2005年08月19日

ヒメイワショウブ

ヒメイワショウブ Tofieldia okuboi


ヒメイワショウブは、北海道と本州中部以北に分布しています。亜高山帯〜高山帯の礫地や岩場の隙間などに生育するユリ科チシマゼキショウ属の多年草です。草丈は5cm〜15cmほど。

葉は多くが根生葉で、長さ1.5cm〜5cmを超えるくらい、幅は5mm前後の剣状。花茎にも茎葉が2枚〜3枚つきますが、根生葉よりはかなり小さいものです。葉は互生で、左右から互い違いに組み合わさって、平たくなっています。葉の先はあまり鋭くとがらず、一番先端はポチッ丸っこい硬い点に終わります。同属の「チシマゼキショウ (Tofieldia coccinea var. coccinea)」によく似ていますが、そちらの場合は、葉の先がとがっています。全然ちがうものですが、葉の感じだけだとアヤメ科の「ニワゼキショウ (Sisyrinchium atlanticum)」に似ているところもあります。

ヒメイワショウブ Tofieldia okuboi


花期は7月〜8月。花茎は根生葉の間からのびてきて、高さ5cm〜15cmほど。その茎の上部、長さ1cm〜4cmの部分が花序になります。花は10個前後がかたまって上向きに開き、花被片は白色で、長さは2mmちょっと。花の中心には緑色の雌しべがあって、花柱の先端部分が浅く3つに裂けますが、その裂け目の延長線が雌しべの下までのびて、3本縦の割れ目が入った状態です。雄しべは6本あって先端の「葯」は黄色です。

花柄はごく短く1.5mm〜3mm。花柄の基部には小さな鱗片状の「苞」があります。そしてさらにその上、つまり花のすぐ下には苞よりも小さな「小苞」があります。もともと小さな植物で花も小さいのですが、以外にもその花序がにぎやかに見えるのは、ヒラヒラとした細長いものがいろいろあるからでしょうね。花被片、雄しべ、雌しべの縦すじ、苞など。

果実は長さ4mm、楕円形の「さく果」で、上向きにつきます。

【和名】ヒメイワショウブ [姫岩菖蒲]
【学名】Tofieldia okuboi
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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コケモモ

コケモモ Vaccinium vitis-idaea


コケモモは、北半球北部の分布し、日本では北海道、本州、四国、九州と、高山植物としては広く見られます。亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の縁や岩場などに生育する常緑矮性低木です。ツツジ科スノキ属(Vaccinium)に分類されています。

茎は根もとの方では地面をはって、上部は斜めにのびます。よく枝分かれして、高さは5cm〜20cmほど。花をつける茎は上部もやや上を向く度合いが減って、果実がみのるころには茎全体が下垂するというか、地面をはうような状態に近づく感じ。

葉は互生。一応、葉柄があって、その長さは1mmくらいです。葉身は先端の方が少しだけへこむ楕円形で、そのへこんだ部分にはごく小さな突起状の「腺」が見られます。縁のギザギザ(鋸歯)は波状でほとんど目立たず、全縁に近いです。葉の長さはだいたい数mm〜1cmくらいですが、生育環境によっては、2cmを超えていることもあります。分厚く表面には光沢があって、中央を走る葉脈がよく目立ちます。

コケモモ Vaccinium vitis-idaea


花期は7月〜9月。前年度にのびた枝先の「葉腋」から総状花序が出ます。1つの花序につく花数は、2個〜6個程度、下向きに開きます。花冠は白色〜紅紫色の鐘形。長さは5mm前後で先は4つに裂けます。その先端部分は外側に反り返ります。

花序の中軸や1つ1つの花の柄は、ふつう赤みを帯びています。花や果実の華やかさに目を奪われてしまいますが、花序は何だかちょっとデコボコした感じがあります。それは、花柄のつけ根に「苞」や「小苞」があるためです。大きい苞、といっても小さいのですが、苞は1つ、それより小さい小苞は2つあります。雄しべは8本。赤みを帯びたガクも4つに裂けます。

果実は球形の「液果」で、直径は6mm〜7mm。真っ赤に熟してツヤツヤした光沢があります。種小名にある「vitis」はブドウのという意味で、「idaea」はクレタ島のイダ山のという意味だそうです。

【和名】コケモモ [苔桃]
【別名】コバノコケモモ
【学名】Vaccinium vitis-idaea
【科名】ツツジ科 ERICACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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ガンコウラン

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


ガンコウランは、日本では北海道、本州中部以北の高山に分布し、亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の縁や雪田周辺の砂礫地などに生育する常緑矮性低木です。茎はよく枝分かれして地面をはうようにマット状に広がって、よく群生しています。茎はやや斜めに伸び、高さは10cm〜20cmほどです。

名前に「ラン」とつきますが、ラン科の植物ではなく、ガンコウラン科ガンコウラン属の木本です。同じ属の植物は、ヨーロッパや北アメリカなどに分布する「セイヨウガンコウラン (Empetrum nigrum var. nigrum)」と、もう1種が南アメリカに分布しているのだとか。日本ではガンコウラン1種のみ生育しています。属の学名「Empetrum」は、ギリシャの古名から来ているそうで、「岩の中」という意味があります。きっと、岩場の間に生えるとかそういうことなのではないかと。また、種小名の「nigrum」には、「黒色の」という意味があります。

葉は密に互生し、長さ5mm前後、幅1mmほどの線形です。分厚くて縁は裏面に向かって巻き込んでいます。表面には光沢があります。葉だけ見ると、ツツジ科の「ミネズオウ (Loiseleuria procumbens)」や「ツガザクラ (Phyllodoce nipponica)」などに似ているところもあります。

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


花期は5月〜6月。雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」。花は前年度にのびた枝の葉の脇(葉腋)に1つずつつきます。直径4mm〜5mm程度の小さな花です。花弁とガク片は3つずつ。雄花の雄しべは3つ。というように「3」が基本となった3数性。3つの雄しべは長くて、葯、花糸ともに濃く暗い紅色。雌花の中央には6つ〜9つに裂けて扇のように広がった雌しべの柱頭があります。柱頭は濃い紫色。子房は上位で、6〜9室からなっています。

果実は球形の「核果」で、直径は8mmくらい、熟すと黒紫色になります。高山植物の中では花期が早めで、ほかの多くの高山植物の花が最盛期となり、夏山登山のピークにもなるころにはだいたい熟した果実が見られます。8月下旬ともなれば、よくよく見ないと花の残りも気づかないし、果実もちょっとまばら。高山に暮らす動物たちの食料になったのでしょうね、きっと。

【和名】ガンコウラン [岩高蘭]
【学名】Empetrum nigrum var. japonicum
【科名】ガンコウラン科 EMPETRACEAE
【撮影日】2005/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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posted by hanaboro at 01:29| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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