2006年01月19日

リンドウ

リンドウ Gentiana scabra var. buergeri


リンドウは、本州、四国、九州に分布し、山地の草原や林縁などに生育する多年草です。草丈は20cm〜大きいものでは80cmほどになります。オヤマリンドウなどに比べるとヒョロリとした感じになります。この根茎を乾燥させたものは漢方薬として利用され、強烈な苦味のあることで知られています。それを漢方で「竜胆」と呼び、和名のリンドウはその漢字の読みからきているとか。

葉は対生。リンドウ科の多くは茎葉が2枚対生していますが、中には根生葉が花時にみられるものや、茎葉が輪生状になるものもあります。リンドウの葉には葉柄はなく、付け根は茎を抱く感じになります。葉は長さ5cm前後の先のとがった披針形。

花期は9月〜11月。花は茎の先や上のほうの葉の脇につきます。花冠は筒状の鐘形で、筒の長さは4cm〜5cmほどです。先が5つに裂けています。その裂けた裂片と裂片の間には小さな「副片」があります。この副片の存在は「リンドウ属」の大きな特徴になっています。

オヤマリンドウやエゾリンドウの方だと、ガク筒の裂け方が浅くて、ガク裂片が短いです。一方、リンドウのガク片は線形です。ガクの先の裂け方が深くて、裂片の長さが長くなっています。さらにその外側にはよこに開いた苞葉もみられます。ちなみにガク片は直立です。

裂けている部分は青紫色ですが、その奥のほうをのぞくと、やや白っぽい地に斑模様がすじ状に入っています。斑点は濃いめの褐色です。花冠の中央には雌しべが突き出し、先の柱頭は2つにさけてクルリとひっくり返ります。雌しべの形は少々変わっていて、先と付け根が細く中央部分が少し膨らみます。膨らんだ部分、つまりそこが「子房」ですけれど、ふつうだったら子房が一番下にありますよね。リンドウの雌しべは子房が雌しべの中央にあって、雌しべの付け根から蜜が出ているのだそうです。その周りには線の細い雄しべが5本あります。

果実は「さく果」です。熟すと2つに裂けます。中には翼のある楕円形の種子が入っています。写真は冬枯れの草原で写したもの。何やら地面を黄色く染める塊があるなと近づいたら、リンドウの立ち枯れでした。白や黒に黄色っぽい褐色になっていました。枯れてカサカサに乾燥した葉が茎にまとわりついてニョキッと立っている様子はぶっとく見えて、オヤマリンドウみたいですけれど、きっと気のせい。果実の時期にも花冠が残って、果実はその中に包まれさらに種子がその中にあるはずですが、もうどこかへ行ってしまっていたようでした。

【和名】リンドウ [竜胆]
【学名】Gentiana scabra var. buergeri
【科名】リンドウ科 GENTIANACEAE
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月18日

シオデ

シオデ Smilax riparia


シオデは、北海道、本州、四国、九州に分布するユリ科またはサルトリイバラ科シオデ属の落葉つる性植物です。同じ属には半低木状のつる性植物で、赤い果実をつける「サルトリイバラ」があります。ちなみにシオデは草本。山野の草地や林縁などに生育する多年草です。茎はつる状で、巻きひげによって他のものに絡みつきます。

よく似た「タチシオデ」だと、のちに巻きひげを出して絡みますが、ふつうは最初のうち、まっすぐのびて自立しています。シオデの場合は、早い時期から巻きひげによって絡みつき、茎も他の寄りかかる傾向が強くなります。この巻きひげは葉柄の付け根のあたりから出ていて、「托葉」が変化したものだといわれています。

葉は互生。長さは5cm〜10cmくらいの長楕円形。質は厚めで表面にはやや光沢があります。並行して走る5本〜7本の葉脈が目立ちます。葉柄は1cm〜2cmくらいです。

シオデ Smilax riparia


花期は7月〜8月。球状の散形花序が葉腋から出て、淡い黄緑色の花をたくさんつけます。線香花火みたいな感じですね。ふつうは雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」。花被片は6つあって大きく外側に反り返ります。雌花の花被片の方が雄花のそれよりも幅が広めです。また雄花には6本の雄しべがあり、雌花には柱頭が3つのめしべがあります。その雌しべに注目すると、花の中央にドンとある緑色の子房の上に黄色っぽい柱頭がデデンと乗っているような感じです。つまり、花柱の部分がほとんどわからないくらいの短さなのです。

果実は直径1cmほどの球形の「液果」で、熟すと黒色になります。タチシオデの方は、白い粉をかぶったような黒色です。本当なら1cmくらいにもなっているはずの果実ですが、年を越した真冬ともなれば、かなり萎びてシワシワになっていました。写真のようになる前に、鳥にでも食べられていたら遠くまで種子を運んでもらうこともできたでしょうに。

【和名】シオデ [牛尾菜]
【学名】Smilax riparia
【科名】ユリ科 LILIACEAE (サルトリイバラ科 SMILACACEAE)
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月17日

サルトリイバラ

サルトリイバラ Smilax chinaサルトリイバラ Smilax china


サルトリイバラは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の草地や林縁などによく生育しています。ユリ科またはサルトリイバラ科のシオデ属の落葉つる性植物で、葉柄から出る「巻きひげ」で絡みついたり、全体的に茎を他のものにあずけながらのびていきます。この植物を初めて知ったとき、ユリ科と覚えました。ユリ科の植物の多様性の高さに驚かされたものでしたが、現在はサルトリイバラ科とされることの方が多くなっているようですね。

茎は節ごとにカクカクと折れたジグザグ状。トゲがポツポツと生えています。結構堅めのトゲです。サルトリイバラという名前は、このトゲにサルが引っかかって人に捕らえられることからきているのだとか。

葉は互生。だいたいは円形〜楕円形で、パッと見たところ丸っこいものですが、先端はちょこっととがって裏面に向かって反っています。そのため、先はとがっているというよりは、ちょっとくぼんでいるように見えます。長さは5cm〜10cmくらい。表面は光沢があって分厚い葉です。平行に走る3本〜5本の葉脈が目立ちますが、その主だった葉脈の間には網目状に細かい葉脈が見られます。縁にはギザギザ(鋸歯)はなく全縁で、ややウネウネと波打つことがあります。

また、特に若いうちは赤っぽい縁取りがよくみられます。葉柄や枝も赤みがかっていることも多いです。裏面はちょっと白っぽくなっています。そして、全部の葉柄ではないようですが、長さ5mmくらいの葉柄の両側には、きっと「托葉」だと思いますが、翼状の部分があって、だいたいその両側から1本ずつ巻きひげが出ます。

サルトリイバラ Smilax chinaサルトリイバラ Smilax china


花期は4月〜5月。葉の脇(葉腋)から花序を出して、黄緑色の花を数個〜十数個ほどつけます。花序は丸っこい球状の散形花序になります。春〜初夏の草木の芽吹きの季節、黄緑色の花はちょっと地味な方ですが、その季節感によく合う色合いです。花被片は6つ。光沢のある感じの花被片で、先は結構激しく外側に反り返ります。6枚はやや大きめの外側の3枚と、やや小さめの内側の3枚があって、このあたりはユリ科っぽい感じもありますね。

果実は球形の「液果」で、直径は8mm程度。熟すと真っ赤になります。すっかり落葉したあと、真冬の時期でも赤い果実が見られることも多いです。雄花と雌花は別の株につきますが、雄花には6本の雄しべがあり、雌花にある雌しべの先は3つにわかれています。ということで、サルトリイバラはふつう雌雄異株なので、赤い果実がなっているということは、写真の個体は雌株だったということでしょうね。

落葉して葉がなくなってしまった茎は、ジグザグの棒になっていて、何だかちょっと堅そう。ちょっと太い部分、どうやらこれは葉柄の翼の部分がかぶさって残っているようですね。

【和名】サルトリイバラ [猿捕茨]
【学名】Smilax china
【科名】ユリ科 LILIACEAE (サルトリイバラ科 SMILACACEAE)
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月16日

野の草:枯れ草の中の綿毛たち

身近なところから高い山の上までいたるところで見られるキク科の植物。ふつう種子といっているものは、本当は「そう果」という果実にあたるものですよね。キク科の植物には、そのそう果の上部に、風に乗って運ばれるくらいの「冠毛」をつけるものもたくさんあります。 その冠毛を見て、触って、飛ばして。花の終わった後も楽しめます。今回の写真は、多くの植物が枯れ果てた真冬の草原でのものです。ところどころ突き出している立ち枯れた姿を残す植物たち。よく見ると何種類かのキク科の植物にはまだ綿毛をつけたものも見られました。

オヤマボクチ Synurus pungensオヤマボクチ Synurus pungens 【和名】オヤマボクチ [雄山火口]
【学名】Synurus pungens

巨大な総苞から長めの冠毛のついた種子が出てきます。冠毛はあまりフワフワではないですが、パッと開いて風に乗ります。

タムラソウ Serratula coronata subsp. insularis 【和名】タムラソウ [田村草]
【学名】Serratula coronata subsp. insularis
タムラソウ

花時期の見た目がアザミ属によく似て見えるタムラソウ。上向きに咲き、草原で遠くから見るとノアザミやノハラアザミあたりに見えるかもしれません。でも葉はまったく違いますよね。枯れたときの総苞の感じもアザミ属のそれとは雰囲気が違っています。茶色さが違うとでもいいましょうか。それにかれても総苞片があまり反り返らず張り付いていますよね。

オケラ Atractylodes ovata 【和名】オケラ [朮]
【学名】Atractylodes ovata
オケラ

枯れてもしっかり残る魚の骨状の「苞」。これが大きなポイント。ボワボワとした羽毛状の冠毛も目を引きますね。カサカサの葉の縁の細かい鋸歯も要チェック。

タイアザミ Cirsium nipponicum var. incomptum 【和名】タイアザミ(トネアザミ)
【学名】Cirsium nipponicum var. incomptum

ただでさえ区別が難しいといわれている日本のアザミ属。冠毛だけでは無理だといってよいでしょう。枯れ果てた状態ではなおのこと。そこで一応の決め手となるのは総苞の大きさや形、総苞片の形状、腺体の有無やその様子、花や葉があればもちろんチェック。または筒状花の広筒部と狭筒部の長さなども要チェックですね。

ただし、枯れると本来は反り返っていないはずの総苞片が反り返っていたりしますから、そういう状態では同定といえるほどでもなく、精度はちょっと低くなってしまいますね。ある程度、分布域から種を絞り込んで、だいたいそうだろうということになります。詳しくはどうしても花の最盛期に、付近の個体群レベルで多くの個体を観察することで同定することになりますよね。今回、タイアザミとしているものだって、分布域と大きさなどから絞り込んでのものです。

【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月12日

カワラナデシコ

カワラナデシコ Dianthus superbus


カワラナデシコは、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよい草地などに生育するナデシコ科ナデシコ属(Dianthus)の多年草です。分類学的には北海道や本州中部に分布する「エゾカワラナデシコ」の変種という扱いです。単に「ナデシコ」というと、ふつうはこのカワラナデシコをさしているようですね。そのほか、中国原産の「セキチク」と区別するためにヤマトナデシコともいうそうですね。

上部の方で枝分かれして、草丈は30cm〜50cm以上にもなります。茎は少し粉をふいたように白っぽい。葉はナデシコ科らしく対生。長さは3cm〜8cmほどの細長い線形で、付け根の方は茎を抱きこんでいます。

花期は7月〜10月。秋の七草の1つにあげられています。花弁の先はヒラヒラと糸状に裂けています。長さ3cm〜4cmほどの細長いガク筒があって、花弁はその筒の外に出ている花びらの部分だけでなく、外からはわかりませんが、細長くなってガク筒の中に入っている部分とがあります。外の花びらの部分を「弦部」、中の細い部分を「爪部」といったりします。その弦部、つまり花の中央辺りの部分には毛が生えています。また、ガク筒の下には3対〜4対の苞があります。エゾカワラナデシコの場合は、この苞が2対です。

わずかに雪も積もる冬の草原。あたりにはオヤマボクチやタムラソウ、タイアザミやオケラといったキク科の面々の立ち立ち枯れた姿があります。この面々は綿毛を携えているので枯れた姿でも十分目を引く存在です。一方、その傍らではカワラナデシコの立ち枯れた姿が。こちらはガク筒をいくつも突き出してはいますが、ちょっと控えめな枯れ姿。繊細な花弁の片鱗はもうどこにも見当たりませんね。

【和名】カワラナデシコ [河原撫子]
【別名】ナデシコ
【学名】Dianthus superbus var. longicalycinus
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月11日

ツノハシバミ

ツノハシバミ Corylus sieboldianaツノハシバミ Corylus sieboldiana


ツノハシバミは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の雑木林など、日当たりのよい場所に生育するカバノキ科ハシバミ属(Corylus)の落葉低木です。高さは2m〜4mくらいで、株立ち状の樹形になります。樹皮は灰褐色、滑らかですが、それなりに目立つ皮目があります。また、若い枝には葉柄とともに毛が見られます。

葉は互生。長さ5cm〜10cm、幅は5cm内外。葉の形はおおむね先が急に細くなって尾状にとがった卵形〜楕円形ですが、丸みがあるものと、やや角ばったものが見られます。縁のギザギザはすべて一定ではないこともあって、ところどころ目立つ葉脈が到達した鋸歯は少し張り出したギザギザになる場合があります。中央の葉脈と8対〜10対の側脈が葉の裏面にくぼんで、裏から見ると脈が隆起してよく目立ちます。また若い葉には紫色っぽい模様が見られることもあります。葉柄は長さ5mm〜2cmくらいで毛があります。

ツノハシバミ Corylus sieboldiana


花期は3月〜5月。葉の展開に先がけて開花します。雄花と雌花は同じ株につく雌雄同株で、雄花序は前年度にのびた枝の先から垂れ下がります。雄花序の長さは5cm前後です。雄花の冬芽は年明けのこの時期くらいにはそれなりに長くなっていてもいい感じなのですが、写真の株では、おや?どこにあるのやらでございます。

雌花は雄花序よりも上部につき、芽鱗に包まれた冬芽から少しのびた状態で、先から赤っぽい花柱をのぞかせます。雄花のような長い花序にはなりません。花柱といっても柱みたいではなく細長くてチョロチョロしたものです。

果実は「堅果」で、下のほうが膨み、先はくちばし状になって「とっくり」のような形です。毛の密生した総苞に包まれています。1つ〜4つ集まってついて、とても特徴的。この様子から、名前に「ツノ(角)」とついています。ツノハシバミは「ヘーゼルナッツ(セイヨウハシバミ Corylus avellana)」と同じ仲間。果実は食べられます。

【和名】ツノハシバミ [角榛]
【学名】Corylus sieboldiana
【科名】カバノキ科 BETULACEAE
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月10日

ガガイモ

ガガイモ Metaplexis japonicaガガイモ Metaplexis japonica


ガガイモは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の日当たりのよい草地などに生育するつる性の多年草です。葉は対生。長いハート形。幅は3cm〜5cmくらい、長さは5cm〜10cmほど。先はとがっています。表面は光沢のある緑色、裏面はやや白っぽい緑色。

花期は8月。葉の脇(葉腋)から花序が出ます。花序は球状で、遠目には白っぽいような紅紫色の花が集まってつきます。1つ1つの花の直径は1cmほど。外側はほぼ白色、内側は紅紫色。白っぽく見えるのは、外が白いだけでなく、内側には白っぽい長めの毛が密生しているからなんですね。夏の咲くのでケバケバは温かすぎかな。花冠の先は5つに分かれて星型、結構ぶ厚くみえます。

花の中央に見えているのは、雄しべと雌しべがくっついた「ずい柱」です。その先には柱頭が突き出しています。ガガイモ科の花では花冠ののどの部分に「副花冠」というものがあります。その副花冠はふつうずい柱の基部をとりまいています。咲いている花の中心部分をまじまじと見ると、副花冠の存在が見えてくるはずです。

果実は長さ10cmくらいの「袋果」で、先のとがった披針形。表面にはブツブツの突起があります。その果実の中には楕円形の種子ができます。この種子には翼がある上によく風にのる「種髪」もあります。種髪は、絹のような毛で、タンポポの綿毛(冠毛)のようなものです。袋の中から出た種子の種髪はパッと開いてなかなか美しいものです。

【和名】ガガイモ
【学名】Metaplexis japonica
【科名】ガガイモ科 ASCLEPIADACEAE
【撮影日】2006/01/08
【撮影地】山梨県

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2006年01月07日

オヤマボクチ

オヤマボクチ Synurus pungens


オヤマボクチは、北海道、本州の中部以北、四国に分布し、山野の日当たりのよい場所に生えるキク科ヤマボクチ属の多年草です。しばしば紫色っぽくなった茎も太めで、草丈は1m〜1.5mを超えることも。草本としては結構な大物で、つける頭花も迫力があります。全体にアザミ属に似た印象もありますが、アザミ属のように葉にトゲはありません。茎は上部でよく枝分かれします。

葉は互生。下部の葉はとても大きく、長さは15cm〜30cmを超えるくらいにもなりますが、上部の葉ほど小さくなります。表面は濃いめの緑色ですが、裏面には白い綿毛が密生しています。縁には鋸歯あり。

同属のハバヤマボクチによく似ていますが、葉の形、特に付け根の形が違います。ハバヤマボクチは三角状で付け根の部分が横に張り出して、その張り出した部分の先が少しとがる感じになります。オヤマボクチの葉は広卵形で、付け根の形は心形、丸っこい感じです。といっても少々微妙なときもありますよね。

オヤマボクチ Synurus pungens


花期は9月〜10月。長めの柄の先に1つずつ大きな頭花を斜め下向きにうつむき加減につけます。頭花の直径は、フジアザミよりは小さめですけれど、4cm〜5cmにもなります。ふつう花びらといっている「舌状花」はなく、すべて濃い紫褐色の筒状花(管状花)からできています。その筒状花はふつうは両性です。総苞の部分は鐘形。総苞片は堅くトゲのように細長くて、外側に開いています。特により外側にある「総苞外片」は反り返ります。総苞には白いクモ毛が多くみられますが、蕾の時にはもっと目立ちます。

ハバヤマボクチとの花の違いをみるなら、1つ1つの筒状花をとりだして、筒の部分の様子を観察します。筒はより幅広の部分と細い部分がありますが、オヤマボクチの場合はその細い部分の長さの割合が短くなっています。ハバヤマボクチだと広筒部と狭筒部が同じくらいの長さです。

アザミ属(Cirsium)の頭花に似ていますが、大きな違いは「冠毛」です。アザミの冠毛はフワフワの羽毛状。でもオヤマボクチの冠毛は羽毛状でなく、褐色を帯びた剛毛なんです。長さは2cmくらいあります。そう果は長さ5mm〜6mmくらいです。

秋も深まり冬の足音が近づく11月の山中。まだ秋の花がちらほら残る林道脇。最盛期は過ぎてしまったけれど、ドライフラワーになるまでには、まだ間のありそうなオヤマボクチの頭花。その総苞片の間には、カメムシたちが数匹もぐりこんでいました。越冬の準備なのかどうなのか。よくまぁ、そんな隙間に入ったものだと感心させられるのでした。

【和名】オヤマボクチ [雄山火口]
【学名】Synurus pungens
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/11/06
【撮影地】東京都檜原村

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2006年01月06日

オヒョウ

オヒョウ Ulmus laciniata


オヒョウは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の少し奥まった谷沿いなどに見られるニレ科ニレ属の落葉高木です。幹はまっすぐのびて、高さは15m〜20mほどになります。樹皮は灰褐色。縦に浅めの裂け目が見られます。この樹皮の繊維は非常に丈夫なものだそうで、アイヌの人たちは、この樹皮を布を織るのに用いていたとか。オヒョウという名前、植物の名前とは思えないような、とっても変わった名前ですが、この「オヒョウ」とういのは、アイヌ語でこの樹皮などの呼び方、「オピョウ」からきているのだそうです。

葉は互生。長さ10cm前後の倒卵形。葉の先端近くが3つから5つくらい、場合によっては7つや9つに裂けて、縁の重鋸歯が目立つ特徴的な葉。一番先端は急に細くなってとがったりします。ただし、必ずしも裂けているとは限らず、裂けていない葉も混じっています。それに裂けているといっても、その裂片らしき部分は鋸歯がちょっと大きくなったような状態のものです。小枝の先端の方につく大きな葉ほど、よく裂けている感じでしょうかね。また、裂けてない葉を見ると、同じニレ属の「ハルニレ」あたりと似ていますが、ちょっとオヒョウのほうがだだっ広い感じですね。

葉の表面は濃いめの緑色。触るとザラザラ。葉柄は長いもので1cm、ふつうはごく短くて数mmです。葉の基部は、時折ちょっとゆがんだところがあって、左右対称でないことも多いです。というより、このニレ科の仲間の葉はだいたい左右非対称ですね。ケヤキやエノキも非対称。オヒョウの場合は付け根が丸っこいこともあって、パッと見には、左右対称のように見えますよね。側脈はだいたいずれていますけれど。その側脈は縁の鋸歯まで到達しますが、途中で枝分かれして、到達していることが多いでしょうかね。

花期は4月〜5月。葉の展開よりも早めに開花します。花がつくのは、前年度にのびた枝の葉腋の部分。赤みがかった淡い黄緑色の花が束になってつきます。花は両性花です。果実は平べったい楕円形の翼果。長さは1.5cmほど。梅雨のころ熟します。

【和名】オヒョウ
【学名】Ulmus laciniata
【科名】ニレ科 ULMACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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2006年01月05日

シロダモ

シロダモ Neolitsea sericeaシロダモ Neolitsea sericea


シロダモは、本州の東北南部以西、四国、九州に分布し、山地や丘陵地に生育するクスノキ科シロダモ属の常緑高木です。高さは10m〜15mほどになります。樹皮は灰褐色で、ボコボコと隆起した丸っこい「皮目」があります。若い枝は緑色。

葉は互生ですが、枝の先に多くが集まってやや輪生状につきます。長さ8cm〜15cm前後、幅5cmくらいの細長い卵形〜長楕円形。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。ちぎるとやはりちょっとだけ、クスノキ科らしく独特の香りがします。質は厚めの革質で、表面は光沢のある濃い緑色。裏面は粉をふいたような灰白色で、褐色の毛があります。特に若葉のころには表面にも毛が見られますが、次第になくなっていきます。

シロダモの仲間、クスノキやヤブニッケイなどはよく似た葉をつけます。その大きな特徴は、葉の付け根よりちょっと上の部分からはっきりとした3本の葉脈が分かれて出ていること。そういう葉脈は、「三行脈」と呼ばれます。中でもシロダモは葉が大きくて、クスノキやヤブニッケイよりも大きめです。葉の裏の白さも際立ちます。

シロダモ Neolitsea sericea


花期は10月〜11月。多くの落葉樹の葉が色づき、葉を落とし始める時期に開花します。花はちょっと茶色みがかったような黄色で、葉腋に散形状に数個つきます。同じころふつうに咲いている樹木といえば、ヤツデ、ビワ、サザンカってところでしょうか。こちらの近辺では、他のクスノキ科の花も、多くは早春〜初夏ごろですからね。

雌花と雄花が別の個体につく雌雄異株です。雄花の方は多数の雄しべが目立ちます。そして、花時期に赤い果実が見られるのは、雌株ってことになりますね。長さ1.5cmくらいの楕円形の果実は、花がついている部分よりも下部に見られます。熟すのに一年かかるので花と同時に見られます。

【和名】シロダモ [白だも]
【別名】シロタブ
【学名】Neolitsea sericea
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/13
【撮影地】東京都あきる野市

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2006年01月04日

ジュウガツザクラ

ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’


ジュウガツザクラは、コヒガンザクラ系の八重咲きの園芸品種で、春と秋に二回花を咲かせるバラ科サクラ属の落葉小高木です。桜といえばやっぱり春のイメージが強く、実際、多くの桜の開花は春ですよね。秋にこの桜の花を見ると、おや異常気象の影響でこんな時期に咲いてしまったのかと思ってしまうくらいですよね。でも、ジュウガツザクラの場合は秋にも花が咲くのはふつうのことで、間違って咲いてしまったわけではないんですよね。ちなみに、コヒガンザクラは、エドヒガンとマメザクラの雑種といわれています。花は春、3月〜4月です。

ということで、春と秋2度花が見られるジュウガツザクラですけれど、花はやっぱり春3月〜4月に咲く花のほうが大きくて、たくさん咲きます。秋は10月ごろから咲き始めて、冬の間もちらほら咲きつづけますが、花が小さくちょっとまばらな感じです。春の花は葉の展開よりも少し早く咲きはじめます。一方、秋から冬の花のころは、まだ葉が残っていることもあります。

樹皮は濃い灰褐色。葉は互生。長さ5cm〜10cmくらいの長楕円形。質は厚めです。先はとがり、縁のギザギザは先の鋭い「重鋸歯」です。葉柄の部分や葉の裏には毛がたくさんあります。ふつうポチポチの「腺体」は葉の付け根に1対あります。

ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’


花弁は多少、枚数の違いがあるようですが、八重咲きで、だいたい10枚以上あります。同じころ、フユザクラの花も見られますが、そちらは一重です。ジュウガツザクラの花色は、淡い紅色〜ほとんど白色。直径は1.5cm〜3cmほど。雌しべは1本、弁化せずにちゃんとあって、たくさんある雄しべよりも長めです。八重咲きですが、いくらか果実ができます。

花柄は短く枝にくっつくような感じで、1輪〜数輪が1房に散形状につきます。ガク筒はツボ状で、長さ8mmくらい。小花柄の部分とともに細かな毛が多いです。

【一般名】ジュウガツザクラ [十月桜]
【学名】Cerasus ’Autumnalis’(Prunus×subhirtella ’Autumnalis’)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2006年01月03日

シダレザクラ

シダレザクラ


シダレザクラは、エドヒガン(江戸彼岸)系の枝垂れ性のタイプです。ベニシダレ、ヤエベニシダレなどいろいろな園芸品種があります。枝垂れ性のサクラはエドヒガン系のほかにもありますが、最もよく見られるのがエドヒガン系で、本来はそのエドヒガン系のものを「シダレザクラ」というそうです。

エドヒガンの学名は、Cerasus spachiana f. ascendens、または、Prunus pendula f. ascendensで、本州、四国、九州の山地に見られる落葉高木です。高さは20mにも達します。種小名の「pendula」には「垂れ下がった」という意味がありますが、エドヒガンは特に枝垂れているというわけではないですよね。ちなみに、ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの雑種だそうですね。一般にソメイヨシノは寿命が短く、それに比べるとエドヒガンは長寿だといわれています。

それにしても、シダレザクラは、本当、すっごく垂れ下がりますよね。ほとんど真下に向かって細めの枝が垂れ下がりますが、これは、枝の伸長が早く重力に打ち勝つ力がなくて、下垂したまま木質化するからなんだそうです。樹皮は縦に裂ける感じ。

シダレザクラシダレザクラ


葉は互生。長さは5cm〜10cmくらい、幅は2cm〜4cmほどとサクラの中では細長い長楕円形。先は細長くとがります。縁のギザギザ(鋸歯)は粗めの単鋸歯か重鋸歯。葉柄は1cm〜2cm。ポチッと膨らんだ突起状の「腺体」は、だいたい葉の付け根にあります。

花期は3月下旬〜4月上旬。葉の展開に先がけて開花します。花は淡い紅色〜白色の5弁花。咲き始めはやや濃い色ですが、次第に白色に近くなります。桜の花びらを描くとき、花びらの先をちょこっとくぼませますが、このシダレザクラの場合も、ふつう花弁の先は2つに裂けます。雄しべは多数、雌しべは1本です。

ガクには毛が生えていて、ガク筒は短く下の方がプクッと膨らんでいます。ガク片は先が5つに裂けて縁は細かくギザギザがあります。ガクの形状はサクラ属のチェックポイントとして重要ですね。

【一般名】シダレザクラ [枝垂桜]
【別名】イトザクラ
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2006年01月01日

カンザクラ

カンザクラ Cerasus x kanzakura


カンザクラは、カンヒザクラ(寒緋桜)とヤマザクラ(山桜)、あるいは早咲きのオオシマザクラ(大島桜)との雑種といわれています。バラ科サクラ属(Cerasus)、あるいは広義のサクラ属(Prunus)の落葉小高木〜高木です。高さは10mくらいでしょうか。樹皮は黒褐色。皮目は横に並んで、全体にコブコブしています。サクラ類に特徴的な樹皮ですね。「カワヅザクラ(河津桜)」や「オオカンザクラ(大寒桜)」などもカンザクラの仲間だそうです。

花は早いければ1月から咲きはじめるので、秋に咲く「フユザクラ」をのぞけば、かなり早い時期に開花します。開花は葉の展開より早いか同時。開くと淡い紅色ですが、蕾のときはさらに色が濃いです。花の直径は2cm〜2.5cmくらいで、花弁は5枚です。雑種親の1つと考えられるカンヒザクラは、中国や台湾の原産で、サクラの仲間では断トツの色の濃さで、半開きの花が下向きに垂れ下がります。カンザクラの場合も下向きですが、色はカンヒザクラよりはずっと淡く、ほぼ平開にちかくなります。

カンザクラ Cerasus x kanzakura


葉は互生。長楕円形で、先はやや尾状になります。カンヒザクラに比べるとやや小さめ。長さは10cmほどです。縁にはギザギザのやや鋭い「重鋸歯」があります。表面は濃いめの緑色、毛はふつうありません。葉柄に毛がないのも要チェック。ソメイヨシノだと柄に毛があります。

サクラ類のチェックポイントとしては、よくガク筒の形があげられます。カンザクラの場合は、ガク筒が鐘形で、途中でキュッとくびれ、先は5つのガク片にわかれます。冬芽は濃い赤褐色。枝の皮目もよく目立ちます。

【和名】カンザクラ [寒桜]
【学名】Cerasus x kanzakura (Prunus x kanzakura)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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