2005年05月13日

イタドリ

イタドリ Polygonum cuspidatum


イタドリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野にごくふつうに見られる多年草です。特に日当たりがよく、他の草が侵入していないような場所にはいち早く入り込み、道路脇のちょっとした隙間にもどんどん生えてきます。草丈は50cm〜1mを越え、開花するころには大きいものでは人の背丈ぐらいまでなります。ちょっとした斜面に生えていたりすると、はるか上から覆いかぶさってくるような迫力で、背の低い筆者なんぞは圧倒されてしまいます。地下の根茎は横に長く伸び、あちこちから芽を出して群生します。花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)から花序を出して小さな花がたくさんつきます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。

イタドリ Polygonum cuspidatumイタドリ Polygonum cuspidatum


イタドリの葉の付け根には丸くてくぼんだような「腺体(蜜腺)」があって、そこにはアリがやってきます。実際に、イタドリを眺めているとあちこちで、茎を行ったり来たりするアリの姿が見られます。アリは葉の付け根にたどり着くと蜜腺のところで少し立ち止まって、蜜をなめます。しかし、大型のアリは、一か所にじっと留まらず次々と葉の付け根を渡り歩いて、せわしなく茎を移動していきます。それに比べると小型のアリは1つの蜜腺でじっくり味わっているようです。

この蜜腺は花の中にある蜜腺に対して、「花外蜜腺」と呼ばれます。花外蜜腺は、イタドリに限った構造ではなく、サクラ類の葉柄やカラスノエンドウの托葉など、いろいろな植物で見られます。

イタドリ Polygonum cuspidatumイタドリ Polygonum cuspidatum


大型のアリは蜜腺を渡り歩く途中で、アブラムシの集団に立ち寄ったり、別のアリに出会って何かモゾモゾやったりと忙しい。「ヒメオドリコソウ」のエライオソームつきの種子を探すときもせわしない様子だったなぁ。そういえば、今までアリの名前は調べてなかったので、そろそろ調べようかとも思うのだが。さて、どうしましょう。。。

【和名】イタドリ [虎杖]
【学名】Fallopia japonica (Polygonum cuspidatum)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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ノビル

ノビル Allium macrostemon


ノビルは、日本全土に分布し、道ばたや土手、田畑の周辺などに生える多年草です。ふつう、秋の終わりに葉を出して越冬します。葉は細長く長さ30cmほど。「蒜」というのは、「ネギ」や「ニンニク」などの総称。ノビルの根もとの様子もネギのよう。葉や地下の球根(鱗茎)を食べることもできます。鱗茎は白っぽい膜のような皮に包まれていて直径は1cm〜2cm。

ノビル Allium macrostemonノビル Allium macrostemon


細長くヒョロヒョロとのびているのは花茎で、40cm〜60cmほどになります。先端の白っぽい塊は蕾のある部分で、白っぽくて薄い膜のような総苞の中に蕾が包まれています。その総苞の先は細長くくちばしのようにとがっています。花期は5月〜6月。花序にはよく「ムカゴ(珠芽)」ができます。花を咲かせず、ムカゴだけの場合もあって、しばしば花序についたままの状態でニョロニョロと芽を出します。

これまでよく用いられてきた分類体系の「新エングラー体系」や「クロンキスト体系」では、ノビルが含まれる「ネギ属 (Allium)」は、「ユリ科 (LILIACEAE)」とされています。しかし、近年発達した分枝系統学的な手法、主に葉緑体DNAの解析結果を用いた「APG植物分類体系」では、「ネギ科 (ALLIACEAE)」に分類されます。

被子植物の分類も系統を反映したものへと移り変わりつつあるようです。特に非常に多様で大きなグループだった「ユリ科」は大揺れで、単子葉類全体の分類が見直されるほどになっています。

ノビルの花では特にガクと花弁の区別がなく、花びらに見えているものは「花被片(かひへん)」と呼ばれます。一般的な「ユリ属」の場合だと、花びらに見えるものが6枚あって、質や形は似ていますが、3枚ずつ内外の区別をして「内花被片」、「外花被片」と呼んでいます。話をノビルにもどすと、ノビルの場合は、その花被片が6つです。これはネギ属の全般に見られる特徴で、「ニラ」や「アサツキ」でも同様です。

花被片は白っぽくうっすらと紅紫色を帯びていて、平たく開きます。花序の形は散形状。雄しべは6本あって、花被片よりも長くなります。

【和名】ノビル [野蒜]
【別名】チョウセンノビル
【学名】Allium macrostemon (Allium grayi)
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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スミレ

スミレ Viola mandshurica
2005/04/26

スミレは、まさに「スミレ」という名前のスミレです。北海道、本州、四国、九州に分布し、都市部の道路脇や田畑の周辺、海岸付近〜高原まで、日当たりのよいところに多く見られる多年草です。アスファルト脇で見られる植物の定番でもあります。とても身近なスミレですが、日本の固有種ではなく、日本以外にも中国や朝鮮半島、ウスリーなどに分布しています。

草丈は7cm〜15cm。葉はヘラ形で斜め上向きに開くので、「ヒメスミレ」よりは葉が立ち上がります。葉の葉柄をのぞいた「葉身」の部分の長さは、5cmちょっとくらいです。葉柄の部分にははっきりとした翼があるのが重要ポイント。その翼でヒメスミレとは見分けられます。葉の毛はあったりなかったりです。

表面は濃い目の緑色。裏面は多くの場合、白っぽく薄い緑色。縁のギザギザ(鋸歯)はありますが、やや不明瞭な感じ。ところどころ少しポコポコとへこんでいるくらいです。花が終わるころにはかなり大きな青々とした葉になります。葉柄も長さ10cmをこえることもあります。

スミレ Viola mandshurica
2005/04/26

花期は3月〜5月。花は濃い紫色。直径2cmくらい。非常に花付きは良好で、花時期になると市街地の道路脇なんかで、群生して路肩に紫色のラインができます。つい車道側から撮影したくなる季節。とっても危険です。

濃い紫の花の中央部に注目すると、白い毛がモシャモシャと生えているのがわかります。それは、5枚ある花弁のうちの下2枚の花弁、つまり、「側弁」の内側のつけ根にあるものです。洗車機のモップのように両側から生えています。一番下にある「唇弁」の後ろには「距」というシッポのようなものが突き出しています。スミレの距は濃い紫色のことが多いです。

花を横から見ると黄緑色のガク片が目立ちます。そのガク片の付け根の方、より花柄に近い部分が少し盛り上がったような形状になっています。これは「ガクの付属体」といわれる部分で、しばしばスミレ属の種を見分けるポイントになります。スミレの場合は、付属体にはほとんど切れ込みがなくツルッとしています。

スミレ Viola mandshuricaスミレ Viola mandshurica
2005/04/26

ガク片は5枚、雄しべは5本、雌しべは1本です。側弁の毛の多少、花弁の形、花弁や距の色の濃淡など変異がいろいろと見られます。広く分布して個体の数も多い種類にはよくあることですね。

スミレ Viola mandshurica
2005/05/12

5月も半ばになれば、こちら関東の丘陵地では、ひとしきり咲ききって青々とした葉に混じって、開放花によってできたと思われる果実が見られます。熟した果実は3つに裂けて中の茶色っぽい種子が見えます。種子にはアリが好む「エライオソーム」があるので、アリによって運ばれます。このころには、花を開かずに結実する「閉鎖花」もつけているはずです。

【和名】スミレ [菫]
【学名】Viola mandshurica
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/26、2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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