2005年06月04日

アブラチャン

アブラチャン Parabenzoin praecox


アブラチャンは、本州、四国、九州の山地に生育する落葉低木です。高さは5mくらいまでなりますが、幹は細めでよく枝分かれしているので、株立ち状の樹形になります。

花期は3月〜4月。春まだ浅い林の中でいち早く淡い黄色の花を咲かせます。開花は葉の展開よりも早く、そのころは、他の木々もまだ芽吹いているものもほとんどない。咲いているのは他にキブシやダンコウバイなど樹木の黄色い花。中でもアブラチャンは早春の沢沿いの主役です。あたりが黄色に染まります。

雄花と雌花が別々の株につく「雌雄異株」。花は、灰色っぽいような褐色に枝にごく短い花序を出して、先に数個かたまってつきます。雄花、雌花とも花びらにみえる薄い鱗片のような「花被片」が6枚あります。雄しべは9本ずつですが、雌花の方の雄しべには「葯」がない「仮雄しべ」です。そのかわり、雌花の中心からは1本雌しべがツーンと出ています。雌しべの下の方にある子房は丸くふくらんでいます。

アブラチャン Parabenzoin praecox


葉は互生。長さは5cm〜10cmくらい。先はスーッととがります。縁のギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。葉柄は赤っぽいのが目印。初夏のころには若い果実が見られ、清々しい若葉と葉柄の赤のコントラストも美しい。ちぎると香りがあって、なるほどクスノキ科だなとわかります。

果実は、秋には直径1.5cmほどの球形になって、褐色に熟して先が割れます。この果実や樹皮から油を採ったことが名前の由来で、「チャン」というのが天然コールタールなどの「瀝青(れきせい)」を指すのだそうです。枝は生でもよく燃えるので、薪としても利用されていたそうです。

【和名】アブラチャン [油瀝青]
【学名】Lindera praecox
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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2005年06月03日

シラー・ぺルビアナ

シラー・ぺルビアナ Scilla peruviana
2005/05/10 蕾

シラー・ぺルビアナは、南ヨーロッパ、北アフリカなど地中海沿岸原産の多年草です。その原産地とはかけ離れて、英名は「Cuban lily」や「Peruvian liliy」、学名の種小名は「peruviana」と南米的です。不思議なものですね。一説によれば、この植物の球根を運んだ船の名前「Peru」からきているのだとか。

シラー・ぺルビアナは、ユリ科ツルボ属(シラー属またはスキラ属)に分類されています。シラー属はヨーロッパ、アジア、アフリカなどに100種ほどが知られていて、日本でも数種が栽培されていて、釣鐘型の花をつけるタイプと星型の花をつけるタイプがあります。

釣鐘型のタイプには青紫で小型の「シラー・シビリカ(Scilla siberica)」、青、桃色、白の小型の「シラー・ビフォリア(Scilla bifolia)」、背の高めの「シラー・カンパニュラータ(Scilla campanulata)またはシラー・ヒスパニカ(Scilla hispanica)」などがあり、星型のタイプには今回の「シラー・ぺルビアナ」があります。

(注)「シラー・カンパニュラータ」は、正式にはシラー属から分けられて、「ヒアシンソイデス・ヒスパニカ (Hyacinthoides hispanica)」とされています。

シラー・ぺルビアナ Scilla peruvianaシラー・ぺルビアナ Scilla peruviana
2005/05/24

シラー・ぺルビアナは、草丈は20〜50cmほど。球根は「鱗茎」で、直径は5cmくらいです。この鱗茎は有毒だということです。

葉は幅の広い線形で、長さは20cm〜30cmほど。花茎も太く葉も重厚な印象ですが、ややその重みで倒れてしまうこともあります。茎の株を束ねるか、支柱を立てた方がいい場合もありそうです。実際写真のものは、花が咲き進むにつれて株もとから倒れてしまっていました。

花期は5月〜6月。花は、大きな花序に50個前後。多いものでは100個近くものたくさんの花を咲かせます。濃い紫色の星型の花で、とても豪華な花で目をひきます。花色は濃い紫がもっともふつうだと思いますが、他に桃色や白色もあるのだそうです。

蕾のときは、たくさんの蕾がギュッとかたまってついた状態で円錐形、花序の下から上へと咲き進みます。花序は「散房状」で、花が咲き進むにしたがって間延びした状態になります。花が終わった後の花序も巨大です。

【一般名】シラー・ぺルビアナ
【別名】オオツルボ [大蔓穂]
【英名】Cuban lily、Peruvian liliy
【学名】Scilla peruviana
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/05/10、2005/05/24
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月02日

アオツヅラフジ

アオツヅラフジ Cocculus trilobus
2005/05/29 神奈川県

アオツヅラフジは、日本国内では、北海道の一部、本州、四国、九州、沖縄に分布し、日本以外にもアジア東部や南部に分布しています。山野の草地や林縁などに生える落葉性のつる植物で、草本のようにも見えますが、ツヅラフジ科の木本です。図鑑では「木本」の方に載っていたり「草本」の方に載っていたりです。

アオツヅラフジ Cocculus trilobus
2005/04/26 東京都

葉は互生。幅の広い卵形で、先は丸みがあります。しばしば、浅く3つに裂けています。長さは5cm〜10cmくらい。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。質は厚めでかたそうな印象。表面には少し光沢があります。

特に若いころの葉は「ヤマノイモ」や「ウマノスズクサ」のような形ですが、アオツヅラフジの場合は、茎や葉に毛がたくさん生えているので、見慣れれば区別できます。ちなみに、いずれもつる性の植物ですが、ヤマノイモはヤマノイモ科の多年草、ウマノスズクサはウマノスズクサ科の多年草で、花も果実もそれぞれまったく違っています。

アオツヅラフジ Cocculus trilobus
2004/09/21 静岡県

花期は6月〜8月。黄白色の目立たない花を葉腋や枝先に咲かせます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。花弁、ガク片は6つ。雄しべも6本です。

果実(核果)が熟すのは秋。球形で直径7mmくらい。熟すと表面は粉をふいたように白っぽい黒紫色になります。房についている様子は、まるで「ブドウ」のようです。中の種子はカタツムリのような形になるそうですが、筆者はまだ実物を見たことがありません。今年はそれを確かめてみたいです。

【和名】アオツヅラフジ [青葛藤]
【別名】カミエビ
【学名】Cocculus trilobus
【科名】ツヅラフジ科 MENISPERMACEAE
【撮影日】2005/04/26、2005/05/29、2004/09/21
【撮影地】東京都日野市、神奈川県藤野町、静岡県新居町

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オニグルミ

オニグルミ Juglans mandshurica var. sieboldiana


オニグルミは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の沢沿いに多く生えるクルミ科クルミ属の落葉高木です。高さは10m以上にもなります。太めの枝が横方向に斜め伸びるので、横広がりの樹形になるので、スレンダーな樹形の「サワグルミ (Pterocarya rhoifolia)」とは、木を見たときの第一印象が違ってくると思います。

葉は、たくさんの小さい葉(小葉)からなる「羽状複葉」で、小葉は4対〜10対。てっぺんの部分にも小葉が1枚あるので小葉の数は奇数、つまり、頂小葉のある「奇数羽状複葉」です。1つ1つの小葉は長さ10cm前後で、先がやや細くなる楕円形、縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。1つの羽状複葉全体の長さは50cmを超えるほどの巨大なものです。特に若い枝や葉の裏、羽状複葉の葉軸の部分には、褐色の毛が密生しています。サワグルミの葉にも毛はありますが、黄緑色で量も少なめです。

オニグルミといえば、冬の時期、その「葉痕」の形のおもしろさが大人気になります。葉のついていたあとが「羊」や「猿」の顔のような形をしています。その形は落葉後に目立つようになりますが、冬でなければ見られないというわけではなく、背の高い木で葉もでっかいので、見えにくいだけ。今回の個体は生えている位置は下の方ですが、河川にかかった橋の上から手が届く場所に枝が出ていたもので、じっくり羊と対面できました。

オニグルミ Juglans mandshurica var. sieboldianaオニグルミ Juglans mandshurica var. sieboldiana


花期は5月〜6月。雄花と雌花は同じ個体につく「雌雄同株」。新しい葉が展開するのと同時に花も咲き始めます。雌花のつく花序は枝から上にまっすぐたち、花柱は真っ赤です。緑色の雄花のつく花序は葉腋から垂れ下がります。雄花が出るのは前年度の枝で、雌花が立ち上がるのは今年伸びた枝です。

果実は雌花の花序にできるので、若いうちは「果序」が直立していますが、しだいに垂れ下がってきます。若い果実の表面には毛が目立ちます。果実(核果)は直径3cm、秋に熟します。核の殻はとても堅いですが、核の中の種子は食用になります。小動物たちも好み、動物たちによっても種子が運ばれます。

ふつう食用にしている「テウチグルミ (またはカシグルミ Juglans regia var. orientis)」よりは小さめですが、オニグルミの種子も味は美味しい。このオニグルミの果実。以前日本海側の海岸でよく拾いました。沢に生えていたオニグルミの果実が河川から海へと流れ込み、そして砂浜に打ち上げられていたのでしょう。

【和名】オニグルミ [鬼胡桃]
【学名】Juglans mandshurica var. sieboldiana
【科名】クルミ科 JUGLANDACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】東京都藤野町

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2005年06月01日

ミミナグサ

ミミナグサ Cerastium fontanum subsp. vulgare var. angustifolium


ミミナグサは、日本全土に分布し、田畑の周辺や道ばたなどに生える越年草です。草丈は15cm〜30cm。茎はやや斜めに伸びるので、茎の長さが比較的長くなるにもかかわらず、高さは低め。全体に短毛が生えていて、少しは白っぽく見えるのですが、よく似た帰化種の「オランダミミナグサ (Cerastium glomeratum)」よりは白くない。オランダミミナグサの方は、全体に軟毛と腺毛が密生してフサフサフサフサ、触ると粘るのですが、ミミナグサは茎などの毛は短く、茎の上部やガク片に腺毛が混じるくらいです。さらに、茎は紫褐色を帯びていることが多いです。

葉は長さ1cm〜3cmくらいの長楕円形。ナデシコ科らしく2枚対生、葉柄はありません。色が濃く、オランダミミナグサの黄緑色とは印象が違ってきます。

一度わかると、毛の量、茎の色、伸び方などの違いから、オランダミミナグサとは直感的に区別できるようになります。しかし、両者の区別点としてよくあげられているのは、「花柄の長さ」特に果実期の柄の長さの違いです。オランダミミナグサは花柄が短くて、より花が密集してつく感じになります。それに対して、ミミナグサの方は花柄が長めで、ガク片の長さよりも長いとされています。それで、やや花はまばらにつく印象になります。

ミミナグサ Cerastium fontanum subsp. vulgare var. angustifolium


花期は4月〜6月、オランダミミナグサより少し遅め。茎の上部の花序に数個ずつ咲きます。白色の花弁は5枚、先端が2つに裂けることが多いですが、10枚に見えるほど深くないです。ガク片も5つ花弁と長さは同じくらい〜ややガク片の方が短い程度。雄しべは10本。

ガク片はオランダミミナグサよりも顕著に紫色を帯びていることが多いです。オランダミミナグサのガク片は先端や縁がほんの少し紫がかるくらいで、ほとんど薄い緑色。

【和名】ミミナグサ [耳菜草]
【学名】Cerastium fontanum subsp. vulgare var. angustifolium
(Cerastium holosteoides var. hallaisanense)
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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アセビ

アセビ Pieris japonica


アセビは、本州、四国、九州に分布し、山地の乾燥気味の場所、特にやせた尾根に多く生育する常緑低木または小高木です。高さはふつうは2m〜3mくらいで、大きなものでは5mくらいまでなります。公園などによく植えられていますが、葉や茎は有毒で、馬がこれを食べると酔ったようにふらふらするところから漢字は「馬酔木」。草食性の動物、特に鹿の多い地域では、鹿がこれを食べないことから、アセビばかりの林ができてしまっていることも。

葉は枝の先の方にかたまってつきますが、輪生というわけではなく互生です。細長い倒披針形、先端に近い部分で幅が一番広くなります。葉の色は生育環境などによって個体差があるようで、黄緑色っぽかったり、濃い緑色だったり。厚い革質で表面には光沢があり、両面とも無毛です。長さは5cm前後。縁にはあまり目立たない鈍いギザギザ(鋸歯)があります。鋸歯は特に葉の上半分、先端の方にあります。花の終わった直後くらいに展開する葉は紅色を帯びて美しく、それも楽しめます。

花期は3月〜5月。枝先から出る円錐形の花序に白い花がたくさん咲きます。つぼ型の花は下向きに垂れ下がります。花序も垂れ下がる傾向が強いです。よく「スズラン」のような花といわれていますが、スズランよりもずっと先をしぼったようなつぼ型です。花冠は長さ8mmくらい、先の方は5つに浅く裂けます。雄しべは10本。雌しべは1本。花が咲くのは春ですが、若い花序は暑い夏の盛りにはもう見えています。

写真は、5月下旬、関東の山地。若い果実ができているところです。花は下向きですが、果実は上向きになります。果実(さく果)は、球形で直径5mm程度。熟すのは秋。

【和名】アセビ [馬酔木]
【別名】アセボ
【学名】Pieris japonica
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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