2005年11月30日

オオバヤシャブシ

オオバヤシャブシ Alnus sieboldianaオオバヤシャブシ Alnus sieboldiana


オオバヤシャブシは、本州の関東から紀伊半島にかけて分布するカバノキ科ハンノキ属(Alnus)の落葉小高木です。本来は、太平洋側の海岸近くの山地に自生していますが、砂防用として各地に植えられているので、もともとの分布域よりも広い範囲で見られます。高さは5m〜10mほど、樹皮は灰褐色で、ブツブツの「皮目」がたくさんあります。一年目の枝も色が濃く、皮目もよく目立ちます。

葉は互生。葉は先のとがった付け根に近い部分で、葉の幅が最大になるので、やや三角形に近いような卵形です。ですが、葉の幅はやや狭いときもあります。形だけではヤシャブシとどっちかなと思いますが、大きさが違いますね。オオバヤシャブシは、その名前だけあって、やっぱりでっかい。長さは6cm〜12cmくらい、幅は3cm〜6cmほど。付け根の方の形が、左右対称になっていないことも多いです。

オオバヤシャブシなどヤシャブシ類の葉は、クマシデなどのシデ類とも似ている感じがあって、側脈がよく目立ちます。ヤシャブシと比べると、側脈の数自体は12対〜16対なので、大きな差がないのですが、より間隔があいています。縁のギザギザ(鋸歯)は、粗く鋭くて、ちょっと不規則な感じの「重鋸歯」になっています。

オオバヤシャブシ Alnus sieboldianaオオバヤシャブシ Alnus sieboldiana


花期は3月。雌の花穂の方が雄の花穂より上につきます。雌花穂は上向きですが、雄花穂は下に垂れ下がります。

ふつう果穂は1つずつ。2つのこともありますけれど。小さな松かさのような果穂で、長さは2cm〜2.5cm。ヤシャブシやヒメヤシャブシはいくつか集まってついていることが多いです。この果穂は種子が飛散した後でも、果穂は枝に残って落葉後も冬の間も、こげ茶色のその姿を見ることができます。

葉芽は紡錘形で先がとがっています。側芽にはごく小さな芽鱗がありますが、芽を包んでいる大きめのものは芽鱗のように見えて、芽鱗ではない「托葉」なのだそうです。う〜。こういう場合は、托葉由来の芽鱗というわけにはいかないのでしょうかね。。。

冬芽も目立つころ、ヤシャブシ類を見ていると、何やら長い俵のような形をしたようなものが目に入ってきます。それは、雄の花穂です。この雄花穂のつき方が重要ポイントです。オオバヤシャブシの雄花穂は、葉腋に1つずつつき、葉芽のつく位置よりも下になります。これに対して、同属のヒメヤシャブシやヤシャブシは、雄の花穂が枝先についています。

ヤシャブシ類は、根に根粒菌が共生しているそうで、マメ科の植物と同じように「空中窒素の固定」を行うのだとか。砂防緑化などに用いられる所以でもあるそうです。


【和名】オオバヤシャブシ [大葉夜五倍子]
【学名】Alnus sieboldiana
【科名】カバノキ科 BETULACEAE
【撮影日】2005/11/26
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月29日

ハナノキ

ハナノキ Acer pycnanthum


ハナノキは、長野県、愛知県、岐阜県などの限られた地域に分布する落葉高木です。高さは20m〜30mにも達し、直径もかなり太く1mくらいにもなります。カエデ科カエデ属ですが、ハナノキは、葉が3つに裂ける種です。ふつうカエデといって思いつくのは、葉の縁が5つに裂けて手のひら形になるものですけれど、これはちょっと趣が違っています。樹皮は縦に深く裂けます。

葉は対生。幅の広い卵形で、縁は3つに浅めに裂けます。裂け方には変異が多くて、同じ株の中でもほとんど裂けていないこともあります。そして、それぞれの裂片の縁には先端に向かってギザギザする鋸歯があります。その鋸歯はちょっと粗めです。葉身の部分の長さや葉柄の長さにはやや長短あります。葉身は長さ3cm〜8cm、幅2cm〜10cm。葉柄は1.5cm〜7cmくらいです。葉脈は葉の付け根の部分から3本出ます。

表面は濃い緑色。裏面は粉をふいたように、少し白っぽくなります。秋には橙色〜赤、または黄色になって、とても美しいです。

ハナノキ Acer pycnanthumハナノキ Acer pycnanthum


花期は4月。葉が展開するのに先立って、たくさんの紅色の花をつけます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。特に雄花のは大きくて集まって咲くので、より濃い紅色が目立ちます。花には、長さ3mmほどの花弁とガク片が、それぞれ5つずつあります。といっても、ふつうに思い描くような花びらという感じではないです。雄花には長い雄しべが5本。雌花の方にも雄しべが見られますが、短いものです。そのかわり、2つに裂けた花柱が突き出ます。

雌花の方の花柄は、次第にのびて、果実はその長い柄の先にぶら下がります。果実は「翼果」で、プロペラの長さは2cmくらい。丸っこい冬芽は「イタヤカエデ」をより派手にした感じです。

ハナノキ。春に咲く紅色の花が美しいことからきているといいます。春に美しい花を咲かせる樹木もたくさんありますけれど、運よく?この樹木だけがこの名前をもらっています。ただし、ハナノキって、「シキミ」の別名でもあるらしいですね。それに、名前の由来は他にもあって、若葉のころ全体が桃色に見えるところから、きているともいいます。

【和名】ハナノキ [花木]
【別名】ハナカエデ [花楓]
【学名】Acer pycnanthum
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2005年11月28日

サンシュユ

サンシュユ Cornus officinalisサンシュユ Cornus officinalis


サンシュユは、中国原産のミズキ科ミズキ属の落葉小高木です。庭や公園などに植えられています。高さは2m〜5mくらいになります。樹皮は灰褐色。若い枝はちょっと紫色っぽい感じ。特に古い木になってくると樹皮は、不規則に鱗片状になって剥がれてきます。

葉は対生。やや枝の先の方に集まってつきます。長さ4cm〜10cmくらい、幅は5cm内外の長楕円形で、先端は尾状にとがっています。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。葉脈が弧を描くように丸くのびて、それがよく目立ちます。表面は光沢のある濃いめの緑色。裏面は表より色が薄くて少し白っぽいような灰緑色。葉脈の脇に茶色っぽい毛が目に付きます。葉柄は1cm程度です。

サンシュユ Cornus officinalisサンシュユ Cornus officinalis


花期は3月〜4月。葉の展開に先立って開花します。花は短枝の先端に球状に集まって咲きます。その球状の塊の部分には小さな花が20個〜30個もあって、「散形花序」になっているのですが、その塊が枝いっぱいについて最盛期にはとても見事なものです。1つ1つの花は小さいですが、とても鮮やかな黄色です。

果実は長さ1.5cmほどの「核果」で、熟すと真っ赤になります。つやのある瑞々しい果実です。一見、ハナミズキに似ていますが、ハナミズキの果実よりは少し大きめの楕円形の果実です。しかも長めの細い柄があって、果実は垂れ下がります。どことなくグミ類の果実のような雰囲気です。この果実は薬用に用いられますが、生食はどうでしょうね。ちょっと渋いんじゃないでしょうか。

サンシュユの冬芽には、葉芽と花芽があって、それぞれ違う形をしています。色はどちらも褐色を帯びている感じです。花芽は、先がちょこっととがった球形で、短枝の先につきます。付け根のあたりには小さな「芽鱗」が2つあります。葉芽は長さ3mm〜4mmくらいの細長いもの。先はとがっています。葉はちょっと分厚めで、裏から見ると毛が目立ち、秋の紅葉はなかなか渋くて個性的ですね。

【和名】サンシュユ [山茱萸]
【別名】ハルコガネバナ、アキサンゴ
【学名】Cornus officinalis
【科名】ミズキ科 CORNACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2005年11月26日

イイギリ

イイギリ Idesia polycarpa


イイギリは、本州、四国、九州、そして沖縄まで分布し、山地に生育するイイギリ科イイギリ属の落葉高木です。高さは10m〜15mほどになり、まっすぐにのびた太い幹から、横方向に太めの枝をのばして、どこか異様な風格のある樹形です。下から見上げると車輪のような枝の広がり方をしています。非常に独特のものです。

樹皮は灰白色で、表面にブツブツしたものがたくさんありますが、ブツブツ以外の部分はだいたい滑らかで、裂けているわけではないです。そのブツブツというのは、「皮目」といって、そこで呼吸が行われています。

イイギリ Idesia polycarpaイイギリ Idesia polycarpa


葉は互生。先が尾状にとがった卵形、逆さに見たら、くぼんだ部分の小さなハート形。そのくぼんだ部分に小さなプツプツの「腺体」が見られます。ここにある腺体はふつう2つです。葉柄は長くて、10cm〜20cmほどもあり、赤みを帯びています。腺体は葉柄にも見られます。身近なところではサクラ類の腺体はよく知られているところですが、葉や葉柄に蜜腺のある植物は、他にもいろいろあって「アカメガシワ」や「キササゲ」などもそうです。

葉身の長さは10cm〜20cm、幅も同じくらい。縁の鋸歯(ギザギザ)は、やや大雑把で、伏せたような感じです。表面は濃いめの緑色、裏面は少し粉を吹いたような白っぽい緑色。付け根からのびる目立つ葉脈が5本〜7本あります。こういう葉脈のパターンは「掌状脈」といったりします。付け根から放射状に手のひらのような形になって複数の葉脈が出た状態です。

花期は3月〜5月。枝先から円錐花序が下垂します。花序の長さは10cm〜20cmほどです。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。雄花の方がちょっと大きめです。緑黄色の花には花弁がありません。ガク片は5つあります。秋には真っ赤に熟した果実が、たくさんブドウの房のように垂れ下がって、美しいものです。1つ1つの果実は直径1cmほどの球形です。

イイギリという名前は、葉が「キリ」に似ていて、飯を包むのにこの葉を使ったところからきているそうです。

【和名】イイギリ [飯桐]
【別名】ナンテンギリ[南天桐]
【学名】Idesia polycarpa
【科名】イイギリ科 FLACOURTIACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月25日

ダンコウバイ

ダンコウバイ Lindera obtusiloba


ダンコウバイは、本州太平洋側では関東以西、日本海側では新潟以西、四国、九州に分布し、山地や丘陵地のやや乾燥した場所に生育する落葉低木です。樹皮はやや白っぽい灰褐色で、だいたい滑らか。高さは2m〜5mほど、ふつうは3mくらいです。クスノキ科クロモジ属の植物で、枝などには芳香があります。

葉は互生。幅の広い卵形で、長さは10cmくらい。葉は先が浅く3つに裂けます。この葉の形が独特で、先の割れたスプーン形。裂けた裂片の先はとがらず丸っこいです。全体に丸みのある葉身で、目に優しい感じ。似たような形の葉はそうないので、この形をチェックすれば、ダンコウバイにたどり着けると思います。ただし枝の付け根のあたりにある小さめの葉などは3つに裂けていないこともあります。ちなみに学名の種小名「obtusiloba」には、「鈍頭で浅裂の」という意味があります。

幅の広めの葉ですが、つき方が整っていてさわやかな印象。表面は鮮明な感じの緑色。裏面はやや白っぽく付け根のあたりや葉脈の部分は毛が見られます。若い時期なら触るとフサフサするくらいに軟毛が多いですが、次第に脱落してしまいます。葉柄は1cm〜3cmほど。

ダンコウバイ Lindera obtusilobaダンコウバイ Lindera obtusiloba


花期は3月〜4月。葉の展開に先がけて開花します。アブラチャンやサンシュユ、マンサクなどとともに黄色い花をつける早春の代表的な花の1つ。葉腋につける散形花序にはほとんど柄がなくて、枝から小花柄が数本伸びて先に黄色の花をつける感じになります。その数個が咲くとそれが黄色の球形の塊に見えて、遠めには黄色のポンポンが枝にたくさんついているみたいになります。

果実は直径8mmくらいの球形で、秋に熟すと赤〜黒色になります。葉は秋には黄葉して美しいものです。冬芽には「花芽」と「葉芽」があって形が違っています。葉芽のほうは先のとがった長卵形、花芽のほうは丸っこいものです。両方とも「芽鱗」に包まれた「鱗芽」ですが、葉芽の方が枚数が多く4枚くらい、花芽のほうは2枚〜3枚です。

【和名】ダンコウバイ [檀香梅]
【別名】ウコンバナ [鬱金花]
【学名】Lindera obtusiloba
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月24日

カナウツギ

カナウツギ Stephanandra tanakae


カナウツギは、バラ科コゴメウツギ属(Stephanandra)の落葉低木です。高さは1m〜2mほどで山地の林縁部などに生育しています。分布域は、ほぼ東日本に限られていて、本州の太平洋側の関東〜中部、日本海側では新潟や秋田などに見られるといいます。特に富士山周辺、箱根、丹沢などの地域には多く生育していることから、「フォッサマグナ要素」の植物として、取り上げられていることも多いです。同属の「コゴメウツギ (Stephanandra incisa)」の方は、北海道〜九州まで広く分布し、山地や丘陵地の林内、林縁などに多く見られます。

葉は互生。幅の広めの卵形で、先は細長くなってとがります。ふつうは浅めに3つ〜5つに裂けていて、縁は粗めのギザギザ(鋸歯)があります。鋸歯は「重鋸歯」となることもあります。枝がちょっとジグザグになるのも特徴です。

カナウツギ Stephanandra tanakaeカナウツギ Stephanandra tanakae


花期は5月〜6月。その年にのびた枝の先から花序をのばして小さな花を多数つけます。花序の長さは5cm〜10cmくらい。1つ1つの花の直径は5mm程度。花弁は5つ、色は黄白色です。雄しべの数は20本くらい、雌しべは1本。ガク片は5つで先はとがります。

花序の様子は、コゴメウツギによく似ていますが、カナウツギは葉が大きくて枝や葉柄の赤みがかなり目立ちます。ちなみにコゴメウツギの「コゴメ」は漢字で書くと「小米」。小さくて白い花がたくさんついている様子を、小米になぞらえたものです。「ウツギ」とついていますが、ふつうのウツギはユキノシタ科またはアジサイ科に分類されます。コゴメウツギやカナウツギはバラ科です。

果実は楕円形の「袋果」。冬芽は長さ2mm〜3mmくらいの卵形で、淡い赤褐色の「鱗芽」です。

【和名】カナウツギ
【学名】Stephanandra tanakae
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月22日

ウリハダカエデ

ウリハダカエデ Acer rufinerve


ウリハダカエデは、本州、四国、九州に分布し、山地のやや湿り気のある雑木林などに生育する落葉小高木です。一本の幹がまっすぐにのびた縦に長い樹形になります。高さは10m前後。若い枝には滑らかで毛はありません。

樹皮は緑色っぽくて、黒っぽい縦じま模様があります。ウリハダカエデという名前は、この樹皮の様子を「マクワウリ」の実のはだに見立てたものです。そして大きな木になってくると、「皮目」がひし形の裂け状になって、斑模様になります。ウリカエデに似た樹皮です。

ウリハダカエデ Acer rufinerve


葉は対生。質は少し厚め。長さと幅ともに6cm〜15cmほどで、五角形に近いような形です。ふつうは縁が3つに裂けて、その裂けた裂片の先が少し尾状にとがっています。そして縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。この鋸歯は不規則な「重鋸歯」です。付け根から出る3つの葉脈が目立ちます。カエデの仲間のチェックポイントの1つに「葉裏の脈の付け根の毛の様子」というのがありますが、ウリハダカエデの場合は、ふつう3本脈の付け根のほか、主だった葉脈の脇には茶色っぽい毛が見られます。葉柄は長さ2cm〜5cmくらい。

花期は5月。葉の展開と同時に、総状花序を下垂させ、黄色の小さな花をたくさんつけます。花の直径は1cmあるかないかくらい。花弁とガク片は5つずつ。雌雄異株。果実はカエデ類に特有のプロペラのような「翼果」で、長さは2cmくらい。

秋には紅葉してとても美しいものです。色はオレンジ色っぽい紅色かまたは黄色。色づく前は、表面が濃い緑色、裏面は淡い緑色。

【和名】ウリハダカエデ [瓜膚楓]
【学名】Acer rufinerve
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月21日

カゴノキ

カゴノキ Litsea coreana


カゴノキは、本州関東以西、四国、九州に分布するクスノキ科ハマビワ属の常緑高木です。高さは10m〜15mくらいにまでなります。幹の太さは50cmくらいのものを見かけますが、1.5mに達することもあるそうです。樹皮は黒褐色。成木の樹皮は丸っこく鹿の子状にはがれて、そのはがれたところが薄黄色〜白っぽい色になるところが大きな特徴です。樹皮だけでもそれとわかる木です。「カゴノキ(鹿子の木)」という名前はこの樹皮の様子からきています。

樹皮がはがれてまだら模様になる木といえば、「モミジバスズカケノキ」、「サルスベリ」や「ナツツバキ」、そして「リョウブ」あたりが代表的ですが、このカゴノキは、特にはがれていない部分の樹皮の色が濃くて林の中で一際異彩を放ちます。

カゴノキ Litsea coreanaカゴノキ Litsea coreana


葉は互生。枝先に一見輪生状に集まってつきます。葉は長さ5cm〜10cmほどの倒披針形。先端に近い位置で幅が最大になります。革質で、形はタブノキに似ていますがちょっと小さめです。縁にはギザギザ(鋸歯)はなく全縁で、少し波打ちます。表面は濃い深緑でちやや光沢があります。裏面は白っぽく、若い葉には毛が見られますがやがて脱落してしまいます。葉柄は細長く、長さ8mm〜15mm。

花期は8月〜9月。黄色の小さな花が葉腋に集まってつきます。果実が熟すのは開花から一年後のこと。つやのある真っ赤な果実で、長さ8mmくらいの球形です。冬芽は先のとがった長楕円形で、芽鱗は毛に覆われています。

【和名】カゴノキ [鹿子の木]
【学名】Litsea coreana (Actinodaphne lancifolia)
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月19日

野の草:小さな芽生え

草刈も終了し、この間まで残っていた夏草たちの名残りももうなくなって、秋の花たちもほとんどが終わりを告げています。すっかり枯れ草色になった風景の中、おなじみの草たちの小さな芽生えが新たに少しずつ緑色の絨毯を広げています。中にはこのところの冷え込みのせいなのか、赤紫色を帯びてあたりの景色になじむかのように、すでに冬色を呈しているものも見られます。

ノゲシ Sonchus oleraceus【和名】ノゲシ
【学名】Sonchus oleraceus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
オニノゲシ
ノゲシの幼い時期の目印は、この微妙な色合いの根生葉。

アメリカフウロ Geranium carolinianum【和名】アメリカフウロ
【学名】Geranium carolinianum
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
アメリカフウロ
ついこの間までは、ゲンノショウコのお御輿の季節だったのに。

カタバミ Oxalis corniculata【和名】カタバミ
【学名】Oxalis corniculata
【科名】カタバミ科 OXALIDACEAE
カタバミ
そういえば、秋の草刈後のまだ暖かかったころ、パーッと一斉に咲いていました。ほとんど一年中、どこかで咲いて、また新しく芽生えて。それを繰り返しているのでしょうね。

オオイヌノフグリ Veronica persica【和名】オオイヌノフグリ
【学名】Veronica persica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
オオイヌノフグリ
日当たりのよい場所ではもう結構な大きさになっています。きっとどこかで咲いているのもあるんでしょうね。

コモチマンネングサ Sedum bulbiferum【和名】コモチマンネングサ
【学名】Sedum bulbiferum
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
コモチマンネングサ
コハコベなどの越冬中の様子とどこか似ているんですよね。

オニタビラコ Youngia japonica【和名】オニタビラコ
【学名】Youngia japonica
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
オニタビラコ
まだ小さなロゼット。近くではまだ今も開花中の個体も見られます。

ヤエムグラ Galium spurium var. echinospermon【和名】ヤエムグラ
【学名】Galium spurium var. echinospermon
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
ヤエムグラ
幼いヤエムグラ。越冬中の姿が結構好きなんです。コンクリートの壁の隙間で、ヒメオドリコソウとヤエムグラばかりが目立つ季節も、もうそろそろ。


暖かな春までは、これから幾度となく訪れる寒波を乗り越えなければならないわけで。そろそろ、この小さな芽生えたちにとっても厳しい季節となりますね。

【撮影日】2005/11/19、2005/11/01、2005/10/31
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月18日

イヌザンショウ

イヌザンショウ Zanthoxylum schinifolium


イヌザンショウは、本州、四国、九州に分布し、山野の雑木林などに生える落葉低木です。ミカン科サンショウ属(Zanthoxylum)またはイヌザンショウ属(Fagara)の植物で、高さは2m〜3mほどになります。樹皮は灰白色。若い枝は赤褐色。少しだけ筋のようになった稜がみられます。

葉は互生。5対〜9対ほどの小葉とてっぺんの頂小葉のある「奇数羽状複葉」です。小葉は長楕円形〜披針形。長さは2cm〜4cmほど。遠めには先がとがって見えますが、細かく見ると、一番先端の部分はちょっとだけくぼんでいます。縁のギザギザ(鋸歯)はふつうサンショウよりも細かくたくさん入ります。そして鋸歯と鋸歯の間のへこんだ部分には、透明な点、「油点」があります。光に透かしてみるとわかりますよ。

枝のトゲは互生していることがポイントです。よく似たサンショウは、トゲが対生します。両者はよく同じような場所に生えていますが、トゲのつき方や花弁の有無、香りの良し悪しなどが違っています。

イヌザンショウ Zanthoxylum schinifoliumイヌザンショウ Zanthoxylum schinifolium


花期は7月〜8月。枝先の散房花序に淡い黄緑色の小さな花がたくさんつきます。雌花と雄花が別の株につく雌雄異株。イヌザンショウの花には、花弁とガク片がそれぞれ5つずつありますが、サンショウには花弁がなく5つのガクだけです。雄しべは5つあります。

果実は紅紫色の球形で、果皮の表面はデコボコで油点があります。熟すと2つに裂けて、黒い種子が出てきます。サンショウによく似ていますが、香りがよくないために、若葉や種子はふつうは利用されないそうですが、薬用には使われるとか。冬芽はごく小さな半球状で、枝にくっついたような感じであまり目立たないですね。

【和名】イヌザンショウ [犬山椒]
【学名】Zanthoxylum schinifolium (Fagara mantchurica)
【科名】ミカン科 RUTACEAE
【撮影日】2005/11/02
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月17日

エノキ

エノキ Celtis sinensisエノキ Celtis sinensis


エノキは、本州、四国、九州に分布し、山野に結構ふつうに生育するニレ科エノキ属の落葉高木です。高さは15mほど、幹の直径は1m以上にまでなります。大きくなった木を遠めに見ると、比較的下のほうからよく枝分かれして、横にも大きく広がって、こんもりと丸く豊かな感じの樹形。同じニレ科の「アキニレ」や「ケヤキ」に似ているところがあります。樹皮はアキニレの場合は、不規則によくはがれるし、ケヤキも大きくなればはがれますが、エノキの樹皮ははがれません。色は灰黒色で、ツブツブの模様があって滑らかではないです。

エノキ Celtis sinensis


葉は互生。葉の形は幅の広めの卵状楕円形で、ちょっとひし形っぽいです。長さは4cm〜10cm、幅は2.5cm〜5cmくらい。縁のギザギザ(鋸歯)が、葉の上半分にだけあるのがポイント。そして、しばしば鋸歯は先にほんのちょっとだけになったり、全縁になったりします。この点はケヤキなどとは大きく違っています。

また、葉の付け根の部分に注目すると、3本のはっきりとした葉脈が出ているのが目立ちます。その付け根から出ているものも含めて、側脈は3対〜4対です。表面には少し光沢があります。裏面はやや色が薄く、脈上に毛があります。表面にも脈上に少し毛が見られます。

花期は4月〜5月。その年にのびた若い枝に小さな花がつきます。花は淡い黄緑色で、枝のより上の部分には両性花がつき、より下部には雄花がつきます。果実はやや縦長の球形、直径は8mmほど。秋に熟すとオレンジ色〜赤褐色になります。

葉は秋には黄色に色づいて、やがて落葉します。冬芽は小さな三角形で枝にはりついたような感じ。濃い褐色の毛のある数枚の「芽鱗」に包まれています。「葉痕」は枝からちょっと張り出して、上向きになっています。

【和名】エノキ [榎]
【学名】Celtis sinensis
【科名】ニレ科 ULMACEAE
【撮影日】2005/11/11、2005/11/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月16日

ヤマコウバシ

ヤマコウバシ Lindera glaucaヤマコウバシ Lindera glauca


ヤマコウバシは、本州東北南部以西、四国、九州に分布し山地の日当たりのよい林縁部などに生えるクスノキ科クロモジ属(Lindera)の落葉低木です。よく枝分かれして、高さは2m〜5mほどになります。名前はクスノキ科らしく枝葉に芳香があることからきています。樹皮は灰褐色で、ほとんど滑らかな感じ。若い枝は褐色で、のびてすぐのころは特に枝にも毛が多く見られ、節ごとにカクカクと曲がっています。細い枝にはプツプツと皮目がありますが、あまり目立つものじゃないです。

葉は互生。長楕円形で先端も基部もとがっています。長さは4cm〜10cmくらい、幅は1cm〜2.5cmほど。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁ですが、縁はウネウネとゆるやかに波打っています。ちょっと分厚くてパリッとした感じ。表面は濃いめの緑色ですが、あまり光沢はない感じ。裏面は白っぽくて、特に脈上に毛があります。毛は若い葉ではもっと密生しています。

秋には黄葉して、それが次第にオレンジ色っぽくなっていきます。真冬になっても赤茶色に枯れた葉がよく落ちずに残っています。それが冬枯れの林ではよい目印です。それが落葉するのは新芽が伸び始めた春になってから。

ヤマコウバシ Lindera glaucaヤマコウバシ Lindera glauca


花期は4月〜5月。葉を展開しつつ開花します。葉腋から散形状の花序を出して、数個の小さな花をつけます。花はクロモジなどと同じように淡い黄緑色。果実は球形の「液果」で、直径は7mm。熟すと黒くなります。

冬芽は、長さ5mm〜1cmくらいで、赤褐色で光沢があります。数枚の芽鱗に包まれた「鱗芽」です。形は先のとがった紡錘形。クロモジ属の冬芽は、ふつう「葉芽」と「花芽」があって、花芽は丸っこいのですが、ヤマコウバシには花芽がなく、葉芽と花芽が一緒になった「混芽」です。

【和名】ヤマコウバシ [山香]
【別名】モチギ[餅木]、ヤマコショウ[山胡椒]
【学名】Lindera glauca
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/04/03、2005/09/19、2005/11/13
【撮影地】東京都八王子市、日野市、あきる野市

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2005年11月15日

ムクロジ

ムクロジ Sapindus mukorossiムクロジ Sapindus mukorossi


ムクロジは、本州東北南部以西、四国、九州に分布し、日当たりのよい、やや湿り気の多い場所に生えるムクロジ科ムクロジ属の落葉高木です。高さは20mに達します。幹の太さはかなり太くなります。樹皮は灰白色で不規則にはがれます。枝にはブツブツの「皮目」がたくさん見られ、若い枝は緑色。秋の黄葉は美しく、公園などにしばしば植えられています。

葉は互生。小葉からなる羽状複葉で長さは50cmにもなります。小葉の数は8枚〜16枚の偶数の「1回羽状複葉」。小葉も軸にやや互生してつきます。1つ1つの小葉の長さは7cm〜18cmほど、幅は2.5cm〜5cm。やや幅の狭い長楕円形〜披針形で、先はとがっています。見た目は分厚くちょっと堅そうな感じで、縁にギザギザはなく全縁。小葉にはそれぞれ小葉柄があって、長さは数mmです。表面は濃いめの緑色、裏面はやや薄い黄緑色。両面ともにほとんど毛はありません。

ムクロジ Sapindus mukorossiムクロジ Sapindus mukorossi


花期は6月。枝先に大きめの円錐花序を出して、小さな花をたくさんつけます。花は淡い緑色。直径は5mmくらいしかない小さなものです。

果実は球形で秋に熟すと黄褐色になります。直径は2cmくらいです。遠めには球形ですが、基部の方はコブのようなのがついていたり、何だかいびつな形です。この果実は「延命皮」と呼ばれるのだとか。果皮の部分には「サポニン」が含まれていて、水に溶かして洗濯や髪を洗うのに利用されたそうです。絹などの繊細なものを洗うのにはよいらしいですね。その球形の果実の中には種子が1つずつできます。種子は黒色の楕円形で、羽根突きの球や数珠に用いられるそうです。

秋には葉が黄色に色づいてやがて落葉します。黄葉は色としては美しいと思うのですが、形としてはどうでしょうね。個性的ですが、美しいという感じではないかもしれないな。葉の軸の部分は湾曲しているし、小葉は垂れ下がるし、非常に独特です。

茎の先は何だかよくわからないような形をしているんですね。冬芽も茎のはりついたような感じだし。でも葉のついていたあとの「葉痕」は結構大きめです。春の芽吹きは「ニワトコ」に似ているかな。

【和名】ムクロジ [無患子]
【学名】Sapindus mukorossi
【科名】ムクロジ科 SAPINDACEAE
【撮影日】2005/11/13
【撮影地】東京都あきる野市

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クマノミズキ

クマノミズキ Swida macrophylla


クマノミズキは、本州、四国、九州に分布し、山野のやや湿り気のある明るめの林内などに生育するミズキ科ミズキ属(Swida)の落葉高木です。高さは8m〜12mほど、時に20m近くまで達します。樹皮は灰白色、浅く縦に割れ目が入ります。一年目の枝は平べったいけれど、何だか角ばったような枝で、赤みを帯びていることが多いです。

葉は対生。これが重要なチェックポイント。よく似た「ミズキ (Swida controversa)」との大きな違いです。ミズキの葉は互生します。クマノミズキの葉は葉身の部分が5cm〜15cmほど、幅が3cm〜7cmほどの卵形〜楕円形で、先はとがっています。ミズキよりやや細長い形です。葉柄は1cm〜3cmくらい。縁はギザギザのない「全縁」か、ウネウネとした不明瞭な「鋸歯」があります。葉の表面は、まあ、ふつうの緑色でちょっと光沢があります。裏面は表面に比べると少し白っぽい緑色です。

クマノミズキ Swida macrophylla


ただし、対生といっても、枝先に集まって葉がついている部分では、ちょっとわかりにくいときもあるんですよね。高木なので背が届かないときは、詳しく確かめられないので、対生だと思ってみれば対生に見えるって感じでしょうか。ずいぶんいい加減ですね。でも、どうやら枝もだいたい対生のようですね。それならちょっと距離があっても見えるかも。また、ミズキは枝を水平方向に大きく広げて独特の樹形になりますが、クマノミズキはミズキほどではないかもしれません。

対生葉や茎が1つの節に2つずつつくこと。ふつうよく2つが茎をはさんで向き合ってつく。
互生葉や茎が1つの節に1つずつつくこと。ふつう1つずつ互い違いになる。


花期は6月〜7月。ミズキの花期は4月〜5月なので、クマノミズキはだいたい1ヶ月ほど遅れて開花します。花はミズキによく似ていて、白色。枝先の「散房花序」にたくさんつきます。1つ1つの花には4枚の花弁と4本の雄しべ、1本の雌しべがあります。果実は、ミズキ同様、秋には黒っぽく熟します。直径5mmくらいの球形で、先端にはポツポツと突起状のものが見られます。

冬芽はミズキはしっかりと「芽鱗」があって、濃い紅紫色のつやつやしたものですが、クマノミズキの冬芽は、「裸芽」っぽく、芽鱗があってもはっきりしない程度のもので、黒っぽい毛があります。

【和名】クマノミズキ [熊野水木]
【学名】Swida macrophylla (Cornus brachypoda)
【科名】ミズキ科 CORNACEAE
【撮影日】2005/11/05
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月14日

オトコヨウゾメ

オトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichum


オトコヨウゾメは、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地のやや日当たりのよい林縁部などに生えるスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木です。高さは大きくても2mくらいでしょうか。枝は薄い灰色。「ヨウゾメ」というのは、「ガマズミ (Viburnum dilatatum)」の地方名だそうですが、ガマズミに比べると、オトコヨウゾメの方が、葉や花序も小さくて木全体の姿もずっと繊細です。

葉は長さ4cm〜9cmほどの卵形。表面はほとんど無毛。側脈が平行に走っているところは、なるほどガマズミの仲間だなと感じます。縁には粗めのはっきりとしたギザギザ(鋸歯)があって、葉柄は5mmくらい。葉の形は同じガマズミ属の「コバノガマズミ (Viburnum erosum)」によく似ていますが、オトコヨウゾメの方が葉柄が長めです。また、ガマズミやコバノガマズミの葉は、毛が多くて、触るとフサフサします。

オトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichumオトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichum


花期は5月〜6月。枝先から小さめの散房花序がでて、小さな花を数個つけます。ガマズミよりはずっと控えめな花序です。雄しべもそんなに目立ちません。花冠はほとんど白色で、直径5mm〜9mmほど、先は5つの裂片にわかれていて、その分かれた裂片が平たく開きます。

果実は「核果」で、秋には赤く熟します。そして果実が十分に熟すころには、果序が垂れ下がってきます。コバノガマズミも同じように垂れ下がる感じですね。でもちょっと、果実の形が違っています。オトコヨウゾメの核果は長さ8mmほどの楕円形ですが、コバノガマズミは球形に近いです。

写真の果実は、もう水分が飛んでしまってシワシワになっています。こういう果実を見ると冬の訪れを感じます。枝先や葉腋にはすでに冬芽の準備もできています。冬芽は濃い紫褐色。ガマズミのような星状毛はなく、無毛でちょっと光沢があります。一番外側の1対の「芽鱗」が小さいのはガマズミ、コバノガマズミ、ミヤマガマズミとも共通です。

【和名】オトコヨウゾメ
【学名】Viburnum phlebotrichum
【科名】スイカズラ科 CAPRIFOLIACEAE
【撮影日】2005/11/13
【撮影地】東京都あきるの市

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モミジガサ

モミジガサ Parasenecio delphiniifolius


モミジガサは、本州近畿地方以北と四国に分布し、山地の林内の比較的肥沃な場所に生育するキク科の多年草です。草丈は30cm〜90cmほど。若い葉が山菜として利用され、「シドキ」と呼ばれています。地上部もそろそろなくなりそうな、初冬にもなれば、枯れた花や葉しかなくなってしまって、山菜として利用したい気持ちにはならないですけどね。

モミジガサは、近年まで長いこと「コウモリソウ属 (Cacalia)」に分類されてきましたし、多くの一般的な図鑑類でも「Cacalia」となっていました。しかし、東アジアに分布しているコウモリソウ属の植物は、「Cacalia」から「Parasenecio」に組み込まれ、日本に分布する十数種も「Parasenecio」に分類されるようになっています。

葉は互生。葉の形が独特です。葉身はモミジの葉のように裂けます。長さは15cmくらいです。長めの葉柄があります。モミジときいてふつうイメージする樹木のモミジ類の葉よりはずっと大きい葉です。葉脈は裏面に向かってちょっと刻まれたような感じで目に付きます。表面は無毛ですが、裏面に絹毛が見られます。

和名はモミジとついていますが、学名の種小名は「delphiniifolia」。つまり「デルフィニウム属のような葉」とつけられています。学名の最初の命名者のSieboldさんたちにはデルフィニウムに似ていると見えたようです。確かにちょっと似ているかもしれませんね。

モミジガサ Parasenecio delphiniifoliusモミジガサ Parasenecio delphiniifolius


花期は8月〜9月。茎の先に細長い円錐状の花序がのびます。花序はいくらか小さな枝を出して、そこに頭花がいくつかずつつきます。頭花は白色、キク科の花を見たとき、ふつう花びらのように見える「舌状花」がモミジガサにはなく、小花はすべて両性の「筒状花(管状花)」です。1つの頭花には5つ程度の筒状花があります。

「総苞」の部分は細長い筒形で白緑色。幅は5mmあるかなというくらいで、そこには、細長い「総苞片」が5つほど並んでいます。果実は、長さ5mmくらいの「そう果」です。

【和名】モミジガサ [紅葉傘]
【別名】モミジソウ、シドキ
【学名】Parasenecio delphiniifolius (Cacalia delphiniifolia)
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/11/06
【撮影地】東京都檜原村

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2005年11月12日

ユリノキ

ユリノキ Liriodendron tulipifera


ユリノキは、北アメリカ原産のモクレン科ユリノキ属(Liriodendron)の落葉高木です。幹はまっすぐに伸びて、非常に整った樹形になります。成長は早く、高さは20m〜30mほどにも達します。樹皮は濃い目の灰白色。老木になると縦の裂け目が目立つようになります。

日本に入ってきたのは明治初期のころだそうで、今では街路樹や公園樹としてよく植えられています。筆者が通った学校にもこのユリノキの並木があって、授業中の窓から眺めておりました。背の高い木なので下からだと花がよく見えないですが、3階ぐらいの講義室からは見下ろすことができたのす。講義はそっちのけになっていたのは、もうしかたがないですよね。だって、そこに木があるんですから。

葉は互生。細長〜い葉柄の先に、何とも不思議な形の葉身があります。葉柄は10cm前後から20cm近くもあります。葉身の部分の長さは5cmくらい〜20cmほどで、先端部分はくぼんだ形、4つ〜6つの裂片に分かれています。葉身の下部の方は丸みがありますが、それぞれの裂片の先はとがります。表面はふつうの緑色で光沢があり、裏面はやや白っぽい薄い緑色。毛は表面は無毛ですが、裏面の葉脈上に少し見られます。

葉の形。言葉で書くとよくわからない感じになってしまいますが、葉を逆さまにしてみると、その独特の形が「半纏(はんてん)」のようだということで、別名「ハンテンボク」ともいいます。この個性的な葉にはやっぱり注目が集まるようで、他にも「ヤッコダコノキ」や「グンバイノキ」なんていう呼び方もあるとか。一度覚えると忘れられない葉ですね。

花期は5月〜6月。枝先にチューリップのような花を開きます。直径は10cmほど、色は黄緑色で、オレンジ色の帯びのような模様があります。花弁は6枚。ガク片は3枚あって下側に反り返ります。葉も特徴的ですが、花もとても印象的です。名前も花にちなんでいます。

ユリノキという名前は、学名の「Liriodendron」からきています。この属名は「ユリのような樹木」という意味で、花を「ユリ」に見立てたものだといいます。また、種小名の「tulipifera」の方は、「チューリップ状の花のある」という意味です。

果実は黄色っぽいオクラ形で、「翼果」がたくさん集まった集合果になります。冬芽はカモのくちばしのようなちょっと平べったい形です。冬芽のすぐ下のあたりには葉のついていたあとの「葉痕」があります。葉痕は結構大きめで丸いです。そこにはブツブツの点が見えるのですが、それは水分や養分の通り道だった管のあと、「維管束痕」です。

【和名】ユリノキ [百合木]
【別名】ハンテンボク [半纏木]
【英名】チューリップツリー (Tulip tree)
【学名】Liriodendron tulipifera
【科名】モクレン科 MAGNOLIACEAE
【撮影日】2005/10/30
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月11日

コアジサイ

コアジサイ Hydrangea hirta


コアジサイは、本州関東以西、四国、九州に分布し、山地の林内や林縁部などのやや湿り気のある場所に生える落葉低木です。高さは50cm〜1.5mほど。よく枝分かれして、下の方からは株立ちになります。枝は細く褐色です。若いうちはふつう毛が生えています。

葉は対生。卵形で先はとがっています。長さは5cm〜8cm。(鋸歯)は大きめで、基部の方にはギザギザがありません。葉は全体的によく整った形だと思います。結構好みの形なんですよね。質は薄めですが、表面には光沢があって、小さいわりに存在感があります。両面ともに毛があって、葉柄には軟毛が見られます。

コアジサイ Hydrangea hirtaコアジサイ Hydrangea hirta


花期は6月。枝の先から「複散房花序」が出て、小さな花を多数つけます。アジサイといえば、ピンクや紫の華やかな花弁のように見えているものを思い浮かべますが、その花弁のようなものは、「装飾花」の「ガク片」です。しかし、このコアジサイには装飾花がなく、すべて両性花で、花序もずっと小型です。装飾花のないアジサイとなると地味な感じがしますが、派手なアジサイにはない深い味わいがあります。たくさんの枝が出て、それぞれ小さな薄紫の塊になった花序がつくので、梅雨の林下では目立つ存在です。

平べったい複散形花序の直径は7cmくらい。1つ1つの花の直径は5mmほどで、淡い青紫色。花弁は5枚あります。その花弁よりは雄しべの方が目立ちます。雄しべは10本。花糸の部分も淡い青紫色です。

茎の先端につく冬芽は先がとがってちょっと内側に曲がりますが、落葉前の葉の脇にできた芽はあまりとがっていませんでした。芽はうろこのような「芽鱗」に包まれた「鱗芽」で、芽鱗の数は5枚〜6枚。

果実は小さな「さく果」。長さは3mmくらいしかありません。果実の形は卵形で、3本〜4本の角のような花柱がついている状態で、ガクも残っています。

【和名】コアジサイ [小紫陽花]
【別名】シバアジサイ
【学名】Hydrangea hirta
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
(アジサイ科 HYDRANGEACEAE)
【撮影日】2005/11/06
【撮影地】東京都檜原村

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アブラススキ

アブラススキ Eccoilopus cotulifer


アブラススキは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の林縁部の草地などに生える多年草です。イネ科アブラススキ属(Eccoilopus)の植物で、だらりと垂れ下がった花序のシルエットは独特。茎(稈)は枝分かれせず、少し根もとからそう生して、草丈は1m前後になります。茎や花序の柄からは粘液が出てベタつき、ちょっとにおいもあって、油ギッシュな感じです。

アブラススキという名前は、その油をひいたような様子と全体の姿がやや「ススキ」に似ているところからきているそうです。「ヒメアブラススキ (Capillipedium parviflorum)」や「オオアブラススキ (Spodiopogon sibiricus)」という名前の種もありますが、これらはそれぞれ別属に分類されています。

葉は長さ50cmくらい、幅1cm〜1.5cmほどの細長い披針形〜線形。ススキのように中央の脈の部分が白っぽくなります。葉の基部には長くて白い毛がモシャモシャと生えていて、それがよく目立ちます。下部につく葉には長い柄のようになった部分があるのがポイント。その柄は、葉身の基部が細くなったもので、葉鞘との間にあります。

アブラススキ Eccoilopus cotuliferアブラススキ Eccoilopus cotulifer


花期は8月〜10月。茎の上部に花序がのびます。花序は長さ20cm〜30cmほどで先の方が垂れ下がります。花序には数段の節があって、そこからごく細い糸状の柄がいくつか輪生します。小穂はその枝の上半分ほどにたくさんつきます。1つ1つの小穂は長さ6mm程度で、付け根のあたりには短い毛があります。また、小穂は柄のあるものと柄のないものとが1セットで1つの節についています。

長い芒は、「外花頴」という部分からのびていますが、その外花頴の先は2つに裂けます。芒はよく目立って、遠目にもモシャモシャした感じがします。

【和名】アブラススキ [油薄]
【学名】Eccoilopus cotulifer
【科名】イネ科 GRAMINEAE (POACEAE)
【撮影日】2005/11/05
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月10日

コマユミ

コマユミ Euonymus alatus f. striatusコマユミ Euonymus alatus f. striatus


コマユミは、ニシキギ科ニシキギ属の植物で、「ニシキギ (錦木 Euonymus alatus)」の1品種とされています。ニシキギは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の雑木林などに生育する落葉低木です。秋の紅葉は真っ赤に色づき、とても鮮やかなもので、庭木としてよく植えられています。

若い枝は緑色ですが、母種の「ニシキギ」の場合は、後に「翼」というコルク質の板のような突起ができます。ニシキギはその翼が顕著なのですが、野生状態のものでは、それがほとんど発達しないものが多いです。そのため、翼のないタイプを「コマユミ」と区別されることがあります。翼の有無以外はニシキギとコマユミに大きな違いはないようです。

葉は対生。長さ3cm〜6cmほどの倒卵形〜幅の広い披針形、先はとがります。縁には細かなギザギザ(鋸歯)があります。

花期は5月〜6月。葉の脇(葉腋)から短い花序が垂れ下がるように出ます。花はその短い花序に数個つきます。花は淡い黄緑色で、直径は6mm〜7mm程度。花弁は4枚。雄しべは4つの4数性。雌しべは1つだけ。ガクは4つに裂けます。

果実は「さく果」で、熟すと2つに裂けて、中からは赤いものが見えます。赤いのは「仮種皮」で、中には種子が1つあります。冬芽は先のとがった卵形で、「芽鱗」に包まれた「鱗芽」です。芽鱗は4列に並んでいます。葉が対生なので、葉のついていたあとの「葉痕」も対生ですが、小さな半円形のものなので、あまり目立つものではないですね。

【和名】コマユミ [小真弓]
【学名】Euonymus alatus f. striatus
【科名】ニシキギ科 CELASTRACEAE
【撮影日】2005/10/28
【撮影地】東京都日野市

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