2005年07月18日

ヤマトユキザサ

ヤマトユキザサ Smilacina viridiflora


写真は恐らく、ヤマトユキザサだと思います。ユリ科ユキザサ属の植物で、日本では、「ヤマトユキザサ (Smilacina viridiflora)」、「ヒロハユキザサ (Smilacina yesoensis)」、「ユキザサ (Smilacina japonica)」などが知られています。ヒロハユキザサは葉の両面が無毛で花序の毛も少ないということで、今回のものは毛がやや多いので、まず消去しました。ヤマトユキザサとユキザサの違いは、果実の時期では少し難しそうですが、まずユキザサからチェックしてみます。

ユキザサは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内に生える多年草です。茎は斜めに弓なりに伸び、長さは20cm〜70cm。茎や葉の両面に毛がたくさん生えています。葉は長楕円形で、先はとがります。長さは5cm〜15cm。

花期は5月〜7月。茎の先から円錐花序が出て小さな花がたくさんつきます。ふつう、花序や花柄には毛が多いです。花は白色で、6つの花被片があります。1つ1つの花被片は、長さ4mmの幅の狭い長楕円形。雄しべも6本あって、先端の「葯」は淡い黄白色。中央にある雌しべの柱頭の先は、浅く3つに裂けます。果実は球形で、後に赤く熟します。

ふつうなら、この説明で終了したいところなのですが、今回の写真のものは、針葉樹林内で見られたものなので、ユキザザよりも標高の高い場所に生育し、本州中部以北に分布する「ヒロハユキザサ」や「ヤマトユキザサ」が候補にあがります。ヒロハユキザサは最初にチェックしたとおり、今回は違うと思いますが、ユキザサと残りの2つの大きな違いは、ユキザサの花が「両性」なのに対して、ヒロハユキザサとヤマトユキザサは「雌雄異株」。雌しべの裂けた花柱の長さがそれぞれ違っていて、ヒロハユキザサが最も長く、次いでヤマトユキザサが長くなっています。ユキザサの雌しべの花柱はわずかに3裂するのみです。雄花はちょっと緑色っぽい。

そこで、今回の写真の場合ですが、撮影したのが8月半ばで、花はなく果実しかありません。そのため、同定が難しいところなのですが、その果実の先端に残る花柱を見ると、一応、3つに裂けていたことが、何とかわかりました。茎の長さは60cmくらいで大柄、葉の長さは15cmほど、縁が少し波打ち、花序や葉に毛の多いことから、「ヤマトユキザサ」の可能性が高そうです。

【和名】ヤマトユキザサ [大和雪笹]
【別名】オオバユキザサ、ミドリユキザサ
【学名】Smilacina viridiflora
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年07月17日

ヒメシャクナゲ

ヒメシャクナゲ Andromeda polifolia


ヒメシャクナゲは、北半球北部の寒冷地に分布し、日本国内では、北海道と本州中部以北の亜高山帯〜高山帯のミズゴケの生える湿原に生育する常緑小低木です。ツツジ科ヒメシャクナゲ属に分類され、同属の植物は1属1種。種内の品種として、「カラフトヒメシャクナゲ」、「シロバナノヒメシャクナゲ」などが知られています。茎の根もとの方は地面をはって、枝分かれします。枝の上部はやや斜めに立ち上がって、高さは5cm〜25cmほど。

葉は枝の上部に集まってつき、互生します。長さ2cm〜4cmくらいの細長い線形、先はとがっています。分厚くて、葉脈はシワシワした感じ。縁にギザギザ(鋸歯)はなく、両側から裏面に向かって巻いています。裏面は粉をふいたように白っぽい。

花期は6月〜7月。枝先に3個〜6個ほどの花を下向きにつけます。花冠は紅紫色で、長さ5mm〜6mmほどのつぼ形。先はキュッとしまったおちょぼ口。先端の部分は浅く5つに裂けて外側に反り返ります。花柄も紅紫色で、長さは1cm〜1.5cmくらいあります。雄しべは10本で、先の「葯」には2本の角のような突起があります。雌しべは1本。

花後にできる果実は「さく果」で、直径は4mm程度。花は下向きですが、果実は上を向きます。写真は8月半ば、早くも標高の高い湿地では、もう秋の足音が聞こえてくるかのように、多くの植物の果実が見られるようになります。小柄なヒメシャクナゲの果実も紅色に染まって、湿原にやわらかな彩を添えます。

【和名】ヒメシャクナゲ [姫石楠花]
【別名】ニッコウシャクナゲ
【学名】Andromeda polifolia
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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ウィオラ・ソロリア

ウィオラ・ソロリア Viola sororia


ウィオラ・ソロリアは、北アメリカ原産東部原産の多年草です。日本の風土にはよく合っているようで、丈夫で花つきも良好。根茎はショウガのように太くなる性質があるので、十分な土壌が必要かと思ったりしますが、コンクリートとアスファルトのわずかな隙間にも、どっこい息づいていました。

葉も花も全体に大きく、見栄えのするスミレなので、庭で見るのはよいのですが、人家近くの雑木林の縁なんかで野生化したものを見ると、違和感を感じてしまうのは、それが外来種だという先入観があるからでしょうか。本当、勝手なものですね。

タチツボスミレなどに比べると、葉は花時期からやや大きめの円心形、先はとがって、基部の方は丸く巻き込む状態です。表面には光沢があって、葉脈もよく目立ちます。地上茎はのばさず、花茎は根もとから出すようで、葉の間から花をのぞかせるような咲き方です。つまり、花茎と葉柄を含めた葉の高さがあまりかわらないということでしょう。

ウィオラ・ソロリア Viola sororiaウィオラ・ソロリア Viola sororia


よく野生化している「ウィオラ・ソロリア」には、主に花色が濃い紫色のタイプと、白色で中心付近が紫色を帯びるタイプがありますが、前者は「Viola papilionacea」、後者を「Viola priceana」とされていたそうですが、現在では両者とも「Viola sororia」とされているようです。白色で中央が紫のタイプの学名は、「Viola sororia 'Priceana'」となっていることからすると、こちらは別種ではなく、ソロリアの園芸品種の1つだったということなのでしょう。プリケアナの花はちょっと「シロコスミレ」に似ているところもあるかな。さらに、ソロリアの園芸品種には、白色('Snow Princess')、しぼり、そばかす模様('Freckles')など、いろいろあります。

花期は3月〜5月。花の基本的なつくりは、日本のスミレと同じです。上の2枚の花弁は「上弁」、下の2枚は「側弁」、一番下にあるのが「唇弁」です。上弁や側弁が大きく丸く張出すような状態で、唇弁はやや小さめのことが多いのではないでしょうか。花の中心付近を見ると、側弁の基部には白い毛がたくさん生えていて、よく目立ちます。後に突き出す「距」は太くて短いものです。

7月半ばを過ぎ、もう梅雨も明けようとしている関東。開放花はもう見られませんが、花を開かずに果実ができる「閉鎖花」はさかんにつけているようです。丸くふくらんだ果実もときどき見られます。

【一般名】ウィオラ・ソロリア (ビオラ・ソロリア)
【和名】アメリカスミレサイシン
【英名】Common Blue Violet
【学名】Viola sororia
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/07/16、2004/04/16
【撮影地】東京都日野市、八王子市

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Botanic Journal − 植 物 誌 −」さんの記事「春の苔玉
自然に生えた草たちの苔玉がいい感じ。ビオラ・ソロリアの苔玉、アメリカフウロが飛び込んできた苔盆栽などなど。

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ウツボグサ

ウツボグサ Prunella vulgaris subsp. asiatica


ウツボグサは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の草地や田のあぜ、道ばたなど日当たりのよい場所に生育する多年草です。草丈は10cm〜30cm。ふつう、地面をはうように伸びる短い「走出枝(ランナー)」を出します。

葉は対生。長さ2cm〜5cmの「披針形」。披針形というのは、先がとがって付け根の方はとがらず、一番幅が広くなる部分が葉の中間より下の部分にある形です。縁の鋸歯(ギザギザ)は、ごく低いものが少しありますが、ほとんど目立たないものです。葉柄は1cm〜3cm。茎や葉柄に毛があります。

ウツボグサ Prunella vulgaris subsp. asiatica


花期は6月〜8月。茎の先の花穂に「唇形花」をたくさんつけます。花穂の長さは3cm〜8cm。花は下から上へと咲き進みます。名前は、この太い花穂の形を弓矢を入れる「靫」に見立てたものだそうです。花冠は紫色で、長さ1.5cm〜2cm。上唇は兜のような形で、下唇は3つにさけた真ん中の裂片が大きくて縁はフリル状に細かくさけてヒラヒラ。

花穂のあたりは何だか白くて長い毛が目立つのですが、そこには苞やガクがあって毛がたくさん生えています。苞はちょっといびつな形の心形で、毛はその縁にあります。ガクの方は上下2つにさける「二唇形」で、上唇は3つに浅く切れ込んで、下唇は2つに裂けます。花が終了すると、このガクは先が閉じてしまいます。一番上の写真だと、先が開いた状態のまま果実が成熟しているのか、中の4つの「分果」が見えます。

花がすっかり終わっても、黒くなった花穂がずっと残っている姿から、「夏枯草」の別名もあるとか。

【和名】ウツボグサ [靫草]
【別名】カコソウ [夏枯草]
【学名】Prunella vulgaris subsp. asiatica
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月16日

ザクロソウ

ザクロソウ Mollugo pentaphylla


ザクロソウは、本州、四国、九州に分布し、畑や道ばたなどに生える一年草です。茎に毛はなく、草丈は10cm〜25cm程度ほど。ツルナ科ザクロソウ属の植物です。名前は、ザクロ科の落葉小高木「ザクロ」に似ているところからきているそうです。

葉は長さ1cm〜3cmの細長い線形〜披針形で、少し分厚くちょっと多肉植物の雰囲気、表面には光沢があります。茎の下部の葉は3枚〜5枚が偽輪生しますが、上部の方では2枚対生します。ちなみに「偽輪生」というは節間がつまって輪生しているように見える場合をいいます。

ザクロソウ Mollugo pentaphyllaザクロソウ Mollugo pentaphylla


花期は7月〜10月。茎の上部の「集散花序」に、まばらに小さな花をつけます。花弁はなく、直径は3mmくらい。一見、花弁のように見えるのはガク片です。ガク片は淡い黄緑色で、5つあります。雄しべは3本〜5本。中央には丸っこくずんぐりとした「子房」があって、先端の花柱は3つあります。果実は直径2mmほどの球形。

【和名】ザクロソウ [柘榴草]
【学名】Mollugo pentaphylla
【科名】ツルナ科 AIZOACEAE
【撮影日】2005/07/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月15日

ジュウニヒトエ

ジュウニヒトエ Ajuga nipponensis


ジュウニヒトエは、本州、四国に分布し、丘陵地の雑木林の中や林縁などに生える多年草です。草丈は10cm〜25cm。全体に白くて長めの毛がたくさん生えています。触るとフサフサと柔らかな感じ。茎は1本のびるか、充実した株では根もとの方から数本「そう生」し、まっすぐかやや斜めにのびます。

「ジュウニヒトエ」という名前は、花がたくさん重なって咲く様子を、平安時代の宮中の女官がまとう「十二単」に例えたものといいます。確かに幾重にも重なっているのですが、豪華絢爛というよりは、控えめな衣装で静かに佇んでいるような姿ではないかと思います。また、もう1つ「ジュウニヒトエ」と呼ばれて、濃い紫色の花をつけ、葉は光沢があって紫色を帯び、よく栽培されているものは、「セイヨウジュウニヒトエ (Ajuga reptans)」といいます。

茎は対生。葉の表面は少し銀色っぽく光って見え、縁は紫色を帯びているように見えることも。長さは3cm〜5cm。縁の鋸歯(ギザギザ)はあらく、ウネウネとした波状。

花期は4月〜5月。茎の先の花穂に上唇と下唇にわかれる「唇形花」をたくさんつけます。花色はほぼ白色〜ごく淡い紫色。花冠は長さ1cmほどです。上唇は下唇に比べるとずっと小さくて長さ1.5mmくらいしかなくて、正面から見ると目立ちません。真横からならその存在に気づきやすいかな。下唇の方は、大きく3つに裂けています。

花は花穂の下から咲き始め、花穂の長さは花が咲き進むにしたがって長くなります。花が終わるころには、間延びした状態になっていることもあります。しぼんでしまった花は、すぐには脱落せずにしばらくは花穂にぶら下がったままになるようで、花期に遅れると写真のような姿がポツポツと雑木林の中で見られるのでした。

【和名】ジュウニヒトエ [十二単]
【学名】Ajuga nipponensis
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2004/05/01
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月14日

ペラペラヨメナ

ペラペラヨメナ Erigeron karvinskianus


ペラペラヨメナは、中央アメリカ原産の多年草です。よくグランドカバーなど、観賞用に栽培されていますが、しばしば、人家周辺の石垣の隙間や道ばたなどで野生化しています。現在では、本州の関東〜中国地方の所々で帰化しているそうですが、野生化しているのが最初に確認されたのは、1949年、京都でのことだったそうです。

茎は付け根でよく枝分かれして、やや斜めに伸びるか、地面をはうように広がります。茎の長さは30cm〜長いものでは50cmくらいにまでなりますが、高さとしては20cmくらいのものでしょう。茎の下の方につく葉は、先が3つか5つに裂けて、少し葉柄があります。しかし、上部の葉は裂けない楕円形で、縁のギザギザはなく全縁です。柄もなくなります。長さは2cm〜3cm程度。まばらに毛が生えています。

ペラペラヨメナ Erigeron karvinskianus
2005/04/21
蕾、新芽の伸びはじめ
ペラペラヨメナ Erigeron karvinskianus
2005/07/02
わずかに総苞片が残るのみ


花期は5月〜9月。枝先に直径1.5cm〜2cmくらいの花を1つずつつけます。花びらに見える部分の下にある「総苞」は、ほんの数ミリの長さで、そこには2列〜3列の「総苞片」が並んでいます。

キク科ムカシヨモギ属の植物で、ふつう1つの花に見えている部分は、たくさんの「小花」が集まった「集合花」で、ペラペラヨメナの小花には「舌状花」と「筒状花」があります。周辺部にあって花びらに見えている「舌状花」は、白色〜淡い紅紫色。中央の「筒状花」は黄色です。「ヒメジョオン」や「ハルジオン」など、同属の花によく似ています。舌状花の色は先進むにつれて色が変化するため、同じ株の中でも濃淡が見られます。

ペラペラヨメナ Erigeron karvinskianus


冠毛は舌状花、筒状花ともにあって、長短2列になっています。一番下の写真では、周辺の舌状花由来と思われる果実が見えます。冠毛は果実が熟すころには発達して、長い方はそれなりに長く見えますが、外側にある短い方の冠毛はごくごく短く肉眼ではよくわからないくらいです。褐色の果実は長さ1mm程度ですが、ルーペで見ると、筋状に脈が数本入っていて、表面には細かい突起がまばらにあります。

ペラペラヨメナ。葉の質が薄いことからきている名前だそうですが、その名前がかわいそうかどうか、感じ方は様々かもしれません。属の学名の「エリゲロン」なんて呼ばれていることもありますけれど。筆者は、名前としてよいかどうかはともかく、そのペラペラ感も見どころだと思います。

【和名】ペラペラヨメナ
【学名】Erigeron karvinskianus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/07/02、2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月13日

サフランモドキ

サフランモドキ Zephyranthes carinata


サフランモドキは、中央アメリカ原産の多年草です。日本にもたらされたのは、江戸時代のことだったとか。観賞用に栽培されるほか、比較的暖かい地域では人家周辺などで野生化しているのが見られます。

地下の鱗茎は直径2cmほど、以外にも小さな球根植物。葉は長さ30cmほどの細長〜い線形で3枚〜6枚が「束生」します。ちょっと分厚くて濃い緑色。全体に無毛です。

サフランモドキ Zephyranthes carinataサフランモドキ Zephyranthes carinata


花期は6月〜9月。10cm〜30cmの花茎をのばして、先端に紅紫色の花を1つずつつけます。直径は6cm〜8cmほど。花弁に見える「花被片」は6枚、縦すじが目立ちます。花被片は内花被片が3枚、外花被片3枚からなりますが、ほとんど同じ形で同じ大きさです。花被片の基部の方は少し白っぽくなって、くっついて筒状になっています。雄しべは6本で、先の「葯」は長く「花糸」にT字型について、オレンジ色でよく目立ちます。雌しべは1本、白くて雄しべよりも長く突き出しています。先端の柱頭は3つに裂けます。「子房」は花被片よりも下につく「子房下位」です。

やや小型の直径3cm〜4cmくらいで、白色の上向きの花を咲かせる「タマスダレ (玉簾 Zephyranthes candida)」も同じ属に分類されています。ちなみに、属の学名「Zephyranthes」というのは、「西風+花」に由来しているのだそうです。また、雨が降った後、数日後に花が咲くということで、「レインリリー」とも呼ばれています。「サフラン (Crocus sativus)」に似ているから「サフランモドキ」という名前になったとか、はじめにサフランと間違えられたからなどといわれているようですが、花色、大きさなど、それほど似ているとはいえないかもしれません。サフランはアヤメ科の植物ですし。

【和名】サフランモドキ
【別名】ゼフィランサス、レインリリー (Rain lily)
【学名】Zephyranthes carinata (Zephyranthes grandiflora)
【科名】ヒガンバナ科 AMARYLLIDACEAE (ユリ科 LILIACEAE)
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月12日

ヒレハリソウ

ヒレハリソウ Symphytum officinale


ヒレハリソウは、ヨーロッパ〜西アジア原産の多年草です。世界各国で薬用として栽培されるほか、逸出し帰化しているといいます。日本でも、「コンフリー」とよばれて、明治時代に渡来してから薬用や野菜として、あるいは牧草として利用されてきたほか、昭和40年代に健康食品としてもてはやされて、よく栽培されていたそうです。しかし、ここ数年のことだったと思いますが、「コンフリー」をもとにつくられた健康食品などを過度に摂取することによって、健康に害を及ぼすことがあるということがわかったそうなので、気をつけなければいけません。

一時期の大ブームは去って、忘れかけられた、時代の落し物のような植物といえるかもしれませんね。とはいっても、今でも栽培されているし、人家周辺や牧草地周辺の道ばたなどでしばしば野生化しているものが見られます。花は十分観賞価値があると思いますが、大きくなるのがちょっと難点ですね。しかも、地下茎でよくふえるため、一度畑などに侵入してしまうと、やっかいな雑草となるそうです。

草丈は50cm〜80cm。全体に粗い下向きの毛がたくさん生えていて、ザラザラします。葉は互生。縁のギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。根生葉には長い柄がありますが、上部の茎につく葉の付け根の方は、茎に沿うような状態でながれて翼状になります。そして、その翼は茎の翼とつながっています。葉脈は裏面に向かって深く刻まれたようになっていて、はっきりしています。

ヒレハリソウ Symphytum officinaleヒレハリソウ Symphytum officinale


花期は5月〜8月。茎の上部の「巻散花序」に釣鐘型の花を10個〜20個つけます。巻散花序は同じムラサキ科の「キュウリグサ」などでも見られる花序です。花序渦巻状になった花序は下の蕾から開いていき、次第に花序はほぐれて、まっすぐ斜めやや下向きになります。花冠は淡い紅紫色、紫色、白色などです。花冠の長さは2cm程度、中間部分でちょっと絞ったような状態になりますが、筒の先の方は丸くふくらんだ形になります。先端はごく浅〜く5つに裂けて、その裂片は少し外側に反り返ります。

花の中をのぞくと、何やら円錐形の構造が見えます。これは、5本の雄しべと白っぽい「付属体」が交互に並んでできたものです。その中央から突き出しているのは雌しべで、花冠より少し長め。花序やガクにも粗い毛が密生しています。ガクは5つに裂け、花が終わり花冠が脱落した後も残っています。果実は4つの「分果」。

ちなみに、「コンフリー」という名前で栽培されているものには、「ヒレハリソウ」と「オオハリソウ (Symphytum asperum)」の交配種が含まれているのだとか。筆者はそれらの区別がつけられません。ゆえに、今回はすべて「ヒレハリソウ」としていますが、「コンフリー」とすべきだったかもしれません。

【和名】ヒレハリソウ [鰭玻璃草]
【別名】コンフリー
【学名】Symphytum officinale
【科名】ムラサキ科 BORAGINACEAE
【撮影日】2005/07/02、2004/04/26
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月11日

シラン

シラン Bletilla striata


シランは、本州、四国、九州に分布し、日当たりがよく、湿り気の多い湿地などに生育する多年草です。とても丈夫で栽培しやすく、美しい花を咲かせるので、よく栽培されています。洋ラン的な雰囲気のある日本の野生ランです。日本以外にも中国などに分布します。野生のものより庭植えのものの方が、ずっと見る機会が多いでしょう。

栽培されるものには、最もよく見られる紅紫色のタイプのほか、「シロバナシラン (Bletilla striata f. gebina)」や白い覆輪の斑入り、ガク片や側花弁が薄桃色で唇弁の先端が紅色になる「クチベニシラン」、また最近では青花といわれるタイプ「アオバナシラン (Bletilla striata var. coerulea)」のなどがあります。

草丈は30cm〜60cmほど。根もとには「バルブ」と呼ばれるちょっと扁平な球形の「偽球茎」があって、毎年横に連なっていきます。直径は2cm〜3cm。葉は3枚〜5枚でて、細長い披針形。長さは30cmくらい。先はとがっています。葉の根もとの方は鞘状になっていて、花茎はその間からのびてきます。

シラン Bletilla striata


花期は4月〜5月。長い花茎の先に数輪の花をつけます。色は紅紫色。3枚の「外花被片(ガク片)」と、2枚の「内花被片(側花弁)」は、長さ2.5cm〜3cmほど。唇弁には線状に隆起した5本くらいの「隆条」があって、縁には細かいひだがあります。

7月上旬の関東の丘陵地。5月の開花からふた月ほど、植栽されているシランの果実も次第に熟してきたようです。果実は長楕円形。長さは3cm程度。

【和名】シラン [紫蘭]
【別名】ベニラン [紅蘭]
【学名】Bletilla striata
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/06/18、2005/07/07
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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カルミア

カルミア Kalmia latifolia


カルミアは、北アメリカ原産のツツジ科カルミア属(Kalmia)の常緑低木です。同属の種は、「Kalmia latifolia」以外にも数種知られていますが、日本に野生種はありません。渡来したのは1915年のことだったそうです。現在、日本で庭木や鉢植えとして栽培されているものは、だいたい高さ30cm〜1.5mくらいのものが多いのではないでしょうか。でも、原産地では、高さ10mほどにも達するのだそうです。

葉は互生ですが、茎の上部では集まってついているので、「輪生」しているように見えます。質は厚く、表面には光沢があります。葉の感じは、「ツツジ」というより、「シャクナゲ」の方に似ているかもしれません。いえ、それよりも、「アセビ」かな。葉の長さは5cm〜10cmの長楕円形。葉柄は赤っぽくなる傾向があります。

カルミア Kalmia latifolia


花期は5月〜6月。枝先の「集散花序」に多数、集まって咲きます。花序は、直径20cmくらいの大きな球形の塊です。1つ1つの花の直径は1.5cm〜2cm程度。色は淡い紅色です。花冠の形は、図鑑的に書くと、「お椀形で5裂する」となりますが、これでは、その個性的な形を表しきれませんよね。筆者の乏しいボキャブラリーであえて書くなら、広げたパラソルのようでもあり、クラゲのような形でもあり。そして、花開く前の金平糖のような形の蕾もおもしろい。花の咲いている時期よりも、花がないときの方がツツジ科らしく見えるかも。

開き始めのころ、10本の雄しべの先はクルリと巻いて、花冠の内側にあるくぼみに刺さったような状態になっています。そのくぼみは紅色の斑点模様になっています。このくぼみが蕾のときの突起の部分にあたります。その後、雄しべの先はくぼみから外れて、花粉が出てくる仕組みです。さらに花冠の中央ののどの部分にも紅色の縁取りがあって、一層、華やかなものとなっています。

7月上旬、華やかな開花の季節は過ぎ去り、すでに黄緑色の若い果実ができていました。果実は「さく果」で、球形、先端に1本立っているのは、雌しべの花柱。ガク片もまだ残っています。果実の表面には毛が生えています。その毛を撮影しようと思ったのですが。。。遠くに雷鳴がとどろく中での撮影で、早急に退散。

【一般名】カルミア
【別名】アメリカシャクナゲ [亜米利加石楠花]、ハナガサシャクナゲ [花笠石楠花]
【学名】Kalmia latifolia
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月09日

ササバギンラン

ササバギンラン Cephalanthera longibracteata
2004/06/15 若い果実

ササバギンランは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の雑木林などに生える多年草です。茎はまっすぐのびて、草丈は20cm〜50cmほど。数枚の葉が互生します。葉柄はなく基部は茎を抱きこむようにつきます。同じような場所に生え、よく似た「ギンラン (Cephalanthera erecta)」よりもふつうは大きめです。

下部の葉は、幅の狭い長楕円形。長さは5cm〜15cmくらい、先はとがっています。その名の通り、「ササ」の葉を思わせるような葉です。茎の上部では「苞葉」となりますが、ほとんど葉と同じような形状の2枚ほどは、長く上方にのびて場合によっては、花序よりも長く突き出していることがあります。「ギンラン」の方は多くの場合、苞葉が短いので、花序は葉よりも上に突き出しているのがふつうです。平行に走る葉脈が隆起して、シワのように見えます。

写真にはまったく写っていませんが、茎には線状に突き出たような「稜」があって、それに沿って細かい毛が生えています。そして、花序や子房の部分にも細かい毛があります。さらに、葉の縁や裏面にも細かい毛があって、この点も「ギンラン」との区別点となっています。ギンランの方は茎や葉に毛がありません。

ササバギンラン Cephalanthera longibracteata
2004/04/30 茎の下部の葉

花期は5月〜6月。茎の上部の花序に数個つきます。花の長さは1cmちょっとくらいの白色。先端が少しだけ開く程度で、平たく開くことはありません。「外花被片」3枚と「内花被片」3枚がありますが、外花被片はガク片にあたるもので、内花被片のうちの2枚は「側花弁」といい、残りの1枚はかなり形の違う「唇弁」です。唇弁のつけ根には短い「距」があります。

6月半ばにもなれば、若い果実が見られます。梅雨の雨に打たれて背の低い個体は、葉も果実もドロをかぶっていることもしばしば。筆者の近辺、関東のとある丘陵地では、ササバギンランは、同属の「キンラン」に比べると、個体数が少ないわけではないかもしれません。でも、多様性の高い個体群を維持するには、十分な個体数ではなさそうです。写真は昨年(2004年)のものですが、今年も運よく果実をつけた個体がありました。熟した果実から大量に出される種子のうち発芽から開花個体にまで生長できる数は、ごくわずかなもの。野生のランの1個体がどれほど貴重なものなのか、泥まみれの若い果実を見ながら、改めて胸に刻むここ数年の梅雨時です。

【和名】ササバギンラン [笹葉銀蘭]
【学名】Cephalanthera longibracteata
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2004/06/15
【撮影地】東京都

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オオマツヨイグサ

オオマツヨイグサ Oenothera glazioviana


オオマツヨイグサは、北アメリカ原産の種がヨーロッパで改良された園芸品種だといわれています。多くの場合、二年草と記述されています。日本に入ってきたのは、明治の初期のころで、やはり観賞用として導入されました。その後、逸出、野生化して、日本全国に広がったそうです。しかし、現在ではオオマツヨイグサはやや減少し、少し遅れて渡来したといわれる「メマツヨイグサ」の方がふつうに見られるようになっています。

草丈は80cm〜1.5m以上。全体に開出した毛が密生。毛はしばしば、根元が膨らんで赤みを帯びた突起状になっているので、茎をよく見ると赤い点々がみられます。この毛がかたいので、茎はざらつきます。冬に見られる根生葉は、メマツヨイグサの場合、先がとがるのに対して、オオマツヨイグサの場合は先が丸くなる傾向があります。のびた茎の葉ではどちらも先がとがりますが、オオマツヨイグサでは葉の表面がより強く波打ちます。中央脈は白っぽい。葉は長さ10cm前後、卵状披針形。縁には浅いギザギザ(鋸歯)があります。

オオマツヨイグサ Oenothera glazioviana


花期は7月〜9月。花は、茎の上部の葉の脇(葉腋)に1つずつつきます。鮮黄色の大きな4弁花。直径は6cm〜8cm。メマツヨイグサよりも大きく華やかに見えます。夕方、開花し、翌日の午前中にはほとんどしぼんでしまいます。雄しべは8本。雌しべは1本ですが、先端の柱頭が4つに裂けて目立ちます。花がしぼんでも、先からのぞいていることも。メマツヨイグサはしぼむと赤みが強くなりますが、オオマツヨイグサはあまり赤くならず白っぽくなります。

オオマツヨイグサ Oenothera glazioviana


花には長い柄があるように見えていますが、これは花柄ではありません。蕾の状態でみると、少し赤みがかっていて長い毛が目立つ部分は、「ガク片」で、4つあります。ガク片の先は細長くとがっていて、蕾の時点で、ほんの少し開いた状態になっています。

そして、ガク片の下の部分が3cm〜5cmくらいの細長い筒になっています。さらに、その下のつけ根の少し色が濃く、ちょっとだけ太くなっている部分には「子房」があります。果実はこの部分が大きくなってできます。

果実は円柱形の「さく果」で、長さは2cm程度。熟すと4つに裂けますが、裂片の反り返り方は少なめ。

【和名】オオマツヨイグサ [大待宵草]
【学名】Oenothera glazioviana
【科名】アカバナ科 ONAGRACEAE
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月08日

テッポウユリ

テッポウユリ Lilium longiflorum


テッポウユリは、種子島、屋久島、沖縄に分布し、海岸の崖などに生育する多年草です。草丈は50cm〜1m。茎はオニユリのような毛はなく、無毛。地下の「鱗茎」は、直径5cm〜6cm。広く栽培され、多数の園芸品種があります。そのため園芸植物としてのイメージが強いのですが、もともとは、日本の南の島に自生する野生のユリです。また、切花としてよく利用される「シンテッポウユリ」というのは、この「テッポウユリ」と、発芽から開花までに時間のかからない「タカサゴユリ」の交配によってできた品種なのだそうです。

葉は細長い披針形で、長さは15cm前後、幅は1.5cmくらいです。質は厚め。「ササユリ」や「ヒメサユリ」には柄がありますが、テッポウユリには葉柄はありません。両面ともに毛はなく、表面には光沢があります。

テッポウユリ Lilium longiflorum


花期は4月〜6月。茎の先に2〜3輪咲きます。蕾の間は下向きにカクッと折れ曲がっている感じが強いのですが、花はほぼ横向きに開きます。花筒の長〜い白色のラッパ形で、芳香があります。正確には、「ユリ形花冠」。長さは10cm〜15cmくらい。同形同質の「花被片」が6枚あって、1つ1つの花被片は、倒披針形。開いた先の方は外側に反り返ります。雄しべは6本、雌しべは雄しべよりも長く突き出しています。先のふくらんだ部分は「柱頭」。ちなみに、種小名の「longiflorum」には、「長い花の」という意味があります。

花の最盛期には長い花筒に包まれていてよくわかりませんが、花が終わって花被片がすっかり散ってしまうと、長い雌しべと、その付け根の方の太い部分が残ります。太い部分は「子房」です。花被片はその子房よりもより下の部分についていたことがわかります。つまり、「子房上位」だったことがわかります。この後、果実となる子房だけを残し、雌しべの花柱は脱落してしまいます。

【和名】テッポウユリ [鉄砲百合]
【英名】Easter Lily
【学名】Lilium longiflorum
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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ナツツバキ

ナツツバキ Stewartia pseudocamellia


ナツツバキは、本州の東北南部以西、四国、九州に分布し、山地に生える落葉高木です。庭や公園などによく植栽されています。ツバキ科ナツツバキ属の植物で、同属には「ヒメシャラ (Stewartia monadelpha)」や「ヒコサンヒメシャラ (Stewartia serrata)」などがあります。幹は直立し、高さは10m〜20mにもなります。

樹皮は非常に特徴的で、うすくはがれて、茶色や灰色などの斑模様になります。その様子は、「リョウブ」や「サルスベリ」に似たところがあります。

ナツツバキ Stewartia pseudocamellia
まだ若い木の樹皮

葉は互生。倒卵形で裏面には細かい毛があります。長さは5cm〜10cmほど。縁のギザギザ(鋸歯)は低く、遠めには全縁のように見えてしまうかも。そのかわり、葉脈はしっかりと目立ちます。裏面に向かってくぼんでいるので、主要な脈が刻まれてように入っています。「ヒメシャラ」に比べるとしっかりめの葉脈、大きさもナツツバキの方が大きめです。

ナツツバキ Stewartia pseudocamellia
若い果実

花期は6月〜7月。花は「葉腋」につきます。直径5cm程度の白色の5弁花。花弁の縁には細かい切れ込みがあります。花の下の方には2枚の「苞」があるのですが、これがガク片よりも短いのが「ナツツバキ」。苞がガク片よりも長いのは「ヒメシャラ」。「ヒコサンヒメシャラ」だとほぼ同じ長さなのだそうです。果実は「さく果」で、先のとがった卵形です。長さは1.5cm〜2cmほど、熟すと5つに裂けます。

ナツツバキは、「シャラノキ(沙羅の木)」と呼ばれることもありますが、仏教で登場する「沙羅樹」はフタバガキ科の植物なので、まったくの別種です。

学名の「Stewartia」は、ナツツバキ属の属名で、イギリス人の「J.Stewart」という人の名前にちなんでいるそうで、種小名の「pseudocamellia」には、「pseudo偽の+camelliaツバキ属」という意味があります。花の形はツバキによく似ていますが、別属です。ツバキの葉は光沢がありかたくて常緑ですが、ナツツバキの葉は柔らかく冬には落葉します。冬芽は平べったい紡錘形、数枚の「芽鱗」がありますが脱落しやすくて、「裸芽」のようにも見えます。

【和名】ナツツバキ [夏椿]
【別名】シャラノキ [沙羅の木]
【学名】Stewartia pseudocamellia
【科名】ツバキ科 THEACEAE
【撮影日】2005/07/08
【撮影地】東京都日野市(植栽)

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オオテンニンギク

オオテンニンギク Gaillardia aristataオオテンニンギク Gaillardia aristata
花の終わった状態

「テンニンギク (Gaillardia pulchella)」と「オオテンニンギク (Gaillardia aristata)」。筆者は、これまでの印象で、両者を勝手にイメージで区別していました。「テンニンギク」は一年草的で、背丈が低く花びらに見える部分が、「ヤグルマギク」のように筒状になったもの。「オオテンニンギク」の方は、多年草で背が高く花も大きくて、あまり筒状にならず、周辺にだけ舌状花がつき、赤に黄色の覆輪が入る2色のとても派手なタイプ。という思い込み。

でも、実際はそう単純なことではなさそうです。テンニンギクにも一重で赤と黄色の2色のタイプがあるようですし、テンニンギクとオオテンニンギクの交配によって改良された品種が「ガイラルディア (Gaillardia ×grandiflora)」と呼ばれて流通しているのだそうです。ガイラルディアは本来はテンニンギク属の学名ですが、日本では園芸的に改良された品種群をさしていることが多いようです。花色、形、大きさなど多様な品種が生まれていて、テンニンギクとオオテンニンギクの区別がしっかりわからない筆者にとっては非常に難解なグループ。

別種に分類されているわけなので、もっとしっかり理解したいところ。いずれも、原産地は北アメリカ南部〜中南米、花期は6月〜11月。テンニンギクは、草丈30cm〜90cm。オオテンニンギクは、草丈60cm〜90cm。花の直径5cm〜14cm。これでは、区別できませんね。

オオテンニンギク Gaillardia aristataオオテンニンギク Gaillardia aristata
蕾の状態

写真の個体は、草丈80cm、花の直径12cm。舌状花が周辺に一列だけ並び、色は赤に黄色の覆輪が入るタイプでした。筆者の中では、これが典型的な「オオテンニンギク」のイメージ。茎の下部の葉は羽状に浅く切れ込んでいましたが、上部の葉には切れ込みがなく長楕円形。葉は互生で、上部の方ではほとんど葉柄がありません。

舌状花が脱落するころには、中央部の赤い「筒状花」の部分が盛り上がって丸くなっています。一重のタイプでもそうなっていました。花の下の部分にある「総苞」は筒状になるわけではなく、蕾のときは上を向いていますが、咲き進むと垂れ下がるような状態になります。総苞片には長い毛が目立ち、先はとがっています。

写真のタイプとは別ですが、赤や黄色の単色で、ポンポンのように球形の頭花になるタイプの、あの筒状になった小花は、「筒状花」なんですかね?

【和名】オオテンニンギク [大天人菊]
【別名】ガイラルディア
【英名】Common perenial gaillardia
【学名】Gaillardia aristata
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月07日

セラスチウム

セラスチウム Cerastium tomentosum


「セラスチウム」というのは、本来はナデシコ科ミミナグサ属の学名ですが、その園芸品種の総称または、ふつう、和名を「シロミミナグサ」という植物をさしていることが多いのではないでしょうか。属名は、学名の「Cerastium」から、「セラスチウム属」または「ケラスティウム属」と表記されることもあります。同属の植物は、北半球の温帯地域を中心に広く分布していて、多くの種が知られています。そのうち日本にも数種が分布しています。ミミナグサやオランダミミナグサも同属です。

セラスチウム(シロミミナグサ)は、南ヨーロッパ原産の多年草です。草丈は10cm〜25cm。葉は対生で、長さ2cm程度の線状の披針形です。茎が地面をはうように広がるので、グランドカバープランツとしてよく植えられています。茎や葉は、全体的に細かい白い毛におおわれていて、銀白色。晴天の日には地面が白くピカピカと光り輝きます。ちなみに、学名の種小名「tomentosum」には、「密に細かい綿毛のある」という意味があります。

初夏ごろに白色の花を咲かせ、全体が真っ白ということからだと思いますが、「snow-in-summer」や「ナツユキソウ」ともいいます。しかし、「ナツユキソウ」は、もう1つ同じ名前の植物があるので要注意。それは、バラ科シモツケソウ属の「Filipendula purpurea var. albiflora」という「キョウガノコ」の白花で、セラスチウムとはまったく別の植物です。

セラスチウム Cerastium tomentosum


4月〜6月。茎の上部の「集損花序」につきます。花は白色の5弁花。花柄の先に1つずつ上向きに開きます。直径は1.5cm〜2cmくらい。花弁の先には深めの切れ込みが入っています。ただし、少し変異があるようで、浅い切れ込みのこともあります。雄しべは10本、先の「葯」は黄色。雌しべの子房は花弁やガク片よりも上の位置にある「子房上位」です。花柱は糸状のものが5本あって、花の中心から放射状に出ます。果実は「さく果」です。

7月上旬、関東の丘陵地の片隅では、シロミミナグサの花はとっくに終了し、果実もすっかり熟しています。中の種子が見えたものがあったのですが、写真は大失敗。管理されている場所では、2枚目の写真のように、再び新しい芽がのびてきてきれいなシルバーリーフになっています。しかし、放置状態のものでは、一番上の写真のように、枯れ果てた茎が横たわり、もうすぐ木枯らしでも吹くのかと錯覚するような光景でした。

【一般名】セラスチウム
【和名】シロミミナグサ [白耳菜草]
【別名】ナツユキソウ [夏雪草]
【英名】snow-in-summer
【学名】Cerastium tomentosum
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/07/07
【撮影地】東京都日野市

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(注)今回は、「セラスチウム」というタイトルですが、「シロミミナグサ (Cerastium tomentosum)」の内容になっています。

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2005年07月06日

クサイ

クサイ Juncus tenuis


クサイは、北海道、本州、四国、九州に分布する多年草です。日本以外にもアジア、ヨーロッパ、オーストラリア、南北アメリカなどの温帯〜暖帯の地域に広く分布しています。主に山野の草地にふつうに見られます。「クサイ」という名前は、「臭い」というわけではなく、「草藺」。小さな草で、同じイグサ属の「イグサ (イ Juncus decipiens)」に似ているところからきています。

草丈は、30cm〜50cmくらい。根もとの方から数本、茎が立って「そう生」します。茎は細長いものですが、踏みつけには強く、人の出入りのあるような道ばたの草地によく見られます。葉も細長い線形。しばしば、縁は上面に向かって少し巻くような状態になります。葉の基部はさや状に茎を抱き、さやの縁には「葉耳」と呼ばれる白い膜質の耳状にはりだした部分があります。茎の先のほうには、数枚の「苞」がありますが、その最も下につく苞は花序よりも長くなっています。形は葉と同様で、細長い線形。長さは5cm〜20cmです。

クサイ Juncus tenuis


花期は6月〜7月。花は茎の先の「集散花序」につきます。花弁とガク片がほとんど同じくらいの長さの先のとがった披針形で、縁の白っぽい淡い緑色という同じような色をしています。このような花を「等花被花」といいます。そして、この場合は、ガク片を「外花被片」、花弁を「内花被片」といいます。クサイの場合は、それぞれ3枚ずつ。中央には「雌しべ」があって、その雌しべの下部にある「子房」は丸くて大きく、そのまわりに6本の「雄しべ」があります。イグサ科の小さな花ですが、構造はユリ科の花に似たところがあります。

白っぽい星型の花は、意外に目を引き付けるもので、花が一斉に開いているころには、まだ瑞々しい背丈の低い草むらが、満天の星空のような光を放ちます。とはいっても、踏まれて当たり前のような場所に多いので、よく見ないと、その存在には気づかないかもしれません。

クサイの子房は、花被片よりも上にあって「子房上位」です。雌しべの先には3本のモシャモシャとした柱頭があります。花後にできる果実は長さ4mm程度。6つの花被片は、果実が熟してもまだ残っています。果実が裂開すると、中の赤茶色の小さな種子が多数、見えてきます。

【和名】クサイ [草藺]
【学名】Juncus tenuis
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月05日

ワルナスビ

ワルナスビ Solanum carolinense


ワルナスビは、北アメリカ原産の多年草で、世界各地で帰化しているそうです。ナス科ナス属の植物。地下茎をのばしてふえるので、しばしば群生しています。根茎の切れ端でも生育可能ということで、畑に侵入した場合、とてもやっかいな雑草になっています。さらに、茎や葉、花序などにトゲが多いこともあって、始末におえない害草ということから、「ワルナスビ(悪茄子)」となったと名づけられたそうです。日本で最初に確認されたのは、昭和初期、千葉県でのことだったそうです。現在では各地の道ばたなどに見られます。

草丈は40cm〜70cm程度。茎は節ごとにちょっとカクッと曲がります。茎には直角に出た鋭いトゲがあります。茎は緑色、または紫色、トゲは黄褐色。さらに、茎や葉には「星状毛」が密生しています。葉柄や葉の両面の中央脈上にもトゲがあります。表面のトゲは少なく短めですが、裏面のトゲは鋭く数も多めです。小さい写真の右側はワルナスビの葉ですが、この個体の場合、表面のトゲは1枚につき小さなものが1つか2つでした。ちょうど、ショウリョウバッタがいるあたりにあるのですが。

葉は互生。長さ10cm前後の長楕円形で、縁には大きな波状の鋸歯があります。鋸歯は不規則に3つか4つほどあって、ウネウネとした輪郭です。

ワルナスビ Solanum carolinenseワルナスビ Solanum carolinense


花期は6月〜10月。花がつく枝は、茎の節と節の間から出て、比較的太くてしっかりしたものです。その枝に数個の花が咲きます。

花冠は5つに裂け、ほぼ平開して星形に見えます。直径は2cm〜2.5cmくらい。色は白色〜淡い紫色。中央に見える雄しべの「葯」は黄色です。それも、黄色く太いバナナのような葯。ふつうの「雄しべ」のイメージだと、長い「花糸」の部分があって、葯はその先端についていて花糸よりは長さが短い印象ですが、ワルナスビの葯は花糸よりも長くて、花糸の部分は外からはほとんどわからないくらいです。一番中央にある雌しべの花柱は、細くて長い場合と短い場合があります。ガク片の先はとがって、外から見える方には毛が目立ちます。

果実は「液果」で、直径1.5cmほどの球形。ガク片は果実の時期まで残っています。熟すと黄色〜オレンジ色になります。

【和名】ワルナスビ [悪茄子]
【別名】オニナスビ、ノハラナスビ
【学名】Solanum carolinense
【科名】ナス科 SOLANACEAE
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

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ヒロハノレンリソウ

ヒロハノレンリソウ Lathyrus latifolius


ヒロハノレンリソウは、ヨーロッパ原産のつる性の多年草です。世界中で広く観賞用に栽培されています。また、それが野生化したものも多く見られるといいます。日本でも大正時代に観賞用に導入された後、現在でもよく栽培されています。そして、同様に、栽培されていたものが逃げ出して野生化していることもあります。

花も見どころですが、この植物の大きな特徴は、茎や葉ではないでしょうか。茎は平べったくて、両側に幅の広めの「翼」があります。これを見るととても強靭な印象を受けます。全体に毛はありません。よく分枝して巻きひげで絡みつくので、人の手を離れた場所では、もうグチャグチャです。高さは絡みつくのもがあれば、人の背丈を越えて2m〜3mになっていることもあります。

葉は2枚の「小葉」からなる「2出複葉」。そして、その2出複葉の先端部からは「巻きひげ」がでます。葉柄の部分にも「翼」があります。小葉の長さは5cm〜10cm程度の長楕円形。基部には、一対の「托葉」が茎をはさむような状態でついています。

ヒロハノレンリソウは、シュッコンスイートピーとも呼ばれる、マメ科レンリソウ属(Lathyrus)の植物です。同じ属の日本の在来種には、「イタチササゲ」や「レンリソウ」などがあります。また、伊吹山で見られる「キバナノレンリソウ」も同じ属の植物で、こちらも先端に巻きひげのある2出複葉で、一対の托葉が発達しています。

ヒロハノレンリソウ Lathyrus latifoliusヒロハノレンリソウ Lathyrus latifolius


花期は6月〜7月。花序は葉の脇(葉腋)からまっすぐに上に出ます。花序の長さは10cm〜30cm。穂状に花がつきます。花はとても見栄えのするマメ科らしい「蝶形花」。直径は3cmくらい。花色は紅紫色〜白色まで多様なのだそうですが、今回の場所で見られたものは、紅紫色。

蝶の羽のように見える部分は、一番外側に位置する花弁で1枚あり、「旗弁」と呼ばれます。花の中央で前方に突き出した部分では、左右から2枚、下から2枚の花弁が集まっています。左右の2枚は「翼弁」、下側のものは「竜骨弁(または舟弁)」です。ヒロハノレンリソウの場合、「旗弁」が大きくて丸い形でよく目立つので、洋ランの「デンファレ」的な雰囲気もあります。

【和名】ヒロハノレンリソウ [広葉の連理草]
【別名】シュッコンスイートピー
【学名】Lathyrus latifolius
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE (FABACEAE)
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

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ナンテンハギ

■Trackback
→「ネコな日々」さんの記事「ヒロハノレンリソウ
花、茎、葉、巻きひげのようすがよくわかります。

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posted by hanaboro at 18:29| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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