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オオバヤシャブシは、本州の関東から紀伊半島にかけて分布するカバノキ科ハンノキ属(Alnus)の落葉小高木です。本来は、太平洋側の海岸近くの山地に自生していますが、砂防用として各地に植えられているので、もともとの分布域よりも広い範囲で見られます。高さは5m〜10mほど、樹皮は灰褐色で、ブツブツの「皮目」がたくさんあります。一年目の枝も色が濃く、皮目もよく目立ちます。
葉は互生。葉は先のとがった付け根に近い部分で、葉の幅が最大になるので、やや三角形に近いような卵形です。ですが、葉の幅はやや狭いときもあります。形だけではヤシャブシとどっちかなと思いますが、大きさが違いますね。オオバヤシャブシは、その名前だけあって、やっぱりでっかい。長さは6cm〜12cmくらい、幅は3cm〜6cmほど。付け根の方の形が、左右対称になっていないことも多いです。
オオバヤシャブシなどヤシャブシ類の葉は、クマシデなどのシデ類とも似ている感じがあって、側脈がよく目立ちます。ヤシャブシと比べると、側脈の数自体は12対〜16対なので、大きな差がないのですが、より間隔があいています。縁のギザギザ(鋸歯)は、粗く鋭くて、ちょっと不規則な感じの「重鋸歯」になっています。
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花期は3月。雌の花穂の方が雄の花穂より上につきます。雌花穂は上向きですが、雄花穂は下に垂れ下がります。
ふつう果穂は1つずつ。2つのこともありますけれど。小さな松かさのような果穂で、長さは2cm〜2.5cm。ヤシャブシやヒメヤシャブシはいくつか集まってついていることが多いです。この果穂は種子が飛散した後でも、果穂は枝に残って落葉後も冬の間も、こげ茶色のその姿を見ることができます。
葉芽は紡錘形で先がとがっています。側芽にはごく小さな芽鱗がありますが、芽を包んでいる大きめのものは芽鱗のように見えて、芽鱗ではない「托葉」なのだそうです。う〜。こういう場合は、托葉由来の芽鱗というわけにはいかないのでしょうかね。。。
冬芽も目立つころ、ヤシャブシ類を見ていると、何やら長い俵のような形をしたようなものが目に入ってきます。それは、雄の花穂です。この雄花穂のつき方が重要ポイントです。オオバヤシャブシの雄花穂は、葉腋に1つずつつき、葉芽のつく位置よりも下になります。これに対して、同属のヒメヤシャブシやヤシャブシは、雄の花穂が枝先についています。
ヤシャブシ類は、根に根粒菌が共生しているそうで、マメ科の植物と同じように「空中窒素の固定」を行うのだとか。砂防緑化などに用いられる所以でもあるそうです。
【和名】オオバヤシャブシ [大葉夜五倍子]
【学名】Alnus sieboldiana
【科名】カバノキ科 BETULACEAE
【撮影日】2005/11/26
【撮影地】東京都日野市
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