です。特に下部の葉は羽状に裂けていることが多いです。

コマツヨイグサ Oenothera laciniataコマツヨイグサ Oenothera laciniata
2005/04/29 東京都

花期は5月から10月。葉の脇(葉腋)に1つずつ、淡い黄色の4弁花を咲かせます。直径3cm〜4cm。雄しべは8本あって、先の「葯」はT字状につき、雌しべの先の柱頭は4つに裂けて平たく開くので、花の中心部は意外ににぎやかに見えます。花は午後、夕方近くに開き、翌日の朝にはしぼんでしまいます。しぼむと赤みを帯びます。

【和名】コマツヨイグサ [小待宵草]
【学名】Oenothera laciniata
【科名】アカバナ科 ONAGRACEAE
【撮影日】2005/04/29、2004/09/21
【撮影地】東京都日野市、静岡県新居町

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