2005年12月14日

センボンヤリ

センボンヤリ Leibnitzia anandria


センボンヤリは、日本全土に分布し、山地や丘陵地のやや開けた林縁部や乾燥地気味の斜面などに生育する多年草です。特に希少な植物というわけではなくて、比較的ふつうの植物のはずですが、いざこれを探そうということになると、あれれ?というようなちょっと神出鬼没なところもある感じがします。偶然見かけて、ああそうだな、ここはありそうな環境かななんて思います。

春型と秋型と2型あって、季節で異なった花をつけるという変わった植物。でも春は小さめだし、秋は大きくても花は目立たず、綿毛が見えてやっとその存在に気づかされる、そんな植物なのかもしれません。キク科センボンヤリ属の植物で、センボンヤリという名前は、秋型の閉鎖花が長くのび出て様子を大名行列の「千本の槍」に見立てたものだといいます。

葉は根もとから出てロゼット状になります。春型の葉は卵形で、縁に鋸歯はありますが、あまり羽状に裂けません。特に裏面には白くてモヤモヤッとした毛(クモ毛)が多く生えています。と、図鑑の紹介ではこんな感じに書いてありますが、これは春、それなりに早い時期のことかなと思います。季節が進んで初夏ごろに見ると、羽状に裂けた葉が見られます。秋型の方は長い楕円形で、粗くギザギザと羽状に裂けます。長さは5cm〜15cmくらいになります。

センボンヤリ Leibnitzia anandriaセンボンヤリ Leibnitzia anandria


花期は春4月〜6月と秋9月〜11月。春の花の花茎の方が短めで、根もとからのびてきて高さは5cm〜15cm。まっすぐにのびた花茎の先に1つずつ頭花がつきます。花茎にはクモ毛が多いです。周辺部分には「舌状花」が一列ならんでつき、中央部には「筒状花(管状花)」があります。直径は1cm〜1.5cmほどで、ふつう舌状花は白色ですが、特に裏面はよく紅紫色を帯びています。それで、別名をムラサキタンポポとも。

秋の花の花茎は20cmくらいから長いものでは50cmくらいに達します。春の花と同じで、長くのびた花茎の先に1つつきます。ただし、花といっても「筒状花」ばかりで花びら(舌状花)もない「閉鎖花」です。筒状花だけのキク科の花は特に珍しいものではないですが、センボンヤリの秋型の筒状花は、ちゃんと開かずに結実する閉鎖花なんですね。長さは1.5cmほどで、クモ毛のある「総苞」に包まれていて、先はキュッと絞った感じになっています。

この閉鎖花は、熟すと淡い褐色の「冠毛」が広がって、地味めの綿帽子になります。タンポポの綿帽子よりはちょっと小さめです。その冠毛は長さ5mmくらいの「そう果」についています。キク科の植物のそう果というのは、ふつう一見種子に見えるので、これをタネといったりしていますが、本当は果実、それも偽果の一種なんだそうです。本来の種子はその中に1つだけ包まれています。ちなみに、写真はすべて秋型です。

【和名】センボンヤリ [千本槍]
【別名】ムラサキタンポポ [紫蒲公英]
【学名】Leibnitzia anandria
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/12/11、2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 20:43| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 花後図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
春だけじゃなかったんですねぇ!
春型と秋型があるとは・・びっくり!
季節で異なった花をつけるというのも
驚きましたです。
秋型、見たことあるような?ないような?見落としたかなぁ・・もう雪の下になってるかも。来秋までの宿題ということにします。いやぁ〜今から楽しみ!
閉鎖花・・スミレみたいですね。
他にも閉鎖花ってあるのかしらん?

Posted by ぽぽ at 2005年12月15日 20:34
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。