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サトザクラは、ヤマザクラに対して人里で品種改良されたサクラということから、そう呼ばれています。ある1つの種をさすわけではなく、野生のものから選抜されたものや、交配などによってつくられた品種群の総称です。品種改良の歴史は長く、品種の数は膨大で、200種以上あるといわれています。中でもオオシマザクラ系の品種が最も多いのだそうです。
さらに、その中には花弁が幾重にも重なったように見える品種も数多く、いわゆる「ヤエザクラ」と呼ばれているものも含まれています。「ヤエザクラ」という名称も1つの種のことではなく総称です。例えば、普賢象、松月、兼六園菊桜、関山、御衣黄、鬱金といった品種は有名です。
写真は、品種名はわかりませんが、いわゆるヤエザクラの冬芽です。冬芽は長さ1cm弱の卵形〜長卵形で、濃い紫褐色、芽鱗にしっかり包まれています。冬芽や枝は無毛です。葉のついていたあとである「葉痕」は、写真ではピンク色っぽく見えていて、つぶれたような形の半円形です。そして、葉痕に見られる点々は3つ、これは「維管束痕」といって、養分や水分の通り道の痕跡です。
花期は4月中旬〜5月上旬。ソメイヨシノよりも2週間程度、遅く咲き始めます。また、ソメイヨシノは葉の展開よりも花が早く開きますが、いわゆるヤエザクラは、花が開くと同時に赤みを帯びた葉も展開し始めます。
【和名】サトザクラ [里桜]
【学名】Prunus lannesiana
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/02/15
【撮影地】東京都日野市
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我が家の近くの公園には鬱金のサクラがなかなか見事な花をつけてくれます。今年も見に行きたいなあ。緑のサクラ、と言う割にはなかなか派手で見応えのある品種ですよ
こんにちは。ふつう「サクラ」といえば、「ソメイヨシノ」がやっぱり一番に思い浮かぶでしょうね。植栽されている数は圧倒的ですから。こちらの近辺でも、ソメイヨシノ以外だと、名前のわからないヤエザクラが植えてあるくらいです。きちんとラベルつきで植栽されているのは、植物園に行かないとなかなか見られませんね。緑系はやっぱり変わっているし、目を引きますよね。「鬱金」がお近くで見られるなんて羨ましいです。