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ヤマネコノメソウは、山地の林内などのやや湿り気の多い場所に生えるユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。草丈は10cm〜20cmほど。まだ浅い春、明るい緑色の丸っこい葉を広げ、全体に水分を多く含んだ瑞々しい姿が見られます。地面を横にはう走出枝のないタイプ。茎には長めの軟毛があります。ネコノメソウという名前、これは、花後に見られる果実が裂開したときに中の種子が見える様子、あるいは裂開する前の果実の様子が猫の目に似ていることからきているそうです。
ヤマネコノメソウの茎生葉は互生。ネコノメソウだと対生です。茎の途中には葉は少なく1枚〜2枚、または見られないことも。上部には輪生状に集まってつきます。根生葉にはより長い柄があります。葉は縦の長さよりも横幅の方が広めの腎円形。幅は1cm〜2cmほどです。縁のギザギザ(鋸歯)は、ギザギザというのには程遠く、先はとがらず丸っこいものです。
花期は3月〜4月。茎の上部の葉が集まったあたりの中心に、小さな花を数個つけます。花には花弁がなく、ガク裂片の先の方は緑色で、付け根の方は黄色っぽいです。裂片の長さは1mmちょっとの小さなもの。このガク裂片は、花の最盛期には平たく開いています。その中に4個〜8個の雄しべがあって、先端の葯の部分は黄色です。
果実はさく果で、熟すとパカッと裂開します。開いた果実のおわんの中には、褐色の小さな種子がたくさん入っています。雨が降ったとき、雨滴がおわんの中に当たってその衝撃で中の種子が弾き飛ばされます。そうやって種子が散布される種子散布様式を「雨滴散布」といいます。その後、水の流れで流されたりもするのでしょうかね。ネコノメソウの仲間は、チョロチョロ水が滴るような場所によく生えているし、種子散布の様式と関係ありそうですね。でも、ヤマネコノメソウの場合は、やや乾燥したところにも生えますから、どうなんでしょうね。
今回の写真はまだ芽生えたばかりのようでした。種子から芽生えるのは、春や秋なのかと思っていたので、こんな真冬に芽生えが見られて、ちょっとビックリ。この日は粉雪もちらついていたんですよ。秋に芽生えたものがそのまま成長せずにこんな小さな状態のままだったものなのか、つい最近芽生えたものなのかはよくわかりませんけれど。ちょっと密集して芽生えていたので、どうやら種子は広い範囲には散布されなかったようですね。
【和名】ヤマネコノメソウ [山猫の目草]
【学名】Chrysosplenium japonicum
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/12/24
【撮影地】東京都八王子市
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またまたご無沙汰です。
ネコノメソウシリーズ、今年はがんばって画像を撮ったつもりだったのですが、技術が未熟なため、手ブレ・白とび画像ばかりで殆ど使えませんでした(T_T)。
>ヤマネコノメソウの場合は、やや乾燥したところにも生えますから、どうなんでしょうね。
乾燥対策に、むかごを作るようになったのでしょうか?他の仲間はむかごなんて作らなくてもランナーで猛烈な勢いで栄養繁殖しますからね。面白いですねー。
「雨滴散布」、おもしろそうですね。
来春こそ花の咲いてるときに見つけて、ある場所を覚えておかねば。
一度見つけられれば、その後は、「ここにもある、あそこにもある」ってなることが結構ありますよね。
雨滴散布は知りませんでした!
時々異様に群生しているのを見かけますが、
散布がうまくいかなかったせいなのですね(笑)
勉強になりました。いつもありがとうございます♪
実家に帰るため新年の御挨拶ができないものですから、
今のうちに失礼します。
今年は大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします〜(*>∇<)/
こちらこそ、ご無沙汰してました。どうも年末はあれこれやりたいことがあっても、なかなか進まなかったですね。
猫の目さんたちは、生えているところが暗〜かったりしますからね。なんだか気持ちの悪い色の写真が出来上がってしまいます。わたしはもう腕がダメですから、写真はもうあきらめていますよ。
あまり散らばっていないところを見ると、この記事の写真の芽生えたちは、ムカゴ由来のものなのでしょうかね。種子由来とは形状が違っているものなんでしょうかね。う〜、どうなんでしょう。猫の目のなかま、いろいろあって面白いですね!
そうそう、最初の一株を見つけると、あとは次から次に目に飛び込んでくるってことありますね〜。
それに、この仲間、ほとんど緑色ですからね、草丈も10cmくらいですし、小さな草たちの中に同化してしまっているんですよね。こちらの近辺の狭い範囲だと、ヤマネコノメソウの方がよく見られます。ちょっとした緑地で背の低い草があるところですね。まぁ、それなりの自然度が確保されているところなら、田んぼの畦なんかにも見られることがありますよ。
だいたいは、ヤマネコノメソウの方がより乾燥気味のところ、ネコノメソウの方が水分の多いところに生えている感じですね。
こちらこそ、多摩NTの住人さんのブログに出会えて嬉しかったです。地方出身ですので、多摩地区のこともまだまだ知らないことだらけで、多摩NTの住人さんところでいろいろ吸収させていただきました。
本当にありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
それでは、どうぞよいお年をお迎えくださいね!
きっと、どの種子散布様式にもメリット、デメリットっていろいろあるんでしょうね。ふつうならできるだけ遠くに種子を散布したいのかなと思いますが、でも、もし種子をつけた親の個体が生えている場所が、すごくすみやすい場所だったら、あえて危険を冒して遠くに種子を運ばない方がよいのかもしれないですしね〜。運ばれにくい方がよい場面っていうのもあるのかなぁ、なんて。
それに、ムカゴによってできた幼植物だったら、より密集して生えているかもしれませんね。どうなんでしょう。。。
こちらこそ、本当にお世話になりました。知三朗さんにピンチを救ってもらいましたから。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします!
ではでは、よいお年を♪