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ヘラオオバコは、ヨーロッパが原産の帰化植物で、多年草または一年草です。日本には江戸時代の末期に入ってきたのだそうで、現在では各地の道ばたや空き地などで見られます。
葉はすべて根生葉で、長さ10cm〜20cm、幅は1cm〜3cmの細長いヘラ形。表面にはまばらな毛がありますが、大きく生長した葉では表面がほとんど無毛のこともあります。葉柄の部分には長い毛があります。根生葉はしだいに立ち上がってきて花のころには、ほぼ直立します。
花期は6月〜8月。葉の間から高さ20cm〜50cm以上になることもある花茎を伸ばして、先端に花序をつけます。花序は長さ2cm〜8cm、幅7mm〜15mm。ふつうの「オオバコ」よりもずっと背丈は高くなり、花もユニークで目立ちます。
花序を伸ばしながら舌から上へと咲きあがっていきますが、黄白色のピラピラが見えているのは雄しべで、その部分が花序に輪っかをつけたようになります。全体的に見るととんがり帽子をかぶったような状態で、とても個性的。帰化植物ではありますが、わかりやすく立体的な動きを見せるので、おもしろいものです。
このピラピラと雄しべが目立つ部分の花は、雄性期ということになります。咲き進むにつれて輪っかの部分は上へ上がっていきます。帽子よりも顔の方が長くなっていくわけです。雄性期の花も終わると、茶色の棒のようになります。
雌しべはというと、雄しべのある輪っかの部分より上で、雄しべよりも先に成熟しています。雌しべはごく短くて細長い棒状のもので目立ちませんが、よく見るとチラチラと見えているはずです。雌性期の花は、雄しべが見えている部分のすぐ上あたりにあります。このように、オオバコの仲間は、雌しべの方が雄しべよりも先に成熟する「雌性先熟(雌しべ先熟)」です。
雄しべが目立つので、なかなかその存在は目に入りづらいですが、一応、花びらに相当するものがあります。その花冠は白っぽくて4つに裂けて平らたく開きます。
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オオバコ類の場合、いろいろと帰化種があるのですが、特に困ってしまうのは、在来種の「オオバコ (Plantago asiatica)」と帰化種の「セイヨウオオバコ (Plantago major)」がとてもよく似ている点だと思います。セイヨウオオバコの方がオオバコよりも全体的に大柄で、できる種子の数が多いです。
似た種類がいろいろとある場合、幼植物の状態で見分けるのはなかなか難しいのともあるのですが、今のところ、「ヘラオオバコ」は、わかりやすい方かもしれません。「葉が細身で、葉柄や葉にはやや長めの軟毛が生えている」というのを手がかりに、他種との違いをおさえます。
市街地などで、今回の写真のような根生葉を見つけたときは、まず、葉の幅が広くなりそうな「オオバコ」などは、消去できると思います。候補としては、いずれも帰化植物のヘラオオバコ、ツボミオオバコあたりになるでしょう。「ツボミオオバコ (Plantago virginica)」の場合なら、全体に短い毛が密生しているので、白っぽく見えるはず。葉はもっと丸みがあって細長くはならず披針形で、縁にはあまり目立ちませんが、ギザギザ(鋸歯)があります。ヘラオオバコの場合はほとんど全縁です。では、「ムジナオオバコ (Plantago depressa)」はどうかというと、こちらはほとんど葉に毛がないはず。ということで写真のものは、全体の幅で5cmくらいの小さな株ですが、まず「ヘラオオバコ」でOKでしょう。
【和名】ヘラオオバコ [箆大葉子]
【学名】Plantago lanceolata
【科名】オオバコ科 PLANTAGINACEAE
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市
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これ、ヘラオオバコっていうんですか!
土手によくあるんですが、穂がでかくて形がモウセンゴケの葉のような形(穂からポチポチが出ている)に似ているやつですよね・・・?
穂は、花が咲き進むにつれて長〜くなってきますよ。最初は穂が丸くて、まわりに雄しべの輪っかがあるので、土星のような状態で、だんだん、穂が縦にのびて雄しべのある部分はハチマキをしたような状態に見えるかもしれませんよ。雄しべの先の葯なんかはモウセンゴケのポチポチに似ているのかも。。。
表現がヘタだなぁ、私(ーー;)
モウセンゴケに似ているのは、そのポチポチのことを言いたかったんです(爆)
わはははは^^:
ありがとうございます^^
私の方こそ、わははは^^:です。
表現、難しいですよ〜。
もっと上手に伝えられたらな〜と思います。これからも楽しい表現、わかりやすい表現などなど、あったら教えてくださいませ。
ヘラオオバコ、こちらではここの写真のものよりもすでにずーっとでっかくなったものもあります。そのポチポチが見られるのもそんなに遠くないかもしれませんね。