2005年11月05日

ヤブムラサキ

ヤブムラサキ Callicarpa mollis


ヤブムラサキは、本州、四国、九州に分布し、雑木林の林内などに生育するクマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木です。同属の植物は、東海や近畿地方より西や南の地域にはいくつもの種が分布していますが、筆者の近辺で見られるものは、「ムラサキシキブ (Callicarpa japonica)」に「ヤブムラサキ」、そして植えられた「コムラサキ (Callicarpa dichotoma)」くらいです。

若い枝には星状毛が多く、高さは2m〜3mほどになります。同じような場所に生える「ムラサキシキブ」によく似ていますが、葉や花などに星状毛が密生していることで、花や実の感じ、葉を触った感じが違った印象になります。

葉は対生。幅の広い卵形〜卵状楕円形。先が尾状に細長くなります。長さは5cm〜10cm以上にもなります。縁には鋸歯(ギザギザ)がありますが、付け根のやや丸みを帯びたあたりには、ギザギザが見られないことが多いです。質は薄くやわらかめ、表面には短毛、裏面には星状毛がたくさん生えているので、触るとフサフサします。ムラサキシキブの葉にも細かい毛はありますが、触ってもあまりフサフサ感はありません。形や大きさは区別がつかないですが、触れば解決するかもしれません。

花期は6月〜7月。葉の脇(葉腋)から出た「集散花序」に、数個の花をつけます。花数はそれほど多くなく、柄の部分が短いので、コムラサキよりはこじんまりとした塊になり、葉の陰に隠れるようなつき方になります。それにコムラサキの場合は、花序の出る位置が、葉腋とちょっとずれたところから出ます。

花は直径4mmくらいで、色は淡い桃紫色です。花冠の先は4つに裂けて、裂片はよく開いて反り返ります。ガクに毛が密生しているところがポイントです。中央部分からは4本の雄しべと、1本の雌しべが突き出します。

果実は球形で、直径4mmくらい。秋に熟すと紫色になります。果実の時期にも毛が密生したガクが残っているので、ムラサキシキブ、コムラサキとの違いがわかります。ただし、ムラサキシキブとの雑種も認められていて、「イヌムラサキシキブ (Callicarpa x shirasawana)」と呼ばれています。

果実が色づくころには、すでに芽も目立ち始めます。ヤブムラサキの冬芽は、ムラサキシキブと同様、やっぱり「芽鱗」のない「裸芽」です。葉は黄色くなって落葉し、その後は紫の果実と白っぽい冬芽のコラボレーションがしばらく楽しめます。

【和名】ヤブムラサキ [藪紫]
【学名】Callicarpa mollis
【科名】クマツヅラ科 VERBENACEAE
【撮影日】2005/11/05
【撮影地】東京都日野市

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フトボナギナタコウジュ

フトボナギナタコウジュ Elsholtzia nipponica


フトボナギナタコウジュは、本州の関東以西、九州に分布し、山地の林縁部などの草地に生育する一年草です。シソ科ナギナタコウジュ属(Elsholtzia)の植物で、同属の「ナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)」と同じように、縦長の花序の片方に花が片寄ってつき、その反対側には「苞」がきれいに並んでつく、独特の形をしています。また、強い香りがあるのも特徴です。

フトボナギナタコウジュは、ナギナタコウジュに比べると、葉の幅が広くて長さは短め、名前の通り花序が太く短めでボテッとしています。全体にナギナタコウジュは細く堅くしまった感じ、フトボナギナタコウジュの方が野暮ったい感じです。草丈は30cm〜50cmくらいで、茎には軟毛が見られます。

葉は対生。広卵形で、先はとがります。長さは2cm〜5cmくらい、7cmほどになることもあります。幅は2cm〜4cm程度。縁にはギザギザ(鋸歯)があります。葉柄は1cm〜2cmくらいです。

フトボナギナタコウジュ Elsholtzia nipponica


花期は9月〜10月。茎の先に花穂が出て、片側に小さな花が蜜につきます。花穂は後ろ側にやや反り返ります。花穂の幅は1cmくらい、長さは2cm〜5cm。

その穂でもっとも目につくのは、花冠やガクよりも「苞」かもしれません。苞の先は急激に細くなってとがります。毛が目立つのが特徴です。花冠は淡い紅紫色で、毛が生えています。長さは5mmあるかなというくらいです。中には4本の雄しべがあって、少し突き出ます。4本のうち2本が長めです。ガクの先は5つにさけて、やっぱり毛があります。フトボナギナタコウジュの花穂は、あちこち毛があってかなりケバケバです。

ナギナタコウジュとの細かい違いを見るならば、「苞」の部分の形に注目します。ナビナタコウジュの苞は、だいたい中央部分で幅が最大になります。苞の縁に短毛がありますが、外側の部分にはふつう毛がありません。一方、フトボナギナタコウジュの場合は、苞のちょっと先端よりの部分で幅が最大で、丸っこい扇形。そして外側には短毛が多く、縁には長い毛が目立ちます。

【和名】フトボナギナタコウジュ [太穂薙刀香*じゅ]
【学名】Elsholtzia nipponica (Elsholtzia argyi var. nipponica)
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/11/05
【撮影地】東京都日野市

*)「じゅ」は、「草冠」の下に「需要」の「需」です。

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posted by hanaboro at 13:05| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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