2005年12月05日

ヤマナラシ

ヤマナラシ Populus tremula


ヤマナラシは、北海道、本州、四国、九州に分布し、丘陵地や山地などの日当たりのよい場所に生育するヤナギ科ハコヤナギ属の落葉高木です。セイヨウハコヤナギ、カロニナポプラなどのいわゆる「ポプラ」の仲間。幹はまっすぐに伸びて、高さは10mから20mにも達します。

一年目の枝には白色の軟毛が見られますが、それは次第に脱落します。でも若い枝はやっぱり、白っぽいような灰色っぽいような感じ。樹皮は灰白色で、ひし形の割れ目模様があります。これ、重要!この部分には「皮目」があって、これ以外はだいたい滑らかですが、古い木になってくると縦に裂けてきます。

名前は葉がすれて音が鳴るところからきているとか。葉柄が扁平になっているので、葉が風によってパタパタとはためいて、音が出やすいのだそうです。

葉は互生。つぶれたような円形〜幅の広い卵形。三角形っぽい形で、ときにひし形のような形にもなります。質は堅め、長さも幅もだいたい5cm〜8cmほど、先はとがっています。縁のギザギザ(鋸歯)は波状です。葉脈は付け根の部分に注目すると、3本分かれて出ています。扁平な葉柄は少しの風で葉がパタつくほど長めで、特に上部の方で柄が両側からつぶれたように平べったくなります。そして、葉柄の上部にはプツプツッと見える「腺体」が1対あります。

ヤマナラシ Populus tremula


花期は3月〜4月。葉の展開に先立って、開花が始まります。雄の花序と雌の花序、どちらも尾状に垂れ下がりますが、色が違っています。雄の花序は赤っぽく、雌の花序は黄緑色です。長さは5cm〜10cmくらい。

花後に雌花序にできる種子はごく小さなもので、モワモワの綿毛に包まれています。この綿毛で風にのって運ばれますが、主に種子が芽生えるのは、他の植物がたくさん茂っているところではなく、日当たりがよくて裸地状態の場合が多いはずです。

秋の落葉前の葉は黄色。冬芽は長さ1cm前後で、細くて先がとがったものとちょっと太めのものがあります。細い方は「葉芽」、太い方は「花芽」。とくに枝の一番てっぺんにつく「頂芽」は「葉芽」のようです。冬芽は比較的多くのの「芽鱗」に包まれていて、色は濃い褐色です。本来は芽鱗に白い毛が生えているはずですが、今回手の届くところにあった冬芽の芽鱗には毛がなかったです。褐色でちょっと光沢のある感じがしました。このヤマナラシの冬芽の芽鱗は、「托葉」が変化したものだそうです。

初冬のころ、堅くしまった冬芽たち。春、花芽は葉芽よりも先に芽を出します。

【和名】ヤマナラシ [山鳴]
【別名】ハコヤナギ
【学名】Populus tremula
【科名】ヤナギ科 SALICACEAE
【撮影日】2005/11/30
【撮影地】東京都日野市

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2005年12月03日

ムクノキ

ムクノキ Aphananthe aspera


ムクノキは、本州の関東以西、四国、九州に分布し、主に人里近くの林やちょっと低めの山地などに生えるニレ科ムクノキ属(Aphananthe)の落葉高木です。高さは大きいものでは、30mにも達し、幹もふつうは直径60cmくらいですが、1mを越えるかなりの太さにもなります。同じニレ科の「ケヤキ」にも似て、よく枝分かれするほうき状の樹形で、樹冠は丸くこんもりとした感じになります。樹皮は灰白色で、十分な成木になった株では、褐色の「皮目」が短冊状に剥がれてきます。若いうちは遠めにみると、縦に赤っぽい筋模様のように見えます。

葉は互生。長さ4cm〜10cmくらいの卵形で、ちょっと幅は狭い感じで5cm前後。先は尾状にスッーととがります。縁のギザギザ(鋸歯)は、鋭くてはっきりしていますが、やや基部の方は鋸歯がなくなります。エノキに比べれば基部近くまでギザギザしています。質は薄めで、表面は濃いめの緑色で、短い剛毛がたくさん生えていて、触るとザラザラ。ケヤキとよく似た葉ですが、ムクノキの葉は、付け根のところで葉脈が3本に分かれて出ています。エノキも3本に分かれて出ますよね。葉柄は5mm〜1cmくらい。

ムクノキ Aphananthe aspera


花期は4月〜5月。葉の展開と同時に開花します。雄花と雌花は同じ株につく雌雄同株。花色は淡い黄緑色。その年、冬芽からのびた本年枝の付け根の方に雄花がつきます。雌花がつくのは上の方の葉腋です。雄花は比較的たくさん集まって「集散花序」につきますが、雌花は1個〜数個です。果実は熟すと大きめなのですが、雌花は開花中はほとんど目に付かないようなもの。

果実は熟すと黒っぽくなります。ちょっとくらい下から見上げても、あぁ〜黒い実だとわかるくらいの大きさです。何か意味不明ですけどね。そうじゃなくて、直径は1cmくらいの球形です。オレンジ色っぽくなる「エノキ」の果実よりは、柄の部分が短めかな。

冬芽は褐色で、長さは5mm程度。ちょっと平べったく枝にピッタリくっつく感じ。やや多めの「芽鱗」に包まれています。


【和名】ムクノキ [椋の木]
【学名】Aphananthe aspera
【科名】ニレ科 ULMACEAE
【撮影日】2005/11/30
【撮影地】東京都日野市

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2005年12月02日

タブノキ

タブノキ Machilus thunbergii


タブノキは、本州、四国、九州に分布するクスノキ科タブノキ属の常緑高木です。山地というよりは、ふつうは海岸沿いの林に多く生育しています。また、しばしば公園などにも植栽されています。幹はだいたいまっすぐに伸びて、高さは15m〜20mにもなります。幹もかなり太くなり、1m前後、巨木になると2mにもなる堂々とした樹木。うっそうとした日本の照葉樹林の代表的な樹種です。樹皮は灰褐色。ほとんど滑らかですが、やはり古木になれば割れ目が見られます。クスノキ科ですので枝葉には特有のにおいがあります。

葉は互生。枝先に集まるようにしてたくさん葉がつきます。葉は長さ8cm〜15cmほどの長楕円形で、先が細く短めに突き出しています。突き出した部分は、とがるというよりちょっと丸っこくて鈍頭です。どちらかというと、上の方が幅広く、基部の方が細くなった感じで、卵をひっくり返した倒卵形に近い形。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。葉柄は長さ1cm〜2.5cmくらい。質は厚く、表面は濃い緑色で光沢があります。裏面は白っぽいです。毛はありません。

タブノキ Machilus thunbergii


花期は4月〜5月。枝先の芽から黄緑色の花をつけた円錐花序と、しばしば赤みを帯びた葉がのびてきます。

果実は球形で、熟すのは夏。最初は緑色ですが、やがて赤色になった後熟すと黒くなります。果実は鳥に食べられて、それによって種子が分散されますが、そうやって運ばれた種子は地につくと直ちに発芽するのだそうです。果実の時期になっても、6つのガク片(花被片)が果実の後ろ側によく残っています。柄の部分が赤くなるのがちょっと異様な感じも。

枝先の芽は楕円形で太く、よく目立ちます。遠めには、どことなくツバキやサザンカの蕾をずっと小さくしたような雰囲気もあるかな。芽鱗の縁には褐色の毛があります。冬越し前はまだ緑色ですが、この芽は越冬中に次第に赤くなってきます。冬芽の観察といえば、何となく落葉樹の方に目がいきますが、タブノキは芽が大きな特徴でもあるので、要チェック!

クスノキ科にはクロモジやアブラチャン、ダンコウバイなどのように、秋には黄葉して葉を落として越冬するいわゆる「落葉樹」もあれば、クスノキやヤブニッケイ、シロダモのように、濃くつやのある葉をつけたまま越冬するいわゆる「常緑樹」もあります。常緑樹といわれるものはその言葉の印象から、まったく落葉しないようなイメージがありますが、ちゃんと?落葉します。落葉樹に比べて1つの葉の寿命が長くて一年以上なので、葉がまったくなくなる時期がないだけですね。クスノキなんかは落葉する葉は紅葉していたりします。

そういえば、樹皮が鹿の子模様のカゴノキも、名前の変わったバリバリノキなんていうのもクスノキ科ですね。

【和名】タブノキ [椨の木]
【別名】イヌグス [犬樟]
【学名】Machilus thunbergii
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2005年12月01日

チドリノキ

チドリノキ Acer carpinifoliumチドリノキ Acer carpinifolium


チドリノキは、本州、四国、九州に分布し、山地の谷筋などの湿り気の多い場所に生育する落葉小高木です。葉の形はいわゆるカエデの仲間とはまったく異なっていますが、カエデ科カエデ属(Acer)の植物です。果実はちゃんとプロペラみたいな翼果です。ひこばえがよく出て、しばしば、株立ち状の樹形になります。高さは10m〜15mほどになります。樹皮は灰褐色〜黒褐色で、ほぼ滑らかです。古い木になると、ちょっと縦の裂け目が見られることもあります。若い枝はやや赤みを帯びた褐色です。

葉は対生。長さ7cm〜15cmほど、幅2.5cm〜5cmくらいの楕円形で、先端は尾状にとがります。縁のギザギザは鋭い「重鋸歯」です。とがった部分にも細かな鋸歯が見られます。付け根の方はちょっと丸っこくて先がちょこっとくぼむ浅い心形です。たくさん並行に走る側脈がよく目立ちます。その側脈の先が鋸歯の先まで到達します。表面に毛はないですが、裏面の側脈の脇や葉脈上に毛が見られます。

ウリカエデやウリハダカエデ、ハナノキなど、先が3つに分かれるタイプの葉くらいまでは、まだカエデの仲間といわれても納得できるのですが、このチドリノキの葉はどう見てもカエデっぽくはないですね。一見、カバノキ科の「クマシデ」や「サワシバ」などのシデ類のような感じですから。でも、葉のつき方が違っているんですよね。シデ類は互生ですが、チドリノキは対生です。大きさはチドリノキのほうが大きめ。ちなみに、学名の種小名「carpinifolium」には、「シデ属(クマシデ属)のような葉の」という意味があります。クマシデ属の学名は「Carpinus」です。

チドリノキ Acer carpinifoliumチドリノキ Acer carpinifolium


花期は4月〜5月。やや垂れ下がった総状花序に、淡い黄色の花をつけます。雄花と雌花は別の株につく雌雄異株です。花の直径は1cmほどです。

チドリノキ。なかなかよい響きですね。この名前は、翼果の様子を千鳥に見立てたものだそうです。晩秋のころには、他のカエデ類が華やかに色づく中、チドリノキは地味な存在で赤くはならず、黄色から茶色になって、しばらくは落葉せず枝に残っています。冬芽はちょっと光沢のあるもので、先のとがった卵形です。長さは5mmくらい。黄緑色で芽鱗の先端や周辺部分が赤褐色になっています。枝先には1つか2つの冬芽ができます。

【和名】チドリノキ [千鳥木]
【別名】ヤマシバカエデ [山柴楓]
【学名】Acer carpinifolium
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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