2005年08月31日

ヒメムカシヨモギ

ヒメムカシヨモギ Conyza canadensis
花穂の一部

ヒメムカシヨモギは、北アメリカ原産の越年草で、温帯〜熱帯の地域に広く帰化しています。日本に入ってきたのは、明治の初めごろのことだそうで、その後、急速に各地に分布を広げたといいます。当時、鉄道の線路に沿って広がったことから、「テツドウグサ(鉄道草)」、「メイジソウ(明治草)」、「ゴイッシンソウ(御一新草)」などと呼ばれていたとか。現在では、各地の道ばたや荒れ地などで

ふつうは秋に芽生えて、ロゼットの状態で越冬し、翌年の夏〜秋にかけて開花します。根生葉はヘラ形で、しばしば縁のギザギザ(鋸歯)は大きく丸い切れ込みになって、羽状に裂ける感じです。

茎は直立して上部のほうで枝分かれします。草丈は1m〜2m。茎には開出する毛がたくさん生えています。葉は互生。長さ7cm〜10cm、幅1cm〜1.5cmの細長い線形。縁の鋸歯はまばらで、長い毛があります。葉の色は明るめ。

ヒメムカシヨモギ Conyza canadensis
茎や葉の縁に毛がある

花期は8月〜10月。茎の上部の円錐花序にたくさんの頭花をつけます。花の周辺部には「舌状花」が1列並んでいます。その舌状花は白色で、先は浅く2つに裂けます。そして花の中央部分には「筒状花(管状花)」があります。「総苞」は筒形で幅2mmほど、「総苞片」は線形で淡い緑色、毛が1列に並んで生えています。総苞片の列の数は何だか不明瞭ですが、だいたい3列です。「そう果」は長さ1mm、淡い褐色の「冠毛」があります。

よく似た「オオアレチノギク」との大きな違いは、ヒメムカシヨモギは明らかに「舌状花」があることがわかること。「ケナシヒメムカシヨモギ」は、葉がほとんど無毛、総苞片も無毛など、名前のとおり全体に毛がないことで区別されます。

■ヒメムカシヨモギとオオアレチノギク

葉の毛茎の毛頭花の様子
ヒメムカシヨモギ縁と裏面脈上ややまばら舌状花が明瞭
総苞片の毛が少なめ
オオアレチノギク両面にある
特に裏面には多い
開出毛が密生舌状花が目立たない
総苞片の毛が多い


【和名】ヒメムカシヨモギ [姫昔蓬]
【学名】Conyza canadensis (Erigeron canadensis)
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月30日

タカサブロウ

タカサブロウ Eclipta thermalisタカサブロウ Eclipta thermalis


タカサブロウは、本州、四国、九州に分布し、水田の周辺や川べりなど湿り気の多い場所に見られる一年草です。キク科タカサブロウ属(Eclipta)の植物で、稲作とともに入ってきた「史前帰化植物」の1つと考えられています。タカサブロウという名前は、まるで人の名前みたいですけれど、残念ながらその由来ははっきりしないそうです。人の名前だとする説もありますし、「多々良比 (タタラビ)草」から転訛したものともいわれています。

草丈は10cm〜60cm。茎や葉の両面には短い剛毛がたくさん生えていて、触るとかなりザラザラします。節間の上部が少しふくらむ傾向があります。茎を切ってしばらく置いておくと、切り口が黒くなってきます。葉は対生。長さ4cm〜10cm、幅1cm〜2.8cmの披針形。

タカサブロウ Eclipta thermalis


花期は7月〜9月。頭花は直径1cmくらい。白色の「舌状花」と淡い緑白色の「筒状花」があって、両方とも結実します。舌状花は周辺部に2列あり、筒状花の先は4つに裂けています。「総苞」は半球形〜鐘形です。「総苞片」は2列、外片が内片よりも長くなっています。

そう果は長さ3mm程度。3〜4稜形で冠毛はありません。舌状花によってできたそう果は3稜形、筒状花によるものは4稜形。まわりには透明な膜状の「翼」があります。キク科の植物ですが、タンポポのような綿毛(冠毛)がないので、種子は熟すとボロボロと落ちて水に流されて運ばれます。

また、1981年に確認された「アメリカタカサブロウ (Eclipta alba)」とは、とてもよく似ています。こちらの方は水田の周辺のほか、やや乾燥したところでも見られます。アメリカタカサブロウの方が葉が細くて、そう果には「翼」がないことが区別点です。

■タカサブロウとアメリカタカサブロウ

葉の大きさそう果の形状
タカサブロウ長さ4cm〜10cm
幅1cm〜2.8cm
幅が広い
長さ2.6mm〜3.1mm
幅1.5mm〜2.0mm
周辺に膜状の翼あり
アメリカタカサブロウ長さ6cm〜10cm
幅8mm〜1.8cm
細長く鋸歯が明瞭
長さ2.4mm、幅1.9mm
翼はない


写真の個体は、葉の鋸歯はよくわかるものの、幅は広く長さは短めです。そう果はまだできていないため、確実な同定ではありません。花ではなく果実の時期でないと同定が難しいものの1つと言えるかもしれませんね。

【和名】タカサブロウ [高三郎]
【学名】Eclipta thermalis
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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アオゲイトウ

アオゲイトウ Amaranthus retroflexus
花期の姿
アオゲイトウ Amaranthus retroflexus
茎の様子


アオゲイトウは、熱帯アメリカ、北アメリカ原産の一年草です。温帯〜熱帯の地域に広く帰化してします。日本での最初の記録は1912年のことだそうで、現在では、日本各地の畑や草地、道ばたなどで見られます。

ヒユ科ヒユ属(Amaranthus)に分類されています。同属の植物には、同じようなところに生え、よく似たものがあります。例えば、「ホソアオゲイトウ」や「イヌビユ」です。これらも帰化植物で、畑や道ばたなどに生えるいわゆる「雑草」です。古い図鑑ではよくホソアオゲイトウよりは稀だと書かれていますが、特に珍しいというわけでもないと思います。

草丈は40cm〜1.5m。茎はしばしば紫褐色を帯び、軟毛が生えています。葉は互生。長さ5cm〜10cmのひし形状の卵形。特に上部の葉の先はとがります。表面には毛が少なめですが、裏面には軟毛があります。葉柄は2cm〜7cmくらいです。

アオゲイトウ Amaranthus retroflexusアオゲイトウ Amaranthus retroflexus


花期は7月〜11月。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)から花穂を出して、小さな花をたくさん密につけます。花穂は全体として円錐状に見えます。雄花と雌花がありますが、穂には両方が混じってついています。雄花の花被片は先がとがり、雌花の花被片は先が丸っこくなっています。雌しべの先は3つに分かれています。花被片は長い「苞」に包まれています。苞は、長さ5mmくらいで、先が芒状に細長くとがります。

花穂は黄緑色〜白緑色。円錐状で直立します。1つ1つの花穂の幅は1cm前後。上部では短い横枝がたくさん出ます。といっても、ホソアオゲイトウよりは枝は少なめで、枝の長さも短いです。花被片は長さ3mmくらいで5つあります。果実は「胞果」といって、種子は薄い膜状の果皮に1つずつ包まれています。その胞果は花被より明らかに短いです。果実は熟すと、横に裂けます。種子は褐色で直径1mm程度、テカテカとした光沢があります。

■よく似た種との簡単な見分け方

イヌビユは、苞が小さく目立たないこと、葉の先が丸いか凹んでいることがよい区別点。また、ホソアオゲイトウの場合は、花穂が細いこと、横枝の数が多いことによって、全体的な姿が違って見えることが多いです。

【和名】アオゲイトウ [青鶏頭]
【英名】redroot pigweed
【学名】Amaranthus retroflexus
【科名】ヒユ科 AMARANTHACEAE
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月29日

アメリカアゼナ

アメリカアゼナ Lindernia dubia subsp. major


アメリカアゼナは、北アメリカ原産の一年草です。日本を含めたアジアやヨーロッパ南部に広く帰化しています。日本では戦後に各地に広がったとされ、最初の標本は1936年に採集されたものだそうです。現在では、各地の水田や湿り気の多い畑、道ばたなどに見られます。ゴマノハグサ科アゼナ属(Lindernia)に分類されていますが、「ウリクサ属」とともに「アゼトウガラシ属」とされていることもあります。その場合の属の学名も「Lindernia」です。

よく似たアゼナ属の植物には、アメリカアゼナの1タイプとされる「タケトアゼナ(Lindernia dubia subsp. dubia)」や「ヒメアメリカアゼナ (Lindernia anagallidea)」、そして在来種の「アゼナ(Lindernia procumbens)」があります。タケトアゼナ、ヒメアメリカアゼナも北アメリカ原産の帰化種です。

茎は根もとの方で枝分かれし、草丈は10cm〜30cmほどになります。茎は四角く角ばっています。葉は対生。卵状長楕円形で、並行して走る3つ〜5つの脈が目立ちます。縁には波状の鋸歯があります。

アメリカアゼナ Lindernia dubia subsp. major


花期は6月〜9月。葉の脇に1つずつつきます。細長い花柄の先にほぼ白色〜淡い紅色の花を開きます。花冠は上唇と下唇にわかれる「二唇形」で、長さは5mm〜1cm。上唇は小さくて先端が浅く2つに裂けます。下唇は大きくて3つに裂けます。ガクは付け根の方まで深く5つに裂けて、そのガク裂片は細長い線形。時折、花を開かずに結実する「閉鎖花」もつけるとか。

アメリカアゼナとアゼナは、葉なら鋸歯の有無を見ます。鋸歯があればアメリカアゼナ、なければアゼナ。花が咲いていれば、雄しべの状態でも区別できます。まず、アゼナの場合は、4本の雄しべがすべて完全な雄しべなので、すべて先端に「葯」があります。これに対して、アメリカアゼナの方は、4本の雄しべのうち下唇側にある2本が「仮雄しべ」で、先に葯がないのです。果実は長さ5mmくらいの長い楕円形の「さく果」で、先端には細長い雌しべの花柱が残っています。

アメリカアゼナとタケトアゼナは、葉の基部の形態によって区別できます。アメリカアゼナだと、葉の基部が細く葉柄のような状態です。一方、タケトアゼナの方は、葉の基部が丸くなっていて、葉柄のようにはなっていません。そこで、アメリカアゼナをくさび状のという意味の「Cuneate」からCタイプ、タケトアゼナを丸いという意味の「Round」からRタイプと呼ぶこともあるそうです。ということで、今回の写真のものは、Cタイプ、つまり、「アメリカアゼナ」だと思います。また、ヒメアメリカアゼナは、全体に小型で、草丈は20cm程度。花の下唇に濃い紫色の斑紋があるのが特徴です。

【和名】アメリカアゼナ [亜米利加畔菜]
【英名】false pimpernel
【学名】Lindernia dubia subsp. major
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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トキンソウ

トキンソウ Centipeda minima
畑地ではよく見られる

トキンソウは、日本全土に分布し、畑や道ばた、庭などにふつうに生育する一年草です。日なたにもありますが、日陰にも多く見られます。日本以外にも、朝鮮半島、中国、インドやオーストラリアにいたるまで温帯〜熱帯に広く分布し、北米に帰化しているといいます。キク科トキンソウ属の植物ですが、これが本当にキク科の植物なのかと、疑ってしまいたくなるほど地味で目立たない小型の植物です。茎はよく枝分れして、多くの場合、四方八方に地面をはって伸びます。茎の長さはだいたい20cmくらいになりますが、地面に接したところから根を下ろします。

葉は互生。幅の細い楕円形〜さじ状のくさび形。長さは7mm〜2cm、幅は5mm前後と小さなものです。葉の先の方には3つ〜5つのギザギザ(鋸歯)があります。小さいわりには質は厚め、やや多肉質です。

トキンソウ Centipeda minima
アスファルトの隙間にも

花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)に直径3mm〜4mmの球形の「頭花」をつけます。頭花はたくさんの「小花」が集まってできた集合花です。その小花のうち、ふつう花びらに見えているのは「舌状花」ですが、トキンソウの頭花には舌状花がありません。すべて「筒状花(管状花)」殻できています。

開花が近くなってきた蕾を見ると、赤紫色をしています。この部分の筒状花は「両性花」で、10個前後あります。両性花の花冠は4つに裂けます。その両性花の周辺には、より小さくて緑色の「雌花」がたくさんつきます。

両性花、雌花ともに結実します。果実(そう果)は、とても小さくて長さは1mmちょっと。「トキンソウ」という名前は、成熟した頭花を押すと黄色の「そう果」が出てくるので、「金を吐く草」ということからきているのだそうです。

【和名】トキンソウ [吐金草]
【別名】タネヒリグサ、ハナヒリグサ
【学名】Centipeda minima
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月28日

ネバリノギラン

ネバリノギラン Aletris foliata


ネバリノギランは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地帯〜亜高山帯の草地に生える多年草です。ユリ科ソクシンラン属(Aletris)に分類されています。草丈は花茎がのびた状態で、20cm〜40cmほど。ときに50cmくらいにもなります。葉は根もとからそう生します。長さ10cm〜25cm、幅1cm〜2cmの披針形で、先はとがっていたり、あまりとがらなかったり。

よく似た「ノギラン」ですが、こちらは以前は「ノギラン属」という別属に分類されて、「Metanarthecium luteoviride」という学名になっていることもありました。しかし、これは異名として整理されたのでしょうね。現在は同じソクシンラン属に分類されて、学名は「Aletris luteoviridis」となっているようです。ノギランは粘らないし、花被片が開きます。花茎が枝分かれすることも多いです。

花期は6月〜8月。長さ20cm〜40cmほどの花茎をのばし、その茎には上部にいくにつれて小さくなる葉があります。茎の上部は総状花序になります。白っぽいような黄色っぽいようなつぼ形の小さな花がたくさん斜め上向きにつきます。花被片6個がくっついてつぼ形になり、先の方がほんの少し開くだけで、満開時でもほとんど蕾のような花です。花柄は1mmと短い。雄しべは6つ、雌しべはごく短いものです。

つぼ状の部分、つまり花被の長さは6mm〜8mmくらい。その花被の外側や花序の軸、1つ1つの花の柄の部分には「腺毛」があります。そのため、花茎を触るとベタベタと粘ります。それが名前の由来ともなっています。

果実は「さく果」で、花後には子房を包んでいる部分が楕円形にふくらんできます。その部分は膜のような感じで、長さは5mm〜6mmくらいです。

【和名】ネバリノギラン [粘り芒蘭]
【学名】Aletris foliata
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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タチシオデ

タチシオデ Smilax nipponica
若い果実

タチシオデは、本州、四国、九州に分布し、山野に生える多年草です。ユリ科またはサルトリイバラ科に分類されています。茎ははじめ直立し、途中から「巻きひげ」を出し、他のものに絡みつき、茎の長さは1m〜2mに達します。この巻きひげは「托葉」が変化したものだそうです。巻きひげは他のものに絡みついて植物体を安定させますが、巻きひげにもいろいろあって、例えば「カラスノエンドウ」だと「小葉」が変化したもので、「バイモ」だと葉の先やときに葉全体が巻きひげに変化しています。

葉は互生。長さは5cm〜10cmくらいの幅の広い卵形〜幅の狭い卵形。シオデに比べると先は丸みのあることが多いです。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。

花期は5月〜6月。シオデよりは1ヶ月ほど早めに開花しています。葉の脇(葉腋)から長めの柄を伸ばして、先は球状の「散形花序」になります。花序にはたくさんの小さな淡い黄緑色の花がつきます。雄花と雌花が別々の個体につく「雌雄異株」。花被片の数は雄花、雌花ともに6枚。雄花の花被片は長さ4mm〜5mm。雌花の花被片はちょっと小さめ。雌しべの柱頭は3つに裂けます。

タチシオデとシオデはよく似ています。両者を比べたとき、雄花の花被片の反り返り方もやや違いがありますが、この点だけでは区別しづらいこともあります。だいたいはシオデの方が激しく反り返り、タチシオデはちょっとだけという感じはあるかなぁと。また、雄しべの先の葯の形に注目すると、シオデの葯は細長い線形で、タチシオデの場合はちょっと短い長楕円形でプツプツとついている感じです。

果実は直径1cmほどの球形の「液果」で、熟すと白い粉をかぶったような黒色になります。

■タチシオデとシオデ
茎の様子葉の表裏花期果実
タチシオデはじめ直立、後につる性葉の裏面は白緑色、表面光沢なし5月〜6月白い粉をかぶったような黒色
シオデ早い時期からつる性裏面薄い緑色、表面光沢あり7月〜8月白くならない黒色


ところで、写真はというと、これはまだ若い果実です。葉柄はやや短めだし、果実の先端はとがっていないことなど、何となくシオデかもしれないとも思います。自立傾向が強い点と若い果実なりに白い粉を吹いている点から、タチシオデとしていますが、花はすっかり終わっていて未確認です。つまり、今回の写真はまったくあてになりません。

【和名】タチシオデ [立牛尾菜]
【学名】Smilax nipponica
【科名】ユリ科 LILIACEAE (サルトリイバラ科 SMILACACEAE)
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年08月27日

ホタルブクロ

ホタルブクロ Campanula punctata
2005/07/16

ホタルブクロは、日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山野や丘陵地の草地や林縁などに生えるキキョウ科ホタルブクロ属(Campanula)の多年草です。よく似た変種の「ヤマホタルブクロ (Campanula punctata var. hondoensis)」は、本州中部や関東あたりを中心に、東北〜近畿に分布しています。もう1つのよく似た「シマホタルブクロ (Campanula microdonta)」の方は、全体に毛が少なく花は小さくて、関東の太平洋岸や伊豆七島に分布しています。

ホタルブクロの根もとの方から出る「根生葉」には、長い「葉柄」がありますが、上にのびた茎から出る「茎葉」は上になるほど葉柄が短くなります。茎の上部の葉は小さく、ガクに近い部分の葉は「苞葉」になります。茎葉は互生。縁にはギザギザ(鋸歯)があります。

茎や葉には粗い毛がたくさん生えています。根生葉は、春先などに見かけるものは細長い三角状卵形のものです。花の時期にはふつうなくなっています。しかし、花が終わるころには、花のついた個体の周辺には、匍匐枝を出してふえたと思われるような、丸くて大きな卵心形の根生葉が見られます。

ホタルブクロ Campanula punctata
2005/08/17

ホタルブクロとヤマホタルブクロは、とてもよく似ています。それに変異が大きいのですよね。花冠の色や形は、同じ種類でたとえ隣同士であってもずいぶん違って見えることがあります。両者が同所的に見られることもしばしばです。ですが、だいたいなら区別することもできます。その場合は、「ガク」特に「ガク片とガク片の間」の部分に注目します。この点を見れば、典型的なものでは、ある程度生長した蕾や花がらでも何とかなったりします。

さて、そのガクですが、ガクは5つに裂けていて、裂片は5つあります。ヤマホタルブクロでは、ガク片とガク片の間がこぶ状に盛り上がっていますが、ホタルブクロの場合は、ガク片とガク片の間の「付属片」と呼ばれる部分が、外側にはっきりと反り返っています。そしてホタルブクロのガク片にはよく毛が生えていたり、縁に鋸歯が見られたりします。

花期は6月〜7月。花冠は紅紫色〜白色の釣鐘形。長さは4cm〜5cm。先は浅めに5つにさけています。花冠の中をのぞくと、花冠の内側には赤紫の斑点がたくさんあって毛が生えています。そして、雌しべの子房のまわりの鱗片にも毛がたくさん生えています。雌しべの先の「柱頭」は3つにさけ、「子房」は3つの部屋にわかれています。雄しべは5本です。

ホタルブクロの花では、雄しべと雌しべの熟す時期が違っていて、同じ花での受粉を避ける仕組みがあります。まず、雄しべが熟して花粉を出します。この時期には雌しべはまだ成熟してないので柱頭が閉じていて受粉はできません。その後、雌しべが成熟してくると、ふつうは柱頭が3つにわかれて受粉可能になります。この時期になると雄しべはしおれてしまっています。このように、雄しべの方が先に成熟することを「雄性先熟」または「雄しべ先熟」といいます。

名前は、下向きにぶら下がったように咲く花の様子を「提灯」にたとえて、提灯の古い呼び名「火垂(ほたる)」からきているとか、この花の中に捕まえた「蛍」を入れて遊んだからことからきているなどいわれています。

【和名】ホタルブクロ [蛍袋]
【学名】Campanula punctata
【科名】キキョウ科 CAMPANULACEAE
【撮影日】2005/07/16、2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月26日

ノウゼンカズラ

ノウゼンカズラ Campsis grandiflora


ノウゼンカズラは、中国原産の落葉つる性の低木です。中国では古くから薬草として用いられてきたそうで、日本に入ってきたのは平安時代のことで、以来観賞用に栽培されてきました。中国名で「凌霄花」。霄というのは「空」という意味で、天空を凌ぐほどに高くのびるために「凌霄」と名付けられたのだとか。日本ではこれを「りょうしょう」または、「のしょう」と読んでいたものが、「ノウゼン」に変化したとも言われています。

茎は長く伸び「気根(吸着根)」を出して他の植物や人工物などに吸着して、高く伸びていきます。高さは2m〜5mくらい。場合によっては10m近いことも。

ノウゼンカズラ Campsis grandifloraノウゼンカズラ Campsis grandiflora


ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属。同じ属の植物は、世界に650種ほど知られていて、他に北米原産の「アメリカノウゼンカズラ(Campsis radicans)」などがあり、ノウゼンカズラとの交雑種も栽培されています。アメリカノウゼンカズラは、ノウゼンカズラとよく似ていますが、全体的に小型です。花序は短く、花は小さくて裂片はあまり平開せず、より花筒の部分が長くなっています。花の色はノウゼンカズラより濃いめのことが多く、濃橙色や黄色などです。

ちなみに、アメリカノウゼンカズラの種小名「radicans」には、「根を生ずる」という意味があり、ノウゼンカズラの種小名「grandiflora」には、「大きい花の」という意味があります。

葉は対生。3対〜6対の小葉からなる「奇数羽状複葉」です。1つ1つの小葉は長卵形、先は細長くとがって縁には粗めのギザギザ(鋸歯)があります。無毛で表面にはやや光沢があります。

ノウゼンカズラ Campsis grandiflora


花期は6月〜9月。枝先の円錐花序にたくさんの花を咲かせます。花は花序に対生してつき、花冠は直径6cm〜7cmほどのラッパ形。色は橙黄色。先は5つに裂けて、平たく開きます。裂片は丸く大きい。ガクも5つに裂けます。ガク裂片の先はシャープでとがっています。

豊富に蜜を出すらしく、たくさんのアリが群がっていることがあります。もう本当、気持ちの悪くなるくらいです。どんな様子なのか、下記リンクから写真が見られます。見ても大丈夫な方だけクリックしてください。

アリまみれのノウゼンカズラ(JPG画像のみ別窓、36KB)

【和名】ノウゼンカズラ [凌霄花]
【英名】trumpet creeper
【学名】Campsis grandiflora
【科名】ノウゼンカズラ科 BIGNONIACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月25日

ロベリア・バリダ

ロベリア・バリダ Lobelia valida


ロベリア・バリダは、南アフリカ原産の立ち性の「ロベリア」です。海岸近くの石灰岩地に多く生えているのだそうです。ロベリアというのは、本来はキキョウ科ロベリア属(ミゾカクシ属 Lobelia)の属の学名ですが、「ロベリア」というと、ふつうは秋播きの一年草として扱われる「ロベリア・エリヌス (Lobelia erinus)」の品種群を指すことが多いです。別名を「ルリチョウソウ(瑠璃蝶草)」、「ルリミゾカクシ(瑠璃溝隠し)」ともいいます。また、同属の植物は世界に200種ほどが知られていて、日本にも「サワギキョウ」や「ミゾカクシ」などが分布しています。

ロベリア・バリダは、常緑多年草ですが、日本での園芸的な取り扱いは「宿根草」。「宿根ロベリア」という名前で流通していることもあります。茎は直立して草丈は30cm〜60cmほど。茎には「稜」があって、しっかりとした印象です。葉は互生で、葉柄はありません。葉の縁はやや不規則にギザギザと切れ込みます。茎の下部の方の葉は大きいですが、上部の葉はやや小さめ。主な葉脈以外は目立たず、少し多肉質。

ロベリア・バリダ Lobelia valida


花期は6月〜10月。花冠は上唇と下唇に分かれる「二唇形」で、左右相称です。直径は1.5cmくらい。雄しべの葯は合着して花柱を取り囲むのが同属の特徴なので、恐らくロベリア・バリダもそうなっていると思いますが、今のところ未確認。最初、茎の先端に総状花序を出して花がひととおり咲いて、それが終わっても、下部から枝分かれしてその先にまた花序をのばします。

上唇は2つに深く裂け、下唇はやや浅めに3つに裂けます。上唇の裂片はやや細く、下唇の裂片は幅が広めで丸っこくなります。花冠は淡い青色〜青紫色。下唇の中心部は白色で小さな黄色の斑紋があります。

【和名】ロベリア・バリダ
【学名】Lobelia valida
【科名】キキョウ科 CAMPANULACEAE
【撮影日】2005/08/17、2005/07/02
【撮影地】東京都日野市

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サワギキョウ

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ナンキンハゼ

ナンキンハゼ Triadica sebifera
若い果実

ナンキンハゼは、中国原産の落葉高木です。日本でも暖かい地域では野生化していることもあります。秋の紅葉はとても美しく公園樹や街路樹としてよく植えられています。高さは15mほどまでなります。樹皮は灰褐色で縦に裂けます。トウダイグサ科の植物で、枝を傷つけると白い乳液が出てきます。冬芽は丸っこい三角形で枝にくっついています。雄花と雌花がありますが同じ株につく「雌雄同株」です。

ナンキンハゼ Triadica sebifera
樹皮

葉は互生。ひし形に近い幅の広い卵形で、先端はスッーと急に細長くなってとがります。新葉は赤みを帯びています。長さは3cm〜7cmくらい。葉は堅め、両面ともにけはありません。裏面は色が薄く白っぽい。葉柄は長さ5cm前後、葉の基部には「腺体」があります。

ナンキンハゼ Triadica sebiferaナンキンハゼ Triadica sebifera


花期は6月〜7月。枝の先や葉の脇(葉腋)に穂状の花序を出して多数の花をつけます。花序の長さは6cm〜18cm。花は黄色ですが、花弁はありません。雌花は花序の基部に5個〜10個ほどつき、それ以外は雄花でたくさんつきます。雄しべは2本、雌しべは3裂して先は開きます。雄花と雌花の成熟する時期がずれているのですが、雄花が先か雌花が先かは個体によって違っているそうです。

果実は「さく果」で、直径1cm〜1.5cmほどの球形。1つの果実に種子は3つできます。秋に熟すと果皮は黒褐色になり、先が3つに裂けて、白いロウ質に包まれた種子が出てきます。その白いロウ質の部分は「仮種皮」です。種子は有毒ですが、これからロウソクや石けんの原料となる油がとられます。晩秋のころになって、すっかり落葉してしまっても、枝先には果皮は落ちてなくなった白い種子だけがよく残っています。野鳥たちはこの種子をよく食べていますが、ヒトは食べられないので要注意。

【和名】ナンキンハゼ [南京黄櫨]
【学名】Triadica sebifera (Sapium sebiferum)
【科名】トウダイグサ科 EUPHORBIACEAE
【撮影日】2005/08/07
【撮影地】東京都立川市

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2005年08月24日

セイヨウシャクナゲ

セイヨウシャクナゲ Rhododendron hybrids


セイヨウシャクナゲは、高さ50cm〜1.8mほどのツツジ科ツツジ属の常緑低木で、中国、ヒマラヤ、ブータンなどに生育するツツジ属の多くの種が交配されて作り出されたシャクナゲの園芸品種群のことをいいます。ヨーロッパ、特にイギリスでは19世紀からさかんに育種が行われてきたそうで、多くの品種があります。日本に入ってきたのは明治時代のことだそうで、近年では日本の種も交配親に用いられているのだそうです。

属名の「Rhododendron」から単に「ロードデンドロン」と呼ばれることもありますが、「Rhododendron」はツツジ属ですので、いわゆる「シャクナゲ」の仲間以外のもの多く含まれています。ちなみに「Rhododendron」には、「rhodon(バラ) + dendron(樹木)」という意味があります。

葉は枝の先に集まって互生し、一見、輪生しているように見えます。葉身は長楕円形、長さ5cm〜10cm、幅は2cm〜3.5cmくらい。質はやや硬く、表面には光沢があります。ふつう日本に自生している種だと葉の裏面に毛が生えて褐色がかっていますが、多くの場合、セイヨウシャクナゲの葉の裏面には毛がないか、少ないです。葉の厚さも薄め。

花期は5月〜6月。枝の先にかたまってたくさんの花を咲かせます。花冠は漏斗状の鐘形で、先は5つに裂けます。花冠の色は、紅紫色、白色、桃色、赤色、黄色などがあります。直径は5cm〜8cmほど。

果実は「さく果」で、長さ1.5cmほどの円柱形。長い雌しべの花柱が、花後しばらく残っています。写真の個体は、花冠の中心部は白色で縁が紅紫色のものですが、品種名は不明です。夏も終わりのこの時期に、こんな果実をつけたままなので、この枝は来年の開花は望めそうにないですね。

【一般名】セイヨウシャクナゲ [西洋石楠花]
【別名】ロードデンドロン
【学名】Rhododendron hybrids
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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オニシオガマ

オニシオガマ Pedicularis nipponica


オニシオガマは、本州中部以北の日本海側に分布し、山地帯〜亜高山帯の湿地や湿り気の多い場所に生える多年草です。ゴマノハグサ科シオガマギク属(Pedicularis)の植物で、同属は北半球に500種ほど知られています。茎は太くてほとんど分枝せず、まっすぐにのび、草丈は30cm〜1m。茎、葉、花序、苞、ガクなど全体に白い毛が密生しています。

葉は5枚くらいが根もとの方に集まってつき、茎の上部につく葉は小さくて対生します。根元のほうの葉は、長さ10cm〜30cmほど、幅10cm前後で、羽状に全裂して、裂片はさらに深く切れ込み、縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。一見、シダ植物のような葉です。茎葉は上部ほど小さくなり、羽状に裂けるという感じではなく、苞のような状態になります。

花期は8月〜9月。茎の上部の花序にややまばらに花をつけます。花序は長さ10cm〜20cm、最初短く次第にのびて、大きな個体では最終的には25cmくらいになります。花冠は上唇と下唇のある「二唇形」で、長さは3.5cm〜4cmと大型です。色は紅紫色。上唇は少し湾曲した舟形、先端はヨツバシオガマのような長いくちばしではありません。下唇は3つに裂け、裂片は丸いです。ガクの先は5つに裂けます。写真はまだ、花茎が伸びてきているところで、ずんぐりと太くて節間がつまっています。蕾もまだ見えていません。

関東〜東海の太平洋側の山地帯には、近縁の「ハンカイシオガマ (Pedicularis gloriosa)」が分布していますが、こちらは林内〜林縁に生育し、茎は細長く大きな個体ではよく枝分かれします。

【和名】オニシオガマ [鬼塩竈]
【学名】Pedicularis nipponica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年08月23日

オオバタケシマラン

オオバタケシマラン Streptopus amplexifolius var. papillatus


オオバタケシマランは、北海道、本州中部以北に分布し、亜高山帯〜高山帯の林縁、林内に生育する多年草です。茎は斜めにのび、草丈は50cm〜1mほど。枝分かれしないこともありますが、ふつうは上部で3つくらいに枝分かれします。ユリ科タケシマラン属(Streptopus)の植物で、同属は北半球に10種ほど知られています。日本ではオオバタケシマランの他に少し小さめで果実が球形の「タケシマラン」、果実の黒い「クロミノタケシマラン」、「ヒメタケシマラン」などがあります。

葉は長さ3cm〜10cmくらい。幅の広めの長卵形〜卵形で、先端は尾状に細くとがります。葉柄はなく、葉の基部は心形で茎を抱きます。縁には細かい突起状の毛があって、ふつう裏面はやや白っぽくなります。

オオバタケシマラン Streptopus amplexifolius var. papillatus


花期は7月〜8月。葉腋から細長い花柄を出して、1つずつ花をつけます。花柄の途中には関節があって、花柄がねじれるのが特徴です。そして幅の広い釣鐘形の花は下向きに開きます。花被片は6つで淡い黄緑色、基部の方は茶褐色を帯びています。花被片の長さは1cm内外で、先の方から半分ほどが外側に激しく反り返ります。雌しべの花柱は長さ4mm。果実は楕円形の「液果」で、熟すと赤く艶やかな果実になります。長さは8mm〜9mmほどです。

タケシマランとはよく似ていますが、タケシマランの場合は、葉があまり茎を抱かないことや、花柄がねじれないこと、花柱が目立たないことなどで区別されます。

【和名】オオバタケシマラン [大葉竹縞蘭]
【学名】Streptopus amplexifolius var. papillatus
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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ヤチカワズスゲ

ヤチカワズスゲ Carex omiana var. omiana


ヤチカワズスゲは、北海道、本州、四国、九州に分布し、湿地に生える多年草です。茎(または稈ともいう)は細く根もとの方からそう生し、草丈は30cm〜50cmほど。カヤツリグサ科スゲ属に分類されています。葉は長さ10cm〜30cm、幅2mmくらいと非常に細い線形。名前の「ヤチ」は「湿地」で、蛙のいるような湿地にはえる菅という意味だそうです。

花期は5月〜7月。茎の先の方に3つ〜5つの「小穂」をつけます。小穂は星のような金平糖のような形で、少し間隔をあけて穂状に並んでいます。小穂には雄花と雌花をつけ、一番上の「頂小穂」は多くが雄花で。雌花の果胞は披針形で長さ4mm〜5mm、鱗片より長く、先はくちばし状になって、浅く2つに裂けます。柱頭は2つ。咲き進んで果実が熟すにつれて、果胞は外側に開出します。

同じような場所に生え、星型の小穂をつける「ミタケスゲ」は、ヤチカワズスゲよりはずっと大型。小穂もミタケスゲは直径2cmくらいでよく目立つものですが、ヤチカワズスゲは1cmあるかどうかというくらいでかなり小さいです。

【和名】ヤチカワズスゲ [谷地蛙菅]
【学名】Carex omiana var. omiana
【科名】カヤツリグサ科 CYPERACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年08月22日

オトギリソウ

オトギリソウ Hypericum erectum


オトギリソウは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地〜亜高山帯まで日当たりのよい草地などに生育する多年草です。茎はまっすぐにのび、草丈は30cm〜60cmほどになります。茎や葉、花には「腺体」があります。赤い色素を含み黒く見えるものを「黒点」や「黒線」といって、赤の色素を含まないものを「明点」や「明線」といいます。

葉は対生。葉柄はなく葉の基部はやや茎を抱く感じになります。長さは5cm前後、幅は1cm前後の幅の広い披針形。ふつう黒点があり、明点はありません。葉の大きさや形、黒点の有無など変異が多くて、なかなか難しいところです。

花期は7月〜8月。茎の先の「集散花序」に多数の黄色の5弁花をつけます。1つの花は一日でしぼんでしまう「一日花」。直径は1.5cm〜2cm。1つ1つの花弁は長さ8mm〜1cmくらい。ガクは5つに裂け、ガク片は幅の狭い楕円形、先は丸く、長さは5mmくらい。花弁やガク片に黒点や黒線があります。やや縁に多いです。

雄しべは多数あって、基部のほうでいくつかくっついて束になります。その束が3つあります。雌しべは1つで、花柱は3つに裂けています。果実は「さく果」で、長さ5mm〜1cmほど。縦に明線があります。

オトギリソウという名前は、傷を治す秘伝の薬草のことを他人にもらしてしまった弟を、鷹匠の兄が怒って斬ってしまったという平安時代の伝説からきているそうで、そのときに飛び散った血が、この葉などの黒点となったのだとか。「和漢三才図絵」に記されているそうです。これまたすごい名前ですね。

【和名】オトギリソウ [弟切草]
【学名】Hypericum erectum
【科名】オトギリソウ科 CLUSIACEAE (GUTTIFERAE)
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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ミタケスゲ

ミタケスゲ Carex michauxiana subsp. asiatica


ミタケスゲは、東北アジアの寒地に分布し、日本では主に北海道、本州以北に見られるカヤツリグサ科スゲ属(Carex)の多年草です。主に亜高山帯〜高山帯のミズゴケの生えるような「高層湿原」に生育し、茎や葉は根もとのほうからそう生し、草丈は20cm〜50cm。茎(稈:かん)は細長く2枚〜3枚の葉をつけます。葉はちょっと堅め、幅5mmくらい、細長い剣状。

花期は6月〜7月。小穂は3つ〜5つ。一番上の「頂小穂」が雄の小穂で、他の「側小穂」は雌の小穂です。苞には鞘があって、鱗片は淡い褐色で果胞より短く2分の1くらいの長さです。芒はありません。

雄小穂は褐色がかった細長い線形で雌小穂より長くなります。雌小穂の果胞は淡い緑色で細長く、先の方はくちばし状。果胞は長さ1cm〜1.3cmの円柱形。くちばしの部分以外は無毛です。先端のヒゲのようなものは雌しべの柱頭で3つあります。果実の時期には果胞は放射状に開出して、小穂は星のような形になります。

ミタケスゲ Carex michauxiana subsp. asiatica


以前、尾瀬の湿原の保護についてお話をうかがったことがあります。そのとき、踏みつけなどによって荒廃してしまった湿原の回復に、このミタケスゲの種子が利用されていることを知りました。外部からの種子を持ち込んだりはせず、尾瀬ヶ原にもともと生育している植物の種子によって復元が試みられ、調査研究されてきたそうです。そこで、ミタケスゲは種子の集めやすさ、発芽率のよさ、発芽後の生長のよさなどにすぐれた重要な種なのだとか。

尾瀬は、自然の美しさに感動するだけではなく、傷ついた自然の姿、そして日本の自然保護の原点や歴史、それに携わる方々の努力、そういったことを見て感じ、学ぶことのできる場所だと思います。

【和名】ミタケスゲ [深岳菅、御嶽菅]
【学名】Carex michauxiana subsp. asiatica
【科名】カヤツリグサ科 CYPERACEAE
【撮影日】2005/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

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2005年08月21日

モミジアオイ

モミジアオイ Hibiscus coccineus


モミジアオイは、北アメリカ原産のアオイ科フヨウ属(Hibiscus)の植物です。茎は直立して高さは2mほどまでなります。茎はふつう無毛で、白い粉を吹いたような感じ。ほとんど途中で枝分かれせず、直立します。

葉は互生で、長めの葉柄があります。名前の通り、葉は3つ〜5つに深く切れ込んでモミジのような形をしています。葉身の長さは15cm〜20cmほど。縁のギザギザ(鋸歯)はやや不ぞろい。切れ込みの度合いは少し変異があるようで、今回の写真のものはやや浅めの切れ込みです。

モミジアオイ Hibiscus coccineusモミジアオイ Hibiscus coccineus


花期は8月〜9月。花は茎の上部の葉の脇(葉柄)から、長めの花柄を出して、その先に1つずつついています。茎の上部は節間がつまっているので、蕾のときなどは、1つの花序に数個の花がかたまってついているように見えることもありますが、ふつう1つの節につく花は1つ。茎の下部についた花ほど花柄は長くなっています。

花は直径15cmほどの5弁花。横向き〜やや上向きに開きます。1つの花は1日だけでしぼんでしまう「一日花」。花弁は濃い赤色〜桃色、特に基部の方は幅が細めで正開したときに、花弁と花弁の間が開いています。

雄しべや雌しべの状態は、他のフヨウ属の植物と同様で、ブラシのようなものが、花の中央から突き出しています。ムクゲやフヨウよりは、細長い筒状の部分が長く、より細長く突き出しています。一番先に突き出しているのは雌しべで、先端の柱頭は5つあります。雄しべと雌しべはくっついていて、長い雌しべのまわりを、筒状に集まった雄しべ群が包んだような状態になっています。

花が終わると、受精できなかった花は、花柄の途中のやや太くなっている部分から先が、丸ごとボロっと落ちてしまいます。

モミジアオイ Hibiscus coccineusモミジアオイ Hibiscus coccineus


モミジアオイは、中国名から別名「紅蜀葵(コウショッキ)」とも呼ばれます。これに対する名前で登場するのが、「黄蜀葵(オウショッキ)」。こちらは花弁が黄色で、「トロロアオイ (Abelmoschus manihot)」の別名です。同じアオイ科ですが、トロロアオイの方はトロロアオイ属に分類されています。

【和名】モミジアオイ [紅葉葵]
【別名】コウショッキ [紅蜀葵]
【学名】Hibiscus coccineus
【科名】アオイ科 MALVACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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ミヤマハンノキ

ミヤマハンノキ Alnus crispa subsp. maximowiczii


ミヤマハンノキは、アジア東北部に分布し、日本では北海道、本州中部以北、大山の一部に見られる落葉低木です。カバノキ科ハンノキ属(Alnus)に分類されています。亜高山帯〜高山帯に生育し、高さは2m〜6m、ときにそれ以上。ふつう標高が高いところに生育するのもほど高さは低くなります。低木状になったものでは下部からよく分枝して広がります。

葉は互生。1cm〜3cmくらいの葉柄があり、葉身は幅の広い卵形で、長さは5cm〜10cm、先はとがっています。表面は濃い緑色で光沢があり、裏面は葉の側脈は8対〜12対、裏面に隆起し、表面から見ると深く刻み込まれたようになっています。縁の鋸歯(ギザギザ)は大きいギザギザや小さいギザギザがあって、ちょっと不規則。小さいギザギザは非常に細かいです。鋸歯の先はやや長くとがる感じ。裏面には「腺点」があるので、ちょっとネバネバ。

ミヤマハンノキ Alnus crispa subsp. maximowiczii


花期は5月〜7月。葉が開くのと同時に開花し始めます。花は「単性」で雄花と雌花がありますが、同じ個体につく「雌雄同株」です。雄の花序は長さは4cm〜5cmで、下向きにのび、垂れ下がります。雌の花序はやや幅の狭い卵形で、散房状に上向きに数個が集まってつきます。雄花序は「花芽」からのび、雌花序は「混芽」からのびます。1つの混芽から出るのは数個の雌花序と2枚の葉。雄花序は黄褐色でふつう柄がありませんが、雌花序は紫褐色で有柄。

9月〜10月ごろ、果実(堅果)が熟します。幅の広い楕円形で、小さな松ぼっくりのような「果穂」は、長さ1cm〜1.5cmほど。扇形の「果苞(果鱗)」が連なっていますが、この部分は熟すと木質化して外側に開いてきます。ダケカンバだと果鱗は先の方から落ちていきますが、ミヤマハンノキの果鱗は落ちずに残ります。

【和名】ミヤマハンノキ [深山榛の木]
【学名】Alnus crispa subsp. maximowiczii
【科名】カバノキ科 BETULACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月20日

ツガザクラ

ツガザクラ Phyllodoce nipponica


ツガザクラは、本州中部以北、近畿や中国地方の一部、四国に分布し、亜高山帯〜高山帯の岩場や礫地などに生育しています。高さ5cm〜20cmほどのツツジ科ツガザクラ属の常緑矮性低木です。いろいろと変異が多く、いくつかの種内分類群も認められているし、種間雑種ができることも知られていて、少し複雑なところもあります。

茎はよく枝分かれして、下の方は地面をはうようにのびます。若い枝には刺状の小さな突起があって、ブツブツしています。葉は互生、密につきます。質は厚く、長さ5mm〜8mm、幅1mm〜2mmくらいの線形。縁には非常に細かい鋸歯(ギザギザ)があります。

ツガザクラ Phyllodoce nipponica


主な花期は7月〜8月。枝先から長さ2cmくらいの細長い花柄をだして、その先端に下向きに咲きます。1つの花柄に1つずつ、1つの枝の先に1個〜数個。花冠はごく淡い紅色を帯びた白色。釣鐘形で先は5つに浅く裂けて、裂片は少し外側に反り返ります。花冠は長さ5mm〜7mm。10本の雄しべがあります。ガクは5つに裂け、ガク片は紅紫色。花柄も紅紫色で、腺毛とごく細かい毛が密生しています。

花は下向きですが、果実は上を向きます。果実は直径3mm〜4mmの球形の「さく果」で、熟すと上から5つに割れます。花が終わって若い果実ができているころには、まだ中心に花柱が残っているのですが、写真ではもう見当たりませんでした。上の写真ではガク片に包まれた果実が見えますが、果実にはかなりたくさんの微毛が生えています。下の写真では、もう果実は裂けて、果柄ごとほとんど枯れています。わずかに小さな種子が残っているのみでした。

【和名】ツガザクラ [栂桜]
【学名】Phyllodoce nipponica
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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