2005年02月22日

ウメハタザオ

ウメハタザオ Arabis serrata var. japonica f. grandiflora


ウメハタザオは、一般的な図鑑を見ると、「フジハタザオの変種のイワハタザオの高山型」となっていて、本州の東北〜中部の一部の高山に分布するとされています。「
フジハタザオ (Arabis serrata)」は、名前のとおり富士山の砂礫地に生える草丈10cm〜20cmほどの多年草です。長さ2cm〜3cm、幅は1cmに満たないくらいの根生葉をロゼット状に広げますが、この根生葉の縁のギザギザ(鋸歯)がやや深めです。ウメハタザオでは鋸歯が浅めになります。「イワハタザオ (Arabis serrata var. japonica)」は、本州中部以北の山地帯に生育しています。草丈は30cm〜40cmと大きめで、葉の鋸歯はフジハタザオよりは浅めです。

フジハタザオの仲間はとても変異が多くで、他にも種内分類群がいくつも記載されています。東北地方の一部には「イワテハタザオ (Arabis serrata var. japonica f. fauriei)」、北海道と東北の高山帯には「エゾイワハタザオ (Arabis serrata var. glanca)」が生育するとされています。ただし、これらを広く取り扱うか、細かく分けるかについては、いろいろと見解の分かれるところかもしれません。

ところで、今回の写真は、果たしてどうなのか。花も実もない状態で、同定するのはなかなか大変で、わざわざ名前を調べなくてもいいのでしょうが、まあ、どうにかやってみることにします。こういう場合はかなりの度合いで、既存の図鑑の記載されている分布域を信用することになります。あとは、生育環境を見たり、葉だけしかないのでじっくりと葉を観察するのみです。

撮影地は南アルプス北部の標高3000m付近の岩場です。そこで、葉の形に注目すると、真ん中より先の方にちょっと鋸歯があります。根生葉が岩にへばりついてこんな形をしていたら、ユキノシタ科の「クモマグサ」を思い浮かべるのですが、南アルプスには記録がないようです。それによく見ると葉の表面が高山帯のアブラナ科っぽいザラザラとした感じがあります。このザラザラ感は、ハタザオ属の大きな特徴でもあって、毛が放射状にいくつも分かれて星の形に見える「星状毛」、先が2つに分かれた「二分岐毛」、それにふつうの毛「単純毛」が茎や葉の両面に密生しています。クモマグサの場合はもっと肉質で、縁に腺毛が生えていますが表面には少なくもっとツルツル感があります。

そこで、高山性のアブラナ科植物にターゲットを絞りますが、これだけではまだ、たくさんの種類が候補にあがってしまいます。検索表から行ってもよいのですが、どうしても観察できる形質が足りなくなりるので、図鑑の写真と1つ1つ見比べていくことにします。分布域に頼る部分も大きくなりますが、もう仕方ありません。それで、何度もページをめくっているうちに、フジハタザオ付近に到達したわけです。そうすると、分布域と生育地から、「ウメハタザオ」だろうということに落ち着きました。ただし、これはいい加減なものでとても苦しい同定ですから、参考にはなりませんね。

【和名】ウメハタザオ [梅旗竿]
【学名】Arabis serrata var. japonica f. grandflora
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2004/08/26
【撮影地】長野県長谷村

posted by hanaboro at 12:16| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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