2005年06月30日

ノハラナデシコ

ノハラナデシコ Dianthus armeria


ノハラナデシコは、ナデシコ科ナデシコ属の植物で、ヨーロッパ原産の一年草です。最初に確認されたのは、1960年代、栃木県や長野県でのことだったそうです。現在では本州〜九州に帰化していて、田畑周辺や都市部の空き地などで見られます。筆者のいる近辺では、今のところ、まだ群生しているのは見ていないのですが、いかがでしょう。

草丈は30cm〜50cmくらい、細長〜い印象です。全体に短毛が多くて、特に茎の上部や葉の裏面、ガク片にはたくさん毛が生えています。花のない時期、この毛の多い点で、「カワラナデシコ」とは区別できると思いますが、「イヌコモチナデシコ」との区別はどうなのでしょうか。葉のシャープさが違うのかな。茎の下部の葉や根生葉はヘラ形。節間が長くて、茎葉はまばら。

葉は対生。茎の上部の葉は細長い線形で、葉柄はなく、茎を両側から抱え込むようについています。ごく細い葉ですが、中央に走る主脈と平行して、数脈走っているのが見えます。葉の付け根のあたりを見ると、白っぽい膜質のもので2枚の葉が連結しているようでした。

ノハラナデシコ Dianthus armeriaノハラナデシコ Dianthus armeria


花期は6月〜8月。花は茎の先の花序に束になってついています。花は紅紫色の5弁花。真上を向いて平開します。直径は1cmほど。花弁の先端は丸みを帯びているのですが、ギザギザと切れ込んでいます。そして、ガク筒から出ている部分でいうと、花弁の上半分には白い点々があり、ちょうど中間くらいの位置には少し濃い紅紫色の模様があります。その模様より下半分は色が薄くなっています。

花弁の下の部分にはガク筒があります。長さは1.5cm〜2cmくらい。縦に筋がたくさん入っています。細かい毛が密生していて、先端はごく小さく5つに裂けます。ガクの裂片の先は細くとがっています。ガク筒に接して3対の「苞葉」があって、その苞葉には細かい毛がたくさん生えています。それで、花序の部分だけを見ると、ぜんぜん違う植物ですが「バーベナ」を大きくしたような雰囲気も。ノハラナデシコの苞葉はガクとほぼ同じくらいの長さで、先が鋭くとがっています。

雄しべは10本、先にある「葯」は紫色っぽい、雌しべの花柱は白っぽくて、2本あります。果実は「さく果」で、熟すと先が4つに裂けます。花弁はしぼんだ状態で、そのまま果実の時期まで残っています。

【和名】ノハラナデシコ [野原撫子]
【英名】Deptford Pink
【学名】Dianthus armeria
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/06/30
【撮影地】東京都日野市

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キレンゲツツジ

キレンゲツツジ Rhododendron japunicum f. flavum


キレンゲツツジは、レンゲツツジの品種で花が鮮黄色〜黄橙色のタイプをいいます。レンゲツツジは、北海道西南部、本州、四国、九州に分布し、主に山地の高原に生育するツツジ科ツツジ属の落葉低木です。高さは1m〜2m程度、よく分枝してこんもりと形よく茂る感じ。

キレンゲツツジ Rhododendron japunicum f. flavumキレンゲツツジ Rhododendron japunicum f. flavum
2005/03/18 冬芽のようす

葉は互生。倒披針形、つまり、先の方はあまりとがらずやや丸みを帯び、基部の方が細くとがっていて、真ん中よりもちょっと上よりの部分の幅が最も広くなる形です。長さは10cm前後。先の方はあまりとがらず、やや丸みがあります。葉の縁には細かい毛がたくさん生えています。若い枝や葉柄にも毛が目立ちます。

キレンゲツツジ Rhododendron japunicum f. flavumキレンゲツツジ Rhododendron japunicum f. flavum


花期は4月〜6月。ヤマツツジやミツバツツジの仲間よりは、遅めの開花。梅雨時の高原で霧にかすんだ中、群生して咲いているイメージです。レンゲツツジが咲くとあたりが朱色に染まります。秋の紅葉も朱色で美しい。でも、葉は有毒だそうです。

花は直径5cm〜6cmの漏斗型。花冠の先は5つに裂けます。ガク片も5つ。花柄や花冠の外側には「腺毛」がたくさんあります。雄しべは5本。雌しべは1本、雄しべより長く突き出します。

【和名】キレンゲツツジ [黄蓮華躑躅]
【学名】Rhododendron japunicum f. flavum
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/03/18、2005/05/25
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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2005年06月29日

バイカウツギ

バイカウツギ Philadelphus satsumi


バイカウツギは、本州、四国、九州に分布し、山地に生える落葉低木です。高さは2m程度で、二又状になってよく枝分かれします。樹形は株立ち状。樹皮は灰褐色で、縦にボロボロとはがれます。若い枝は赤褐色で白っぽい毛がわずかにあります。

ウツギという名前がついて、同じころ同じように白い花を咲かせる「ウツギ」、「ヒメウツギ」、「マルバウツギ」と科は同じですが、属は違います。ウツギなどはウツギ属(Deutzia)ですが、バイカウツギはバイカウツギ属(Philadelphus)です。

葉は対生。少し幅が広めの卵形。先は細長くとがります。長さは5cm〜10cm。裏面はちょっと白っぽい。縁のギザギザ(鋸歯)は低いものですが、先が突起のようになっていて、葉の縁からツンツン突き出ています。鋸歯も独特ですが、葉脈の入り方も特徴的。葉の中央を走る主脈のほかに、それをはさんで左右に1本〜2本の長い脈があります。葉柄は5mmくらいの比較的短いもの。

バイカウツギ Philadelphus satsumi


花期は6月。枝先に数個つきます。直径3cmくらいの白色の4弁花。ウツギ属だと花弁は5枚です。バイカウツギは4弁花ですが、「梅」に似ているということから「梅花空木」という名前がついているそうです。花時期に葉もあるし、似ているという感じはあまりしないのですが、ウツギなどに比べると花が大きくてやや平開気味に咲くからでしょうかね。

【和名】バイカウツギ [梅花空木]
【別名】サツマウツギ
【学名】Philadelphus satsumi
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE (アジサイ科 HYDRANGEACEAE)
【撮影日】2005/05/29、2004/07/04
【撮影地】神奈川県藤野町、山梨県牧丘町

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ホソバノキリンソウ

ホソバノキリンソウ Phedimus aizoon var. aizoon


ホソバノキリンソウは、北海道、本州中部以北の山地の草原や林内などに生育する多年草です。日本以外にも朝鮮半島やシベリアなどに分布しています。草丈は30cm〜50cmくらい。

ベンケイソウ科Phedimus属に分類されていますが、以前はマンネングサ属(Sedum)に分類されていました。一般的な図鑑では、Sedum属になっているのではないでしょうか。「Sedum属」をこれまで、「キリンソウ属」と表記されていたことも多かったと思いますが、Sedum属は「マンネングサ属」といった方が無難なのかもしれません。

肥大した太い地下茎から出てくる茎は、1本〜数本でまっすぐに伸び、ふつうは基部ではほとんど分岐しません。「キリンソウ (Phedimus aizoon var. floribundus)」とよく似ています。開花中なら雄しべの長さを見れば区別できるのですが、葉だけではなかなか大変です。キリンソウの場合は、茎が数本株立ちになり、しばしば基部で分岐して斜上します。葉は倒卵形、先にはやや丸みがあります。鋸歯はあまり鋭くなくそろった感じで少なめ。

葉は互生し、多肉質。全体に水分が多く厚ぼったい感じがします。基本的には全体緑色ですが、茎や葉の付け根のあたりはやや赤茶色を帯びることがあります。さらに上部の葉の表面の色はやや薄め。葉は倒披針形〜幅の狭い長楕円形、長さは3cm〜8cm。先は少しとがり気味。先がややシャープな鋸歯はちょっとふぞろいで多め。

ただし、葉の先が丸いか鋭いか、鋸歯の入り方にはかなり変異が多くて、また生育時期によっても変わります。同じ個体でも下部の方の葉は先が丸くて、鋸歯が先端や基部まで入っていないことがあったり、逆に花の近くの葉でも先が丸くて鋸歯が鈍いこともあって、なかなか難しいところがあります。

ホソバノキリンソウ Phedimus aizoon var. aizoon


花期は6月〜8月。茎の先の集散花序にたくさんの花をつけます。キリンソウよりは花が密につきます。花は黄色の5弁花、直径は1cm内外。長さ5mm程度の先のとがった披針形の花弁が5つで、シャープな星型なります。雄しべは10本。花弁よりはかなり短くなっています。キリンソウの場合も雄しべは花弁より短いですが、ホソバノキリンソウよりは長めです。

ガク片は5つ。花の中央には雌しべも5つ。膨らんだ「子房」が目立ちます。この部分は後に果実になります。果実は「袋果」で5つ、斜めに開くようにつきます。花は「5」が基本の5数性なので、花も果実のできた様子も星型に見えます。

【和名】ホソバノキリンソウ [細葉の麒麟草、細葉の黄輪草]
【学名】Phedimus aizoon var. aizoon (Sedum aizoon var. aizoon)
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2004/07/04
【撮影地】山梨県牧丘町

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ヤエクチナシ

ヤエクチナシ Gardenia jasminoides


ヤエクチナシ(オオヤエクチナシ)は、アカネ科クチナシ属の植物で、「クチナシ」の園芸品種です。クチナシは、国内では本州の東海以西、四国、九州、沖縄などの暖かい地域に生育する常緑低木です。中国にも分布しています。高さは1m〜2mほど。庭や公園にもよく植えられています。

ヤエクチナシは、クチナシがアメリカで改良されたものだそうで、セイヨウヤエザキクチナシともいいます。さらには、「ガーデニア」という名前でも呼ばれています。大輪でバラのように幾重にも花びらを重ねて、新鮮なうちはとても見栄えがするので、人気がある様子。開く直前の蕾は白と緑が混じりあい、傘を開く前のような感じ。

クチナシといえば、香りや花のほかに、冬に黄色っぽい朱色に熟し、染料や薬用に使われる果実の形も特徴的。5つ〜7つの「稜」があります。しかし、このヤエクチナシは果実ができにくいので、観賞用に植えられます。ガク片だけなら花の時期でも観察できます。ガク片は5本〜7本あって、細長く先がとがっています。クチナシの場合は、このガク片が果実が熟すころまでずっと残って、果実の上にツンツンと突き出て、果実がとてもユニークなものに見えます。

ヤエクチナシ Gardenia jasminoidesヤエクチナシ Gardenia jasminoides


花期は6月〜8月。甘ったるくて強い香りをもち、香水の原料にも利用されます。ちなみに、学名の種小名「jasminoides」には「ジャスミンに似た」という意味があります。花の直径は10cmを越えているくらい。枝先の葉の脇(葉腋)につきます。

葉は対生。長い楕円形で表面に光沢があってテカテカしています。長さは5cm〜15cmくらい。縁のギザギザ(鋸歯)はありません。側脈がくぼんでいるので、表面はボコボコと波打つ独特なもの。

八重咲き種は、他にも全体に小型の「コクチナシ (Gardenia jasminoides var. radicans)」があります。子どものころに住んでいた家には、コクチナシがありました。毎年、「オオスカシバ」の幼虫に丸坊主にされた後、開花していました。それは何ともバランスの悪い状態で。

【和名】ヤエクチナシ [八重梔子]
【別名】オオヤエクチナシ、セイヨウヤエザキクチナシ、ガーデニア
【学名】Gardenia jasminoides 'Fortuneana' ('Flore-pleno')
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
【撮影日】2005/06/28
【撮影地】東京都日野市

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激しく枯れて、花びらは茶色。真夏の陽射しの中ですっかり乾燥してしまった姿。

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2005年06月28日

クマイチゴ

クマイチゴ Rubus crataegifolius


クマイチゴは、日本国内では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の開けた場所や林縁部などに生える落葉低木です。日本以外にも中国や朝鮮半島に分布しています。バラ科キイチゴ属の植物で、同じ属の仲間は日本に50種類ほど知られています。中でもクマイチゴは大柄に見えます。高さは1m〜2m程度、トゲがたくさんあります。トゲは平たくて、枝から垂直に出ているので、知らずに近寄ると大変です。

葉は長さ5cm〜15cm、幅も同じくらいで広め、3つ〜5つに中裂。つまり、葉の幅の中間ぐらい間での切れ込みで、深くもなく浅くもなくという感じで裂けます。ただし、ほとんど裂けなかったり、浅く裂けたりいろいろです。縁のギザギザ(鋸歯)はやや不規則な「重鋸歯」。ギザギザにさらに細かいギザギザが入ります。裏面の脈や葉柄にもトゲがあります。葉の先や裂片の先は細くとがることもあれば、丸みを帯びていることもあります。葉柄は5cm内外。

クマイチゴ Rubus crataegifolius


花期は5月〜7月。花がつくのは越冬した冬芽から伸びてきた新しい「本年枝」。その短い枝に数個つきます。花は白色の5弁花。花弁は細長く、ヒラヒラとしてちょっと控えめ。5つのガク片の方がシャープでしっかりして見えます。一番上の写真ではすでに花弁は脱落してしまっています。後ろ側に反り返っているのがガク片です。本年枝や葉柄などは紫褐色。果実は直径1cmくらい。7月〜8月には赤く熟し、食用になります。

【和名】クマイチゴ [熊苺]
【別名】エゾノクマイチゴ
【学名】Rubus crataegifolius
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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ヤグルマギク

ヤグルマギク Centaurea cyanus


ヤグルマギクは、ヨーロッパ原産のキク科セントウレア属の越年草で、日本に入ってきたのは明治時代のことだそうです。しばしば、「ヤグルマソウ」の名前で呼ばれますが、ユキノシタ科に「ヤグルマソウ (Rodgersia podophylla)」という名前のまったく別の植物があるので、「ヤグルマギク」と呼ぶ方が好ましいでしょう。名前の由来は、両者ともに鯉のぼりの竿の先でクルクルまわっている「矢車」の形に似ているところからきていますが、キク科のヤグルマギクの方は、花が似ていて、ユキノシタ科のヤグルマソウは葉の形が似ています。

ヤグルマギクは観賞用に栽培されるほか、時折、道ばたなどに野生化しているのが見られます。草丈は30cm〜1m前後、よく分枝します。全体に綿毛が密生しているので、白っぽく見えます。葉には柄がなく、互生。伸びた茎につく茎葉は細長い線形で、根元の方の葉は羽状に深く切れ込んでいます。といっても、花期の終わりには、もう下部の葉は枯れてしまっていますけど。縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。

ヤグルマギク Centaurea cyanus
そう果
ヤグルマギク Centaurea cyanus
蕾の状態


主な花期は4月〜6月。花はたくさん枝分かれした茎の先端に1つずつつきます。直径は5cm〜8cm、真上を向いて開きます。原産地の野生種だと花色は濃い青紫色なのだとか。学名の種小名「cyanus」には、「藍色の」という意味があります。園芸種の花色は豊富で、紫、赤、白、桃色などがあります。

キク科の植物なので、複数の小さい花(小花)が集まって1つの花に見えています。ヒラヒラと花びらがあるように見えますが、これは「舌状花」ではなく、「筒状花」です。ふつうは一番外側の一列に長くて大きい「筒状花」が並んで、中央部には短く小さな「筒状花」があります。ノアザミなどと同じようにヤグルマギクの場合も、刺激によって雄しべが動くことによって、花粉がわき上がってくる仕組みがあります。それによって、花の中央部を見ると、細長い棒状のものの先から白い花粉がブクブク出ているのが見られます。

もう1つ特徴的なのは、花冠の下の筒の部分の「総苞片」です。花が開いているときはわかりにくいですが、蕾を見ると、総苞片の縁にギザギザの鋸歯があるのがわかります。そう果には白い冠毛がありますが、短いもので、絵筆の先のよう。

【和名】ヤグルマギク [矢車菊]
【別名】ヤグルマソウ [矢車草]
【英名】Cornflower (コーンフラワー)
【学名】Centaurea cyanus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/28
【撮影地】東京都日野市

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キキョウソウ

キキョウソウ Triodanis perfoliata


キキョウソウは、北アメリカ原産の一年草です。草丈は30cm〜60cmくらい。もともとは観賞用に栽培されていたものが野生化し、それが日本で最初に確認されたのは、1940年代の東京でのことだそうです。現在では本州のかなり広い地域、特に西日本に多いとか。筆者の近辺、多摩の丘陵地でもしばしば道ばたなどで見られます。キキョウ科キキョウソウ属の植物で、「キキョウ」とは科は同じですが別属。

茎はまっすぐに伸び、根もとの方で少し分岐します。茎には角ばった「稜(りょう)」があって、その稜にそって毛が生えています。葉は互生。葉柄がなく茎を巻き込むような形でついています。ハート型の葉の縁にはギザギザ(鋸歯)があります。長さは1cm程度。ふつう、葉の表面には毛がないですが、縁や裏面にはたくさんの細かい毛が生えています。

キキョウソウ Triodanis perfoliataキキョウソウ Triodanis perfoliata


花期は5月〜7月。葉の脇(葉腋)に数個の花を咲かせます。花柄はほとんどありません。花冠は5つに深く裂け、整った星型。花色は紫系で、白色〜紅紫色、濃い紫色など鮮やかな色です。直径は1.5cmほど、雄しべは5本、開放花のガク片は5つ。花の中央にある雌しべは1本、花柱の先は3つに裂けます。

キキョウソウは、さらに、ふつうに開花する開放花のほかに、開花せずに同花受粉によって結実する「閉鎖花」もつけます。閉鎖花のガク片は3つ、開放花のガク片よりは短く小さめ。果実の時期までガク片は残っているので、果実(さく果)を見たときにガク片の大きさと枚数が違いによって、開放花による果実なのか、閉鎖花による果実なのか見当をつけることができます。茎の下部の方の花は「閉鎖花」、通常の開放花がつくのはやや茎の上部の方から。

果実は熟すと横に穴が開いているのが見られます。その穴には上にクルリと巻き上げるようなふたがついていて、ふたが巻き上がるとその穴から種子がポロポロこぼれてきます。種子は直径1mmに満たないような小さなものですが、しばしば、葉の付け根のあたりにたまっているのが見られます。

【和名】キキョウソウ [桔梗草]
【別名】ダンダンギキョウ
【学名】Triodanis perfoliata
【科名】キキョウ科 CAMPANULACEAE
【撮影日】2005/06/28
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月27日

マツカゼソウ

マツカゼソウ Boenninghausenia albiflora var. japonica


マツカゼソウは、本州、四国、九州に分布し、山地の林内、林縁などに生育する多年草です。しばしば林内で群生します。ミカン科マツカゼソウ属の草本で、葉には「油点」を持ち、独特のにおいがします。草丈は50cm〜80cm。名前は、一説によると、その姿がやさしくさわやかで、趣のあるところから「松風草」とつけられているとか。他にも諸説あるようですが。

葉は3回3出羽状複葉。1つ1つの小さな葉(小葉)は、卵を逆さにしたような形(倒卵形)、長さは1cmほど。ただし、小葉の大きさはいろいろだったりします。だいたいは、付け根の小葉からてっぺんの小葉(頂小葉)へと順に大きくなっていく感じで、頂小葉が一番大きい。小葉は葉の先端に向かって広がるようにつき、質は薄く柔らかいので、ふわ〜っと羽を広げたような印象になります。鋸歯はありませんが、先端が少しだけくぼんでいます。

まったく別の植物ですが、雰囲気はキンポウゲ科の「カラマツソウ」の仲間に似ているかもしれません。でも、葉の質や小葉のつき方、色合いなどマツカゼソウ特有の雰囲気を持っているので、一度、その葉を覚えると、葉だけでもそれとわかりやすいと思います。小葉の付け根は黄緑色っぽく、先の方は青っぽい緑色。葉の裏は白っぽく、油点がポツポツとあります。

葉や茎はふつう無毛。若い枝や若葉に毛があるタイプは、「ケマツカゼソウ (Boenninghausenia albiflora var. albiflora)」といって、中国〜ヒマラヤに分布するとされています。

花期は8月〜10月。枝先の「集散花序」に小さな花を多数パラパラとつけます。花は白色の4弁花。花弁は長い楕円形で、長さ4mmくらい。雄しべは7本〜8本あって、先端の「葯」は黄色、花弁より長く突き出しています。雌しべの形がとても変わっていて、子房には柄があります。子房は緑色で、さらにその先端には細長くて白い花柱がのびています。花が終わりに近づくとより目立つようになります。

果実は長さ3mm程度の4つに分かれた果実、「4分果」です。形は卵形、表面にはツブツブがあります。種子は1つの分果に数個できます。

【和名】マツカゼソウ [松風草]
【学名】Boenninghausenia albiflora var. japonica
【科名】ミカン科 RUTACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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オオバアサガラ

オオバアサガラ Pterostyrax hispida


オオバアサガラは、本州、四国、九州に分布し、山地の沢沿いに生育する落葉低木です。エゴノキ科アサガラ属の植物で、高さは10m前後までなります。枝は薄い茶色で柔らかく、材質ももろくて簡単に折れてしまいます。そのため耐久性の必要なものには用いられないとか。しかし、皮をはぐと美しいところから、飾りものなどに利用されています。名前は、皮をむいて乾かしたアサの茎、「麻殻」にたとえてつけられたそうです。

葉は互生。幅の広い楕円形〜よく均整の取れた形です。長さは10cm内外。先端は細長くのびます。縁には低くて細かいギザギザ(鋸歯)があります。花の咲くころの葉は、表面は若々しい緑色で、光沢があり、遠めにも艶やかに光っています。裏面は白っぽく、脈上には長めの毛がたくさん生えています。網目のように細かく入った葉脈は葉の裏面に隆起してよく目だっています。

オオバアサガラ Pterostyrax hispida


花期は6月。枝先から出て垂れ下がる花序にたくさんの白い花をつけます。長さ7mm程度の花冠は5つに深く裂けます。その裂片は細長く線形で雄しべや雌しべより少し短めです。雄しべは10本。雌しべは1本、雄しべよりも雌しべの方がほんの少しだけ長くなっています。ガクはやや細長い釣鐘型で、先の方は5つに浅めに裂けます。

たわわにぶら下がった白い花房の揺れる様子は、とてもさわやかな印象です。ただし、山中に生え、ちょうど花期が梅雨時に重なるため、同じ科の「エゴノキ (Styrax Japonicus)」や「ハクウンボク (Styrax obassia)」の花ほどは、馴染みがないかもしれないですが、梅雨の晴れ間にはぜひ見ておきたい花の1つ。白い小さなが刷毛がブドウの房のようにぶら下がっているのは見ものです。

果実には10個の隆起した部分があって、長さは7mmくらい、熟すのは秋。西日本に分布するよく似た「アサガラ (Pterostyrax corymbosa)」とは、葉が大きい点ともう1つ果実には長い毛が密生するところなどで区別されます。

【和名】オオバアサガラ [大葉麻殻]
【学名】Pterostyrax hispida
【科名】エゴノキ科 STYRACACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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ノボロギク

ノボロギク Senecio vulgaris


ノボロギクは、ヨーロッパ原産の一年草です。日本に入って生きたのは明治初期だとか。今では、道ばたや土手、田畑などにふつうに生育しています。草丈は30cm〜40cmほど。よく枝分かれします。一年草といわれていますが、年何回も発生するようで、暖かい地域なら一年中花が見られます。

葉は互生。縁はギザギザと羽状に裂けます。表面は濃いめの緑色。やや肉厚な感じで、光沢があります。特に葉脈上に毛が多くはえています。

ノボロギク Senecio vulgarisノボロギク Senecio vulgaris


「ボロギク」というのは、山地の木陰に生える「サワギク (Nemosenecio nikoensis)」の別名で、ノボロギクは「野に生えるボロギク」という意味だといわれています。ただし、サワギクの花には「舌状花」がありますが、ノボロギクの小花はほとんどの場合、すべてが「筒状花」です。つまり、花びらがありません。咲いていても蕾のような状態です。

花色は黄色という点は同じでも花は特に似ていません。似ているのは、果実の記事の白い「冠毛」がボワボワとほおける点です。この「冠毛がほおける」という点が共通で、別の属ながら同じように「ボロギク」という名前がついているものに、「ベニバナボロギク (Crassocephalum crepidioides)」、「ダンドボロギク (Erechtites hieraciifolius)」などがあります。ベニバナボロギクはアフリカ原産、ダンドボロギクは北アメリカ原産。両方とも、小花は筒状花ばかり。

また、名前の由来については、特に「サワギク」に似ているからというわけではなく、ノボロギクそのものの冠毛のほおけるようすからきているともいわれています。

ノボロギクの小花を包んでいる筒状の部分、「総苞」は、長さ1cm程度。そのつけ根のところにはさらに「小苞」がいくらかあります。その小苞は細く先のとがった線形で、先端は黒っぽくなっています。小苞の長さは長短まちまち。

【和名】ノボロギク [野襤褸菊]
【学名】Senecio vulgaris
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/24
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月24日

ツユクサ

ツユクサ Commelina communis


ツユクサは、日本全土に分布し、道ばたや草地などにふつうに見られる一年草です。茎の下部は地をはって分枝し、節から根を下ろしてふえるのでよく株立ち状になります。道ばたの草むらに生えている姿もよいのですが、筆者はコンクリートの壁の隙間に生えている姿をよく撮影します。

草丈は30cm〜50cmくらいにはなります。葉は互生。長さは5cm〜8cmほどの披針形。少し二つ折りになりそうな感じで開いています。

ツユクサ Commelina communisツユクサ Commelina communis


花期は6月〜9月。花序は二つ折りになった舟のような形の「苞」に包まれています。花序は葉と同じ節から出ていて葉と対生です。1つの花序には数個の花が咲きますが、開くのは1つずつで、苞の外側に出て開きます。

花弁は3枚ありますが、そのうち2枚が大きくとても鮮やかな青色で目立ちます。それに比べて残りの1枚は非常に小さく白っぽいで、パッと見たところ、ガク片と変わらない感じ。3つのガク片は薄い膜のようなもの。花弁やガク片と区別せず、まとめて「花被片6枚」となっていることもあります。

花は早朝に開いてほとんどは昼過ぎくらいにはしぼんでしまい、一度開いた花はもう開かない一日花。しぼむときは、花弁や前方に突き出していた雄しべや雌しべは、再びガクの中に巻き込むようにおさまっていきます。

ツユクサの花には雌しべのない「雄花」と、雌しべと雄しべの両方をもつ「両性花」があります。一日しか開かないその花の中央部は、とてもにぎやかなもの。中でも雄しべには3型あって、それらは「葯」の形と「花糸」の形に違いがあります。

(1)両性花にある雌しべと同じくらいの長さで、葯は楕円形の雄しべが2本。
(2)短かくて葯はリボン結びのような形の雄しべが3本。
(3)中間の長さで葯はタコのウィンナーのような形の雄しべが1本。

合計6本の雄しべがあります。色もちょっと違いがあって、短い3本が最も鮮やかな黄色、ついで中間の1本、長い2本は地味な色。両性花の場合、花粉は開く前としぼみながら雄しべと雌しべが巻いていくときの2回、同花受粉のチャンスがあります。花を開いているときに昆虫の訪問がなくても受粉、結実が可能な仕組みになっているということですね。

ツユクサ Commelina communisツユクサ Commelina communis


名前は、朝露にぬれながら咲き出すことからきているのだそうです。青い花からとった色水は、布地に下絵を描くのに使われてきたそうです。確かに、朝早くに開く青い花は魅力的。しかし、ツユクサの花って前から見ても後ろから見ても、ネズミのような形ですなぁ。
後方からみたツユクサの花(jpg画像のみ)

【和名】ツユクサ [露草]
【別名】ツキクサ[着草]、ボウシバナ [帽子花]
【学名】Commelina communis
【科名】ツユクサ科 COMMELINACEAE
【撮影日】2005/06/24、2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月23日

ホオズキ

ホオズキ Physalis alkekengi var. franchetii


ホオズキは、ふつうはアジア原産で、かなり古い時代に日本に入ってきたとされる多年草です。よく観賞用に栽培されるほか、しばしば、田畑や人家の周辺で野生化しています。また、根を乾燥させたものは咳止めなどの薬用になるとか。東京の浅草寺のホオズキ市は有名です。

草丈は50cm〜90cm。長い地下茎によっても繁殖します。葉は「互生」。でもよく同じ節から2枚ずつついているのが見られます。それでまるで「対生」しているかのように見えてしまいます。2枚ついている部分をよく見ると、茎の同じ側から2枚です。ふつうの対生の場合は、茎をはさんで向かい合った位置に2枚つきます。それに対して、ホオズキの場合は、2枚1組になった葉が互生している感じです。葉の形はやや幅の広い卵形で、長さは5cm〜10cm程度。縁のギザギザ(鋸歯)は、大きく粗いもの。

ホオズキ Physalis alkekengi var. franchetiiホオズキ Physalis alkekengi var. franchetii


花期は6月〜7月。よく目立つ果実の様子に比べるとひっそりと地味な花を咲かせます。葉の脇(葉腋)から出た花柄の先に1つずつ下向きに開きます。色は淡い黄白色、中央付近は黄緑色。花冠は杯形で先は5つに裂けます。正面から見ると直径平たい5角形で白い毛が密生しています。同じナス科でおなじみの園芸種、「ペチュニア」や「カリブラコア」の花に似てるところもあるかな?まあ、それはともかく、見るからに「ナス科」って感じの花です。

ガクは花が咲いているころには、まだ小さくて、長さ5mmほどの筒形です。先は浅く5つに裂けています。雄しべは5本。

果実は、花の後に大きく袋になった「ガク」に包まれています。このように、果実が熟すまで脱落せずに残っているガクのことを「宿存ガク」といいます。熟すと中の果実(液果)もガクも朱色になります。大きくなった袋状のガクの長さは5cmくらい。色づいたときもよいですが、秋にガクが網目状の脈だけになって、中の「プチトマト」のような果実が透けて見える状態もおもしろいもの。

ホオズキの液果は「内果皮」と「中果皮」と呼ばれる部分が、水分の多い多肉質です。そして、1本の雌しべがたくさんの「心皮」からできていて、種子は多数できます。こういう液果を「しょう果」または「複しょう果」といいます。ちなみに、属名の「Physalis」は、「physa (水泡または気泡)」に由来するのだそうです。

【和名】ホオズキ [酸漿、鬼灯]
【学名】Physalis alkekengi var. franchetii
【科名】ナス科 SOLANACEAE
【撮影日】2005/06/18
【撮影地】東京都日野市

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クチナシグサ

クチナシグサ Monochasma sheareri
2004/06/15

クチナシグサは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山野の林内や草地などに生える二年草です。茎の長さは15cm〜30cmくらいになりますが、特に下部の方は地面をはってのびるので、高さはもうちょっと低くなっていることもあります。

下部につく葉は小さくて鱗片状。茎の下部には少し白っぽい毛があります。上部の葉は対生。葉は細長い線形で先はちょっととがっています。長さは2cm〜3cm程度。若い時期の葉は赤っぽい。いたるところ「線形」によって形作られたような植物。ヒョロヒョロと華奢なこの「クチナシグサ」は「半寄生性」。

クチナシグサ Monochasma sheareri
2004/04/30 花とガク
クチナシグサ Monochasma sheareri
2004/04/03 若い葉


花期は4月〜5月。花は葉の脇(葉腋)につきます。花冠は淡い紅紫色、外側が濃いめの色。長さ1cmくらいの「唇形花」。先は上唇と下唇に分かれていて、さらに上唇は2つ、下唇は3つに裂けます。下唇の真ん中の裂片(中央裂片)には、黄色の隆起した点々があって、小さな花のちょっとしたアクセント。雄しべは4本ありますが、長短2本ずつ。先端が上唇にくっついたような状態。

ガクは先端から半分以上長さの部分が4つに裂けて、その裂けたガク片の1つ1つは線形で、大きく開き反り返り気味になります。つまり、裂けていない筒状の部分より裂けたガク片の部分の方が長くなっているわけです。ガクは花後に大きくなって、果実を包みます。また、筒の部分には隆起した脈状のものが目立ちます。さらに筒部のすぐ下には2枚の「苞」があって、この苞は葉を短くしたような形状です。

果実は「さく果」で、長さ8mm程度の卵形。熟すと2つに裂けます。一番上の写真では、すでにガクが2つに裂け、果実の部分も開きかけています。種子は長さ1mmほどの小さな卵形。

名前は、大きなガクがよく目立ち、その果実の形が「梔子」の果実に似ているところからきているそうです。

【和名】クチナシグサ [梔子草]
【別名】カガリビソウ
【学名】Monochasma sheareri
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/06/15、2004/04/30、2004/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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2005年06月22日

シュロソウ

シュロソウ Veratrum maackii var. reymondianum


シュロソウは、北海道、本州に分布し、丘陵地〜山地の林内や草原に生育する多年草です。草丈は50cm〜1m。ユリ科シュロソウ属の植物ですが、この仲間、学名や和名がいろいろとややこしい。シュロソウ、ホソバシュロソウ、アオヤギソウ、タカネアオヤギソウ、ムラサキタカネアオヤギソウなどが同じ種の中の変種や品種とされていて、花の色や草丈、葉の幅などによって区別されています。でも、それらの区別はなかなか大変です。

さらに困ったことに、「シュロソウ」という和名が「オオシュロソウ」の別名かその反対になっていたり、オオシュロソウとは別変種となっていたりします。前者の場合の学名は「Veratrum maackii var. japonicum」、後者の場合は「Veratrum maackii var. reymondianum」。筆者は今のところこれらをしっかり把握できていないので、今回は、オオシュロソウとシュロソウを区別しないことにします。

北海道と本州中部以北に生育し、花(花被片)が黄緑色の「アオヤギソウ (Veratrum maackii var. maackioides f. virescens)」に似ていますが、シュロソウの花被片の色は濃い紫褐色。

同じように花被片の色が濃い紫褐色の「ホソバシュロソウ (Veratrum maackii var. maackii)」とは、花柄の長さと葉の幅によって区別されます。シュロソウの花柄は4mm〜7mm、ホソバシュロソウの花柄は10mm〜17mm。葉の幅が3cm以下。

葉は長楕円形〜線状の披針形。長さは20cm〜30cm。葉の付け根の方は鞘状になって茎を抱いています。名前は、その葉鞘がシュロ毛状の繊維となって、葉が枯れた後も残っていることからきているといいます。葉はほとんどが茎の下部に集まってつきます。

シュロソウ Veratrum maackii var. reymondianum


花期は7月〜8月。花は茎の先の細長い円錐花序にたくさん咲きます。花には「両性花」と「雄花」があって、同じ花序に両方のタイプの花がつきます。これは、シュロソウ属の特徴の1つとなっています。雄花は子房と柱頭を欠いています。それに対して、両性花の方は雌しべの方が雄しべより長くなっています。

花は直径1cmくらいで、濃い紫褐色。花披片は6枚。花序には縮れた毛が密生しています。果実はさく果で、長さ1cm〜1.5cm。楕円形で3本の縦に溝が走っています。

ちなみに、夏の亜高山で存在感を発揮する「コバイケイソウ」もシュロソウ属です。

【和名】シュロソウ [棕櫚草]
【別名】オオシュロソウ
【学名】Veratrum maackiivar. japonicum
【科名】ユリ科 LILIACEAE (シュロソウ科)
【撮影日】2004/07/03
【撮影地】東京都八王子市

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2005年06月21日

クサマオ

クサマオ Boehmeria nivea var. nipononivea


クサマオは、日本国内では、本州、四国、九州、沖縄に分布し、山野の道ばたや林縁などに生える多年草です。草丈は1m前後。茎はまっすぐに伸び、ふつう枝分かれせず、根もとから株立ち状になります。茎や葉柄には短くてやや寝た毛が密生しています。名前は蒸した茎から繊維をとったことから「カラムシ (幹蒸)」ともいいます。また、葉の裏面に綿毛がないタイプは「アオカラムシ」といいます。

葉は互生。長さ15cmくらいで、幅の広い卵円形、先は細く尾状にとがります。縁のギザギザ(鋸歯)は大きく粗めですが、「ヤブマオ (Boehmeria japonica var. longispica)」よりは鋸歯の大きさがそろっています。裏面には綿毛が密生し、白くなります。「メヤブマオ (Boehmeria platanifolia)」より質は厚め。葉柄は3cm〜9cm、付け根にある「托葉」は線形で長さは5mm程度。

写真のものは、葉の形や大きさなどは「ヤブマオ」に見えるのですが、今回は、互生であることと裏面の白っぽさなどによって、「クサマオ」としています。ですが雑種なのかもしれません。

クサマオ Boehmeria nivea var. nipononivea


花期は8月〜9月。葉の脇から円錐花序が出ます。花序には雌花がつく「雌花序」と、雄花がつく「雄花序」があって、同じ株に両方の花序がつく雌雄同株。茎の上部では雌花序、下部では雄花序が出ます。ヤブマオの場合だと、花序が穂状になることが多いですが、クサマオだと円錐花序になります。ただし、生育状況によっては穂状っぽいことも。

雄花にある雄しべの「花糸」の部分は、蕾の状態では曲がった状態で、開花すると花糸がバネのようになって、その勢いで花粉が飛ばされるのだそうです。花粉の受け渡しを昆虫の訪問によらない「風媒花」。風が弱くても花粉を飛ばせる仕組みを備えているのですね。

雌花序では、雌花がいくつか密集して球状に集まったものが花序にプツプツとつきます。雌花の花被の部分は先が細くのびたつぼ型で、短い毛が密生しています。

【和名】クサマオ [草苧麻]
【別名】カラムシ [幹蒸、茎蒸]
【学名】Boehmeria nivea var. nipononivea
【科名】イラクサ科 URTICACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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ヤブジラミ

ヤブジラミ Torilis japonica


ヤブジラミは、日本全土に分布し、道ばたや林縁などに生える越年草です。草丈は30cm〜70cm。オヤブジラミに比べると、茎が赤みを帯びることが少なめ。まったく帯びることがないわけではないので、赤いか赤くないかだけでは両者を区別する絶対的な決め手とはならないでしょう。名前は、藪に生えて、果実が衣服などにくっつくのを「シラミ」にたとえたものなのだとか。

葉は2回〜3回の羽状複葉。長さは5cm〜10cm程度。小葉はさらに細かく切れ込んでいます。一見、毛はなさそうに見えることもありますが、葉の両面や茎には短い毛がたくさん生えています。

ヤブジラミ Torilis japonica


花期は5月〜7月。よく似た「オヤブジラミ」よりも少し遅めに開花し始めます。6月も半ばを過ぎれば、ここ関東の丘陵地では、赤く染まるオヤブジラミの果実はもうほとんど見当たらず、変わってやや葉の緑色の強いヤブジラミの方が目に付くようになります。

花は枝先の「複散形花序」につきます。複散形花序は、小さな散形花序が2〜3段合わさって、全体として大きな散形花序になっています。セリ科植物には多い花序です。一番上の写真では、複散形花序全体が写っています。すでに若い果実ができている状態。花はありませんが、いくつかの果実が集まって小散形花序となっていて、その小散形花序が集まって複散形花序ができているのがわかると思います。

ヤブジラミ Torilis japonicaヤブジラミ Torilis japonica


花は白色の5弁花。小散形花序には4個〜12個の小さな花が咲きます。小花柄はごく短くて、果実ができるころだと2mm〜3mmくらい。1つ1つの花の大きさは、オヤブジラミの方がひと回り大きいです。

セリ科では、しばしば果実の様子が種類を見分ける決め手になります。ヤブジラミの場合、小散形花序に注目すると、1つ1つの花、または果実にある柄(小花柄)が短くて、ギュッとつまった密集した感じで果実(花)がついています。オヤブジラミの場合は、小花柄が長めでやや不ぞろいです。果実は長さ2.5mm〜4mm。上向きに曲がったとげがたくさんあって、動物の体などについて運ばれる「ひっつき虫」です。

【和名】ヤブジラミ [藪虱]
【学名】Torilis japonica
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE
【撮影日】2005/06/20
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月20日

シラー・カンパニュラータ

シラー・カンパニュラータ Hyacinthoides hispanica


シラー・カンパニュラータは、南ヨーロッパ原産のユリ科の多年草です。草丈は花茎が伸びた状態で10cm〜50cmほど。地下には「鱗茎」のある、いわゆる球根植物。

この植物は、いろいろと名前が移り変わった種で、現在の正式名は「ヒアシンソイデス・ヒスパニカ (Hyacinthoides hispanica)」とされています。しかし、日本では、「シラー・カンパニュラータ (Scilla campanulata)」の名前で流通し、栽培されていることが多いと思います。他にも「エンディミオン・ヒスパニクス (Endymion hispanicus)」、「シラー・ヒスパニカ (Scilla hispanica)」という異名もあります。もともとは、シラー属(スキラ属)に分類されていたものですが、花被片の基部がくっついて釣鐘状になることなどから、シラー属から分けられています。

シラー・カンパニュラータ Hyacinthoides hispanica
2005/06/20
裂開した果実、種子
シラー・カンパニュラータ Hyacinthoides hispanica
2005/05/19
若い果実


花期は4月〜5月。20cm〜50cmの花茎をまっすぐに伸ばして、釣鐘状の花を10個〜30個、総状に咲かせます。花冠の長さは2cmくらい。花色は、紫、青紫、ピンク、白などです。花冠の先端は6つに裂け、少し反り返ります。というより、6つの花被片の基部が合着しているといった方がいいのかな。下からのぞけば、6つの花被片が開いて、「シラー・ぺルビアナ」同様、星型に見えます。とはいっても、日本で栽培されるシラーの代表的なものを2つに分類するという場面では、「シラー・カンパニュラータ」は、「星型」ではなく「釣鐘型」の方に入れられています。まさに釣鐘形だから当たり前ですけれど。

裂開した果実の中から見えるのは、黒くて光沢のある種子。長さは2mmくらい。球根の自然分球でさかんに増えるほか、種子でも繁殖可能なのだそうです。でも、発芽までは少々時間がかかるのだとか。

【一般名】シラー・カンパニュラータ
【和名】ツリガネズイセン[釣鐘水仙]
【別名】シラー・ヒスパニカ、エンディミオン・ヒスパニクス
【英名】Spanish bluebell
【学名】Hyacinthoides hispanica (Scilla campanulataScilla hispanicaEndymion hispanicus)
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/06/20、2005/05/19
【撮影地】東京都日野市

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カラスノゴマ

カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa


カラスノゴマは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや畑などに生育する一年草です。茎はまっすぐ伸びて、草丈は30cm〜80cmくらいになります。シナノキ科カラスノゴマ属に分類されています。シナノキ科といえば木本が多いのですが、カラスノゴマは草本です。茎や葉など、全体に細かい「星状毛」が生えています。

葉は互生。卵形で、長さは5cm内外。両面に毛がありますが、特に裏面には密生して白っぽく見えます。

カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa
2005/06/20 芽生え
カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa
2004/10/07 若い果実


花期は8月〜9月。葉の脇(葉腋)に1つずつつ、下向き加減に開きます。花弁は5枚で、比較的鮮やかな黄色。花の直径は1.5cmほどです。「放射相称」で、プロペラのようなつき方です。ガク片は細長い線形で後に反り返ります。このガクにも星状毛がはえています。雄しべの数には、ややばらつきがあって、10本〜15本。さらに、通常の雄しべよりも長く突き出た「仮雄しべ」も5本くらい。

果実は「さく果」で、長さは3cmくらいの細長い棒状。果実はほぼ上向き。果実にも星状毛があります。その毛の様子や、やや湾曲したところなどは、イモムシみたい。熟すと3つに裂けます。名前は、種子の色や形が「ゴマ」に似ているところからきているそうです。ただし、カラスノゴマは、食用にはならないとか。

【和名】カラスノゴマ [烏の胡麻]
【学名】Corchoropsis tomentosa
【科名】シナノキ科 TILIACEAE
【撮影日】2005/06/20、2004/10/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月18日

メヤブマオ

メヤブマオ Boehmeria platanifolia


メヤブマオは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の林内や林縁、道ばたなどに生育する多年草です。草丈は1m程度。茎が根もとの方から株立ちとなって「そう生」します。

葉は対生。質は薄っぺらい。「ヤブマオ」や「アカソ」との区別が明確ではないこともありますが、細かい葉脈のシワシワ感はメヤブマオの場合、ヤブマオやアカソよりは抑えられた感じがします。傾向としては、ヤブマオの方は、葉が分厚くてかなりザラザラ、メヤブマオはペラペラしています。でも、変異が多いので必ずしもそうとは限らないことも。この仲間の変異の多さは、風媒花で花粉を飛ばし受粉する仕組みがあって雑種ができ、それが無性生殖を行うために、各個体の持つ形質がずっと代々受け継がれ、様々なタイプができやすいからなのだそうです。

葉の長さは10cm〜20cmくらいのカブトガニ形、先が3つくらいにさけたような状態のことが多いです。その先端は尾状にシューッととがります。葉の基部はまっすぐ一直線。そういう一直線になっている形は、「切形」といいます。そして、縁のギザギザ(鋸歯)は、粗くて、大きくギジャギジャ。両面ともに短い毛が生えているので、縁やつけ根などは特に角度によっては白っぽく見えます。

メヤブマオ Boehmeria platanifolia


花期は8月〜10月。雄花と雌花が同じ株につく雌雄同株。茎の上部に雌花序、下部に雄花序がつきます。花は花穂に並んでびっしりとつきますが、雌花序の場合はややまばらです。花序の太さは、ヤブマオより細めで繊細な感じになります。

果実には毛がたくさん生えていて、縁には翼があって、小さ〜い栗のようにイガイガした感じで丸っこい。それが、果序に数珠状に並んだような状態になります。

【和名】メヤブマオ [雌藪苧麻]
【学名】Boehmeria platanifolia
【科名】イラクサ科 URTICACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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posted by hanaboro at 11:29| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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