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スイバは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、世界的に見ても北半球の温帯に広く分布している多年草です。田のあぜや人里近くの草地でふつうに見られ、特に草刈が行き届いた草地では群生しています。スイバという名前は、茎葉にシュウ酸を含んでいてすっぱいことからきていて、特に若い芽は甘酸っぱく「スカンポ」とも呼ばれます。
草丈は30cm〜1m近くまでなります。花は5月〜8月ごろまで見られますが、4月〜5月ごろはまだそれほど草丈の高い野草はないので目立ちます。遠くから眺めていると茎の先の花序が緑っぽい株と赤っぽい株があるのがわかります。これは雌雄異株で雄花と雌花の赤くなる度合いの違いによっています。
雌花はふさのようになった柱頭や3枚ある子房をつつむもの(内花被片)が赤く、さらに果実ができてくると翼状に大きくなって赤みを帯びているのでよく目立ちます。雄花には花被片6枚と雄しべ6個がありますが、赤みが少なくほとんど黄緑色で地味です。
同じ属の植物に「ギシギシ (Rumex japonicus)」がありますが、スイバとギシギシの違いはすぐわかると思います。ただ、ギシギシの方には「エゾノギシギシ (Rumex obtusifolius)」、「アレチギシギシ (Rumex conglomeratus)」などもありますので、まず、ギシギシ類とスイバが見分けられるようになってから、ギシギシ類を細かく覚えていくとよいと思います。
花のある時期だとまず姿を見ますが、スイバはスーッと立っていて、ギシギシの方は背丈も高く太くて大柄でボッテリしています。花はどちらも花序に輪生してつきますが、ギシギシの方がぎっしりと密につく感じです。また、ギシギシの内花被片の縁にはギザギザがあるので、これもチェックポイントとして重要です。アレチギシギシの場合は花序が細いですが花序の出る角度や花の大きさもまったく違いますので、スイバと間違えることはないでしょう。
もう1つわかりやすいポイントは葉です。ギシギシ類の葉は分厚く縁が波打つ傾向が強くて、色が濃く表面には光沢があります。スイバは質が薄く上部の葉は小さくあまり光沢はありません。秋から冬の時期、積雪がなければスイバの根生葉が観察できます。
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スイバは、おもに種子は秋に発芽し、すでにある個体は地下茎から根生葉を出して越冬します。根生葉は長楕円形で、基部は矢じり形になっています。越冬中の根生葉は真っ赤に染まっていることが多いですね。写真は2004年12月半ばですので、赤くなりつつもまだしゃんとしていましたが、現在は真っ赤になってちょっとしおれ気味です。
【和名】スイバ [酸い葉]
【別名】スカンポ
【学名】Rumex acetosa
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2004/12/16
【撮影地】東京都日野市
■Trackback People : 身近な生き物
花が咲いていないとスイバ(スカンポ)とギシギシの見分けがつかない人にとって、とってもありがたい記事でした。
ロゼット図鑑のシリーズ、ホントに勉強になります(^0^)ゞ
今、こちらでは、スイバもギシギシも両方ロゼットが見られますが、スイバの方は質が薄いからか、ちょっとシナシナになっています。ギシギシの方はゴワゴワ感があって頑丈そうです。野菜で言うと小松菜とかつお菜って感じでしょうか。ちょっと違うかな。
今、近所の河原ではスイバがクサフジに負けずにがんばって背を伸ばしています
雄花と雌花があるのは知りませんでした
種類が違うと思っていたのが雄花でした〜
ようこそ、いらっしゃいませ。
うお〜!つる植物にも負けずに伸びているとは、なかなかのものですね。
色が違っていたりすると、違う種類に見えちゃうことってよくありますよ。結構、こういう雌雄異株の植物ってあるんですよね〜。