2005年11月08日

イタヤカエデ

イタヤカエデ Acer pictumイタヤカエデ Acer pictum


イタヤカエデは、北海道、本州、四国、九州に分布し、低山〜ブナ帯に生えるカエデ科カエデ属(Acer)の落葉高木です。カエデの中でも特に大きな木になるカエデで、高さは15m〜20mに達します。樹皮は灰褐色。老木になると縦の裂け目が目立つようになります。樹形は整っていて、葉はたくさん重なってよく茂ります。その様子を板で葺いた屋根に見立てて、「イタヤカエデ (板屋楓)」というそうです。樹液には糖分が多く含まれていて、サトウカエデのように、メープルシロップをつくることも。

葉は対生。葉は3つ〜9つ、多くは5つ〜7つに分かれて、裂片の先は細長く尾状にとがっています。カエデ類をチェックするとき、葉裏の付け根のあたりの毛がポイントの1つですが、イタヤカエデは生えていることが多いです。そしてこの部分以外はだいたい無毛。葉柄は長くて5cm〜10cm以上にもなります。

葉の縁はちょっと波うつので、一見、細かなギザギザがあるようにも見えますが、鋸歯(ギザギザ)はなく全縁です。葉の大きさや切れ込みの深さ、葉の色や毛の状態にはいろいろと変異が多くて、一口にイタヤカエデといっても、多くの種内分類群が認められ、ある程度地域によっても違うタイプが見られたりします。たとえば、かなり葉の切れ込みの深い「エンコウカエデ」、裏面に毛が多く切れ込みの浅い「オニイタヤ」、裏面脈上に毛のある「アカイタヤ」、「エゾイタヤ」など、他にも多数あります。

これらの種内分類群も葉の縁に鋸歯がないということが、同属の他種と明らかに違う点なので、多くの種内変異を含めて「イタヤカエデ」と広く捉えておいても、とりあえずはよいのかもしれません。また、幼木の場合、切れ込みが深くなる場合も多いので、なかなか難しいところです。

イタヤカエデ Acer pictum


花期は4月〜5月。葉の展開に先駆けて開花しはじめます。花序は散房花序、その年にのびた枝の先につきます。1つ1つの花の直径は5mm程度のもので黄緑色。春の景色によく似合う色合いです。雄花と両性花が同じ株につく雌雄同株。

果実は「翼果」で、長さは2cmくらい、熟すと茶色になります。開く角度が小さいものから直角に開くものまで変異に富みます。それで、しばしば、翼果の開く角度によっても細かく分けられています。

秋の紅葉は赤ではなく、黄色。美しく鮮やかな黄葉です。写真のものはもう茶色くなっていて、足元にはたくさんの落葉。枝先にはもう冬芽も見えていました。

【和名】イタヤカエデ [板屋楓]
【学名】Acer pictum (広義のイタヤカエデ)
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/06
【撮影地】東京都檜原村

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ナギナタコウジュ

ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliataナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata
左:花が終わり気味のころの花序の後ろ側。
右:枯れた状態で苞くらいしか確認できない。苞はナギナタコウジュの特徴が出ていましたが穂はフトボタイプのように太めに見えています。

ナギナタコウジュは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の林縁や道ばたなどに生育する一年草です。シソ科ナギナタコウジュ属の植物で、草丈は30cm〜60cmほどになります。茎は四角く角ばっていて、軟毛が生えています。同属の「フトボナギナタコウジュ」とはよく似ていますが、葉の幅がやや狭く、苞の形状に違いがあります。名前は、花が花序の片側にだけつく様子を「薙刀」に見立てたものだそうです。かなり強烈な香りがあるので、人によってはくさいと感じるかもしれません。筆者は大丈夫ですけれど。

葉は対生。やや幅の狭い卵形で先はとがります。縁には鋸歯(ギザギザ)があります。長さは3cm〜8cmくらい、幅は1cm〜3cmくらい。フトボナギナタコウジュより細長い葉です。

花期は9月〜11月。枝先からのびた花序に、小さな花が片方にだけ密につきます。花は淡い紅紫色の唇形花。花冠は長さ5mmくらいですが、毛がたくさん生えていてモシャモシャしています。この毛は花冠が細かく裂けたその先が毛のような状態になっている感じです。花序の後ろ側に整然と並ぶ大きな苞が目立ちますが、ガクもちゃんとあります。ガクは先が5つに裂けて、裂片の先はとがっています。ガクにも毛がはえています。

苞は平べったい円形で先端は細くとがります。とがった部分の長さは1mm〜2mm。だいたい苞の中央部で幅が最大になり、縁にだけ短毛があります。フトボナギナタコウジュの場合は、より先端に近い位置で幅が最大になって、縁の毛は長く、苞の外側の面には短毛が多く生えています。先のとがった部分の長さがナギナタコウジュの方がほんの少し長めです。

まだ堅く青くて若い花穂は苞もはりついたような状態で、しまって細く見えます。でも、フトボの方は長さも短く太くて野暮ったい感じ。

ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata
堅い花序

フトボナギナタコウジュとの花穂の太さの違いですが、実際の太さを何cmとはかった場合には、大きな違いはないくらいだと思います。ですが、フトボナギナタコウジュの場合、毛が長く開出している分、あるいは、苞の形が先端部分で広くなっている分、花穂の太さがフトボナギナタコウジュの方が太く見えるのではないでしょうか。実際の太さというより、そういう印象、錯覚ということかもしれません。

また、ナギナタコウジュの方に多いと思いますが、花序の中軸や苞が濃い赤紫色を帯びているとしまって見えますし、フトボナギナタコウジュの苞の毛が白くて長いと膨張して見える、そんな感じもあるでしょうね。もちろん、個体や生育段階などでもいろいろ違って見えますし、この点ではっきり分けられるわけではないですね。

ということで、実際には穂の太さだけでは、両者の区別は難しい場面があって、両者の区別の決め手は、花穂の太さというより、苞の形と苞の毛の状態、葉の形ということになりますね。ただ何となくフトボタイプに2型あるのではないかな、なんて思い始めた今日この頃。。。

【和名】ナギナタコウジュ
【学名】Elsholtzia ciliata
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/11/06、2004/11/28、2004/09/23
【撮影地】東京都檜原村、山梨県

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posted by hanaboro at 13:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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