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ヒナタイノコズチは、国内では本州、四国、九州に分布し、道ばたや荒れ地など日当たりのよい場所に生える多年草で、都市部の空き地や道路脇でも見られます。本種は日なたに生えることが多いのですが、よく似た植物に「イノコズチ(猪子槌 Achyranthes bidentata var. japonica)」という種類があって、こちらは山野の林内などの日陰に生えることが多いため「ヒカゲイノコズチ(日陰猪子槌)」ともいいます。ただし、生えている場所が日陰か日なたかだけで、両者を区別できるわけではありません。
ポイントは3つあります。1つは花の密度と花序の太さ、2つ目は、葉の形と質感や毛の量、もう1つは果実の小苞(しょうほう)の付属体の大きさです。ヒカゲイノコズチに比べると、ヒナタイノコズチは花序が太くやや密に花をつけます。葉は特に裏面に毛が多く白っぽくて分厚い感じがします。全体的な印象としてはヒカゲイノコズチがスラッと伸びる感じなのに対して、ヒナタイノコズチはちょっとボテボテした感じでしょうか。
イノコズチの仲間の花は、簡単にいうと5枚の花びらと5本の雄しべ、1本の雌しべからできていてその外側に細長い針のような小苞がついています。特に果実があるときは、小苞を探してさらにその付属体に注目してみます。かなり小さいものですから、よく観察しないとわかりません。
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イノコズチの仲間は、結実すると実が下を向いて果序にピッタリはりつくようになります。実の長さは5mmぐらいです。もともと花の外側にあった針状の小苞が目立つようになりますが長さは4mm程度です。付属体は小苞の根もとの部分にあるごく小さなもので、半透明の膜のようなものです。この付属体がヒカゲイノコズチの場合は0.6mm〜1.0、ヒナタイノコズチの場合は0.3mm〜0.5mmです。おおざっぱに言えば、「付属体がめだったらヒカゲ」という具合でしょうか。
また、小苞はヘアピンのような形で2本ついていて、動物の毛や衣服にひっかっかりやすい構造になっています。秋の草むらを歩くとたくさんくっついてくる「ひっつき虫」のひとつです。
一番上の写真の個体は、急激な寒さで傷んだのか病気にかかってしまったのか、理由はよくわかりませんが、花序を伸ばして果実を正常に実らせる前に、枯れてしまったようです。こんな状態でもなんとか小苞や付属体が見えるもので、葉の裏の毛や生育地など総合的に見て、ヒナタイノコズチだとわかりました。
【和名】ヒナタイノコズチ [日向猪子槌]
【学名】Achyranthes bidentata var. fauriei
【科名】ヒユ科 AMARANTHACEAE
【撮影日】2004/12/08、2005/06/24
【撮影地】東京都日野市
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いつも図鑑代わりに愛読させて頂いています。
今日、イノコヅチの記事中からこのページへのリンクとTBさせていただきました。
ようこそ!お越しくださってありがとうございます♪
昨日、Chibiさんのところでお姿を拝見して、このブログを見てくださっていることを知りました。とてもうれしいです。また、今日は楽しい記事を見せてくださってありがとうごさいます。
こちらの近所のイノコヅチ、草刈が行われてすっかりなくなってしまいました。たくさんあるときは、くっつくからやっかいものみたいに思ってしまうのだけども、今はもう日に日に、野山の冬支度が進んでいて、ちょこっとさびしさもありますね。