2005年04月08日

サイハイラン

サイハイラン Cremastra appendiculata


サイハイランは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内に生える多年草です。冬でも地上の葉は枯れずに、次の年の新しい葉が展開してから、花時期の前後に枯れてきます。葉の下の地下部には、1つの芽に1つの「偽球茎(バルブ)」ができます。バルブは、直径1cm〜2cmほどの卵形。

葉は長い楕円形で長さ15cm〜30cm、幅5cm内外、先端はスーッととがります。ふつうは、ペラーッと1枚だけ葉をつけます。まれに2枚つけることがあるくらいで、新しい葉が展開してからしばらくたつと、葉は地面にベラーッとはりついてしまいます。その葉は「エビネ」によく似ています。暗い林の中で、遠くから見てエビネと見間違うものの代表格。まあ、近づいてみるとまったく違うんですけども。

筆者の乏しい経験では、九州で見たものは斑が入っているのがふつうでした。たまたまかもしれませんが、これまで本州で見たものは、やや斑の入り方が少なかったり、ほとんど入っていなかったりでした。

花期は5月〜6月。花茎は30cm40cmほどの高さにまっすぐのびて、ほぼ一方向にかたよって10個〜20個の花をつけます。一般的な図鑑では、「ほぼ一方向にかたよって」というふうに書いてあるのですが、花序を横から見て前後を比べると、花のついている方向は確かにほぼ一方向といえると思います。しかし、花がついている方向から真正面に見ると右や左、そして、前方にと、特に一方向というわけではありませんよね。花は下向きに開き、紫褐色を帯びた肌色弁紅紫色舌。花弁やガク片の長さは3cmほど。

花の中央の「ずい柱」は、白っぽい棒状で、前方に突き出していて、唇弁に包まれたような状態になっています。先端の部分には淡い黄色の「葯」があって、ここには「花粉塊」が入っています。唇弁は3つに裂けて、真ん中の裂片(中裂片)が特に大きく、ほかの2枚の裂片(側裂片)は小さく細いです。ガク片(背ガク片、側ガク片)や花弁(側花弁、唇弁)はあまり開かず、唇弁以外はヒラヒラと弱そうな印象です。上から見ているとほとんど閉じているので、よく見えませんが、横や下からのぞいてみると、意外にも派手な色合いの唇弁にギョギョッとします。

名前は、こんなふうに咲く花の咲く様子を、武将が戦で指揮をとるのに使った「采配」にみたてて、サイハイランといいます。

サイハイラン Cremastra appendiculata


ふだん植物の写真を撮影するとき、おおいかぶさっている落ち葉などをあまりどかさないんですよね。でも、このときは脇に新芽があるはずだと思って、数枚の落ち葉をどかしてしまいました。撮影後、落ち葉をかけなおしはしたけれど、何かはれ物にでもさわったかのような気持ちになってしまうのは、相手がそれほど珍しいものではないにしても、一応、野生のランだからなのでしょうか。

【和名】サイハイラン [采配蘭]
【学名】Cremastra appendiculata
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都

posted by hanaboro at 16:24| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 葉っぱ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
九州北部で、えびねは20〜30年前までは、山や高原に普通に群生して見られたらしいですが、現在は盗掘されつくして、ほとんど見られなくなりました。逆にサイハイランは花が地味なために盗掘を免れたようです。孤独が好きなのか、1本ぽつんと草むらに頭を持ち上げて、花を咲かせていることも多いです。固まって咲いてもせいぜい10本前後と思います。
Posted by 山友 at 2005年04月08日 22:31
*山友さん*

こんにちは。
じつは、自分は九州出身なもので、20〜30年前の九州で、おっしゃるとおりの状態を見てました。現在は、あるにはあっても全開花個体が減ってますよね〜。サイハイランはエビネに比べると、変異が限られてしまいますし、やはり華やかさがあまりないので、マニアにとって、それほど魅力的なものではなかったと思います。確かに、サイハイランは、大群落をつくる感じではないかもしれませんね。孤独が好きなんでしょうかね〜。
Posted by hanaboro at 2005年04月09日 16:02
詳しく説明してありますので、リンクフリーのお言葉に乗じて、、思わず勝手にリンク貼ってしまいました、、、

野山を歩くのは得意ですが、、知識が乏しく、、貴ページのような、HPをいつも参考にしております、、
どうぞ、がんばってくださいませ
Posted by ハーベスト at 2005年06月04日 20:21
*ハーベストさん*

この記事をご紹介くださって、ありがとうございました。拝見いたしましたけど、リンクは問題ありませんよ。

ご声援、うれしいです。ボチボチやっているブログですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by hanaboro at 2005年06月06日 10:08
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