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コミヤマスミレは、本州、四国、九州の太平洋側に分布し、山地の林内に生育する多年草です。やや暗めで、湿り気の多い林床に生えています。草丈は、花茎が伸びた状態で、10cmに満たないくらいです。
葉は長さ2cm〜4cmの卵形で、つけ根の部分はちょっとグルッと湾入した心形です。もうちょっと簡単にいうと、細身のハート形です。しかも、縁にギザギザ(鋸歯)のあって毛の生えた細長いハート形。表面の色は、濃いめの緑色で、紫褐色を帯びていたり、斑が入って白っぽい模様があることも多いです。紫褐色を帯びる程度や斑の入る程度も様々ですが、表面に毛が多いことは共通。
花期は、春咲くスミレでは遅い方。4月の下旬ごろからの開花です。花は直径1cmくらい。白色の花弁は細くて、5枚の花弁のうち2枚の「上弁」、2枚の「側弁」ともに、タチツボスミレなどに比べると横方向に開く傾向があります。そのため、花は横長な印象になります。花の内側に注目すると、一番下の「唇弁」には赤紫色の筋模様があって、側弁の付け根のあたりには毛が生えています。唇弁から後ろに突き出るシッポのような「距」は、太くてちょっと短めです。
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花が白くて小さめで花期が遅めのスミレには、ほかにも「ニョイスミレ」や「フモトスミレ」などいくつか種類がありますが、それらと比べてもコミヤマスミレの重要な見どころの1つはその「ガク片」です。
ガク片は花の外側のつけ根にあって、粗い毛が目立ちます。ガク片がペタッーとはりついたようになっている種が多い中、コミヤマスミレの場合はガク片が反り返るところが大きな特徴です。正面から開きかけの花を見ていると、小さな羽根をつけけいるかのようで、そのままどこかへ舞って飛んでいってしまいそうな、そんなガク片です。
【和名】コミヤマスミレ [小深山菫]
【学名】Viola maximowicziana
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/04/21
【撮影地】東京都八王子市
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