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ユキノシタは、北海道、四国、九州に分布し、日当たりのあまりよくない湿り気のある岩の間などに生える多年草です。根もとから赤みを帯びた細長い匐枝を伸ばして、先に新しい株ができて増えるので、群生していることが多いです。先端にできた小さな苗は、はじめはふさふさした小さい丸い葉がかわいらしいのですが、すぐに大きくなってどんどん増えます。庭に植えて油断していると、そこらじゅうユキノシタだらけになってしまいます。子どものころ、その日の晩ごはんが天ぷらだとわかると、庭にこの葉をとりにいってました。
茎や葉は長い赤褐色の粗い毛でおおわれていてふさふさしています。葉は根もとから根生し、長い柄があります。大まかな形は腎円形で縁は浅く裂け、つけ根の方は心形です。葉の色はちょっと表現が難しいところがあるのですが、パッと見ると表面は暗い緑紫色を帯びて、緑や白の筋が入っているという感じでしょうか。別の言い方をすると、葉脈に沿った部分が緑色または白っぽい色で、葉脈と葉脈の間の部分が赤紫色になっているという感じです。裏面は暗紫色を帯びていて、独特の光沢があります。
花期は5月〜6月、20〜50cmほどの長い花茎を伸ばしてたくさんの花を咲かせます。花序の形は円錐形に近いですが、花はだいたい同じ方向に向かって咲きます。花には5つの花弁ありますが、上3枚と下2枚で大きさや色が異なっていておもしろいです。上の3枚は小さくて先のほうが桃色を帯び紅色の模様がありますが、下の2枚は大きく垂れ下がっていて白色です。さらに、10本の長い雄しべの先にある赤い葯(花粉のある部分)も目立ちます。中心部には雌しべが2本ありますが、根もとの子房の部分を黄色いもの(花盤といいます)が上半分にかぶさったようについています。という具合に、遠くから見ると白いものがピラピラと下がっているだけに見えますけれど、詳しく見るとなかなかユニークな形や色彩が楽しめます。
名前の由来には諸説があるようで、葉にある白い模様を雪に見立てたという説や、白い花を雪に見立ててその下に緑の葉がある様子をあらわしたとする説、雪の下でも葉が残っているところからきたとする説などいろいろです。
いずれにしても、「雪」というのは変わらないようで、寒さには強いようですね。こちら、関東では雪はないものの、霜柱がずっとたったままです。午前中だと、葉や葉柄の毛に霜やそれがとけた露が残っているのが見られます。緑の少ない寒々とした景色の中でも、ユキノシタはかろうじて緑色でした。雪と一緒の写真を撮りたかったのですが、降る気配がないし、一応、霜がとけたしずくつきでがまん。まあ、アップした写真じゃそれすらわからないですけど。しかし、手がかじかんでしょうがなかった。冷え性〜。
【和名】ユキノシタ [雪の下]
【学名】Saxifraga stolonifera
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市
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我が家の庭、綺麗な花には地獄の環境ですが、ユキノシタには絶好のようです。
花が咲いたのでTBさせていただきました。
ご訪問&TB、どうもありがとうございます。まだ、今年は花を見てなかったので、嬉しさ倍増です。
確かに何かに食べられたような、ピラピラの花なのだけど、花のつくり、意外とおもしろいんですよね。
しかし、そっ、そんなに地獄の環境なんですかぁ〜。自分とこは、ベランダしかなくて、それこそ植物たちにとっては、地獄です。ゾナーレ系のゼラニウムでも悲鳴をあげています。
ユキノシタの葉って肉厚でもちもちっとしていて、とっても美味しいんですよね〜。
こんばんは〜hanaboroさん 私は鎌倉に住んでいたことがあります。鎌倉には「雪の下」って町名があってそこの図書館によく行ったのを思い出しましたよ。 TBさせていただきました〜。
ひゃあ、そうなんだ。「雪の下」って町の名前があるんですか。鎌倉だし、情緒的ですね。
子供のころ住んでいた家のユキノシタは、花はちらほらしか咲きませんでしたが、地面にいっぱいはびこっていました。それで、時々てんぷらにしてましたね。もう、ずっと長いこといただいてないなぁ。