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ウマノミツバは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の林内に生育する多年草です。草丈は30cm〜50cm、大きいものでは80cmくらいにはなります。ふつう花のころによく見られる茎葉は、小葉を比べるとよく似た「ミツバ (Cryptotaenia japonica)」を細身にしたようなものです。基本的には3つに完全に裂けた葉で、3つの小葉(または裂片)のうち外側の2枚を「側小葉(側裂片)」といいますが、その側小葉はさらに2つに裂けるので、5つの小葉があるように見えます。
また、葉脈が下面にくぼんだ状態となって、表面はシワシワに見えます。ミツバの場合は、小葉が3枚の「3出複葉」で、小葉は先のとがった卵形です。ミツバが全体として三角形に見えるのに対して、ウマノミツバは多角形の感じです。
茎葉の特徴はこんな感じですが、根生葉は、また違った形をしています。根生葉は、写真のような葉で、全体に丸く見えます。基本的には茎葉と同じように3つに裂け、そのうちの2枚がさらに5つに裂けます。そしてかなり長い葉柄があります。伸びた茎につく茎葉は下の方の葉には長い葉柄がありますが、上の方のものには短い柄しかありません。
花期は7月〜9月。茎先の「複散形花序」に白っぽい花をつけます。ウマノミツバの場合、その特徴がわかりづらいですが、一応セリ科なので、花序の形は基本的には「散形花序」です。散形花序というのは、これまでにも「オカウコギ」、「ヤブニンジン」、「アガパンサス」、「キルタンサス」あたりで登場しています。簡単にいうと、「散形花序」は、花軸(花のつく枝)の先からたくさん枝が出て、その先に1つずつ花がつく花序のことです。そして、「複散形花序」の場合は、たくさん出た枝先にさらに小さな散形花序(小散形花序)がつく、という花のつき方になります。
小散形花序につく小さな花には、カギ状のトゲがついた子房のある「両性花」と子房のない「雄花」があって、中央部分に両性花、周辺部分に雄花があります。両性花の子房の部分は、花が終わると果実ができ、先がカギ状に曲がったトゲが密生しています。
名前は、食用や薬用として利用されるミツバに比べて、利用価値がなく、馬に食べさせるくらいのものだというところからきています。
しかし、写真のような状態をはじめてみたときは、「チドメグサ」のお化けかと思ってしまいました。
【和名】ウマノミツバ [馬の三葉]
【学名】Sanicula chinensis
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE
【撮影日】2004/04/11
【撮影地】東京都青梅市
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ウマノミツバって、本当に印象が地味なんですが、
実の頃はトゲに光が当たって反射して美しいですね。
といってもやっぱり地味ですが・・・。
好きな植物なんでうちでも記事にしたいんですが、はてどうしましょう(苦笑)。
こんにちは。
地味なものでも、そういう美しさ、好きです。でも、その花や実、光の反射した美しい状態、なかなか写せないんですよね。もちょっと写真をうまく撮れるように、練習したいところです。
そういえば、これも「ひっつきむし」でしたね。記事アップ楽しみにしておりまする。