2005年08月20日

ハイマツ

ハイマツ Pinus pumila
前年度にできた球果

ハイマツは、日本では北海道と本州中部以北に分布し、亜高山帯〜高山帯の砂礫地や岩場などに生育しています。マツ科マツ属の常緑低木で、よく大群落となっています。高さは地面をはう状態のものから1mほどにのびたものまで。標高がやや低めでそれほど風当たりの強くないところでは高くなっています。それに対して、特に風当たりのかなり強い尾根などでは、ハイマツという名前の通り、高さも低くよく分枝して、地面をはうように広がっています。地面についた枝からは根を下ろし、さらにどんどん枝を伸ばし、次第に地面を覆いつくほどのハイマツの純林となるわけです。

葉には2つのタイプがあって、長枝には「鱗片葉」、短枝には「針状葉」と「鱗片葉」があります。針状葉は短枝の5つずつ束になってつき、ただ針のような細長いものに見えますが、3稜形です。長さは3cm〜10cmくらい。白色の「気孔線」があります。写真の中で茶色くてヒラヒラしたのが「鱗片葉」。

ハイマツ Pinus pumila


花期は6月〜7月。雄花と雌花が同じ株につく「雌雄同株」。小さい松ぼっくり形の球花です。雄花は今年度にのびた枝のやや下の方につき、上部に雌花がふつう1個〜2個つきます。果実は長さ5cmくらいの「球果」で、翌年の夏〜秋に熟して緑っぽい褐色になります。球果にはたくさんの「種鱗」という広卵形のものが重なり合ってついています。この種鱗の中に種子が入っています。

ハイマツ林の縁で立ち止まると、バサバサバ〜とすごい音が。飛び立ったのはホシガラス。どうやら縄張りをおかしてしまっていたようです。ときどき登山道の岩の上なんかに、グチャグチャのハイマツの球果が落ちている。犯人はあなたでしたか。ハイマツにとっては、地面をおおった暗いハイマツ林に球果が落ちるよりは、別の場所へ球果を運んでくれる方がよい。ホシガラスは重要なパートナーなんですね。

【和名】ハイマツ [這松]
【学名】Pinus pumila
【科名】マツ科 PINACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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ミネウスユキソウ

ミネウスユキソウ Leontopodium japonicum var. shiroumense


ミネウスユキソウは、本州中部以北に分布し、高山帯の乾燥した草地や礫地などに生育しています。キク科ウスユキソウ属の多年草です。ヨーロッパアルプスの「エーデルワイス (Leontopodium alpinum)」と同じ属。同属の英名は、Edelweissのほかに、Lion's footとも。

草丈は10cm程度。花のつかない茎もそれなりにのびてきます。「ミヤマウスユキソウ」や「ハヤチネウスユキソウ」などは花が咲く時期に、花のない茎に根生葉が見られますが、「ウスユキソウ」や「ミネウスユキソウ」は花の時期には根生葉が残っていないのがふつうです。

のびた茎につく茎葉は、披針形〜長楕円形で先がとがっています。長さは2cm〜4cm、柔らかさはないものの、シャープで整った形には好感が持てます。ウスユキソウ属にしては、茎葉の表面の綿毛は少なく緑色で、ちょっと白っぽいという感じ。裏面には密生しています。茎の上部に放射状につき、綿毛が密生して白く見えるのは「苞葉」です。花びらではありませぬ。長短混じってついていますが、だいたいは茎葉より小さめ。

ミネウスユキソウ Leontopodium japonicum var. shiroumense


花期は7月〜8月。茎の先の1個〜数個の頭花をつけます。そこでポイントとなるのが、花柄の長さです。花柄がないかごく短い柄がある場合は、「ミネウスユキソウ」で、明瞭な花柄があって中央の花序と周りの小さな花序に分かれている場合は母種の「ウスユキソウ (Leontopodium japonicum)」。とはいうものの、はっきり区別できない場合もあります。ウスユキソウも咲き始めはまだ花柄がのびていなかったりするそうですし。ラフな感じで考えると、より標高が高いところで見ると、「ミネ」の方にしたい気分になりますね。

頭花には花びら(舌状花)はなく、「筒状花(管状花)」のみ。花序の軸や茎、頭花の総苞の部分にも綿毛があります。総苞は長さ2mm〜4mmくらい。やや丸みのある卵形で、先のほうはちょっととがっています。数個の頭花がつく場合、中央の大きめの頭花が最初に咲き始め、周辺の頭花は後から開花が始まります。ちょっと時期を逃したときに中央が茶色くて、残念ってこともあるでしょう。筒状花には雄花と雌花があるようなのですが、ちょっとこの状態ではよくわかりませんね。

【和名】ミネウスユキソウ [峰薄雪草]
【学名】Leontopodium japonicum var. shiroumense
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月19日

ヒメイワショウブ

ヒメイワショウブ Tofieldia okuboi


ヒメイワショウブは、北海道と本州中部以北に分布しています。亜高山帯〜高山帯の礫地や岩場の隙間などに生育するユリ科チシマゼキショウ属の多年草です。草丈は5cm〜15cmほど。

葉は多くが根生葉で、長さ1.5cm〜5cmを超えるくらい、幅は5mm前後の剣状。花茎にも茎葉が2枚〜3枚つきますが、根生葉よりはかなり小さいものです。葉は互生で、左右から互い違いに組み合わさって、平たくなっています。葉の先はあまり鋭くとがらず、一番先端はポチッ丸っこい硬い点に終わります。同属の「チシマゼキショウ (Tofieldia coccinea var. coccinea)」によく似ていますが、そちらの場合は、葉の先がとがっています。全然ちがうものですが、葉の感じだけだとアヤメ科の「ニワゼキショウ (Sisyrinchium atlanticum)」に似ているところもあります。

ヒメイワショウブ Tofieldia okuboi


花期は7月〜8月。花茎は根生葉の間からのびてきて、高さ5cm〜15cmほど。その茎の上部、長さ1cm〜4cmの部分が花序になります。花は10個前後がかたまって上向きに開き、花被片は白色で、長さは2mmちょっと。花の中心には緑色の雌しべがあって、花柱の先端部分が浅く3つに裂けますが、その裂け目の延長線が雌しべの下までのびて、3本縦の割れ目が入った状態です。雄しべは6本あって先端の「葯」は黄色です。

花柄はごく短く1.5mm〜3mm。花柄の基部には小さな鱗片状の「苞」があります。そしてさらにその上、つまり花のすぐ下には苞よりも小さな「小苞」があります。もともと小さな植物で花も小さいのですが、以外にもその花序がにぎやかに見えるのは、ヒラヒラとした細長いものがいろいろあるからでしょうね。花被片、雄しべ、雌しべの縦すじ、苞など。

果実は長さ4mm、楕円形の「さく果」で、上向きにつきます。

【和名】ヒメイワショウブ [姫岩菖蒲]
【学名】Tofieldia okuboi
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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コケモモ

コケモモ Vaccinium vitis-idaea


コケモモは、北半球北部の分布し、日本では北海道、本州、四国、九州と、高山植物としては広く見られます。亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の縁や岩場などに生育する常緑矮性低木です。ツツジ科スノキ属(Vaccinium)に分類されています。

茎は根もとの方では地面をはって、上部は斜めにのびます。よく枝分かれして、高さは5cm〜20cmほど。花をつける茎は上部もやや上を向く度合いが減って、果実がみのるころには茎全体が下垂するというか、地面をはうような状態に近づく感じ。

葉は互生。一応、葉柄があって、その長さは1mmくらいです。葉身は先端の方が少しだけへこむ楕円形で、そのへこんだ部分にはごく小さな突起状の「腺」が見られます。縁のギザギザ(鋸歯)は波状でほとんど目立たず、全縁に近いです。葉の長さはだいたい数mm〜1cmくらいですが、生育環境によっては、2cmを超えていることもあります。分厚く表面には光沢があって、中央を走る葉脈がよく目立ちます。

コケモモ Vaccinium vitis-idaea


花期は7月〜9月。前年度にのびた枝先の「葉腋」から総状花序が出ます。1つの花序につく花数は、2個〜6個程度、下向きに開きます。花冠は白色〜紅紫色の鐘形。長さは5mm前後で先は4つに裂けます。その先端部分は外側に反り返ります。

花序の中軸や1つ1つの花の柄は、ふつう赤みを帯びています。花や果実の華やかさに目を奪われてしまいますが、花序は何だかちょっとデコボコした感じがあります。それは、花柄のつけ根に「苞」や「小苞」があるためです。大きい苞、といっても小さいのですが、苞は1つ、それより小さい小苞は2つあります。雄しべは8本。赤みを帯びたガクも4つに裂けます。

果実は球形の「液果」で、直径は6mm〜7mm。真っ赤に熟してツヤツヤした光沢があります。種小名にある「vitis」はブドウのという意味で、「idaea」はクレタ島のイダ山のという意味だそうです。

【和名】コケモモ [苔桃]
【別名】コバノコケモモ
【学名】Vaccinium vitis-idaea
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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ガンコウラン

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


ガンコウランは、日本では北海道、本州中部以北の高山に分布し、亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の縁や雪田周辺の砂礫地などに生育する常緑矮性低木です。茎はよく枝分かれして地面をはうようにマット状に広がって、よく群生しています。茎はやや斜めに伸び、高さは10cm〜20cmほどです。

名前に「ラン」とつきますが、ラン科の植物ではなく、ガンコウラン科ガンコウラン属の木本です。同じ属の植物は、ヨーロッパや北アメリカなどに分布する「セイヨウガンコウラン (Empetrum nigrum var. nigrum)」と、もう1種が南アメリカに分布しているのだとか。日本ではガンコウラン1種のみ生育しています。属の学名「Empetrum」は、ギリシャの古名から来ているそうで、「岩の中」という意味があります。きっと、岩場の間に生えるとかそういうことなのではないかと。また、種小名の「nigrum」には、「黒色の」という意味があります。

葉は密に互生し、長さ5mm前後、幅1mmほどの線形です。分厚くて縁は裏面に向かって巻き込んでいます。表面には光沢があります。葉だけ見ると、ツツジ科の「ミネズオウ (Loiseleuria procumbens)」や「ツガザクラ (Phyllodoce nipponica)」などに似ているところもあります。

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


花期は5月〜6月。雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」。花は前年度にのびた枝の葉の脇(葉腋)に1つずつつきます。直径4mm〜5mm程度の小さな花です。花弁とガク片は3つずつ。雄花の雄しべは3つ。というように「3」が基本となった3数性。3つの雄しべは長くて、葯、花糸ともに濃く暗い紅色。雌花の中央には6つ〜9つに裂けて扇のように広がった雌しべの柱頭があります。柱頭は濃い紫色。子房は上位で、6〜9室からなっています。

果実は球形の「核果」で、直径は8mmくらい、熟すと黒紫色になります。高山植物の中では花期が早めで、ほかの多くの高山植物の花が最盛期となり、夏山登山のピークにもなるころにはだいたい熟した果実が見られます。8月下旬ともなれば、よくよく見ないと花の残りも気づかないし、果実もちょっとまばら。高山に暮らす動物たちの食料になったのでしょうね、きっと。

【和名】ガンコウラン [岩高蘭]
【学名】Empetrum nigrum var. japonicum
【科名】ガンコウラン科 EMPETRACEAE
【撮影日】2005/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月18日

ミヤマカニツリ

ミヤマカニツリ Trisetum koidzumianum


ミヤマカニツリは、日本固有種で、本州中部の高山帯に分布する、いわゆる「高山植物」の1つです。高山の岩礫地や砂礫の多い草地に生育するイネ科カニツリグサ属の多年草です。草丈は15cm〜40cm。線形の葉がそう生します。

夏の終わりの高山帯で、この茶色っぽいような白っぽいようなボサボサを見ると、だいたい「カニツリグサ」の仲間だなと当たりをつけることができます。花時期にはそれほどボサボサではないのですが、終わりに近づくと次第に長くのびた「芒(のぎ)」がねじれてきて、ボサボサになります。ただし、特に本州中部の南アルプスだと3種類が候補にあがって、そこから先は細かいところを見ないといけなくなります。「リシリカニツリ」とその変種「キタダケカニツリ」、そして「ミヤマカニツリ」。

ポイントは、まず、花序の中軸の毛の有無です。(ここでいう「毛」は、長くて目立つ「芒」のことではありませぬ。)毛が多くて、比較的わかりやすいのは、リシリカニツリだと思います。リシリカニツリの場合は、花序や茎に軟毛が密生して、さらに葉の基部が茎を巻いたようになっている部分、「葉鞘」にも軟毛が密生しているので、全体に白っぽい印象になります。それに対して、ミヤマカニツリだと花序や茎には毛がありません。でも葉鞘には毛があります。キタダケカニツリの場合は、花序の毛がごく細かい微毛で、茎には毛が少なく、葉の毛は短毛です。

ちなみに、イネ科では茎を「稈(かん)」と呼びます。稈には明らかな節があってそこに葉がつきます。節には隔壁があって節と節の間は多くの場合「中空」になっています。カヤツリグサ科だと節間が中身がつまっていて「中実」です。

リシリカニツリやミヤマカニツリの花序は、長さ5mm〜6mm「小穂」が基本単位で、その小穂がたくさんついて、長さ4cm〜10cmくらいの花序になっています。小穂には2個〜3個の「小花」があって、「内花頴(ないかえい)」、「外花頴(護頴)」と呼ばれる鱗片状のものに包まれています。さらにその外側には「苞頴」があります。芒は先が2つに裂けた外花頴の、その裂けた間からのびてきます。芒の長さは4mm〜7mm。

今回の写真は白っぽいですが、それはシーズンも終わって枯れて色が抜けているだけで、毛のせいではないです。そして、小穂の柄が数mmあることと花序や茎に毛がないことで、ミヤマカニツリとしています。

■高山帯のカニツリグサ属の簡単チェックポイント

花序の中軸葉鞘
ミヤマカニツリ無毛無毛長い軟毛
リシリカニツリ軟毛が密生軟毛が密生軟毛が密生
キタダケカニツリ微毛ほぼ無毛葉のふちに短毛


【和名】ミヤマカニツリ [深山蟹釣]
【別名】タカネカニツリ
【学名】Trisetum koidzumianum
【科名】イネ科 POACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月17日

タカネスズメノヒエ

タカネスズメノヒエ Luzula oligantha


タカネスズメノヒエは、北海道、本州中部以北に分布し、亜高山帯〜高山帯の砂礫地に生育します。イグサ科スズメノヤリ属の多年草で、草丈は7cm〜35cm、葉の縁には長い軟毛があります。同じ属でもあるので、北海道から九州までごくふつうに見られる「スズメノヤリ (Luzula capitata)」に似ています。

葉は先がかたくなってとがらない線形で、長さは2.5cm〜8cm、幅は1mm〜3mm。同じ属の「クモマスズメノヒエ (Luzula arcuata subsp. unalaschkensis)」だと葉の先はとがっています。数枚の根生葉と茎葉があって、上部の葉ほど短くなります。

タカネスズメノヒエ Luzula oligantha


花期は7月〜8月。茎の上部の長さ1cm〜5cmの花序に、頭花が3個〜10個集まってつきます。さらにその頭花には、3個〜6個の小さな花が集まっています。花序のすぐ下の辺りには葉状の「苞」があります。タカネスズメノヒエの花序は、クモマスズメノヒエのように垂れ下がったりしません。

花被片は黒褐色で6つ、長さは2mmほど。果実は「さく果」で、濃い赤褐色の楕円形。光沢があります。さく果は長さ1mmほどで、花被片よりすこし長いです。

2枚目の写真は、「ミヤマスズメノヒエ」に見えなくもないのですが、こちらはかなり稀にしか見られないはずで、もうちょっとしっかり観察しないと何とも。今となってはどうしようもないですね。

【和名】タカネスズメノヒエ [高嶺雀の稗]
【別名】タカネスズメノヤリ
【学名】Luzula oligantha
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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クモマスズメノヒエ

クモマスズメノヒエ Luzula arcuata subsp. unalaschkensis


クモマスズメノヒエは、日本では北海道の一部と本州中部以北の高山に点々と分布しています。高山帯の風当たりの強い砂礫地に生育するイグサ科スズメノヤリ属の多年草です。日本で幅広く見られる「スズメノヤリ (Luzula capitata)」と同じ属。この属の植物には、葉の縁に長い軟毛が生える特徴があります。クモマスズメノヒエの場合は、スズメノヤリほどではないですが、わずかに葉の縁に軟毛が見られます。

草丈は5cm〜30cmほど。茎につく茎葉と根生葉があり、ふつう茎葉は根生葉よりも細いです。根生葉は長さ5cm〜10cm、幅1mm〜3mmの線形で先端はとがります。

花期は7月〜8月。茎の先の花序は長さ5cm内外で、垂れ下がります。花は1つずつ柄の先につき、それが2個〜3個ずつ集まってつきます。

花被片は6つ、濃い赤褐色で長さは3mmほど。雄しべは6本あります。果実は褐色の「さく果」で、長さは花被片とほぼ同じです。果実の時期に「さく果」と「花被片」の長さを比べたとき、どちらが長いかは、高山帯のスズメノヤリ属の見分け方のポイントの1つ。「タカネスズメノヒエ」はさく果の方が花被片より長く、「ミヤマスズメノヒエ」ではさく果より花被片の方が長いです。種子は楕円形。

とはいっても写真の個体では、すでにさく果はほとんどなくなっていて、同定の決め手となったのは、花序が垂れ下がっている点でした。

【和名】クモマスズメノヒエ [雲間雀の稗]
【別名】クモマスズメノヤリ、チシマヌカボシソウ
【学名】Luzula arcuata subsp. unalaschkensis
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月16日

イワベンケイ

イワベンケイ Rhodiola rosea
雌株の花後

イワベンケイは、北半球の寒冷地に広く分布し、日本では北海道や本州中部以北の高山帯の風当たりのかなり強い岩場や岩礫地に生育します。ベンケイソウ科イワベンケイ属(Rhodiola)の多年草で、同じ属の植物は世界的には30種ほどが知られていて、そのうち日本では「イワベンケイ」と「ホソバイワベンケイ (Rhodiola ishidae)」の2種が分布しています。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。葉の形など変異が多い上に、雄株と雌株でちょっとずつ形態が違っているので、いろんなイワベンケイに出会えます。

草丈は4cm〜30cmを超えることも。葉は長さ1cm〜4cm。長楕円形〜卵形で、縁はほとんど全縁か上半分の部分だけ鈍い鋸歯(ギザギザ)が見られます。葉柄はありません。同じ個体の葉の大きさに注目すると、雄株では上部の葉がやや大きめ、といっても一番上の葉はちょっと小さかったりもしますが。雌株では下部の葉が大きくなっています。

イワベンケイ Rhodiola rosea
雄株の花の終わり

花期は7月〜8月。茎の先の集散花序に集まってたくさんの花をつけます。花弁もガク片も4つずつの4数性。雄花は直径8mmほどで、花弁は黄緑色。雄花の花弁はガク片より長く、長さ3mm程度の幅の狭い楕円形。雄しべはほとんどの場合8つ。

雌花の花弁は小さくて、ガク片より短いもので、子房の方が目立ちます。雌花の子房は最初は黄緑色ですが、受精して熟すにつれて赤くなってきます。果実は4つの「袋果」が1ット。1つ1つの袋果の長さは1cmに満たないくらい。葉はちょっと白っぽく多肉質ですが、秋には紅葉し、その年の地上部の葉や茎は枯れて越冬します。

【和名】イワベンケイ [岩弁慶]
【別名】ナガバノイワベンケイ、イワキリンソウ
【学名】Rhodiola rosea (Sedum roseum)
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月15日

ミヤマキンバイ

ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae


ミヤマキンバイは、千島やサハリン、日本では北海道、本州中部以北に分布し、高山帯の草地や砂礫地に生育する多年草です。草丈は数cm〜20cm。バラ科キジムシロ属(Potentilla)の植物で、ミヤマキンバイは同属の中では走出枝は出さないタイプ。茎や葉柄が赤みを帯びることが多いです。秋には紅葉して美しいものです。

葉はふつうは、3つの小葉からなる3出複葉です。両面とも緑色で白色にならず、表面にはテカテカとした光沢があります。よく似た種の「ウラジロキンバイ (Potentilla nivea)」の場合は葉の裏に白い綿毛が密生して真っ白です。1つ1つの小葉は倒卵形で、1.5cm〜4cm。小葉の上部の縁にはギザギザと大きめの「鋸歯」が入ります。葉の裏や縁には褐色の長い毛があります。特に光をあびると銀色に光って、小さくても目立つのです。

この鋸歯の入り方や小葉の毛の状態にはいろいろと変異があって、「ユウバリキンバイ (Potentilla matsumurae var. yuparensis)」や「アポイキンバイ (Potentilla matsumurae var. apoiensis)」などは、一部の蛇紋岩地などに特有の種内分類群として取り扱われています。

根生葉には長い葉柄があって、根もとから何枚もそう生します。この根生葉のほかに茎葉も1枚〜2枚ありますが、根生葉に比べると小さなもので、葉柄はほとんどないようなものです。根生葉の小葉の鋸歯、その先に注目すると、先端が少し赤くなっています。ここには「腺」があるようです。

ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae


花期は7月〜8月。茎の上部に数個花をつけます。花は黄色の5弁花で、直径は1.5cm〜2cm。花弁は幅の広い倒卵形で、先が少しへこんでいます。雄しべは20本ほど。ガク片にも長い毛が生えています。この仲間にはガク片と互生する「副ガク片」という部分があります。ミヤマキンバイでは、その副ガク片はガク片と同じ長さで、やや幅が広めです。

【和名】ミヤマキンバイ [深山金梅]
【別名】オクミヤマキンバイ
【学名】Potentilla matsumurae
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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ヒマワリ・プロカットバイカラー

ヒマワリ・プロカットバイカラー Helianthus annuus


プロカットバイカラーは、キク科ヘリアンサス属(Helianthus)の「ヒマワリ」の一品種です。ヒマワリは北アメリカ原産の一年草。「ヒマワリ」という名前は、頭花の見た目と太陽の方向に向かって開くという意味からきていて、常に太陽の動きにあわせて花が回るという印象があるかもしれません。確かに、ヒマワリは開花前のまだ若くて生長段階にある時期や開花が始まってすぐのころまでは、太陽の動きにあわせて向きを変える「日周運動」をしています。しかし、開花が進み茎もしっかりしてくると、そこで生長がストップして、ほとんど日周運動をしなくなります。そしてふつう頭花は真横を向いて、ほぼ東向きに固定されます。

一番上の写真は、もう花が終わって、種子ができ始めているものです。観察時間は午後3時くらいでしたが、まったく太陽の方向なんて向いておりませでした。まあ、朝方観察すれば向いているかのように見えてしまうのでしょうけれど。

それに、花が終わると特に大きめの花をつけるヒマワリの品種だと茎の上部が曲がって下を向いてしまいます。この姿が見ようによってはかわいそうな状態に映るかもしれません。しかし、この場合は特に水切れや暑さで弱っているという状態ではないでしょう。中央部分の「筒状花(管状花)」が結実してふくらみ、その重みで曲がっているのだと思います。特に茎頂の頭花は大きくて、たくさんの種子をつくり、中央部分は花後に膨張してきます。横から見ると盛り上がっているのが明らかです。

ヒマワリ・プロカットバイカラー Helianthus annuusヒマワリ・プロカットバイカラー Helianthus annuus


プロカットバイカラーは、草丈は150cm〜170cmくらい。花びらに見える舌状花は黄色と濃いオレンジ色〜赤褐色の2色からなっていて、その2色の分量はほぼ同じくらいで、外側が黄色です、より中心が赤褐色です。黄色とオレンジの2つのリングが筒状花を囲んで、とても華やかで個性的。茎頂の頭花の直径は30cmを超えている感じ。見えている部分の舌状花の幅は広めの一重咲きです。

本当のところはどうなのかわかりませんが、今回の筆者の観察では、プロカットバイカラーは、茎頂に1つ大きめの頭花をつけるのが基本形のようでした。しかし、まったく分枝しないわけではなく、個体によっては下部の「葉腋」から枝分かれして、茎頂の頭花に比べるとずいぶんと小さな頭花をつけていました。花の終わった茎頂の頭花が結実しなければ、もしかして、もう少し分枝して開花するのかなあという印象です。

頭花の付け根にいたるまで、茎には長めの毛が密生しています。「総苞片」は三角状卵形で先端はするどくとがり、特に総苞片の縁には毛が目立ちます。

ヒマワリ・プロカットバイカラー Helianthus annuusヒマワリ・プロカットバイカラー Helianthus annuus


葉は互生。長さは40cmほどの大きな卵形で、基部は深い心形。縁のギザギザ(鋸歯)は粗くて大きく、大型種ほどではないですが、背丈のわりには迫力がありました。

【一般名】ヒマワリ・プロカットバイカラー
【和名】ヒマワリ [向日葵]
【別名】ニチリンソウ [日輪草]、ヒグルマ [日車]
【品種名】プロカットバイカラー
【英名】Sunflower
【学名】Helianthus annuus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/07
【撮影地】東京都立川市

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2005年08月09日

コヤブタバコ

コヤブタバコ Carpesium cernuum
2004/09/15 花
コヤブタバコ Carpesium cernuum
2005/08/03 蕾


コヤブタバコは、日本全土に分布し、山野の林の縁などに生育する一年草〜越年草です。草丈は50cm〜1mくらい。よく枝分かれします。特に根生葉のころ観察すると、茎の下部の方には白い軟毛が密生しているのがわかります。根生葉は長さ10cm前後で、花の咲くころには枯れてしまいます。

茎のやや下の方につく葉は、さじ状の楕円形で付け根の方が徐々に細くなって、そのまま翼状になった葉柄に流れるかたちになります。縁の鋸歯(ギザギザ)は波打つような状態で不規則。中部から上部にかけてつく葉には鋸歯が目立たず、先のとがったやや幅の狭い楕円形をしています。根生葉も茎につく葉も両面に白い毛があります。

コヤブタバコ Carpesium cernuumコヤブタバコ Carpesium cernuum
2005/04/26 根生葉

花期は7月〜9月。茎の先と枝分かれした枝の先に1つずつ、緑白色の頭花をつけます。頭花は直径1.5cm程度で、下向きにつきます。頭花のつけ根(頭花が下向きなのでぱっと見たところは上)には線形〜披針形の「苞葉」がたくさんあります。苞葉の長さは2cm〜5cm。さらに頭花を包んだ状態の幅の広い釣鐘形の「総苞」があって、長さは7mm〜8mm。総苞にある3列に並んだ「総苞片」のうち、特に一番外側にある「総苞外片」は緑色の葉状になって幅が広く外側に反り返ります。一番内側にある「総苞内片」はちょっと革質で白っぽくて反り返らず、筒状花(管状花)を包んだ状態になります。

コヤブタバコは、キク科の植物で1つの花に見えている「頭花」の部分には、たくさんの「小花」が集まっています。花びらに見えるはずの「舌状花」はなく、すべて「筒状花」からできています。この筒状花には2つのタイプがあって、中心部分には両性の筒状花、周辺部には雌性の筒状花があります。

果実の時期には総苞片などはなくなって、「花床」という部分から、円柱形の「そう果」がたくさんぶら下がるような状態になります。長さは5mmくらいで、そう果の先には円形の管のようになった部分があって、口が開いている感じです。そこから粘液が出ているので、ベタベタします。これによって、動物の体や衣服にくっついて運ばれます。

【和名】コヤブタバコ [小薮煙草]
【学名】Carpesium cernuum
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/03、2005/04/26、2004/09/15
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月08日

ヒマワリ・ソニア

ヒマワリ・ソニア Helianthus annuus


ヒマワリは北アメリカ原産のキク科ヘリアンサス属の一年草です。観賞用、種子採取などのために様々な品種が栽培されています。「ソニア」は、そのいわゆる「ヒマワリ」と呼ばれているものの1品種で、花が小さく草丈の低い矮性の品種です。草丈は60cm〜90cmほど。少し枝分かれして同じ個体で同時に数輪の花が咲いていますが、花の向きはよくそろっています。草丈が2mを超え、花の直径も50cm前後あるような品種に比べると、まったく豪快さはありません。でも、その引き締まった草姿と濃いめの花色、なかなか端正なつくりは見どころがあります。

茎には長めの毛がたくさんあります。葉柄や花茎、総苞片の縁にも毛が目立ちます。葉は互生。三角状卵形で先はとがり、基部は大型品種のように深い心形とはならない感じ。葉の長さは5cm〜10cmに満たないくらい、葉柄は3cm〜5cm程度。こういう部分は「ヒメヒマワリ(Helianthus debilis)」っぽい感じもするけれど。ただこのソニア、実を言うとどういう品種なのかよく知りません。「ヒマワリ」の1品種としてよいものなのか、「ヒメヒマワリ」の方の品種なのか、それとも両者が複雑に交配されてできたものなのか。「JFコード」では、学名は「Helianthus annuus」となっていましたけれど。

ヒマワリ・ソニア Helianthus annuusヒマワリ・ソニア Helianthus annuus


花の直径は10cm程度の一重咲き。ヒマワリの英名は「Sunflower」、属の学名は「Helianthus→helios(太陽)+anthos(花)」です。両者ともに「太陽の花」という意味がありますが、ソニアだとかなり小ぶりな「太陽の花」ですね。ヒマワリの花はたくさんの小花が集まってできた「集合花」で、小花には「舌状花」と「筒状花(管状花)」があります。周辺部にはいわゆる花びらに見えている「舌状花」がほぼ1列並んでいます。舌状花は花の小ささのわりには幅が広く、隣同士の間が開かずによく整っています。色は濃いめの橙黄色。中央の濃い茶褐色に見える部分には「筒状花」がありますが、最盛期の花を正面から見たときの橙色と茶色の部分のバランスがとてもよいです。

ヒマワリ・ソニア Helianthus annuusヒマワリ・ソニア Helianthus annuus


蕾が開いて、周辺の舌状花もきれいに咲いて、中央部の筒状花は外側から中心へ向かって咲き進みます。筒状花の部分は横から見ると半球状に盛り上がっていますが、結実が進むとさらに大きく盛り上がってきます。舌状花の方はもっぱら昆虫たちを引き寄せる飾りとしての役割で、結実しません。そのかわり筒状花の方には雄しべと雌しべが備わっていて結実します。一重咲きのヒマワリの終わりかかった花を見ると、舌状花の根もとの方にある子房は平べったくてふくらんでいないのに対して、筒状花の方は子房がふくらんできて、おなじみのヒマワリの種の形が見えます。種子ができていくのも外側の筒状花からです。

今回観察した限りでは、「ソニア」には花粉も出ているようだし、子房のふくらみも見られたので、結実可能な品種に見えました。ただし、本来の品種の特性かどうかはわかりませんし、結実しているように見えたのもが、「ソニア」の花粉によるものかどうかは明らかではありません。背丈が低めで花粉のできない品種もあることですから。

この品種が他の品種とはかなり違って見えたのは、その大きさや花色のせいばかりではありませんでした。その秘密は総苞片。頭花の下の部分には、他のキク科の植物でも見られるような「総苞」という緑色の部分があります。そこにふつう3列〜4列くらいの先のとがった「総苞片」が並んでいます。ソニアの場合、この総苞片の下部に小さい葉状のものが何枚かみられる傾向があります。あるいは「総苞外片」という総苞片の一番外側のものが葉のような状態になっていることもある様子。特に茎頂の一番花でそうなることが多そうです。

真夏の炎天下で、2mあるいは3m超級の大型種を観察すると、くらくらしてしまいますが、この品種名なら体力がなくても十分観察できます。

【一般名】ヒマワリ・ソニア
【和名】ヒマワリ [向日葵]
【別名】ニチリンソウ [日輪草]、ヒグルマ [日車]
【品種名】ソニア
【英名】Sunflower
【学名】Helianthus annuus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/07
【撮影地】東京都立川市

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2005年08月05日

エビヅル

エビヅル Vitis ficifoliaエビヅル Vitis ficifolia


エビヅルは、本州、四国、九州に分布し、山野にふつうに見られる落葉つる性の木本です。ブドウ科ブドウ属の植物で、よく似た「ヤマブドウ (Vitis coignetiae)」より葉も花序も小さく、全体に小型です。しばしば若い枝や葉柄は赤みを帯びていて、白い毛が密生しています。

巻きひげが葉と対生してつき、他の植物などにからみつきます。葉はふつう3つ〜5つに裂けます。裂けかたは浅かったり葉身の半分近くまで裂けたりです。基部は深い心形。縁のギザギザ(鋸歯)は浅めでちょっと粗く入ります。長さは5cm〜15cm。ヤマブドウだと8cm〜25cm。ヤマブドウの葉の裏の毛はやや少なめですが、エビヅルの葉の裏面には白色か淡い赤褐色の綿毛が密生しています。表面はやや光沢があって質は厚めです。

名前は、この葉の裏面に毛が密生した様子をエビの色に見立てたとか。また、果実が熟すと黒くなりますが、その色に似た色を「葡萄(えび)色」というのだそうです。そして、エビというのが「ブドウ」の古い呼び名だったとか。

エビヅル Vitis ficifoliaエビヅル Vitis ficifolia


花期は6月〜8月。葉と対生して円錐形の花序が出て、黄緑色の小さな花をたくさんつけます。花序の長さは6cm〜12cm、花序の柄にはしばしば短い巻きひげが見られます。雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」で、雄花も雌花も黄緑色。5つの花弁があり先端がくっついていて、ふつう開花するとすぐにくっついたまま落ちてしまいます。地味な花序をよく見ると、雄しべが5本あって黄色い「葯」が目立ちます。ガクは杯形。ここでは雌花といっていますが、雌花にも雄しべが5本あって、中央には雌しべが1本。「両性花」といった方がよいのかも。

果実は球形の「液果」で、直径5mm〜6mm。秋に黒紫色に熟した果実は、甘酸っぱくて食べられます。でも、筆者が試したのはちょっと酸っぱめでした。

【和名】エビヅル [海老蔓、蝦蔓]
【別名】エビカズラ
【学名】Vitis ficifolia
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/07/08、2005/08/03
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月04日

シバ

シバ Zoysia japonica


シバは、日本全土に分布し、山野の日当たりのよい草地などにふつうに見られる多年草です。イネ科シバ属の植物。庭などによく用いられるのは、同じ属では「コウシュンシバ (Zoysia matrella)」や「コウライシバ (Zoysia pacifica)」などです。また、「シバ」という名前は、「細葉」、あるいは「繁葉」という意味からきているといわれています。

茎は地面を長〜くはって、よく分枝もします。そして地上茎の節から「ひげ根」を下ろし葉が上にはそう生します。葉は線形で先はとがっていて、基部の方には毛があります。長さは2cm〜10cm、幅は3mm〜4mm。

シバ Zoysia japonicaシバ Zoysia japonica


花期は5月〜6月。花茎は節からまっすぐのびます。花茎の長さは10cm〜20cmくらいで、そのうち上部の花穂の部分は3cm〜5cmで、円柱形というか紡錘形というか棒みたいな状態です。花穂にはたくさんの「小穂(しょうすい)」というイネ科の花序がつきます。小穂は濃い赤褐色で、花穂は黒っぽく見えます。1つ1つの小穂の長さは3mm程度の小さなもので、花穂に密着しています。

1つの小穂には1つの小花があって、それが「苞頴(ほうえい)」に包まれています。イネ科では苞頴が2つあるのがふつうですが、シバでは下の「第1苞頴」が退化しているので、小花は「第2苞頴」に包まれています。花穂を見たときに、光沢のある革質のものが、その「第2苞頴」という部分です。雌しべが雄しべより先に成熟して、苞頴の外にのびてきます。雄しべが成熟するころには雌しべの先はその役目を終えてしおれてきます。

シバ Zoysia japonicaシバ Zoysia japonica


地面をほふくする茎は、乾燥してかたくなった地面でも、コンクリートの上でもお構いなしにのびていきます。さすがにコンクリート上にはひげ根は出ても中にのばすことはできないでしょうね。でも、隙間に土壌があったら可能かもしれませんね。

【和名】シバ [芝]
【別名】ノシバ[野芝]
【学名】Zoysia japonica
【科名】イネ科 POACEAE
【撮影日】2005/07/25、2004/05/01
【撮影地】東京都日野市、八王子市

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Zoysia japonica
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2005年08月03日

ブタクサ

ブタクサ Ambrosia artemisiifolia


ブタクサは、北アメリカ原産の一年草です。温帯を中心に世界的に広く帰化しています。日本に入ってきたのは明治のことで、最初に確認されたのは関東だったそうです。その後、昭和になって各地に広がり、現在では全国的に見られるようになっています。道ばたや空き地などにごくふつうに生えています。キク科ブタクサ属の植物で、花粉が風によって運ばれ受粉する「風媒花」。オオブタクサ(クワモドキ)とともに夏〜秋の花粉症の原因の1つとなることが知られています。

茎はよく枝分かれして、草丈は30cm〜1m、大きいものでは1.5mほどにまでなります。茎には長めの白い軟毛が密生しています。

葉の質は薄く柔らかい。羽状に深く細かく裂けます。ヨモギの葉に似ているところもあります。ちなみに、学名の種小名「artemisiifolia」には、「ヨモギ属(Artemisia)みたいな葉の」という意味があります。葉は下部では「対生」ですが、上部では「互生」します。つまり、生育途中で葉のつき方(葉序)が対生から互生に変化するわけです。同じキク科の「キクイモ」でも同様葉のつき方が変化します。

ブタクサ Ambrosia artemisiifoliaブタクサ Ambrosia artemisiifolia


花期は7月〜10月。雄花(雄頭花)と雌花(雌頭花)があって同じ株につく「雌雄同株」ですが、つく位置が違っています。茎の先からのびた花穂につくのは雄頭花で下向きに多数、雌頭花はその花穂の下の苞葉の脇に数個、かくれるようについています。雄頭花は総苞片がくっついてお皿を逆さにしたような形になっています。中には15個前後の「筒状花」が入っていて、雄しべは5本ずつ。直径は3mm〜4mm。雌花序の総苞はつぼ形で先端からは雌しべの花柱がのび出ています。果実は先のとがった「偽果」で、長さは5mmくらい、まわりには6個程度の突起があります。

ブタクサ(豚草)という名前は、英名の「Hog-weed」を訳したものです。

【和名】ブタクサ [豚草]
【英名】Hog-weed、Rag weed
【学名】Ambrosia artemisiifolia
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/28、2005/08/03
【撮影地】東京都日野市

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アメリカフヨウ

アメリカフヨウ Hibiscus moscheutos


アメリカフヨウは、北アメリカ南東部原産のアオイ科ハイビスカス属(フヨウ属)の多年草です。同属の植物は世界的に見ると、熱帯〜亜熱帯の地域に200種以上が知られています。四国や九州南部沖縄などに自生する「フヨウ (Hibiscus mutabilis)」とは同じ属。ただし、原産地では様々な変異が見られるため、分類学的な見解もいろいろ分かれているそうです。また、日本でふつう「アメリカフヨウ」と呼ばれているものは、原種の「Hibiscus moscheutos」をもとにして、「ソコベニアオイ (Hibiscus militaris)」や「モミジアオイ (Hibiscus coccineus)」などを交配してつくられた園芸品種です。写真はその園芸品種の1つ、色は濃い紅色のものです。

冬には地上部が枯れてしまいますが、地下の根は越冬して翌年また芽吹いて花を咲かせます。やや乾燥した場所でも栽培されますが、もともとの生育地が湿地なので、湿った場所や少し根が水につかるような場所でも生育可能だそうです。

高さは1m〜1.8mくらいになります。茎は下部から「そう生」して、株立ち状になります。葉や茎、ガク片などには毛が生えています。葉は互生。楕円形で先がとがり、縁にはギザギザ(鋸歯)があります。フヨウはふつう3つか5つに裂けますが、アメリカフヨウはほとんど裂けないタイプが多いと思います。基部もフヨウほど深い心形ではないです。

花期は7月〜8月。花は朝開き夕方には閉じてしまう一日花。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)に毎日次々と開花していきます。花は直径20cmを超え、大きく豪華、とても存在感があります。色は赤、桃色、白色などいかにもハイビスカス属らしい花色。中心が濃い色になるタイプが多いです。

花弁は5枚、幅の広いふくよかな花弁で、互いに重なり合って全体として真ん丸に見えるものが多いです。同属の他の種でも見られるように、花の中央には非常にユニークで、ブラシ状の突き出たものがあります。これは、雄しべと雌しべの集まりで、多数の雄しべが集まって筒状になり、雌しべを包んだ状態になっています。雌しべは雄しべより長く突き出て、先端には5つの柱頭があります。

【和名】アメリカフヨウ [亜米利加芙蓉]
【別名】クサフヨウ [草芙蓉]
【学名】Hibiscus moscheutos
【科名】アオイ科 MALVACEAE
【撮影日】2005/07/20
【撮影地】東京都調布市

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2005年08月02日

ヒメクグ

ヒメクグ Cyperus brevifolius var. leiolepis


ヒメクグは、日本全土に分布し、日当たりのよいやや湿った草地ごくふつうに生える多年草です。現在は、カヤツリグサ科カヤツリグサ属に分類されていることが多いと思いますが、以前はより細かく分けられていて「ヒメクグ属 (Kyllinga)」となっていたこともあります。

草丈は5cm〜20cm。走出枝を横にのばして節から根を下ろしてふえます。名前の「クグ」というのは、カヤツリグサの仲間の古い呼び名で、ヒメクグ以外にも、「ウシクグ」、「イヌクグ」などがあります。

葉は基部の方に数枚つきます。細長い線形で、長さは5cmくらい、幅は2mm〜3mmほど。茎の先端部に葉のような形状の「苞」が、2枚〜3枚あって、平たく開いてやや垂れ下がり気味。

花期は7月〜10月。茎の先の苞の間に球形の花序をつけます。ふつうは花序は1つですが、まれに2つや3つの花序がつくこともあります。花序の直径は1cm内外。花序にはたくさんの「小穂(しょうすい)」が密に集まっています。1つ1つの小穂の長さは3mm程度。平べったくて先のとがった披針形。「鱗片」は全部で4つありますが、一番上の1つだけに「小花」があります。

また、鱗片の縁が滑らかだと「ヒメクグ」ですが、縁にトゲ状の突起があってザラザラするものは「アイダクグ(タイワンヒメクグ)」です。後者は、日本では本州関東以西、四国、九州に分布するとされています。ただし、ここでは縁と書いてますが、本当は縁ではなく「竜骨」という部分です。とても微細な部分の特徴ですので、観察にはルーペが必要です。

小花の先から突き出す雌しべの柱頭は2つ。果実はレンズ形になります。これに対して、同じカヤツリグサ属の植物でも、「カヤツリグサ」や「タマガヤツリ」のように、柱頭が3つで果実に3つの稜ができるグループもあります。

【和名】ヒメクグ [姫莎草]
【学名】Cyperus brevifolius var. leiolepis
【科名】カヤツリグサ科 CYPERACEAE
【撮影日】2005/08/02
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月01日

イワオウギ

イワオウギ Hedysarum vicioides ssp. japonicum var. japonicum
イワオウギの節果

イワオウギは、北海道、本州中部以北に分布し、主に亜高山帯〜高山帯の砂礫地や岩場、草地などに生育する多年草です。マメ科イワオウギ属の植物で、同じ属の植物は北半球に150種ほど知られていて、日本ではイワオウギのほかに、紅紫色の花をつける「カラフトゲンゲ (Hedysarum hedysaroides)」などが見られます。

茎は下部からそう生して、枝分かれします、草丈は10cm〜80cmほど。葉は、小さな葉(小葉)が5対〜12対あって、頂小葉が1つある「奇数羽状複葉」です。表面は無毛ですが、裏面の脈状や縁には伏せた長めの毛が目立ちます。1つ1つの小葉の長さは1cm〜2cmくらいです。

イワオウギ Hedysarum vicioides ssp. japonicum var. japonicum


花期は7月〜8月。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)に出た「総状花序」に斜め下向きの花をびっしり咲かせます。花は1つの花序に10個〜30個。花冠は黄白色で、長さは1.5cm〜2cmくらい。「旗弁」、「翼弁」、「竜骨弁(舟弁)」からなる「蝶形花」ですが、最も長いのは「竜骨弁」です。

花序の中心となる軸や花柄には短い毛が生えて白っぽくなります。その毛は上向きに生えています。ガクは筒状で先が5つに裂けますが、その裂けた裂片のうち4つは短いですが、一番下側にある1つだけが長くなっています。

果実は平べったい「節果」で、裂開はしない果実です。さやの外側に隆起した網目模様があります。この節果は横の仕切りがあって、1つ〜4つの部屋にわかれています。それによって、「小節果」が1個〜4個できます。中にはそれぞれ1つずつ種子ができ、熟すとくびれたところから1つずつはずれます。

【和名】イワオウギ [岩黄耆]
【別名】タテヤマオウギ
【学名】Hedysarum vicioides ssp. japonicum var. japonicum
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE (FABACEAE)
【撮影日】2004/08/26
【撮影地】長野県長谷村

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シナノキンバイ

シナノキンバイ Trollius japonicus


シナノキンバイは、北海道、本州中部以北に分布し、亜高山帯〜高山帯の日当たりがよくて湿った草地に生育する多年草です。茎は高さ25cm〜80cm。上部の方で少し枝分かれします。

葉は円形で掌状に5つに深く裂けるので5小葉のように見えますが、基本的には3出複葉です。つまり、小葉は3つで、そのうちの2つの「側小葉」は2つに裂け、さらに縁が細かくギザギザになります。茎葉は数枚で上部にいくにつれて葉柄は短くなりますが、根生葉には長い柄があります。根生葉や下部の茎葉は直径5cm〜15cmほど。上部の茎葉ほど小さくなります。表面は濃いめの緑色で光沢があります。

花期は7月〜9月。一見、花びらのように見えているのは「ガク片」で、鮮やかな黄色。ガク片は5つ〜7つあって、幅の広い倒卵形、長さは2cm〜2.5cmくらいです。花弁は先が丸くなった線形で、雄しべとともに花の中央でヒラヒラと出て、基部には「蜜腺」があります。花弁の長さは6mm〜9mmで、雄しべと比べてほぼ同じくらいの長さか、やや短いもの。成熟した雄しべよりはだいたい短いです。雄しべは多数あって長さは1cm前後。そのうち「葯」の部分は3mm程度。

花柱も2.5mm〜4mmくらいで、果実の時期にも残っています。写真は茶色くなった果実ですが、果実の袋の先端にピッとシッポのように立っているのが花柱です。果実は長さ1cmちょっとくらいの「袋果」で、6個〜13個集まって「集合果」になります。写真を写したのは昨年(2004年)8月下旬、すっかり熟した果実の先がパカッと割れて、中からは黒くて光沢のある種子がのぞいていました。

【和名】シナノキンバイ [信濃金梅]
【学名】Trollius japonicus (Trollius riederianus var. japonicus)
【科名】キンポウゲ科 RANUNCULACEAE
【撮影日】2004/08/26
【撮影地】長野県長谷村

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