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ヤマナラシは、北海道、本州、四国、九州に分布し、丘陵地や山地などの日当たりのよい場所に生育するヤナギ科ハコヤナギ属の落葉高木です。セイヨウハコヤナギ、カロニナポプラなどのいわゆる「ポプラ」の仲間。幹はまっすぐに伸びて、高さは10mから20mにも達します。
一年目の枝には白色の軟毛が見られますが、それは次第に脱落します。でも若い枝はやっぱり、白っぽいような灰色っぽいような感じ。樹皮は灰白色で、ひし形の割れ目模様があります。これ、重要!この部分には「皮目」があって、これ以外はだいたい滑らかですが、古い木になってくると縦に裂けてきます。
名前は葉がすれて音が鳴るところからきているとか。葉柄が扁平になっているので、葉が風によってパタパタとはためいて、音が出やすいのだそうです。
葉は互生。つぶれたような円形〜幅の広い卵形。三角形っぽい形で、ときにひし形のような形にもなります。質は堅め、長さも幅もだいたい5cm〜8cmほど、先はとがっています。縁のギザギザ(鋸歯)は波状です。葉脈は付け根の部分に注目すると、3本分かれて出ています。扁平な葉柄は少しの風で葉がパタつくほど長めで、特に上部の方で柄が両側からつぶれたように平べったくなります。そして、葉柄の上部にはプツプツッと見える「腺体」が1対あります。
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花期は3月〜4月。葉の展開に先立って、開花が始まります。雄の花序と雌の花序、どちらも尾状に垂れ下がりますが、色が違っています。雄の花序は赤っぽく、雌の花序は黄緑色です。長さは5cm〜10cmくらい。
花後に雌花序にできる種子はごく小さなもので、モワモワの綿毛に包まれています。この綿毛で風にのって運ばれますが、主に種子が芽生えるのは、他の植物がたくさん茂っているところではなく、日当たりがよくて裸地状態の場合が多いはずです。
秋の落葉前の葉は黄色。冬芽は長さ1cm前後で、細くて先がとがったものとちょっと太めのものがあります。細い方は「葉芽」、太い方は「花芽」。とくに枝の一番てっぺんにつく「頂芽」は「葉芽」のようです。冬芽は比較的多くのの「芽鱗」に包まれていて、色は濃い褐色です。本来は芽鱗に白い毛が生えているはずですが、今回手の届くところにあった冬芽の芽鱗には毛がなかったです。褐色でちょっと光沢のある感じがしました。このヤマナラシの冬芽の芽鱗は、「托葉」が変化したものだそうです。
初冬のころ、堅くしまった冬芽たち。春、花芽は葉芽よりも先に芽を出します。
【和名】ヤマナラシ [山鳴]
【別名】ハコヤナギ
【学名】Populus tremula
【科名】ヤナギ科 SALICACEAE
【撮影日】2005/11/30
【撮影地】東京都日野市
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