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エノコログサは、日本全土の道ばたや畑、空き地などにごくふつうに見られる一年草です。フサフサした花穂のようすを子犬のシッポに見立てて、「エノコログサ」といいますが、別名の「ネコジャラシ」という名前でもおなじみです。
草丈はふつうだと30cm〜70cmぐらいになります。花期は8月〜11月、茎の先に3cm〜6cmの花穂を出し、緑色の「小穂(しょうすい)」をびっしりつけます。小穂というのは、簡単にいうと穂についているツブツブのことです。ちょっと難しめにいうと、「小花」がいくつか集まって「包頴(ほうえい)」という一番外側の鱗片状のものに包まれたもののことです。
さらにイネ科の「小花」というのは、「護頴(ごえい)」、「内頴(ないえい)」、「鱗皮(りんぴ)」、「雄しべ」、「雌しべ」を含めたものをさしています。小さなツブツブですけれど、いろいろと複雑な構造をしているものなんですね。観察するにはルーペが必要です。特殊な用語もいろいろ出てきますので、なかなか難しいところかもしれませんね。
エノコログサの小穂は1つの小花からできているように見えますが、実際は2つの小花からできていて、下にある小花は退化して護頴だけになっています。小穂の基の部分からは長い剛毛が出ますが、これがフサフサの毛の部分なんです。この剛毛の色が紫褐色になるものを特に「ムラサキエノコログサ (Setaria viridis var. minor f. misera)」ということもあります。小穂が落ちた後も剛毛は残るので、冬の間もすっかり枯れて白っぽくなったネコジャラシを見かけることがあります。
写真に写っている個体は、草丈3cmぐらいです。このところの陽気で芽生えたものなのでしょうか、一応、花穂ができています。小穂は数個だけ、剛毛も何本かショボショボと伸びているだけですし、結実までいくかどうかはわかりません。でもなかなかの生命力の持ち主ですね。周囲には一度は枯れかけたような株でも、再び生育をはじめたらしく花穂をつけているものがちらほら見られます。
【和名】エノコログサ [狗尾草]
【学名】Setaria viridis var. minor
【科名】イネ科 POACEAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市
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ふさふさしたイメージしかなかったので、こんなカワイらしい時期(?)があるのかと感動しました。
どんなに大きい草木だって最初は小さいから当たり前の姿なんでしょうけど・・。
頑張って実をつけて欲しいですね!
ふつうだとエノコログサはもう少し大きくなってからふさふさが出てくるのですが、写真のものは季節はずれのもので、すごく小さい状態で花をつけています。今日、同じ個体を見ましたが、ツブツブのてっぺんからは柱頭や雄しべが見えていました。この個体が実を結べるかどうか重要な時期になったようです。
こちらでは今の時期、秋に芽生えて越冬するタイプの草の芽生えがたくさん見られます。ほとんどのものがまだとても小さいものです。その中に混じって、秋には枯れてしまうはずの草がふつうよりはものすごく小さい状態で花をつけていることがあります。春の花が咲いていることも多いですよ。